【監修者:管理栄養士 中山沙折】
ぶどうを食べ過ぎると、糖分の摂り過ぎによる腹痛や下痢、吐き気などの胃腸症状や太るなど、体に悪い影響が出ることがあります。
ぶどうは体にいい栄養素が詰まって甘みも濃い果物で、上手に摂ればメリットも多く、ダイエット中や糖尿病の方の間食としてもおすすめです。
そこで、ぶどうを食べ過ぎて体調を崩す原因を探り、食べ過ぎにならない摂取量の目安がどのくらいなのかなど、次の項目を調べました。
ぶどうは品種によって粒の大きさや食べ方が違うため、シャインマスカットや巨峰などの代表的な種類ごとに、1日何粒が適量なのかも考えてみました。
この記事を読んでいただくと、ぶどうに含まれる栄養素やメリット、食べ過ぎた時に体調を崩す原因や1日の適量がわかりますよ。
「果物は夜食べない方が良い」といわれる理由もご紹介しています。
それでは、まずぶどうの食べ過ぎで体に悪影響が表れる原因から、ご一緒に見ていきましょう。
管理栄養士・栄養士
目次
ぶどうの食べ過ぎは下痢・腹痛などの原因になる?
ぶどうは夏から秋にかけてが旬ですが、つい食べ過ぎて、気持ち悪い状態になったりお腹の調子を崩したという方も。
その原因は、実はぶどうの甘味成分である糖分、特に果糖を摂り過ぎてしまうからです。
ぶどうの主成分は、ブドウ糖や果糖で糖分が多く含まれているのが特徴です。(※1)
とくに果糖を摂り過ぎると下痢や腹痛などを引き起こす原因を確認してみましょう。
食べ過ぎで下痢や腹痛を起こす原因
ぶどうの食べ過ぎで下痢や腹痛が起こるのは、実はぶどうに多く含まれる果糖の摂り過ぎや、皮が原因です。
実際に辛い経験をした方の口コミを覗いてみました。
今朝起きたら胃痛。多分ぶどうの食べ過ぎ。
昨日1キロ以上食べた( ̄▽ ̄;)
自業自得とはまさにこれ。— 春ひな🐈🐈 (@springsunspot) September 21, 2019
翌日まで胃痛…苦しそうです。ぶどう1kgは大粒の巨峰やシャインマスカットの大きめのもので1房以上あり、一度に食べてしまうと確かに多い気がします。
今朝またぶどうを食べ過ぎトイレにこもる私…
そんな憐れむような目で見ないでーっ💦 pic.twitter.com/jF3LT1IfbH— さくらこ (@Sakurako_0530) December 19, 2018
わんちゃんも心配そうですね…。このように、ぶどうを食べ過ぎると腹痛や下痢などの体に悪い症状が表れることがあります。
ぶどうの食べ過ぎで、ブドウ糖と果糖が一度に多量に体に入ったことがひとつの原因です。
ブドウ糖と違い、果糖は小腸で吸収しにくく、過剰になると一部が大腸に流れ込みます。
通常は大腸までは糖が届かないはずなので、糖の濃度を薄めるために腸管内に水を放出し、便が柔らかくなり過ぎて下痢を起こすのです。(※2)
果糖の摂り過ぎは血糖値のコントロールにも良くありません。果糖は小腸で吸収されると肝臓に入り、一部がブドウ糖に作り変えられて血糖値を上げることがわかっています。(※3)
その点からも、果糖を一度に摂り過ぎるのは体に良くありません。
シャインマスカットや巨峰は特に糖分が多いので、食べ過ぎには気をつけたいですね。
また、シャインマスカットは皮も一緒に食べられる品種ですが、ポリフェノールが多く摂れることから、巨峰などの皮が硬い品種でも丸ごと食べる方が増えています。
しかし、皮が厚い品種の場合は、一度に多く食べ過ぎると消化不良を起こし、腹痛や下痢の原因に。(※4)
厚い皮のぶどうを丸ごと食べる時は、ミキサーやジューサーなどで皮の食物繊維を切る調理法がおすすめですよ。
胃腸症状などの他にも、ぶどうを食べて起こる心配な悪影響があるので、ご紹介しますね。
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デメリットは他にも!症状例をチェック
胃腸症状などの他にも、気になるぶどうによる体へのデメリットがあるのでご紹介しますね。
ぶどうは食物アレルギーの一種、口腔アレルギーを起こすことがあり、口や舌、喉などにかゆみやひりひり感が出たり、腫れたりという症状が表れます。(※5)
