スーパーに小麦粉を買いに行ったら、「薄力粉」や「中力粉」、「強力粉」などと書かれていて、どれを買ったら良いかわからない…という経験はありませんか?
クッキーを作ろうと思ってレシピを検索してみると「小麦粉」と書かれていたり、「薄力粉」などと書かれている場合があり、どんな違いがあるのかわかりにくいですよね。
そこで今回は薄力粉と小麦粉の違いなど、以下の項目について調査した結果を紹介します。
- 薄力粉と小麦粉って同じなの?
- レシピに「小麦粉」と書かれていたら何を選んだら良い?
- 薄力粉は片栗粉の代用になる?
小麦粉の種類の違いや選び方や開封後の保存方法も紹介していますので、楽しく料理を続けられるようになりますよ!
この記事を読めば、今までは少し難しそうなイメージだった小麦粉を使った料理にも挑戦したくなっちゃいますよ。
それではまず、薄力粉って何?というところから順にご説明しますね。
目次
薄力粉と小麦粉の違いは?強力粉や中力粉などの種類別に紹介
小麦粉とは、小麦を製粉したものの総称です。
なぜ呼び方が違うのかというと、小麦粉に含まれるグルテン(タンパク質含有量)によって以下の種類に分けられます。
- 薄力粉(はくりきこ)
- 中力粉(ちゅうりきこ)
- 強力粉(きょうりきこ)
つまり、小麦粉と薄力粉は同じものであり、「薄力粉と中力粉、強力粉はそれぞれグルテンの量が違う小麦粉の種類」といえますね。
小麦粉を水でこねると、含まれているタンパク質が結合してグルテンが生成されます。
小麦粉に含まれているタンパク質の比重が少ないとグルテン量が少なく、タンパク質量が多いとグルテン量も多くなるのですが、グルテンが少ない方から順に薄力粉→中力粉→強力粉となります。
ちなみに、小麦粉の別名として「メリケン粉」と呼ぶ人もいますが、元々はアメリカから輸入された小麦粉のことを「アメリカン=メリケン」と聞こえたのが由来だといわれています。
かつては、アメリカ産小麦粉を「メリケン粉」と呼んでいたのに対し、国産小麦粉を「うどん粉」と呼んで区別していたそうです。
また小麦粉には等級があり、胚乳に含まれる灰分が少なくて白くたんぱく質が少ないほど上級、逆に灰分が多くて茶褐色でたんぱく質が多いほど下級になります。
コストコや通販でも人気のある尾張製粉の強力粉は1等級を使用しています。
北海道産の「はるゆたか」も灰分が少ない小麦粉として通販ランキングでも人気があります。
薄力粉・中力粉・強力粉の比較と適する料理の見分け方
小麦粉はグルテンが多いと弾力が強くなります。
強力粉に水を加えて練ると粘りがありますが、薄力粉だとさほど感じません。
また手で触っても分かるほど粉粒の大きさが違います。
強力粉は硬い小麦粉からつくるので粒が粗く、サラサラしてるのに対し、薄力粉は粒が細かく、しっとりしたような、なめらかな手触りです。
手で粉をギュッ!と握ると薄力粉はある程度固まって手の”あと”が残りますが、強力粉は粒が大きいので固まりにくくサラサラとしたままです。
このような特性から、料理をする時には用途に合わせて小麦粉は使い分けられています。
小麦粉の分類 | 料理 |
強力粉 | 食パン、ナン、餃子の皮、ピザ、ラーメンなど |
中力粉 | うどん、ドーナツ、かりんとう、クラッカーなど |
薄力粉 | お菓子(チーズケーキ、スポンジケーキ、シフォンケーキ、ホットケーキ、シュークリーム、マフィン、マドレーヌ、フォンダンショコラ、タルト、蒸しパン、クレープ生地、クッキー) 粉物料理(もんじゃ焼き、たこ焼き、チヂミなど) 料理の衣(天ぷら、かき揚げ、唐揚げ、チキン南蛮、生姜焼きなど) とろみ(ホワイトソース、クリームソース、クリームパスタ、シチュー、グラタン、カレーなど) |
