【監修者:共立女子大名誉教授・薗田 勝先生】
【執筆者:編集部 坪田八重】
もつ鍋が臭い時は材料のホルモンの下処理の方法や鮮度が悪く、臭みが残っている事が原因と考えられます。
また使用するホルモンの部位や牛と豚といった種類の違いでも、臭みが強くなることがありますよ。
臭い消しの下処理にはさまざまな方法がありますが、正しく行わないと匂いが残りもつ鍋が臭くなってしまいます。
自宅で食べるもつ鍋が美味く出来るよう、今回は次のことを調べてみました。
下ごしらえだけでなく、調味料や香味野菜の工夫でも匂いを気になりにくく出来ます。
臭み取りしながらもつ鍋の味をワンランクアップさせる、調理法のコツも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください♪
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目次
もつ鍋が臭いのはなぜ?いつもより匂いが強い原因とは
家で食べるもつ鍋が臭いのは、材料のホルモンの匂いが原因の場合が多いです。
ホルモンは特徴のある匂いなので食べ慣れていないと臭く感じる場合もありますが、基本的には下処理が不十分だったり鮮度が落ちたりして匂いが強まっていると考えられます。
さまざまな部位があるホルモンは、部位の違いでも匂いの強さが変わるため、購入する際には注意しましょう。
ホルモン以外ではもつ鍋に入れるにんにくやニラなどの具材の匂いや、一緒に飲む日本酒や焼酎の匂いが混ざるともつ鍋を食べる時に臭いと感じることがありますよ。
まずは下処理が不十分だとなぜもつ鍋が臭くなるのか、理由を確認してみましょう。
下処理不足で匂いが残る理由はホルモンが内臓だから
もつ鍋のメイン具材であるホルモンは牛や豚の内臓のことで、消化途中のえさの汚れや血液の匂いが付き、もともと臭みが強い事が多いです。
そのため下処理を丁寧に行わないと、調理後のもつ鍋に匂いが移り臭くなります。
ホルモンには以下のような部位が含まれ、さまざまな呼び方があります。
牛 | 豚 | |
---|---|---|
大腸 | シマチョウ てっちゃん |
ダイチョウ シロコロ |
小腸 | マルチョウ | ヒモ ホソ |
胃 | ミノ センマイ ギアラ |
ガツ |
また、レバーや心臓、肺などもホルモンの一部です。
「もつ」もホルモンと同じく内蔵のすべてを指す場合が多いですが、地域によっては大腸と小腸のみを「ホルモン」と呼ぶことがあります。(※2)
この中でもつ鍋に使われることが多いのは「白もつ」と呼ばれる、小腸や大腸など比較的臭みの少ない部分です。
ただしスーパーで手に入りやすいミックスホルモンには白もつ以外の匂いが強い部位も混ざる場合が多いため、ミックスホルモンを使う自宅で作るもつ鍋には臭みが出やすくなるのです。
またお店で食べるもつ鍋には牛モツが使われることが多いですが、スーパで売られているものは豚モツの場合があります。
豚モツは牛と比べると臭みが強い傾向があるため、豚モツを使ったもつ鍋は臭みが出やすくなりますよ。
近くに牛モツを取り扱っているお店がない場合は、通販を利用すれば牛モツを購入できます。
部位を選んで下処理もしたのにもつ鍋が臭くなった時は、ホルモンの鮮度が落ちている可能性が高いです。
鮮度が悪いと臭みが強くなる
もつ鍋の材料のホルモンはあまり日持ちしない食材で、冷蔵保存でも数日で鮮度が落ちてしまいます。
鮮度が落ちたホルモンは新鮮なときと比べると匂いが強くなり、食べられる場合でも臭みを感じやすくなります。
購入した翌日に臭みが出ることもあるため、購入後はなるべく早めに下処理してもつ鍋を作りましょう。
またホルモンの鮮度がさらに悪くなると腐ってしまい、異様な匂いがすることがあります。
