【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
うなぎは大変栄養価の高い食品ですが、食べ過ぎるとビタミンAや脂質の影響で頭痛や吐き気、下痢などを起こす可能性があります。
また、妊婦さんの場合、特に食べる量に気をつけなければなりません。
しかし適量を守って食べれば、うなぎはたんぱく質、ビタミンAをはじめとする各種ビタミンや、DHA・EPAなどバランスよく栄養素が摂れるので、健康を維持する効果が期待できる食品です。
そこで、今回は、うなぎの栄養や食べ過ぎたときの副作用などについて次の事をお伝えします。
食べ過ぎたときの注意点を確認して、栄養豊富なうなぎを美味しく食べたいですよね。
最後まで読んでいただければ、大人、子供、妊婦さんそれぞれの適量が分かり、安心して食べられます。
また、うなぎの栄養を効果的に摂る方法や食べ合わせについても紹介しますのでぜひ、参考にしてください。
管理栄養士・栄養士
目次
うなぎは栄養豊富!メリットと食べ過ぎ注意の成分
うなぎは大変栄養価の高い食品で、体に良い効果を期待できますが、食べ過ぎると下痢や頭痛などを起こす可能性があります。
土用の丑の日に食べて夏バテを防止すると言われるほど栄養豊富なので、まず、栄養素とその効果を詳しくお伝えしますね。
うなぎに含まれる豊富な栄養素とはたらきについて
うなぎはたんぱく質、ビタミンAを含むビタミン各種、DHAとEPAなど豊富な栄養素が含まれており、健康や美容効果が期待できます。
成分 | 値 |
エネルギー | 285kcal |
たんぱく質 | 23.0g |
ビタミンA | 1500μg |
ビタミンB1 | 0.75mg |
ビタミンB2 | 0.74mg |
ビタミンE | 5.0mg |
脂質 | 21.0g (DHA 1.33g EPA 0.74g 含む(※2)) |
ほかにもビタミンDやカルシウムなどの栄養素も含まれていますが、特に注目する成分とメリットを紹介しますね。
体の基礎を作るたんぱく質
たんぱく質は、骨や血、筋肉など、体の基礎となる部分を作る大切な栄養素です。
魚のたんぱく質には体の中で作れない、必須アミノ酸が豊富に含まれています。
アミノ酸のバランスがとても良いので、効率良くたんぱく質を体内に吸収できますよ。(※3)
活力源になるビタミンB1・B2
ビタミンB群は、エネルギーの代謝を活発にするはたらきがあります。
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるはたらきがあり、体に活力がつき疲れにくくなる効果が期待できます。
またビタミンB2は脂質の代謝を活発にするため、ダイエット中の強い味方になりますよ。(※4)
美容効果にビタミンE
ビタミンEは活性酸素から体を守る作用があり、お肌の健康を守り若々しさを保つ美容効果が期待できます。(※5)
美味しいうなぎを食べて翌朝のお肌の調子が違っていたら、嬉しいですよね!
血液サラサラ効果のDHA・EPA
DHAやEPAは脂質の中の不飽和脂肪酸で、血液をサラサラにして中性脂肪を減らす効果や、心臓病の予防効果も期待できます。(※6)
目や肌の健康を守るビタミンA
ビタミンAは目や肌の健康を守り、粘膜にはたらきかけて細菌から体を守る効果が期待されます。(※7)
ビタミンAは、うなぎ100g中に1500μgと特に豊富に含まれている栄養素です。
これは、成人の1日の摂取目安(650~900μg)の1.5倍以上に相当します。(※8)
このように、うなぎには健康や美容効果が期待できる栄養素がたくさん含まれていますが、ビタミンAや脂質を摂り過ぎると頭痛や下痢などの症状がおきることもあるので、詳しく説明していきますね。
うなぎの食べ過ぎによる悪影響|デメリットとなる栄養成分は
うなぎを食べ過ぎると、ビタミンAや脂質の影響で、頭痛や下痢の症状をおこすことがあります。
そこで、うなぎの食べ過ぎの影響で考えられる副作用を見ていきましょう。
ビタミンAの過剰摂取は頭痛や吐き気などの症状が
うなぎに豊富に含まれるビタミンAは脂溶性のため、摂り過ぎると体の中に蓄積され、過剰症を起こすことがあります。(※9)
— kemmel_straight (@ima_dai) September 17, 2019
うなぎを食べて、頭痛がおきてしまったようですね。
過剰症になると、頭痛や吐き気、皮ふや粘膜が剥がれる、疲労や骨の障害などが起こる可能性があります。
ビタミンA以外にも、脂質の過剰摂取で体に悪影響をあたえる事もあります。
脂質の摂り過ぎで消化不良から下痢になることも
うなぎは脂質が多いため、消化に悪い食品であり、食べ過ぎると消化不良をおこしがちです。(※11)
消化不良をおこすと、腸を刺激してぜん動運動が活発になり、下痢になる可能性があります。(※12)
加齢のせいなのか?
霜降りの肉や大トロを身体が受け付けなくなった。゚(゚`ω´ ゚)゚。
今日、うなぎを食べたら胃もたれと下痢になる始末…。゚(゚`ω´ ゚)゚。— のどごし (@oshigoto2000) June 12, 2021
うなぎを消化しきれず、胃もたれと下痢を引き起こして辛そうですね。
そのほか、うなぎの食べ過ぎの症状で、鼻血が出ると聞いたことはありませんか?真相はどうなのか確認してみました。
うなぎの食べ過ぎで鼻血は出る?