日清製粉でも以下のような品種に分かれて販売されています。
オーション(強力粉)
雪(中力粉)
フラワー(薄力粉)
ちなみにパスタの多くはイタリアやオーストラリア産などのデュラムセモリナ粉というパスタ用の小麦を粗挽きしたものが原料ですが、中力粉や強力粉を好みの配分で混ぜて作ることもできます。
その他にも、同じ料理なのに強力粉だけで作ったり、強力粉と中力粉を混ぜて作ったりとレシピによって配合が異なることも多いです。
例えばパンは強力粉だけで作ることもあれば、薄力粉を混ぜてフワフワのやわらかいパンに仕上げる作り方もありますよ。
また「レシピに小麦粉って書いてあるけど、薄力粉でもいいの?」という時、ケーキやクッキーといったお菓子ならばセーフ。パンを焼く時は強力粉がベースなのでNGです。
そこの判断を自分でするのは少し難しいですね。
ただ料理に使われることが圧倒的に多いのは薄力粉です。
例えば鮭のムニエルやフライドポテトを作る時に表面にまぶしているのも薄力粉だし、トンカツやコロッケ、エビフライなどの揚げ物をする時に小麦粉→卵→パン粉をつけますが、この時に使うのも薄力粉です。
ハンバーグを作る時にはパン粉を混ぜますが、パン粉の代用としてお肉を成形後に薄力粉を全体にまぶす方法もおすすめです。
薄力粉は粒が細かく粘りも少ないので簡単に扱いやすく、フライを作る時に食材をコーティングしたり、お好み焼きのように弾力はさほど必要ない料理に使ったりと使い方の幅が広いんですね。
一般的にレシピの中で「小麦粉」と呼ばれるものは薄力粉を指していることが多く、レシピに「中力粉」や「強力粉」と書いていなければ、大抵の場合は「小麦粉=薄力粉」と思っていても問題ないでしょう。
※ ちなみに片栗粉の原材料はジャガイモから精製したデンプン粉の事で、小麦粉とは全く違うものなので、小麦粉で片栗粉の代用はできませんので注意してくださいね。
小麦粉の栄養価が気になる!薄力粉・中力粉・強力粉の違いは?
栄養価の中でも特に気になる小麦粉のエネルギーは、
- 薄力粉:100gあたり368kcal
- 中力粉:100gあたり368kcal
- 強力粉:100gあたり366kcal
と、実はどの種類もほぼ変わらないんです。
なので材料の小麦粉の種類によって摂取エネルギーに差が出るわけではないですが、小麦の殻つきのまま粉末にして食物繊維が豊富な全粒粉を使ったパンや麺類はダイエット向きのイメージですね。
他にも小麦粉にはセレン、 モリブデンといった栄養素があります。
セレンは人間にとって必要不可欠な五大栄養素・ミネラルのひとつで、体内のサビつきの原因となる「活性酸素」から体を守り、体の内側から若々しさを保つ効果が期待できます。
ビタミンEと一緒に摂ることで効果が高まるので、ビタミンEの豊富なアーモンドを一緒に食べるのがオススメ。
またモリブデンは代謝に関わる必須ミネラルのひとつで、人間の体内では酵素の構成成分となり、糖質や脂質の代謝を助ける働きがあります。
よく「パンとご飯のカロリーはさほど変わらないけれど、ダイエット中には腹持ちの良さからご飯が良い食品」と聞きますが、パンを食べていたら痩せないというわけではありません。
パンや麺類を食べながらキレイに痩せることを目指すことだってできますよ!
次章では、本当は強力粉や中力粉を使うレシピなのに、手元には日清フラワーの薄力粉しかない!という時に知っておくと便利な代用レシピについて紹介します。
薄力粉しかないときに、代用しても大丈夫?