冷蔵庫開けたらめちゃくそ肉の腐った臭いがしてたからなんやと思たら今日消費期限のもつ鍋の肉がやべぇ臭いしてた。
購入したスーパーに問合せしたら家まで来て対応する言うけどそこまでせんでいいわと思い店行って交換してもらうことにした。
まぁそんなこともあるわな。— ライドオンライト (@RideonLight) October 31, 2021
その場合は発酵食品のような酸っぱい匂いや、硫黄のような普段と違う匂いを感じることが多いです。
色がピンクや黒っぽく変色している場合も腐っている可能性が高く、腐ったものを食べると食中毒を引き起こす可能性があるため食べずに処分して下さい。(※3)
腐っていないホルモンならもつ鍋に出来ますが、臭いままでは美味しく食べられません。
食べられるのに捨てるのはもったいないので、工夫して臭みを消して食べきりましょう。
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臭い消しもできる!もつ鍋の臭みが気にならなくなる対処法
下処理不足や鮮度が落ちたホルモンを使ってもつ鍋が臭い時は、調味料や薬味などで工夫すると臭みを消したり目立ちにくく出来ます。
どちらの方法も臭みを取るだけでなく、もつ鍋の味をアレンジして楽しみたいときにも役立ちますよ。
まずは料理酒を使って臭みを取る方法を紹介します。
料理酒のアルコールと有機酸が臭み消しに役立つ
料理酒はアルコールの蒸発や有機酸の作用で、料理の臭み消しの効果が期待できます。(※4)
そのためもつ鍋をひとくち食べて臭みを感じた時は、大さじ一杯を目安に料理酒を加えて1~2分沸騰させ、アルコールを飛ばしてから食べてみましょう。
また有機酸の一部のクエン酸が含まれているレモンを加えても、臭み消しの効果が期待できます。(※5)
爽やかな香りも付くため、もつ鍋の風味をさっぱりさせて味を変えるためにも役立ちますよ。
そしてレモンと同じく風味に特徴のある香味野菜を加えても、臭みが気になりにくくなります。
臭みを消す香味野菜を薬味にする
もつ鍋の具材としてもともと含まれる事も多い次のような香味野菜は、特徴のある風味でホルモンの臭みを感じにくくする効果が期待できます。
- 生姜
- にんにく
- 青ネギ
出来上がったもつ鍋に具材として加える場合は追加で軽く煮込み、薬味として加える場合は取り分けたものにトッピングして食べましょう。
ネギや生姜は、ホルモンを下茹でするときの臭い消しにも役立ちます。
香味野菜が用意できない場合や匂いが強くなるのが苦手な場合は、味付けで工夫して臭みを目立ちにくくしましょう。
味付けで臭みを消す方法
もつ鍋の味付けを濃くすると調味料の風味が強くなり、ホルモンの臭み消しに役立ちます。
醤油味のもつ鍋なら醤油を、味噌味のもつ鍋なら味噌を少しずつ追加し味を濃くしてみましょう。
また醤油味のもつ鍋は味噌を追加して、以下のレシピのような味噌醤油味にアレンジするのもおすすめです。
味噌のまろやかな風味が追加されるため、ホルモンの臭みが気になりにくくなります。
臭みが残ってもつ鍋作りを失敗しないよう、下処理で臭み取りする方法も確認しておきましょう。
もつ鍋が臭くなるのを防ごう!もつの下処理などや調理法のコツ
もつ鍋に使うホルモンが新鮮であれば下処理なしでも大丈夫な場合がありますが、下処理したほうが臭みがなく美味しいもつ鍋になります。
基本的な下処理には、次のような調味料や食材を使用します。(※6)
- 塩
- 牛乳
- 小麦粉または片栗粉
家庭に常備してあることが多い物を使用するため、方法さえ知っていればすぐに実践できますよ。
まずは塩を使った下処理の方法を確認してみましょう。
もつを塩もみする下処理はぬめり落としにも役立つ
