【監修者:管理栄養士 南寿華】
干し柿を食べ過ぎるとタンニンの影響で体内に石ができて、胃痛や吐き気を感じるなど体に悪い影響が出ることがあります。
また食物繊維の取り過ぎで下痢になったり、唇がかゆくなる柿アレルギーになることもありますよ。
干し柿は適量なら美肌効果やメタボ対策への効果も期待でき、ビタミン類が取れる栄養価の高さも魅力ですよね。
この記事では、体にいい影響を与える栄養をしっかり補えるように、干し柿の食べ方について以下の項目を紹介します。
この記事を読むと、干し柿の食べ過ぎにならない量とは1日に何個までを目安にするべきなのかがわかります。
干し柿が大好きで気がつくと何個も食べてしまう!という方は、ぜひこの記事を参考にして健康に役立つ食べ方を実践しましょう♪
管理栄養士・栄養士
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目次
干し柿を食べ過ぎると体に悪い?病気の原因になるのか
干し柿を食べ過ぎると体に悪いという噂は本当で、豊富な食物繊維の影響で腹痛や下痢、タンニンの影響で胃痛や腸閉塞を引き起こす危険性があります。
また食べ過ぎてカロリー過多になると太る原因になるので、生活習慣病などの病気につながりますよ。
デメリットが起きる理由となる栄養成分と病気のつながりを、まずは食物繊維から確認してみましょう。
豊富な不溶性食物繊維が腹痛や下痢の原因に
干し柿に含まれる豊富な不溶性食物繊維の影響で、腸を刺激しすぎて腹痛や下痢を起こしたり、体質によっては便が固くなり逆に便秘になることもあります。(※1)
また便秘が続くと基礎代謝が落ちて痩せにくい体質になります。(※2)
さらに食べ過ぎると余分なカロリー摂取につながるので、太る原因にもなりますよ。
食べ過ぎで太るのはエネルギーを取り過ぎてしまうから
干し柿を食べて太るのは、適量を超えて食べ過ぎてしまうのが原因です。
カロリーや糖質の摂取量が増えるほど、エネルギーとして消費しきれず肥満につながってしまうのです。(※3)
肥満は高血圧や糖尿病などの生活習慣病の原因になり、心臓病や脳梗塞になってしまうことも。
また糖質を一度にたくさん取ると血糖値が急上昇するので、動脈硬化になる恐れもありますよ。(※4)
干し柿を食べ過ぎると生活習慣病のリスクだけでなく、タンニンが原因で体内に石ができてしまうこともあります。
タンニンの取り過ぎで石ができて胃痛の危険も
干し柿を食べ過ぎて石ができるのはタンニンの一種シブオールが固まることが原因で、胃痛や吐き気などの症状が現れます。(※5)
タンニンは柿の渋みの成分で体にいい影響を与えてくれるポリフェノールの一種ですが、干し柿にもタンニンはそのまま残っています。(※6)
この石が胃の中にできた場合は「柿胃石」といわれ、欠片が腸まで流れていき腸閉塞(腸イレウス)を起こしてしまうこともありますよ。
柿胃石はコーラを飲んで溶かす治し方もあるようですが、大きさによっては手術が必要です。
干し柿を食べて胃痛や吐き気がいた時は自分で対処しようとせずに、なるべく早めに病院で診察を受けましょう。
他にも、干し柿に含まれるタンパク質の影響で唇がかゆくなるアレルギー反応が起きることがあります。
アレルギー反応でかゆみを感じる事がある
干し柿を食べて喉に違和感を感じたり、蕁麻疹が出たりしたら柿アレルギーの反応を起こしている可能性が高いです。
これは柿に含まれるタンパク質の構造が花粉症のアレルゲンと似ているのが原因で、特にシラカバ花粉のアレルギーがあると症状が出やすい傾向にあります。(※7)
柿はカリウムの含有量が多いため、腎機能が低下している方が干し柿を食べ過ぎると手足のしびれや心臓の異常の症状が見られる、高カリウム血症の危険もあります。(※8)
また因果関係はわかりませんが、干し柿を食べていたら鼻血が出てしまうこともあるようです。
