【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
先日、久しぶりに実家で料理をしたときに酢が賞味期限切れになっていることに気づきました。
母は開封後の酢を冷蔵庫に入れていたのですが、賞味期限が切れても大丈夫なのでしょうか?
今回は、酢の賞味期限について詳しく調べてみます!
- 酢は賞味期限が切れても大丈夫?
- 未開封と開封後の酢はいつまで使えるの?
- 黒酢やりんご酢は賞味期限が切れても大丈夫なの?
- 酢の正しい保存方法と酢にできる白い膜の正体!
- 古くなった酢を有効活用する方法
改めて実家の台所を見ると、未開封の調味料がたくさんストックしてあります。
掃除がてら、賞味期限チェックをしてみることにしました。
すると、未開封で賞味期限切れのミツカン酢がさらに1つストックしてある上に、レモン酢まで出てきました!
”酢は強い酸性だから腐らない”と母は言いますが、賞味期限が切れているものを放っておくわけにもいきません。
賞味期限切れの酢を食べ続けて大丈夫なのかどうかを、しっかり確認したいと思います!
管理栄養士・栄養士
目次
酢は賞味期限切れても大丈夫?未開封や開封後はいつまで使えるの?
酢は、保存食品を作るときにもよく使われますよね。
酢の味(強烈な酸っぱさ)が強い酸性であることを証明しています。
【強い酸性=賞味期限が切れても大丈夫】という理由になるのでしょうか?
賞味期限切れの酢は捨てるべき?捨てなくてOK?
酢の製造メーカーのホームページを調べると、こんな内容をいくつも見つけることができました。
酢の主成分は酢酸で、強い酸性。
腐敗しないが、保存状態によっては酸化で品質が劣化することはある。
腐ることがないのなら、なぜ酢に賞味期限が書かれているのでしょうか?
市販の酢の賞味期限を調べると、一般的には2年以内となっています。
食品産業センターのホームページには、こんなことが記載されていました。
食酢は微生物による品質変化は少ないが、色、香り、味などは経時的に劣化することから、風味(色、香り、味)の変化や濁り及び沈殿物の発生等を賞味期限の目安とする。
酢の賞味期限を決めるときの基準は、腐るかどうかではなく、風味や見た目が変化する目安の期限なんですね!
賞味期限とは農林水産省のホームページを見ると、未開封で正しい保存方法を守ったときの期限で、主に腐りにくい食品に表示されるとのことです。
ここまでの情報を総合して、”酢は、賞味期限が切れてもすぐに腐るわけではないので、賞味期限が切れても大丈夫なことがある”とわかりました。
賞味期限後、どれくらいの期間食べても大丈夫かを調べましたが、「責任を持って〇日は大丈夫!」という確実な情報はありませんでした。
酢に限らず全ての食品は、保存方法や保存環境によって、食べても大丈夫な期間が左右されます。
後ほどご紹介する保存方法を守って、賞味期限が切れた場合には、酢の状態をよく確認してから食べるようにしてくださいね。
酢は未開封と開封後で使える期間は変わるの?
酢の製造販売で有名なミツカンのホームページにこんな情報を見つけました。
Q.お酢の開封後はどれくらいもちますか?
A.保存状況により一概には言えませんが、賞味期限内であれば、穀物酢や米酢を冷暗所で保管された場合は、開栓後約半年以内にお使い下さい。冷蔵庫であれば1年が目安です。
また、純玄米黒酢や純リンゴ酢は、冷暗所で開封後約3ヶ月以内、冷蔵庫で半年以内を目安にお使いください。
開封後は冷暗所で保管するよりも、冷蔵庫で保管した方が日持ちするようですね!
慎重な私は、「未開封の酢を賞味期限ギリギリに開封したらどうなるの!?」という疑問が湧きます。
そんなときでも、先ほどもご紹介した通り、劣化は避けられないものの食べられる可能性はあります!
見た目や味を確認しながら、食べるようにしてくださいね。
次に、料理によく使う普通の酢以外の、黒酢やりんご酢の賞味期限切れについても、確認してみます。
黒酢やりんご酢の賞味期限は?期限が切れても問題ないの?
黒酢やりんご酢のような果実酢の賞味期限を調べると、1年程が一般的です。
普通の酢と同じく、賞味期限が切れてすぐに腐るわけではありませんが、品質は落ちていきます。
黒酢と普通の酢の違いは何?
実は、黒酢も『穀物酢』や『米酢』として売られている穀物酢の一種です。
黒酢と普通の酢の違い
材料
黒酢は精米する前の穀物の玄米、普通の酢は精米を使っている
作り方
普通の酢は4ヶ月程で完成するが、黒酢は1~3年間熟成させて完成する
味
黒酢は、普通の酢よりもまろやかでコクがあり、色も黒い
黒酢も含めて、酢には”腐る”という概念はなくて、永遠に発酵し続けて変化していきます。
発酵の段階で、人間が”美味しくない”と感じる期限が、賞味期限だということになります。
賞味期限が切れたら食べられないというわけではありませんが、保存方法や保存環境などによって黒酢の状態は変わります。
黒酢も、賞味期限が切れたら、見た目の状態や味をよく確認してから食べるようにしてくださいね。
りんご酢などの果実酢も賞味期限が切れても大丈夫?
