【監修者:管理栄養士 中山沙折】
にんにくが緑や青に変色する場合がありますが、毒性はなくカビでもないので食べらます。
なぜならば、にんにくが緑色になる原因は成分が酸化することによって起こり、身体には害のない自然現象だからです。
にんにくは丸ごと、漬けたもの、スライス、すりおろしなど、用途に合わせて調理できますが、変色はにんにく成分の問題なのでどの形態でも起こり得ることなのです。
また、中心の部分だけが緑色になった場合も、芽が養分を吸収し成長した新芽なので、変色同様食べることができます。
この記事では、にんにくの変色の原因と変色を防ぐ方法などを調べたことを下記の内容でまとめています。
にんにくの皮を剥いたり、すりおろした時に緑になってしまうと、食べられるのか心配になりますよね。
でも、この記事を読めば、にんにくが緑色になる原因が分かるので安心して食べられるようになります。
また、冷凍や加熱などいくつかの変色防止の方法も紹介するので、変色した青いにんにくで悩むことがなくなりますよ。
管理栄養士・栄養士
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目次
にんにくが緑色になる原因!変色してもOK?
にんにくが緑に変色する原因は、成分が酸化して起こる自然現象なので、身体には害はなく安心して食べられます。
では、ここからにんにくが緑色になる原因と、青色や茶色になった場合は食べられるのかを紹介します。
変色の原因は酸化!食べられます
にんにくが緑や青に変色するのは、たいていが酸化による自然現象、または日光に当たって変色しただけなので食べられます。
では、具体的にどんなことが起きて変色してしまうのかを紹介していきますね。
自然現象の場合
にんにくが緑色になる原因は、冒頭でもお伝えしたように自然現象によるものです。
にんにくすりおろし、すごい綺麗な緑。これでなんか良い料理作れそう。 pic.twitter.com/FRQ6nCV5Zx
— ito ayaka🎈 (@ajaaaja1) May 16, 2019
にんにくには、ニオイのもとになっているアリインという成分があります。アリインは下記のように変化していき、にんにくが緑色になります。
- アリインが刺激を受ける(すりおろす・刻むなど)とアリシンに変化
- さらにアリシンは時間が経つとアルキルサルフド化合物に変化
- アルキルサルファイド化合物が空気に触れて酸化が進む
- 酸化が進んだアルキルサルファイド化合物とにんにくの鉄分が反応
- にんにくが青や緑色になる
成分の変化を見ていただくと、成分が変化しているだけで途中でカビや毒が発生して青や緑色になっているわけではありませんよね。
なんだか難しい言葉が出てきましたが、アリシンやアルキルサルファイド化合物は、ニオイや辛味の成分が変化しただけなので食べても問題はありません。(※1)
また、にんにくの疲労回復や食欲増進(※2)など、にんにく本来のはたらきにも変化はありません。(※3)
にんにく本来の味はもちろん、栄養価も損なうことなく安心して食べられますよ!
ただ、すりおろしたり、刻んだりしていないにんにくが緑・白・茶色・黒などに変色が起きている場合は、カビの可能性があります。
下記の記事では、にんにくのカビの見分け方や腐るとどうなるかを詳しく紹介しているので、合わせてご覧ください。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
また、国産と中国産のにんにくで変色に違いがあるのかも気になったので、調べてみると下記のような実験結果がありました。
名古屋市消費者センターで国産と中国産のにんにくを焼酎に漬けたところ、どちらも青くなるという調査結果が出ています。青色の濃さなどに差が出ましたが、産地の違いや土壌内の鉄分量の違いが原因とのことでした。(※4)
国産・中国産どちらのにんにくも青色になるのは産地は関係なく、自然現象になるので問題なく食べられるということになります。
ここまでは、にんにくをすりつぶしたりして刺激を与えると、変色することが分かりました。
でも、刺激を加えず皮を剥いただけなのに変色している場合は原因が違うので、次の章で紹介していきますね。
日光による変色
にんにくが緑色になる原因として刺激を与えた時とは別に、収穫したときに日光にあたっている箇所が緑になることもあります。
にんにくが日光にあたってしまい緑になる原因は2つあります。
- 収穫前に、にんにくが土から出てしまっていた時
- 乾燥させるときに直射日光が当たってしまった時
にんにくを家庭で栽培して収穫したときや購入したときに、にんにくの表面が緑色になっている場合は上記の理由が考えられます。