その場合はぶどうを食べた後、たとえ食べ過ぎていなくても、目や肌にもかゆみや腫れ、じんましんが出たり、くしゃみや鼻水、頭痛、下痢や腹痛などのアレルギー症状が出ることが…。
花粉症の人も、特定の野菜や果物でこのような症状が現れることがあるので注意しましょう。
ぶどうを食べて起こる下痢や腹痛などの悪影響について解説しましたが、ぶどうに多く含まれる糖分により、食べ過ぎは太る原因にも…。
そこで、ダイエット中の方にもぜひ注目していただきたい、ぶどうの食べ過ぎで太る理由を詳しくご紹介します。
ぶどうの食べ過ぎは太る?夜食や寝る前はNGの理由
糖分が多いぶどうを食べると、太るのが心配ですよね。ぶどうの食べ過ぎで太る理由や夜食べるのがNGな訳を解説しましょう。
摂取カロリーからの適量とは
ぶどうに多い果糖は小腸で吸収されると肝臓へ送られ、過剰な分は中性脂肪に合成されるため、ぶどうを食べ過ぎると高中性脂肪血症や肥満の原因になります。(※6)
ぶどうは食べやすく、ついつい摘まんでしまう人も多いので食べ過ぎないように注意です。
厚生労働省による健康指針の「健康日本21」では、近年果物の摂取量が不足していることから、健康のために果物を1日200g以上摂ることを目標にしています。(※7)
次の表で、ぶどうを含め代表的な果物の100gあたりの目安量と栄養価をご紹介しますね。
果物の種類 | 目安量 | 摂取カロリー(kcal) |
---|---|---|
ぶどう | 大6粒 | 59 |
りんご | 1/2個 | 61 |
バナナ | 1本 | 86 |
キウイ | 1個 | 53 |
ぶどうは100gで59kcalなので、200g食べると118kcalになります。(※8)
また、太らないためには、摂取カロリーが消費カロリーを上回らないことが大切です。
果物はおかずの食材にも使われますが、食後や間食に食べることが多いので、間食の一部として摂取カロリーからも適量を考えてみましょう。
間食は健康維持のためには1日200kcal以内にするのが好ましいとされています。(※9)
もし、間食200kcalを全てぶどうで食べると、巨峰を1房(約400g)食べてしまうことに…。
間食には気分転換のためや生活に潤いを与えるという意味もありますが、3度の食事で摂れない栄養素を補う目的から、1日の栄養バランスも考えて選ぶのが理想的です。
間食の一部はたんぱく質とカルシウムの摂れる牛乳やヨーグルトにしたり、ビタミンの豊富なナッツ類を合わせたりしてもよいですね。
ただし、糖尿病の方の場合、果物は1日80kcal(キロカロリー)の摂取を安心できる目安量とすることが多いので、かかりつけ医の指示に従うことをおすすめします。(※10)
ぶどうを食べて太らないためには、適量を守ることの他、食べ方を工夫することも大切です。気をつけたいポイントをご紹介しましょう。
ダイエット中の方にも!ぶどうの太りにくい食べ方は?
昔から「朝の果物は金」と言われ、果物は朝食べる方が良いとされます。
それは、果物の糖分がエネルギーに変わりやすいため、活動する機会の多い朝に食べるとすぐにエネルギー補給ができて効率が良いからです。
活動の無い夜間に果物を食べると、エネルギーとして使われない糖分が脂肪に合成され、体に蓄えられてしまいます。
ぶどうは糖分が多いため、夜食や寝る前に食べると太りやすいのです。食べるタイミングは、朝から昼間がおすすめですよ。
たんぱく質や脂質がほとんど含まれないため、体温も上がりにくいうえ空腹感を感じやすくなり、ダイエットにも逆効果です。(※11)
ここで、ぶどうの糖分を上手に利用したおすすめの食べ方をご紹介します。
ローソンの冷凍ぶどう
ダイエット中特にオススメしたい
皮ごと食べれるし、凍らせたままだとアイスっぽい感じ、解凍するとぷちっと超絶うまいぶどう、甘みも強め、お酒に入れてもいいし炭酸に入れてもうまいし1袋に結構入ってて77カロリー神か??????? pic.twitter.com/2RhguRLduH— 。♡。りまもてゃん。♡。. (@IvLovetan14) July 19, 2019
いろいろアレンジできておいしそうです!
