【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
小学生になった我が家の子供は、最近料理をしたがります。そこで扱いやすいしめじを、バターソテーにしてもらいました。
「出来上がり!」と皿に乗せてくれたものの、ほぼ生…。何となく不安になり、ブーイングを受けながらも再加熱して、美味しく頂きました。
「きのこ類は生食できない」というイメージがありますが、実は根拠を知りません。本当は生で食べられるのでしょうか?
しめじが生で食べられるのかを、詳しく調査してみました!
- しめじを生・生焼けで食べると危険!腹痛など食中毒の症状が…その理由とは?
- 新鮮なしめじの選び方と安全な食べ方
- しめじの美味しさを引き出したい!SNSなどで人気のしめじレシピを紹介
- しめじの賞味期限はどれくらい?日持ちを長くする保存方法が知りたい!
しめじは、加熱しすぎるとクタっとなってしまいますよね。私は「食感を残したいから、料理の最後に軽く加熱するだけ」という場合もあります。
また、1年中手ごろな値段で手に入るしめじを、普段は何気なく買って・料理している方も多いのではないでしょうか?
下ごしらえや加熱時間なども交えながら、しめじに関する正しい知識をご紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみて下さい!
管理栄養士・栄養士
目次
しめじは生で食べると危険!新鮮でも生食がダメな理由とは?
私が「きのこは生食できない」というイメージを持っているのは、下記のような話を聞いたことがあるからです。
-
- しいたけが原因で皮膚炎が起きることがある
- えのきに「フラムトキシン」という赤血球を破壊する毒が含まれている
「しめじにも何か明確に生で食べられない理由があるだろう」と思って調べ始めました。ところが、「しめじを生食できない理由」はハッキリしませんでした。
「理由は不明だけど生食はダメ」と明記している文献があったので、簡単にご紹介します。
- きのこは生で食べると全部毒。理由はわかっていない
- 生焼け・生煮えも危ない
- 少量のきのこでも、生で食べてしまったら腹痛など食中毒の症状で苦しむ危険性がある
- 生のぶなしめじ・しいたけ・エリンギなどを触っただけでアレルギー症状が出る事例もある
モダンメディアという医学系情報誌に、2018年9月に掲載された文献です。
きのこ類は体の外側で消化をします。体の外側にさまざまな消化酵素を持っていて、中でもたんぱく質を分解するための酵素が、人に対して毒性があることがわかっています。
*「消化酵素」とは栄養を吸収するための物質です。先ほどお話ししたえのきの「フラムトキシン」も、たんぱく質を分解するための酵素です。
しめじが生食できない理由 結論!
- しめじを含むキノコ類を食べるときは、たんぱく質を分解するための酵素を壊して食べるのが安全
- たんぱく質を壊す方法は、加熱が有効!
たんぱく質がたくさん含まれているお肉を煮込んだときに、「たんぱく質が壊れて柔らかくなる」のをイメージするとわかりやすいですね。
インターネット上には下記のような情報がたくさんありますが、信じないで下さい。
- 新鮮なきのこなら生で食べるのはOK
- きのこを生食できないのはO型の人だけ など
赤ちゃん・子供さん・妊婦さんなどは普段から食べるものに気を使うと思いますが、健康な方も生で食べた場合は危険です!
人間だけではなく犬などのペットにも、生のしめじを食べさせないで下さいね。
毒キノコにも要注意!
山歩きなどで見つけたきのこを食べるのも、やめましょう!
気持悪い見た目のきのこだけが、毒きのこだとは限りません!
しめじに似たクサウラベニタケのように、地味な見た目で味も美味しいのに有毒なものがあります。
毒キノコを生で食べると、加熱しても吐き気・嘔吐・下痢などの症状が出て、最悪は死亡する事例も起こっています。
しめじを生で食べる危険性をご紹介してきました。新鮮でも生食はダメでしたね。
次に、しめじを食べて体調を壊さないための下ごしらえから食べ方までをご紹介します。新鮮なしめじを選んで、安全に・美味しく食べましょう!
しめじの選び方や鮮度の見分け方!下ごしらえの方法も解説
「露店の八百屋さんで安いしめじを買って、開封するとプ~ンと嫌な臭い…。変色もあって傷んでいた」という経験が、私にはあります。
新鮮で状態の良いしめじを買うところから、食中毒の危険性をなくす食べ方までを、ご一緒にチェックしましょう!
生のしめじはどこを見て選ぶ?目利き術を紹介
スーパーや八百屋さんでよく見かける「ぶなしめじ」は、「人工栽培だから、1年中品質が安定している」と思っていました。
でも先ほどもお話ししたように、お店によっては古いしめじを売っている場合もあります!