農業のコンサルティングを行っている会社でも、にんにくが緑色に変色しないよう直射日光に当てないようにするという注意事項(※5)がありました。
ちなみに、私は皮を剥いて緑色になっているにんにくを見て、まだ食べられないのかなと思いましたが、特に問題なく食べることができました。
ただ、ジャンボにんにくは、緑色になると苦いことや辛さを感じることもあるので、食べるときにはなるべく白い部分だけを食べるようにするのがおすすめです。(※6)
ラーメン店のにんにく
家庭で調理する以外でも、外食した時、特にラーメン店ではすりおろしたにんにくが緑色になっている場合もあります。
にんにくが緑色になっている場合は、すりおろしたときに酸化しておこる自然現象なので、ちょっと驚いてしまいますが食べても問題ありません。
また、家系ラーメン総本山の吉村家や、直系の杉田家などでは、テーブルににんにくが置いてありますが、下記のように濃い緑色になっています。
家系ラーメンには、
豆板醤ニンニク生姜がかかせませんが、
吉村家直系の店舗だと、
「行者ニンニク」が置いてあります!緑のにんにく、
ついついドバドバ入れたくなる🍜(行者ニンニクは北海道がメインなので、にしなかさんが詳しいはずです〜✌️)#ラジオ沖縄 #ball864 pic.twitter.com/IEuEVldFi0
— 📻 ちばっち。 (@Chiba_cChi864) February 7, 2020
吉村家などでは、にんにくのような香りがするニラに近い野菜の行者にんにくを使用しているため緑色になっており、酸化しているわけではありません。
ラーメン店のにんにくが緑色の場合は自然現象か、吉村家のように行者にんにくを使っているためです!
にんにくが緑色に変色する原因として、にんにくの成分が刺激を受けることによる自然現象と日光に当たると変色する2種類がありました。
とはいえ、にんにくは緑や青に変化するだけでなく、赤や紫、茶色などにも変色する場合もあります。
緑や青以外に変色しても、にんにくは食べられるのか次の章でまとめてありますので、合わせてご覧ください。
緑・青・茶など…変色はさまざま
にんにくは、緑・青・茶色や赤紫やピンクなど様々な色に変色する時もありますがが、状態によって問題がある場合と無い場合があります。
下記の一覧に、にんにくの変色する色と原因をまとめましたので、ご覧ください。
色 | 原因 | 食べられるか |
---|---|---|
緑・青 | 酸化によるもの | 食べられる |
赤・紫 | 品種によるもの | 食べられる |
茶色 | 腐食の可能性あり | 食べるのを控える |
にんにくの変色は青や緑が多く、原因はにんにく成分が酸化して起こる自然現象になりますが、明らかにカビが発生している場合は食べるのを控えてください。
また、上海早生(シャンハイワセ)は、赤や紫に変色しやすい品種なので食べても問題はありません。(※7)
ただ、酸っぱいニオイや異臭がする時は、変色はでなく傷んでいる可能性があるので、食べるのを控えたほうがいいです。
そして、茶色に変色している、ニオイに異常があったり、触るとブヨブヨしたりぬめりがある場合は傷んでいる可能性が高いので、食べるのは控えましょう。
にんにくが傷んでいる場合は、ニオイや触った感触に異常が出るのでしっかり確認しましょう。
さて、にんにくの変色について紹介してきましたが、にんにくの変色はどんな形態でも起こり得ることなんでしょうか。
次の章では、丸ごとやすりおろし、醤油などに漬けた場合など形態によって違いがあるのか紹介していきます。
丸ごと・すりおろし|どんな形態でも変色の可能性あり
にんにくは、丸ごと・スライス・すりおろし・醤油漬け・酢漬けなど、どんな形態でも起こります。
丸ごとの場合は、日光に当たってしまったり傷がついてにんにくの成分と鉄分が反応して変色します。スライスやすりおろしの場合も同様です。
また、にんにく醤油(醤油漬け)や酢漬けを作って変色した場合にも、にんにくの成分と鉄分が調味料と反応したことで起こる自然現象になります。
にんにくの酢漬けがかなり青い、成長の証。 pic.twitter.com/mzyimDRRxw
— ぞのの(ホルモンフィッシュ) (@zono_west) May 17, 2018
なので、にんにくがどんな形態で緑色や青色に変色した場合でも、安全性に問題はなく食べることができます。
また、にんにくの醤油漬けや酢漬けが変色してしまった場合は、漬け込む時間を長くすると改善することができます。
- にんにく醤油漬けの場合→醤油の賞味期限まで
- にんにく酢漬けの場合→1年間
長く漬けることで、にんにくの醤油漬けは緑色から黒っぽい色に、酢漬けは緑色から琥珀色に変わっていきます。
もし、にんにくを漬けている時に変色してしまった場合は、漬ける時間を長くするのがおすすめですよ!