購入後のもつは、カットする前に塩をかけて揉み込み汚れを落とします。
塩を揉み込むともつ鍋の臭いの原因に繋がるぬめりを吸着し、洗い流しやすく出来ますよ。
この下処理のコツは全体に塩が行き渡るよう、しっかりと揉み込むことです。
塩が馴染んだ後は流水で、塩と汚れを一緒に洗い流しましょう。
臭みを消すためには牛乳に漬け込む方法がおすすめです。
牛乳に漬け込むと臭み消し効果が期待できる
牛乳のタンパク質や脂肪の粒子は表面積が大きく匂いを吸着しやすい働きをもっているため、ホルモンの臭み取りに活用できます。(※7)
漬け込む時間は30分~1時間ほどを目安にし、牛乳がピンク色に変わったことを確認してしっかりと洗い流しましょう。
牛乳の匂いを吸着する効果は、もつ鍋を食べた後の体臭を和らげるためにも役立つと言われています。
細かい汚れが残っていると臭みの原因になるため、小麦粉や片栗粉を使い汚れを落としきりましょう。
小麦粉や片栗粉で汚れを落としきる
小麦粉や片栗粉を使う下処理は、塩と同じように揉み込んで行います。
粉が汚れや匂いを吸着するので、揉み込んだ後は水で洗ってきれいに取り除きましょう。
汚れが残っている場合は、粉を揉み込んで洗う手順を何度か繰り返し行うと良いです。
そして、もつ鍋に入れる前のホルモンは下茹でして臭みを飛ばしましょう。
下茹でには必ず料理酒も使う
もつの下茹でを水だけで行うと、臭みが残ってしまう場合があります。
そのため下茹でするときは、臭み消しの効果が期待できる料理酒も加えて下茹でしましょう。
長時間茹で過ぎるともつが固くなってしまうため1度に茹でる時間は数分程度を目安にし、灰汁が出た場合は必ず取り除きます。
1度下茹しても臭みが残っている時は水を交換し、2~3回くり返し下茹でしましょう。
ここまで下ごしらえが終わったら、冷凍ホルモンにして後日もつ鍋に使うことも出来ます。
そして、もつ鍋に入れる前のホルモンを軽く炙ると臭みも取れてお店の味に近づきますよ。
もつを軽く炙ると美味しさもアップする
もつ鍋を更に美味しくしたい時は、下茹でまで終わったもつをグリルかガスバーナーを使い焦げ目がつくまで炙ってから煮込みましょう。
焦げ目の香ばしさが加わわり、もつの匂いも気になりにくくなるため、苦手な方でも食べやすくなります。
また、もつの余分な油も落とすことができるので、もつ鍋の味をワンランクアップさせる効果も期待できますよ。
結論|臭いもつ鍋にならないように下処理や調理法を工夫しよう
もつ鍋が臭い原因は具材のホルモンの匂いが、下処理で取りきれていなかったり傷んで匂いが強くなったりしたことと考えられます。
出来上がったもつ鍋の臭みを感じた時はネギなどの香味野菜を多めにトッピングしたり、味付けを濃くしたりすると気になりにくく出来ます。
塩や小麦粉をかけて揉み込み洗い流す下処理は、ホルモンについた臭みや汚れを取るために必ず行いましょう。
下茹でする際は水だけで行うと臭みを取り切れない可能性が高いため、料理酒や生姜などを加えるようにすると良いですよ。
名誉教授
参考資料
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※1 いつも食べているホルモンはどの部位?種類やレシピをご紹介 |DELISH KITCHEN
※2 ご存知ですか?ホルモンとモツの違い | 板前焼肉 一笑
※3 腐敗や食中毒を起こす微生物 食べ物の腐敗と食中毒|ウエノフードテクノ
※4 料理酒、上手に使えてますか?(おいしさの舞台裏)|ヤオコー
※5 「有機酸」とはなんですか?|伊藤園
※6 もつ料理に欠かせない下処理|三六(みろく)
※7 牛乳 明治の食育 おすすめレシピ|明治の食育(株式会社 明治)