レシピを確認してみたら、強力粉や中力粉を使わなければいけないところを、ストックしていたのは薄力粉だけだったので他の使い道がないかと考える方も多いですよね。
でも、結論から言えば、料理初心者の方や小麦粉を使った料理を作り慣れていない方はあまりおすすめできません。
例えばパンを作りたいと思った時に、強力粉が100gほど足りないので代わりに薄力粉を使っても失敗する可能性が高いです。
あまり作り慣れていない人が勝手に材料を入れ替えるよりも、きちんと料理を学んだ人のレシピに従う方が無難です。
ですが、絶対にやってはいけないというわけではないんです。
実際のところ、天ぷらやケーキには薄力粉、うどんには中力粉、パンや生パスタには強力粉…といった感じで使い分けるところを、それとは違う種類の小麦粉で代用しても大きな問題はないでしょう。元は同じ素材ですしね。
ただ麺棒で伸ばす時に苦労したり、食感がかなり違ったりするので、美味しく出来上がりにくいという難点もありますが、一般家庭でストックされていることの多い”薄力粉”を代用品として使う時のコツをご紹介します。
もしかしたら、代用レシピの方が好みの食感ということもあるかもしれませんし、一度チャレンジしてみてもいいかもしれませんね。
薄力粉で代用レシピを成功させるコツ
一般家庭でも多く作られる「餃子・うどん・パン」を薄力粉で作る時のコツをご紹介します。
餃子の皮の場合
- 水からこねる
- 塩を少々入れ、よくこねる
- 生地を30分〜2時間程度、室温で休ませる
焼き餃子の皮の場合は熱湯を使う方が多いのですが、水からこねることでグルテンの力が発揮されてコシがでてきます。
塩もグルテンが強力になるので、強力粉のようなコシを出すために少々入れ、よくこねてくださいね。
また生地をしっかり休ませることで酵素によって小麦粉の発酵が促され、粘弾性が増します。
うどんの場合
- 分量の水と塩を大きなビニール袋に入れて混ぜてから、薄力粉を混ぜて塊にする
- 冷蔵庫で30分~1時間休ませ、水分を浸透させる
- 取り出して何度も踏みつけ、折って固めてから、また冷蔵庫で3時間程度寝かせる
冷蔵庫で寝かせている間に水分が行き渡るので、粉っぽさがなくなります。
寝かせた生地を指で押しても”あと”がつかなくなったらOKで、伸ばして切って麺の状態にしていきます。
パンの場合
- 薄力粉に熱湯入れてよく練り、「湯だね」にする
- 薄力粉と塩と1の湯だねを入れ、菜箸で混ぜ、まとまったら台に移す
- 台に押し付けるようにして揉んだり、叩きつけるようにしたりして滑らかになるまでこねる
残りの作業は普通のパン作りと変わらないですが、薄力粉を使うとどうしても高さのあるパンは焼けないので、ベーキングパウダーを使用すると良いでしょう。
ちなみにこれとは逆の、薄力粉を使ったレシピを作る時に強力粉で代用する場合は「こねすぎないこと」がコツになります。
強力粉は一番粘り気が強く、こねてから焼くと固くなりやすいのでスポンジケーキなどフワフワした食感のお菓子には向いていない食材です。
そのため粘り気などの特徴が出ないよう馴染ませるようにして混ぜたり、ベーキングパウダーやコーンスターチを混ぜるなどの工夫が必要なんですが、さじ加減が難しいと思います。
小麦粉の値段が上がっているため”コストダウン”を狙って代用したい方もいると思いますが、最初はプロのレシピなど確実なものに頼って作ることをオススメします。
初心者は、作り慣れるまでは大人しく”お手本”に従うべし!ですよ。
次章では使いかけの薄力粉を正しく保存する方法について紹介します。
開封後の薄力粉を保存する方法
薄力粉を開封後は一度で使い切れないことが多いと思いますが、保存方法を間違えると体調を崩す原因になる可能性があるので注意が必要です。
特に小さなお子さんがいるご家庭では知っておいて欲しい、薄力粉の正しい保存方法を紹介します。
小麦粉が大好物の粉ダニに注意!