にんにくの変色はどんな形態でも起こり、どれも自然現象なので問題はありません。
でも、にんにくを切った時に全体ではなく、中心だけが緑色に変色している場合もあるかと思います。
にんにくの中心が緑色になっている場合は食べても問題ないのか、次の章で詳しく紹介していきます。
にんにくの中心が緑に変色した場合
結論からお伝えすると、にんにくの中心・真ん中の部分が緑色に変色していても食べられます。
なぜなら、にんにくの中心が緑になっているのは、芽が養分を吸収し成長した新芽なので毒性はないからです。
画像のように、にんにくの先端をから芽が出る原因は、にんにくを収穫した時期によるもので、9月以降に収穫されたものは常温で保存すると芽が出ることがあるそうです。(※8)
また、にんにくの芽は苦味があること、炒めると焦げやすいことから、料理番組などでは取り外すことをすすめているので、苦手な場合は食べないほうがいいかと思います。
ただ、にんにくの新芽を「スプラウト」として、素揚げしたり、アヒージョにしたりして食べるレシピも紹介されていました。
にんにくの芽も美味しく食べれるので、捨てるのがもったいない場合は調理して食べてみてはいかがでしょうか。
さて、ここまでにんにくの変色と新芽について紹介してきましたが、そもそも変色しないようにする方法が分かれば問題ありませんよね。
次の章では、にんにくが緑色に変色しないための方法を紹介しているので、ぜひお読みいただければと思います。
にんにくが緑色に変色しないために
にんにくが緑色に変色しないための方法として、おろし金の種類・早く食べる・冷凍保存・加熱する、この4つの方法があります。
おろし金の種類と早く食べる方法は、にんにくが緑になる自然現象を抑える効果、冷凍保存と加熱は、緑になる自然現象に変化を加えて変色させないようにする方法です。
それでは、それぞれどのようにすればいいのか詳しく紹介していきますね。
【予防】鉄のおろし金を使わない
にんにくを販売している会社では、にんにくをすりおろす時に鉄のおろし金のを使うと変色するので、セラミックや陶器、プラスチックのおろし金を使うほうが良いと紹介されていました。
鉄のおろし金とセラミックなどのおろし金で、にんにくをすりおろして変色の違いを調査した実験結果などは見つかりませんでした。
ただ、鉄製の器具を使うと鉄分に変化が起こることもあります。たとえば、ひじきの下処理を鉄製の鍋で行ったら、ステンレス製の9倍以上の鉄分が含まれていたという調査結果があります。(※9)
このように調理に使った素材によって鉄分量が変わる事例があるので、にんにくを鉄のおろし金ですりおろすと変色の可能性が高まるということが言えるのではないでしょうか。
なので、にんにくの変色を抑えるためにも、セラミックや陶器、プラスチックのおろし金を使用するのがいいでしょう。
【予防】長時間放置しない
にんにくのすりおろしを長時間放置する、また冷蔵保存すると緑色に変色するので、早めに食べるのがおすすめです。
立川保健所がすりおろしたにんにくが変色したと苦情を受け調査したところ、室温で5時間放置すると青緑色に変色したという結果が出ています。(※10)
また、愛知県衛生研究所でもすりおろしたにんにくが変色したとの苦情を受け、1夜冷蔵保存したところ緑色に変色したとのことでした。(※11)
上記の調査から、すりおろしたにんにくが変色する原因は2点になります。
- 長時間放置する
- 冷蔵保存する
なので、にんにくをすりおろした場合は早めに食べる、使い切れる分だけすりおろすなど、調理後の工夫によって変色を防ぐようにするといいでしょう。
【予防】冷凍保存する
にんにくの変色を防ぐため、すぐに使わない場合は冷凍保存するのがおすすめです。
なぜならば、冷凍保存することで腐食や劣化を抑えられるので、変色を防ぐこともできるからです。
私も国産のにんにくを皮ごと冷凍保存していて、乳白色ではなく黄色っぽい色にはなりますが、スライスしてもすりおろしても緑色には変色せずに使えています。
では、どのように冷凍保存すればいいのか、皮付きの場合、カット(みじん切り・薄切り・すりおろし)の場合について、それぞれ解説していきます。