手軽に皮ごと食べられる冷凍ぶどうは、皮の食物繊維も摂れ、摂取カロリーも他のスイーツに比べれば低く抑えられるので、ダイエット中のおやつにもおすすめです。
ぶどうを1粒ずつ外して保存袋などに入れ、自家製冷凍ぶどうにしておくと、いつでも1粒単位ですぐ食べられ、少量でも満足感があるので食べ過ぎも防げます。
それでは、ぶどうの適量をもう少し詳しく、1日何粒くらいまでが良いか見ていきましょう。
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ぶどうが食べ過ぎにならないのは1日何粒?適量を解説
1日に食べて良い果物の量から、ぶどうの適量が何粒になるかを考えてみましょう。
毎日食べるならぶどうは1日何粒?
ぶどうを毎日食べる時の食べ過ぎにならない1日量は、巨峰などの大粒品種で1日10~13粒です。
ぶどうの果肉部分100gは59kcal。巨峰1粒は約15gで、皮を取ると12.75gになり、摂取カロリーは約7.5kcalなので、10粒で約80kcalです。
13粒(約100kcal)で皮つきで195gなので、果物の目標摂取量200gをほぼ達成します。
しかし、ぶどうは種類によって房や粒の大きさがかなり違うので、ぶどうの品種例と目安量を表にしました。
品種 | ||||
---|---|---|---|---|
大粒 | 中粒 | 小粒 | ||
巨峰 | シャインマスカット | マスカット | デラウェア | |
1房の重さ (g) |
300~400 | 600 | 350 | 100~200 |
1房の摂取カロリー (kcal) |
150~200 | 384 | 175 | 50~100 |
100gの目安量 | 1/3~1/4房 | 1/6房 | 1/3房弱 | 1/2~1房 |
1粒の重さ (g) |
15 | 13~15 | 5~10 | 1~2 |
1粒の摂取カロリー (kcal) |
7.5 | 7.7~8.9 | 2.5~5 | 0.5~1 |
糖度が高く香りも豊かなシャインマスカットは、皮ごと食べられる大粒種。果肉は噛み切りやすくて皮も薄いので食べやすいですよね。
高価過ぎないことでも人気で、贈答用などには1kg以上の大房もあるので注意しましょう。また、巨峰にも800g以上の大房もあります。
成人のぶどうの適量を見てきましたが、次に妊婦さんや子供の場合についても解説しますね。
妊娠中や子供の場合はどれくらい?
妊娠中や子供の場合のぶどうの適量を順に解説しましょう。
妊婦さんの場合
「妊産婦のための食事バランスガイド」によると、果物は妊娠中期からは1単位増やして1日に3SV(サービング:食事の提供量の単位)を摂ることがすすめられています。(※12)
果物の1SVは100gなので、妊娠初期は200g、中期から授乳期までは1.5倍の300gが目標摂取量です。
全てぶどうで摂るなら妊娠初期は大粒で1日10~13粒(80~100kcal)、中期からは15~20粒(113~150kcal)が目安量となります。
体重管理もしっかりしていきましょう。
子供の場合
子供は6歳以上の学童期になると、果物は成人と同じ200gを目標量としますが、5歳以下の乳幼児の場合は年齢や体格によって調節が必要です。(※13)
5歳以下の乳幼児の、果物の1日摂取量の目安とぶどうにした場合の量を年齢別に表にしました。ぶどうは大粒の1粒15gの場合です。
年齢(月齢) | 果物の1日摂取目安量(g) | ぶどう(大粒)の場合の目安量 |
---|---|---|
12~18か月 | 野菜と合わせて40~50 | 1~2個 |
~2歳 | 100 | 6個 |
3~5歳 | 150 | 10個 |
離乳食では野菜とともに果物も少しずつ慣らしますが、果物は甘くて子供が好むため、偏らないように野菜の比率を大きくすることがポイントです。(※14)
ぶどうのデメリットや1日の適量を見てきましたが、食べ過ぎないようにすれば、ぶどうには体に嬉しいメリットがいろいろあります!