穀物を好む虫で、袋の中で粉ダニが繁殖した小麦粉を使った料理を食べると”アナフィラキシーショック”を起こす危険性があります。
ダニは加熱調理した後の死骸もアレルゲンとなるため、お好み焼きやパンケーキを食べてアレルギー症状で搬送された例が多くあります。
そして粉ダニは非常に小さく、小麦粉のパッケージについているジッパーの隙間からも侵入できてしまいます。
これを避けるため、開封した小麦粉は保存袋を二重にするなど、しっかりと密封して保存しましょう。
また臭いや湿気が吸着しやすいという性質があるので、臭いの強いものの近くには置かず、涼しい、乾燥した場所を選ぶこともポイントです。
パッケージを密封できるタイプのクリップ(エニーロックなど)でしっかり留め、さらに密封タイプの保存袋やタッパーに入れるという二重構造にしておくと良いでしょう。
粉ダニなどの虫も湿気も、二重構造にしておけばかなり防げるはずです。
よく冷蔵庫で保管するという話を聞きますが、結露によって粉が固まったり、場合によってはカビが発生したりします。
密封されていないと冷蔵庫内の臭いが移ってしまうこともあるので、冷蔵庫での保存はやめた方が良いでしょう。
賞味期限の目安は薄力粉・中力粉が約1年、強力粉は約6カ月なので、開封後はできるだけ早く使い切るようにしましょうね。
薄力粉と小麦粉の違いに関する疑問と回答まとめ
薄力粉と小麦粉の違いについて調査した結果は以下の通りです。
薄力粉と小麦粉は何が違うの?
薄力粉は小麦粉の一種です。薄力粉以外に中力粉、強力粉に分けられます。ライ麦についてはこちらで詳しく紹介しています。
3種類の小麦粉は何が違うの?
タンパク質の量が異なるため、タンパク質が少ない順に薄力粉⇒中力粉⇒強力粉となります。炭水化物の含有量についてはこちらを参考にしてください。
料理ではどうやって使い分けたらいい?
薄力粉は小麦粉料理の基本として幅広く使えます。中力粉は適度なコシが求められるうどん、強力粉はパンなどに使われます。
中力粉や強力粉がないけど薄力粉で代用できる?
不可能ではありませんが料理初心者はレシピで指示された小麦粉を使いましょう。代用する一例としては、本来強力粉を使う餃子の皮は熱湯を使いますが、薄力粉で代用する場合は水からこねると良いでしょう。
開封後の小麦粉はいつまで使える?
開封後は1年以内に使い切りましょう。ただし、ダニが発生するおそれがあるので、しっかり密閉して保存してください。
小麦粉を使う料理は、途中で味見ができないものが多いですよね。
パンは生地をこねたり発酵させたりしている間、ただただ美味しく出来上がることを祈りつつ、レシピ通りに進めるしかありません。
ケーキやクッキーも、オーブンで焼き上げて初めて味や食感がわかります。
作り慣れて「生地がこんな感じの状態なら、美味しくできるぞ!」という感覚が身についてくるまでは、完成するまでずっと、とにかくレシピ頼りです。
そんな状態で作っている人が「レシピ通りの材料を揃えない」というのは、かなりのチャレンジなのでは?と思います。
私自身もパンやお菓子を時々作っていますが、いろんな方のレシピを試して自分の好みと合うかを探る日々ですよ。
代用をしたいな~とお考えの方は、ぜひぜひプロのレシピを探してみてください。ネットでしつこく検索するもよし、図書館のレシピ本で探すもよし、思い切ってポチっ!と購入するもよしです。
好みのレシピを探すのは少し大変かもしれませんが、その最初の苦労がこの先ず~っと成功し続ける秘訣だと思います。
最初は”お手本”に忠実に。何度も作るうちに、少しずつ美味しくできる時の感覚が身についてきますから。
そうやって美味しいレシピを覚えていけば、毎日の食卓も豊かになります。美味しい料理をたくさん作ってくださいね!