【監修者:管理栄養士 中村明美】
海苔にはたんぱく質などの栄養成分が多く、ビタミンやミネラルなどもバランスよく含まれた栄養価の高い食材です。
しかし、食べ過ぎると食物繊維やヨウ素などの影響で、腹痛や吐き気などの症状が起こる可能性もあります。
適量を守っていれば体調不良を引き起こす心配もないので、1日何枚くらいを目安に食べるべきか知っておくと安心ですよね。
この記事では海苔を毎日食べたい!と思っている方に知っておいてほしい以下の内容を紹介します。
味付け海苔をおやつ代わりにして食べ過ぎてしまい、気づいた時には体調が悪くなっていたという方も少なくないですよね。
毎日食べるならどれくらいを限度にするべきか把握するには、海苔に含まれる栄養成分の特徴をしっかり知ることが大切です。
この記事を読むと、焼き海苔などを毎日の食生活に活かしながら体調管理にも役立てられるので、ぜひ参考にしてください。
管理栄養士・栄養士
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目次
海苔の栄養とメリット・食べ過ぎに注意したい成分
海苔は健康な血液作りに欠かせないビタミンB12など、健康維持に役立つ栄養成分が含まれている食材です。
その一方で、過剰摂取で体調不良を引き起こす可能性がある栄養成分も含まれているので食べ過ぎに注意しなければいけません。
まずは、海苔に含まれる主な栄養成分と含有量を確認してみましょう。
栄養成分 | 焼き海苔 (あまのり) (※1) |
---|---|
エネルギー | 9 kcal |
たんぱく質 | 1.2 g |
食物繊維 | 1.1 g |
βカロテン | 810 μg |
ビタミンB12 | 1.7 μg |
★ 葉酸 | 57 μg |
★ ヨウ素 | 63 μg |
EPA (n-3系脂肪酸) | 0.03g * |
タウリン | 36.6 mg * |
★印は耐容上限量が定められている成分、 * (※2)
日本で一般的に購入できる焼き海苔や味付け海苔によく使われるのが「あまのり」です。
ごま油や塩で味付けしている韓国海苔によく使われるのが「岩のり」で、強い香りや食感が特徴です。
コレステロール低下などが期待できるEPA(イコサペンタエン酸)や、タウリンも含まれており、生活習慣病予防に役立つ食材として注目されています。(※3)
海苔の栄養成分のうち約3分の1がたんぱく質で、100gあたりのアミノ酸含有量がトップクラス、さらに人間が体内で生成できない9種類の必須アミノ酸をすべて含んでいる栄養価の高い食品です。(※4)
さらに3分の1を占める食物繊維も100gあたりの含有量は他の食品と比べてもトップクラスを誇ります。
腸内環境を整える栄養成分の食物繊維の含有量が多い
海苔に含まれている食物繊維は、水に溶けやすい水溶性食物繊維がほとんどです。
水溶性食物繊維は血糖値やコレステロール値を下げるはたらきが期待でき、生活習慣病予防にも役立つ健康維持に欠かせない栄養成分です。
また、腸内で分解されると善玉菌のエサになって腸内環境を整えることから、体の内側からキレイになれるメリットもあります。(※5)
しかし過剰摂取は禁物で、体調不良を引き起こすおそれもあるので注意が必要です。
他にも美容や健康に役立つ豊富なビタミン類を含んでいます。
健康維持に欠かせない栄養成分のビタミンが豊富
海苔は「海の野菜」とも呼ばれているように、βカロテンや、ビタミンB12、葉酸などのビタミンがバランスよく含まれます。(※6)
ビタミンB12の含有量がとても多く、1日に必要とされている推奨量を焼き海苔だけで補えるほどですよ♪
ビタミンとの相互関係で体調管理に欠かせないミネラルも豊富に含まれています。
不足しがちなミネラル補給に最適!