「うなぎを食べ過ぎると鼻血が出る」とのウワサがあるようですが、原因は外傷と乾燥によるもので、因果関係はありませんので安心してくださいね。
このようにうなぎは栄養豊富な反面、食べ過ぎると体に悪い影響をあたえる可能性もあることが分かりました。
日本人はうなぎが大好きなので、毎日食べるとどうなるのか気になりますよね。
そこで、うなぎの適量はどれくらいか調べてみました。
うなぎの食べ過ぎにならない適量は?効果的な食べ方も解説
うなぎを食べ過ぎて体調に影響が出ないと思われる適量は、1日80g(約1串)程度です。
なぜこの量が適切なのか、また子供や妊婦さんの場合や効果的な食べ方なども紹介していきますね。
うなぎの1日の適量はビタミンAと脂質量を参考に
うなぎを食べ過ぎたときに悪影響が出ると考えられる成分、ビタミンAと脂質の量から推測して、大人の1日の適量は約80g(小さめのうなぎ1串)程度と考えられます。
1日あたりビタミンAの 摂取上限 |
摂取量に対する うなぎの量 |
||
---|---|---|---|
大人 | 成人 | 2700μg | 180g(約1.8串) |
子供 | 0~2歳 | 600μg | 40g(約0.5串) |
3~5歳 | 700μg | 46g(約0.5串) | |
6~7歳 | 900μg | 60g(約0.7串) | |
8~9歳 | 1200μg | 80g(約1串) | |
10~11歳 | 1500μg | 100g(約1.2串) |
※うなぎ1串=80gで計算 ※子供は量の注意が必要な小学生までを掲載 うなぎは100gあたりのビタミンAが1500μgなので、単純に計算すると大人は約1.8串になりますが、ほかの食品からも摂取することを考慮しなければなりません。
また、脂質の1日あたり摂取量目安は、総エネルギーの20~30%(約330g~840g)と言われています。(※15)
脂質は、料理油やスナック菓子など目に見えないところでたくさん摂っているので、脂の多い魚を健康的に食べるには、1回80g程度を目安にすると良いと言われています。(※16)
総合的に考えると、1日80g(小さめのうなぎ1串)を適量にすると良いでしょう。
大人は約1人前を食べても問題ないことがわかりましたが、子供の場合はどうなのか確認しておきましょう。
子供の1日の適量は?
子供の場合、1日の適量は年齢によって変わり、0歳から小学生までで40g~80g、大人の半分量から同量までと考えると良いでしょう。
詳しくは上記の表を確認のうえ、食べさせるようにしてくださいね。
子供のほか、量に注意が必要なのは妊婦さんです。
妊婦さんはうなぎの量は控えめに
妊婦さんの場合、ビタミンAを摂りすぎるとお腹の赤ちゃんに先天的な異常がおこる可能性もあるため食べる量は控えめにしましょう。
特に妊娠初期は赤ちゃんを作る大切な時期なので食べ過ぎは危険です。
健康体の人の約半分の量、40~50g(約1/2串)を目安にすると良いです。(※18)
適量が分かったところで、うなぎの効果的な食べ方や食べ合わせについて紹介しますね。
うなぎの効果的な食べ方と食べ合わせ
栄養豊富なうなぎですが、ビタミンCや食物繊維が含まれていないので、野菜サラダや果物、おひたしなどを一緒に食べるとバランスよく栄養が摂れ、効果的な食事となりますよ。
なお、うなぎと梅干しは食べ合わせが悪いという話もありますが、これはどうやら迷信のようです。
医学的な根拠はありませんので、気にせずに食べてくださいね!
うなぎは、スーパーで購入できますが、本格的なうなぎを通販で購入することもできますよ。
本場、浜名湖のうなぎを夕飯に出したら、家族の笑顔が食卓に輝くでしょうね。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
結論|うなぎは食べ過ぎに注意して美味しく食べよう
うなぎはたんぱく質やビタミン、DHA・EPAなど、健康維持や美容に良い効果が期待できる栄養素が豊富に含まれています。
しかし、食べ過ぎるとビタミンA過剰症による頭痛や吐き気、脂質の摂り過ぎで下痢になる可能性もあります。
大人の1日の適量は80g、子供は年齢によって40~80g、妊婦さんは40~50g程度食べれば心配はいりません。
バランス良く食べるために、野菜も一緒に摂るようにして、美味しいうなぎを食べて元気をつけてくださいね!
参考資料
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※1 うなぎ/かば焼き | 食品成分データベース
※2 うなぎ ~四季を感じる食~ | 日本成人病予防協会
※3 はじめよう!健康的なお魚たんぱく生活 | 紀文
※4 ビタミンB群の働き、多く含まれる食品を紹介 | MORINAGA
※5 シワやたるみ、肥満とバイバイ!?美味しく食べる「若返りの栄養素」ビタミンE | glico
※6 DHA+EPA 青魚パワーから生まれたサラサラ成分 | みつばち健康科学研究所
※7 ビタミンA | 栄養成分百科/glico
※8 日本人の食事摂取基準 /ビタミン | glico
※9 ビタミン過剰症 | 病院検索のここカラダ
※10 うなぎ/きも | 食品成分データベース
※11 消化がよい食品・料理は? | 東京都病院経営本部
※12 知っているようで知らない下痢のお話 | トメダインコーワ
※13 鼻血がよく出る・止まらない原因は病気?病院に行ったほうがよい鼻血とは | Medical Note
※14 ビタミンAの働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット
※15 日本人の食事摂取基準/三大栄養素 | glico
※16 脂質の摂りかた~「見えないあぶら」に注意しましょう~ | 加古川総合保健センター
※17 「家族何人分?をまとめました」 | 川口水産
※18 妊婦は鰻を控え目にするべき?理由はビタミンAにあり | elevit
※19 うなぎと梅干し | 梅の月向農園