最後に、ぶどうのメリットをご紹介しましょう。
ぶどうの食べ過ぎに注意したときの嬉しいメリット
ぶどうにはさまざまな健康に良いはたらきをする成分が含まれ、食べ過ぎないように注意して適量を摂れば、体に嬉しいメリットが多い食材です。
ぶどうにはどんな体にいい効果が期待できるのか見ていきましょう。
ぶどうには他の果物と同じように、水分と糖分のほか、ビタミンC、カリウム、鉄分、食物繊維といった栄養素が多く摂れ、次のようなはたらきが期待できます。
- ブドウ糖:脳のはたらきを活性化し体の疲労回復に役立つ
- ビタミンC:粘膜や皮膚を健康に保ち免疫力を上げる
- カリウム:ナトリウムの排出を促し血圧を正常に保つ
- 鉄分:貧血予防
- 食物繊維:便秘予防や整腸作用
ここから、ぶどうだからこその嬉しいメリットを見ていきましょう。
ぶどうの栄養は皮にもあります!近年注目のポリフェノール類は、ぶどうの果肉だけでなく種や皮にも多く含まれ、肌に関係する効果も期待されていますよ。(※15)
がん・老化・動脈硬化の予防に役立つ
ぶどうに多く含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、がんや老化、動脈硬化などを予防するはたらきが注目されています。
赤ワインの人気が高い理由のひとつですね。
目・肌の健康や美容にも良い
ブルーベリーに多く含まれることで知られるポリフェノールの一種、アントシアニンは、赤ぶどうの皮にも多く含まれます。
アントシアニンには抗酸化作用の他、目の機能を回復させるはたらきが期待されているんです。
その他、ぶどうに含まれるポリフェノールは、肌の健康に良く、アンチエイジングなどの美容に役立つはたらきでも注目が集まっていますよ。
結論|ぶどうは食べ過ぎに注意して適量を守ろう
甘くておいしいぶどうは糖分を多く含み、食べ過ぎると下痢や腹痛を起こしたり太る原因になってしまいます。
とはいえ、適量摂るなら体に嬉しい栄養成分を豊富に含んでいるので、ぜひ食べたい果物です。
食べる量だけでなく食べる時間帯やタイミングにも気をつければ、栄養成分のはたらきで、太りたくない方にもダイエット中の方にもむしろ味方になってくれますよ。
そんなぶどうの食べ過ぎを防ぐ1日の適量は大人で10~13粒が目安です。
栄養豊富なぶどうを上手に食べて、おいしさとメリットを味わってくださいね。
参考資料
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※1 すこやかネット・果物パワー|NIPRO
※2 ためしてガッテンヒストリー・ユルいおなかの真犯人!下痢ピンチ解決SP|NHK
※3 果実に関するデマ①-果糖摂取は血糖値を少ししか上げない?|むらもとクリニック
※4 秩父でぶどう狩り・一粒一粒に凝縮!ぶどうの美容と健康パワー!|秩父観光農園大塚ぶどう園
※5 口腔アレルギー症候群のおはなし|バイエル薬品株式会社
※6 e-ヘルスネット・果物の栄養素と果糖の栄養について|厚生労働省
※7 果実の1日の摂取目標「200g」とは | 農林水産省
※8 食品データベース・日本食品成分表(2015版七訂)より・果実類・ぶどう・生|文部科学省
※9 e-ヘルスネット・間食のエネルギー(カロリー)|厚生労働省
※10 糖尿病通信・果糖と糖尿病|柏戸病院
※11 意外と知らない!ダイエット中にNGな果物の食べ方とは|DIAMOND online
※12 妊産婦のための食事バランスガイド|厚生労働省
※13 幼児食の基本|おでかけひろばSHIP
※14 わこちゃんカフェ・離乳食・進め方の目安|和光堂
※15 ぶどうポリフェノールライフ・#3ぶどうはポリフェノールたっぷり|アサヒ飲料