海苔には、体の機能調節に欠かせないカリウムやマグネシウムなど、さまざまなミネラルが含まれています。
ミネラルの中でも含有量が多いのはヨウ素(ヨード)で、甲状腺ホルモンの主成分として基礎代謝や脂質代謝など代謝機能に役立ち、成長を促すはたらきがあります。
ヨウ素も健康維持に欠かせない栄養素ですが、過剰摂取によるデメリットがあり耐容上限量も定められている成分なので注意が必要です。
このように、海苔には体に良い栄養成分がバランス良く含まれていますが、食べ過ぎると腹痛などのデメリットを引き起こす成分についても確認しておきましょう。
海苔の食べ過ぎで腹痛などの原因になる栄養成分と症状
海苔の食べ過ぎで何らかの体調不良を引き起こす可能性があるのは、豊富に含まれる栄養成分が関係しています。
たとえば、腹痛や下痢などの症状が起こるのは、含有量が多い食物繊維やカリウムなどの影響が考えられます。
食べ過ぎるとどうなるのかは、体質によっても変わるので全ての人に同じ影響が出るとは限らない面もあるので対処法も変わってきます。
まずは、海苔の食べ過ぎによる症状で起こりやすい消化不良について確認してみましょう。
腹痛や吐き気の消化器症状は食物繊維などの影響
海苔を食べ過ぎて起こる症状は、腹痛や胃痛、吐き気で気持ち悪いなど消化不良と思われる事例が多いです。
ある芸能人もダイエット目的で毎日海苔を食べた結果、同様の症状に苦しんでいたようです。
お腹空いたなぁ。
誤魔化す為に、味海苔をパリパリ食べてます。
でも、食べ過ぎ注意ですね。
確か、ニッチェの江上さんが海苔食べ過ぎで吐き気と下痢になったとか言ってた様な…— 星と虹 (@kooritabetai) August 29, 2020
もともと下痢をしがちな人が水溶性食物繊維を多く含む海苔を食べ過ぎると、腸内でガスが発生して刺激となり、症状が悪化しやすくなります。(※8)
さらに、生まれもった体質も関係していると考えられます。
海苔を分解できる腸内細菌は日本人の腸内には存在しているのに対し、外国人の腸内には存在しないため消化不良を起こしやすい点にも注意が必要です。(※9)
また、カリウムの含有量が比較的多いため、腎臓機能が低下している人が食べ過ぎると高カリウム血症になることがあり、吐き気や嘔吐などの消化器症状が起こる可能性もあります。(※10)
消化器症状の中でも便秘が続く場合は、ヨウ素の過剰摂取による甲状腺機能低下も考えられます。
便秘など甲状腺機能低下症は過剰なヨウ素が原因に
海苔に含まれているヨウ素は、過剰摂取により甲状腺機能低下のおそれがあるとして耐容上限量が定められています。
甲状腺機能低下の症状は便秘や体重増加、むくみ、疲労感など初期では異変に気づきにくい場合もありますが、不妊や意識障害などにもつながるので注意しましょう。(※11)
日本人は遺伝的にヨウ素の過剰摂取による甲状腺機能低下症が起こりにくいと言われていますが、体調不良を感じた場合は医師に相談してください。(※12)
さらにヨウ素は、アレルギー症状を引き起こす可能性もあります。
アレルギー症状による下痢の可能性も
海苔を食べてかゆみやじんましんなどの症状が現れた場合は、ヨウ素アレルギーの可能性もあります。(※13)
海苔は小さなエビやカニなどの甲殻類が生息する場所で育つため、甲殻類アレルギーがある方も注意が必要です。
とくに味付け海苔には味付けのためにエビが使われている場合があるので、材料表示をよく確認しましょう。(※14)
味付け海苔にえびエキスが入ってた。久しぶりにアレルギーが出て辛い。
身体中が痒い。お腹痛い。下痢する。— sonorich (@sonorich) May 14, 2021
この方のように、アレルギー症状はかゆみだけでなく、腹痛や下痢を伴う場合があります。
1枚あたりのカロリーが少ないから大丈夫!と思い込んで食べ過ぎると、糖分・塩分・脂肪分の過剰摂取になり太る可能性があるので注意したいですね。
体調を崩さず太らないようにするには、適量を守ることが大切です!