新鮮で美味しい生のしめじの見分け方を、チェックして頂きたい順にご紹介するので、ぜひしめじコーナーの前で立ち止まって、じっくり選んでみて下さい!
- パックの内側に水滴がついていない
- 全体がギュッとしまっていてハリがある(石づきがほぐれているしめじは古い)
- かさが小ぶりで開いていない。色が適度な茶色
- 軸が太くて短い。石づきまで変色していない
しめじの選び方で最初にチェックするのは、パック内の水滴でしたね。
しめじは収穫されてからも生き続けて呼吸をしているため、パック内に水滴がついているのは下記のような理由です。カビが出る原因にもなるので、選ばないでください!
- たくさん呼吸をした=古い
- 適温で保存されていなかった=傷むのが早い
生のしめじの洗い方から茹で時間まで 下ごしらえを解説
生のぶなしめじは「水に溶ける」・「火に弱い」などの性質がある栄養も含んでいるので、栄養素を損なわないように上手に下処理&調理をしたいですよね。
下ごしらえのポイント!
私は「生のしめじの洗い方は、石づきを取ってから?取る前?」と疑問だったのですが、実はなるべく洗わないのが正解です!
- 菌糸・石づきのくず・黒いよごれなどは拭き取る
- 使うまで石づきをカットしない(使い切れない分は石づきごと保存)
*菌糸とカビの見分けが難しいのですが、菌糸の特徴は密集していることです。カビはしめじを覆うように、フワっとつきます。
調理時のポイント!
しめじは必ず火を通して食べる必要がありますが、火を通しすぎると、食感が悪くなる点が悩みです。どれくらい加熱すればいいかなど、ポイントはこちらです!
- 加熱時間は2分ほどが目安(茹でる・炒めるどちらも)
- レンジ調理をする場合の加熱時間は、1分~2分が目安(しめじの量によります)
- 茹でる・煮る料理は、水から入れてゆっくり加熱
ぶなしめじなどのきのこ類の生産・販売で有名なホクトのHPによると、きのこ類の旨味が染み出るのは60~70℃とのことです。
*60℃は熱いけど触れる程度の温度です。
きのこ類のダシをいかした料理を作りたいときは、60~70℃での茹で時間が長く続くように、茹で方を調整すると良いですね!
ちなみに、きのこ類はそれぞれに独自の旨みがあるので、何種類かのきのこを合わせると風味豊かになります。
しめじの下ごしらえと食べ方がわかったので、次に美味しいレシピも知りたいですよね!簡単だけど美味しい、しめじレシピをご紹介します。
しめじの美味しい食べ方!人気の調理法やアレンジレシピを紹介
ぶなしめじはクセが少ないきのこなので、常備しておけば色々な料理に使えますよね。レシピサイトなどで人気のレシピを、いくつかご紹介します。
サラダやピクルス
火を通したしめじとお好みの食材を合わせるだけで、サラダやピクルス出来上がりです。野菜だけではなく、蒸し鶏なども合いますよ♪
ピクルスにする場合はピクルス液を手作りできますが、下記のような商品を活用すると、さらに簡単です!
きのこ味噌
しめじなどお好みのきのこ類を、味噌味を中心に甘辛く味付けをして炒めます。
味付けは【味噌10:酒1:みりん1:しょうゆ1】を目安にして、お好みで生姜や鷹の爪も加えてみて下さい。
きのこ味噌をたくさん作っておくと、つくねに混ぜる・ハンバーグソースにしてバターを乗せるなど、アレンジレシピでも活用できるので便利です!
フリッター
冷蔵庫に少しだけ余っているお肉や野菜と組み合わせて、フリッターにしてみて下さい!夕飯やお弁当のおかず用に作り置きするだけではなく、おつまみにも最高です。
フリッターの見た目は天ぷらに似ていますが、天ぷらよりも軽い食感が魅力です。
フリッターのレシピは、下記のとおりです。
- 卵を卵白と卵黄に分ける
- 卵白をメレンゲ(ツノが立つくらいまで混ぜた状態)にして置いておく
- 薄力粉と卵黄を混ぜて、牛乳でなめらかになるまでのばす
- (1)と(2)を混ぜる
- しめじなどお好みの具をからませて揚げる
メレンゲを作るのが面倒なときは、こんな商品もあります。スーパーでも手に入るので、ぜひチェックしてみて下さい。
しめじ以外のきのこ類には「合わない料理」がありますが、しめじは、合わない料理を見つけるのが難しいくらい、さまざまな味付け・食材とマッチします。
ぜひ、さまざまな料理にしめじを活用してみて下さい!