干し柿食べながらやってたら急に鼻血出てきて焦ったのは内緒のお話
— りゅうぽん (@ryuponz1) January 4, 2017
食べ過ぎで体調不良を引き起こさないためにも、干し柿の適量はどれくらいが良いのか確認しておきましょう。
干し柿の食べ過ぎにならない1日の適量と栄養価・メリット
間食に干し柿を食べるなら、1日に半分~2個(15~60g)を基準にしましょう。
この個数は、水分をしっかりと抜いた「ころ柿(30g程度)」を想定しています。(※9)
干し柿の中でも水分を残す製法の「あんぽ柿」は1つ40g以上になります。(※10)
少し大きめの干し柿を食べる場合は重さを量り、1日に15g~60gまでを適量と考えてください。
干し柿(1個約30g) (※11) |
生の渋抜き柿(1個約200g) (※12) |
|
---|---|---|
エネルギー | 82kcal | 118kcal |
水分 | 7.2g | 164.4g |
炭水化物 | 21.4g | 33.8g |
水溶性食物繊維 | 0.4g | 1.0g |
不溶性食物繊維 | 3.8g | 4.6g |
糖質 (炭水化物-食物繊維総量) |
17.2g | 28.2g |
カリウム | 200mg | 400mg |
ビタミンA (レチノール活性当量) |
36μg | 50μg |
ビタミンC | 1mg | 110mg |
食べ過ぎなければ食物繊維やビタミン類により体質改善や美容効果などが期待できるので、カロリーや糖質量から適量を考えてみましょう。
適量は1日何個?カロリーや糖質の摂取量を基準に考える
間食で推奨されるカロリーは200kcalなので、干し柿なら2個まで食べられますね。(※13)
また糖質を1日10gまでとするロカボの考え方に合わせると、少なめの半分がちょうど良い量になります。(※14)
ダイエット中なら糖質の過剰摂取にならないように1日半分まで、それ以外の健康な方なら1日2個までにしておけば安心して食べられそうです。
この個数は大人の適量なので、子供のおやつにするなら年齢によって調整が必要です。
子供の間食のカロリー基準は1~2歳で大人の半分ほどなので、この年齢なら1日に1個までなら食べ過ぎになりません。(※15)
ただ糖質を抑えることは集中力アップにつながるので、基本はロカボの基準に合わせて1日半分ほどにしておくのがいいでしょう。(※16)
干し柿の適量を守れば、食物繊維などの栄養成分の良い効果が期待できます。
適量を守れば腸内環境改善や二日酔い予防に最適
食物繊維は過剰摂取で下痢の原因になる可能性もありますが、適量なら善玉菌を増やし腸内環境を良くする効果が期待できます。
- 便通が良くなる
- 免疫力向上
- 美肌効果
- 痩せやすい体質に変わる
また、柿の渋み成分のシブオールはアルコールの分解を助けて二日酔い予防や、タンニンがコレステロール値を下げてメタボ対策にも役立つメリットもあります。(※18)
タンニンは悪玉コレステロールの代謝酵素を助けてコレステロール値の上昇を抑えることで、メタボの診断基準の一つ高血圧の予防に働きかけます。(※19)
この他にもビタミンAの視力低下を防ぐ効果や、ビタミンB2の皮脂の分泌を調整する効果などが期待できますが、ビタミンCは生の柿の1割以下に減るので風邪予防などの効果はあまり期待できなくなります。(※20)
干し柿を食べるときの一番のポイントは適量を意識して食べることですが、それ以外にも効果的に食べる方法があります。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
干し柿の食べ過ぎを避けて効果的に食べる方法とは
食べ過ぎを防ぐには半分に切っておくなど、小分けにするのがおすすめです。
事前に切っておいて食べる分だけ取り出せば、一度に食べる量を制限しやすくなります。