にんにくを皮付きで冷凍保存する場合
にんにくを皮付きのまま冷凍保存すると、風味を守ってくれながら変色を防いでくれるので、おすすめの方法になります。
皮付きのまま冷凍する場合は、下記の工程で行って下さい。
- にんにくをバラバラにする
- 2~3個ずつラップで包む
- 冷凍保存可能な保存袋に入れ冷凍庫に保存
ただ、にんにくは酸化に弱いので、冷凍保存する場合はできるだけ密閉させるようにするといいでしょう。
ちなみに、保存期間は6ヶ月と非常に長く保存できるというメリットもあります。
また、にんにくを皮付きのまま冷凍しても、根本の部分をカットして1分位水につけるとツルンと皮が剥けます。
なので、皮を剥いてから冷凍するより、皮付きのままの冷凍したほうが風味もキープできるのでおすすめの方法になっています。
カット(みじん切り・薄切り・すりおろし)して冷凍する場合
にんにくは、みじん切り・薄切り・すりおろしなどカットしてある状態でも冷凍保存は可能です。
皮付きのままに比べると風味は飛んでしまいますが、カット済みのにんにくなら時短というメリットがあります。
なので、にんにくをすぐに調理に使いたい、使う用途が決まっている場合などは、下記の方法で冷凍保存してください。
- にんにくをカット(みじん切り・スライス・すりおろし)する
- 1回で使える量に分けてラップで包む
- 冷凍保存可能な保存袋に入れて冷凍庫に保存
ただ、冷凍保存の期間は2週間と皮付きのものと比べるとかなり短くなるので、カットして冷凍保存する場合は早めに使い切るようにしましょう。
【対処】加熱する
にんにくを加熱する方法に関しては予防ではなく対処方法になりますが、にんにくを加熱すると色が戻ります。
にんにくを加熱して焼いたらどうなるかというと、にんにくを変色させるアリシンという成分が加熱することで減少します。
また、にんにくの加熱方法ですが、アリシンは油と一緒に炒めると分解されにくい成分なので(※12)、フライパンで炒めてから使用するのがおすすめです。
そして、にんにくの酢漬けを作るときも、にんにくを一度加熱してから酢漬けにすると変色を防止できます。
にんにくの酢漬けを作る時に、変色させたくない場合はレンジや湯通してから使ってみてくださいね。
ただ、にんにくを加熱せずに変色を防ぎたい場合は、にんにくにレモン汁を入れる方法もあります。
レモンはにんにくの成分が酸化するのを抑える働きがあるので、あくまでも変色を遅らせるだけになりますが、短時間で使う場合はレモン汁を入れる変色を防げます。
結論|にんにくが緑色になるのは酸化なので食べてOK
にんにくが緑色になる原因はにんにくの成分が酸化して起こる自然現象、またにんにくの中心が緑になるのはにんにくの芽であり毒はないこと。
以上の2点から、にんにくが変色しても問題なく食べられるという結論になりました。
また、にんにくが緑色に変色を防ぐ方法として、おろし金は鉄製以外のものを使う、カットしたら早めに食べる、冷凍保存する、加熱してから食べる、4つを紹介しました。
にんにくの変色は自然現象になりますが、変色してほしくない場合は変色を防ぐ方法を試してみてくださいね。
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 よくある質問|全国農業協同組合連合会 青森県支部
※2 にんにくの効果|ニプロ株式会社
※3 よくある質問|株式会社ピーシーピー
※4 製品に関する苦情・相談事例|名古屋市消費生活センター
※5 にんにくの栽培|株式会社秀農業経営コンサルタント
※6 商品情報>ジャンボにんにくについて|アールアイコンピュータシステム(有)
※7 にんにくの皮が紫色でした|生協の宅配パルシステム
※8 にんにく栽培のすすめ|株式会社サンフレッシュ
※9 鉄分の王様だったひじき|関西福祉科学大学
※10 平成4年度食品衛生関係苦情処理集計表|東京衛生局生活環境部食品保険課
※11 色に関する食品苦情事例の再現 詳細|愛知県衛生研究所
※12 [ニンニク]保存方法と料理に使うときのコツ|カゴメ