最後に、しめじの日持ちや保存方法を確認しましょう。
先ほどもお話ししたように、しめじは呼吸をし続けています。買ってきたパックのまま冷蔵庫に入れると、劣化が早くなってしまいます!
しめじの日持ちや賞味期限は?長持ちする保存方法も教えます!
しめじを長持ちさせるには、呼吸が少なくなるような保存環境に置くのがポイントです。
生のしめじは通常どれくらい日持ちするのかを確認して、なるべく長持ちさせる保存方法もご紹介します。
生のしめじには賞味期限が無い!日持ちはどれくらい?
スーパーなどで売っているしめじのパックを見ても、賞味期限が書かれていません。
しめじに賞味期限表示が無い理由
生のしめじに賞味期限が書かれていないのは、食品表示法できのこ類に賞味期限表示が義務付けられていないためです。
きのこ類だけではなく、野菜や果物にも賞味期限表示がないですよね。
賞味期限が無い食品は、日持ちの目安を知っておいて、自分で食べられるかどうかを判断する必要がありますね!
生のしめじの日持ちは、下記のとおりです。
- 常温:気温によって1日~2日
- 冷蔵庫:5日ほど
- 冷凍庫:1ヶ月ほど
温度が高い場所では呼吸が多くなって日持ちしないので、常温保存はおすすめできません。特に「真夏の車内に放置」など極端に悪い環境に置いた場合は、傷みやすくなるのでご注意下さい。
冷蔵庫や冷凍庫で保存する場合も、正しく保存しないと早く劣化させてしまう可能性があります。正しい保存方法を、ご一緒に確認しましょう!
生のしめじが美味しく長持ち!保存方法
しめじは、買ってきたらすぐにパックから出して保存すると長持ちします。少し面倒ですが、新鮮な状態が長持ちするので、ぜひお試し下さい。
冷蔵庫での保存方法
- 買ってきたらパックを開封する
- 石づきごとキッチンペーパーに包む
- 密閉できる保存袋(ジップロックなど)に入れる
- 空気を抜いて密閉
- 野菜室で保存
使い切れなくて余った分も、石づきを取らずに保存します。石づきをカットすると、断面から乾燥&酸化して劣化するのでご注意下さい。
冷凍庫での保存方法
- 石づきをカットする
- 1回使う分ずつに分けて、ジップロックに入れる
- 空気を抜いて密閉する
- 保存袋ごと新聞紙に包む
- 冷凍庫で保存
*完全に凍ったら、新聞紙を外してOKです。
新聞紙に包むのは、ゆっくり凍らせるためです。ゆっくり凍らせることで、しめじに含まれる水分が大きな氷の粒になり、細胞を破壊してくれます。
細胞が破壊されたしめじからは旨味や栄養が出やすくなるので、より強く旨味を出したい場合は、一度冷凍させるのも良いですね♪
干ししめじもOK!
生のしめじを長期保存する方法として、「乾燥させる」という手もあります。
完全に乾燥したしめじなら、ビンなどで密閉して保存すれば3週間~1ヶ月ほど日持ちしますし、旨味と栄養が凝縮したしめじを味わえます。
天気の良い日に、ザルなどに乗せて天日干ししてもいいのですが、下記のような道具を使うと便利ですよ!
まとめ
生のしめじが生食できない理由から、正しく保存して安全に食べる方法までをご紹介してきました。
ポイントをまとめてみます!
- しめじが生食できない理由(毒素)はハッキリしないが、少量でも生食すると食中毒の症状が出る危険性がある
- 生のしめじは必ずしっかり加熱する!生焼けなどにも注意
- 新鮮なしめじを選ぶための最初のチェックポイントは、パックの内側の水滴
- 生のしめじはなるべく洗わず、水からゆっくり加熱するのが美味しさを引き出すポイント
- しめじはクセが少ないので、さまざまな料理に使える
- しめじは常温保存できない。長期保存したい場合は冷凍or乾燥がおすすめ
しめじが生食できない理由を詳しく調査したことで、きのこ類がまだまだ研究途中の食品だとわかりました。
「きのこ採りの経験が豊富な方でも、有毒きのこが見分けられない場合がある」という情報もあったので、くれぐれも自己判断で野生のきのこを食べないで下さいね。
しめじは水からゆっくり加熱することで美味しさが最大限に引き出されると知ったので、これからの料理では「サッと加熱して生焼け・生煮えで食べてしまう」という危険性は減ったと思います。
今回ご紹介した情報を参考に、安全性はもちろん、本来の美味しさを味わうことも重視しながら、しめじを食べていきましょう!