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
海苔の食べ過ぎにならない適量は1日何枚?おすすめの食べ方は
海苔は「1日2枚で医者いらず」と言われているように、1日の適量は2枚がおすすめです。
1日2枚食べていれば、以下のようにしっかり栄養成分を補給できるからです。
焼き海苔 2枚(6g)あたり ※ |
成人 男 / 女 推奨量・目標量 (※15) |
推奨量・目標量 の割合 |
|
---|---|---|---|
ビタミンA (μg) レチノール活性当量 |
138 | 800~900 / 650~700 | 約1~2割 |
ビタミンB12(μg) | 3.4 | 2.4 | 充足! |
葉酸(μg) | 114 | 240 | 約半分 |
ヨウ素(μg) | 126 | 130 | ほぼ充足! |
食物繊維(g) | 2.2 | 21以上 / 18以上 | 約1割 |
なお、子供の適量に関しては大人よりも少なく考えてください。
1~2歳:50μg
3~5歳:60μg
6~7歳:75μg
8~9歳:90μg
10~11歳:110μg
12~17歳:140μg
18歳以上:130μg
離乳食で海苔を食べられる7ヶ月頃からはごく少量の8分の1枚程度から使いましょう。(※17)
幼児期の1~2歳以降は1日半枚を目安にして、成長に応じて多くても1日2枚までにしておきましょう。
適量をしっかり守り、必要な栄養を効率よく補給するには調理法や食材との相性を工夫しましょう。
海苔に多いβカロテンを効率よく補える料理のコツ
海苔に多く含まれるβカロテンは脂溶性ビタミンなので、油を使う調理法や、良質な脂質が多い食材と組み合わせるのがおすすめです。(※18)
良質な脂質が多い卵と、βカロテンの多い海苔の相性は抜群です!
風味豊かな生海苔は春によく出回りますが、冷凍品なら通年で購入しやすいですよ。
結論|海苔は食べ過ぎに注意して適量を食べよう
海苔の栄養成分はたんぱく質と食物繊維がそれぞれ3分の1を占め、残りの3分の1にビタミンやミネラルなどがバランスよく含まれています。
豊富に含まれる水溶性食物繊維やヨウ素の影響で腹痛や吐き気などの症状が起こりうるので、食べ過ぎには十分注意してください。
焼き海苔なら1日2枚でビタミンB12などの栄養成分をしっかり補給できます。
βカロテンを効率よく補給できる油を使った料理で、適量を守りながら毎日の食生活に活用しましょう!
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 あまのり/焼きのり 日本食品標準成分表2020年版|食品成分データベース 文部科学省
※2 海苔の栄養 うんちく|山本海苔店
※3 海苔は栄養たっぷり|ちばのり 千葉海苔問屋協同組合
※4 あまのり/焼きのり アミノ酸-たんぱく質1g 日本食品標準成分表2020年版|食品成分データベース 文部科学省
※5 食物繊維の働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
※6 それぞれのビタミンの特徴と働きは?|公益財団法人 日本食肉消費総合センター
※7 葉酸|栄養成分ナビゲーター グリコ
※8 便秘と下痢の話|おおかど胃腸科クリニック
※9 日本人に特有の腸内細菌があるってほんと?|健康道場 SUNSTAR
※10 カリウム ─栄養素から見た腎臓〜|ADPKD.JP
※11 甲状腺機能低下症|一般社団法人 日本内分泌学会
※12 ヨウ素とは|北光記念病院
※13 ヨード過敏症|日本赤十字社
※14白子のり N味朝食香4P|株式会社白子
※15 日本人の食事摂取基準(2020年版より)|栄養成分ナビゲーター グリコ
※16 微量元素の働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
※17 のり 離乳食のための調理ポイント|子育て123 パルシステム
※18 にんじんなど緑黄色野菜のβ-カロテンを効率良く吸収するには?|カゴメ