1日に切り分けたものを複数個食べる場合は、時間を開けて食べると健康にもさらに効果的です。
小分けにして食べると血糖値の上昇を抑えられる
干し柿は少量でも糖質が多いので、一気に食べると血糖値が急上昇してしまいます。
時間を開けて食べることで血糖値の急上昇を避けて、血糖値が下がる際に感じる体のだるさや急激な眠気を防ぐ効果も期待できますよ。(※21)
唇のかゆみなどを感じる柿アレルギーのある方は、温めてから食べるのも効果的です。
加熱はアレルギー対策に効果的
口腔内アレルギーを引き起こすアレルゲンは熱に弱いので、電子レンジなどで加熱後に食べましょう。
唇のかゆみなどのアレルギー反応が起こりにくくなります。(※22)
日常的に干し柿を食べるなら、大容量の商品がお得です。
まとめて購入した後は、カビが生えるのを防ぐために冷凍保存しておきましょう。
1個ずつラップで包んだ後にジップロックに入れて保存すれば、ニオイ移りを抑えて長期間保存できます。
自然解凍すれば好きなタイミングで干し柿を食べられますよ。
結論|干し柿は食べ過ぎずに適量で楽しもう
干し柿を食べ過ぎると糖質やカロリーの取り過ぎで太ってしまったり、タンニンが体内で固まって「柿胃石」ができ、胃痛や吐き気など胃に悪い影響を与えます。
タンニンは取り過ぎなければ二日酔いの防止にも役立ちますし、干し柿には腸内環境を整える食物繊維や、ビタミン類も豊富です。
間食にするなら大人は1日に半分~2個までを適量として考え、血糖値を急上昇させないように時間を開けて少しずつ食べるようにしましょう。
適量の干し柿を食べると、食物繊維による美容効果も期待できますよ。
冷凍保存すれば長期間もつので、干し柿を毎日少しずつ食べて栄養素のメリットを得られるようにしましょう。
参考資料
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※1 便秘を解消するには?便秘になりにくくなるためにできること|からだカイゼン委員会(株式会社明治)
※2 そのダイエット、便秘の原因かも!?改善に向けて実践したい10の心得|大正製薬
※3 糖質、糖類、糖分の違いは?太る理由や健康的な食べ方などを解説!|Medi Palette(株式会社ロッテ)
※4 糖質をとり過ぎると食後高血糖・肥満の原因に!食べ方のコツは?|NHK
※5 柿|医療法人社団爽治会
※6 「柿渋」が風邪・便秘に効くってホント?秋の味覚 柿に含まれるタンニンとは?|マイナビ農業
※7 シラカバ花粉症の季節はもうすぐです|北海道立衛生研究所
※8 4.カリウムを控える|医療法人社団昇陽会阿佐谷すずき診療所
※9 市田柿に含まれる成分|市田柿ブランド推進協議会
※10 あんぽ柿の加工|福島県
※11 果実類/かき/干しがき|食品成分データベース(文部科学省)
※12 果実類/かき/渋抜きがき/生|食品成分データベース(文部科学省)
※13 間食のエネルギー(カロリー)|e-ヘルスネット(厚生労働省)
※14 ロカボとは|ロカボオフィシャルサイト(一般社団法人 食・楽・健康協会)
※15 幼児期の間食に関する現状と保護者の意識|農畜産業振興機構
※16 子どもの糖質制限は何が良くて何が危ないか|東洋経済オンライン(東洋経済新聞社)
※17 腸内環境を整えるとどんなメリットが?体に嬉しい効果を徹底解説|Medi Palette(株式会社ロッテ)
※18 柿|わかさの秘密(わかさ生活)
※19 メタボリックシンドロームの診断基準は|オムロンヘルスケア
※20 それぞれのビタミンの特徴と働きは?|公益財団法人日本食肉消費総合センター
※21 日中の眠気やイライラ、空腹感…… 食後血糖値のコントロールで健康管理!知っておきたい低GI食事術。|栄養ラボ(大塚製薬)
※22 増える果物アレルギー 花粉症患者、誘発のリスク|Nikkei Style(日本経済新聞社、日経BP)