りんご酢やレモン酢のような果実酢も、賞味期限が過ぎてもすぐに腐るわけではありません。
市販の果実酢には、食品が腐る原因の1つのたんぱく質がほとんど含まれていないのが一般的です。
普通の酢や黒酢と同じく、賞味期限が過ぎると品質は劣化しますが、見た目の状態や味を確認した上で、食べられる可能性はあります。
見た目や味を確認するときに大切なのは、自分の五感です。
実際は食べられる状態だったとしても、”「何となく気持ち悪い」と思いながら食べると、具合が悪くなる”なんてこともあると思います。
ご自分の五感を信じて、少しでも”嫌だ””気持ち悪い”と感じたときは、食べないようにして下さいね。
注意:調理酢は賞味期限を守るのがベスト!
ポン酢などの調理酢は、酢以外のものが混ざっています。
純粋な酢と違って腐る可能性がありますので、賞味期限を守って食べることをおすすめします。
酢が賞味期限切れでも食べられるかどうかは、保存方法や保存環境に左右されるということがわかりましたね。
酢の正しい保存方法を確認しましょう!
酢の正しい保存方法とは?白い膜ができたけど腐っているの?
私は常温に酢を置いていますが、母は冷蔵庫に入れています。皆様は酢をどこに保存しているでしょうか?
ちなみに、我が家の酢に記載されている保存方法はこちらです。
「直射日光を避け、常温で保存」と書かれていますね。
酢の製造販売で有名な、ミツカンのホームページで確認してみました。
Q.お酢はどうやって保管したらよいですか?
A.直射日光を避けて、冷暗所で保存してください。
夏場など、気温が高い時期は冷蔵庫での保存をおすすめします。
先ほど開封後の賞味期限について触れましたが、冷暗所で保管するよりも冷蔵庫で保管した方が日持ちするのは、酢の酸化が関係しています。
酸化は、”熱や光を遮ることで進行を抑えることができる”という意味で、冷蔵庫での保存がおすすめされていて、開封後の日持ちも長くなるようです。
酢にできる白い膜の正体は!?
酢にできる白い膜についても、ミツカンのホームページに記載されていました。
Q.お酢のビンや酢さし容器に浮く白いもやもやはなんですか?
A.空気中に存在する酢酸菌という菌がお酢の中に入り、増殖して、セルロース(多糖類の一種)という白色の物質を作るためです。
この酢酸菌とセルロースは無害です。
ただし、一旦できますとお酢の風味が悪くなり、また連続して浮遊物ができてしまう場合がありますので、ご使用はお止め下さい。
セルロースには、”植物からできるセルロース”と、空気中の酢酸菌(さくさんきん)からできる”バクテリアセルロース”があります。
酢に浮く白い膜は、バクテリアセルロースです。
”バクテリア”という名前からは嫌な感じを受けますが、このバクテリアセルロースは、ナタデココの中にもあるんです!
ナタデココの独特の食感は、バクテリアセルロースが生み出しているもので、体には無害です。
ただ、セルロースができればできるほど、酢の風味は損なわれていきます。
ミツカンのホームページにもある通り、食べないことをおすすめします。
酢にできる白い膜を予防する方法
酢にできる白い膜は、酢酸菌が原因です。
酢酸菌に強い調味料の塩を酢に混ぜると予防できます。
酢500mlに対して小さじ1杯程度の塩を加えておくと良いのでお試しください!
ここで、思い出しました!
皆様も、中華料理屋のテーブルに置いてある酢の容器の底に白い粉が溜まっているのを見たことがありませんか?
あれは、食塩だったんですね!
酢を別の容器に入れ替えるときには注意が必要!
酢を別の容器に入れ替えて使う場合は、酢の酸性によって、容器が溶けてしまう可能性があります。
酢を入れ替えるなら、ガラス、陶器、ホーローなどの容器を使うようにしてくださいね。
最後に、賞味期限が切れて劣化した酢の有効活用方法をご紹介します。
賞味期限切れの古くなった酢を有効に活用しよう!
賞味期限が切れて古くなってしまった酢は、食べ物としての品質は劣化していますが、酢酸が主成分であることに変わりありません。
お掃除に使うと有効ですので、ご紹介したいと思います。
酢を掃除に使う方法
酢を掃除に使うときには薄めずに、原液のまま使います。
広範囲に使いたい場合は、スプレーボトルに入れて使うと便利です。
酢はこんな汚れに効果的!
酢は酸性なので、アルカリ性の汚れに効果を発揮しますよ。
具体的には、キッチン、お風呂、トイレにつく汚れなどです。
- 水あか
- せっけんかす
- カルキ
- まな板の汚れ など
酢を掃除に使う時の重要!注意事項
酢をお掃除に使うときには、いくつか注意しなければいけないことがあります。
皆様の健康を害する可能性もあることですので、しっかりチェックして下さいね。
1.塩素系の洗剤や漂白剤と混ぜない
酢と塩素系洗剤を間違って混ぜてしまうと、有害なガスが発生します。
濃度によっては、死につながるような事態にもなりかねませんので、十分にご注意ください。
混ぜる他にも、例えばトイレの便器の汚れに塩素系の洗剤を漬け置きしている横で、トイレの壁に酢のスプレーを吹きかけるなど、近くで使っても危険なことがあります。
2.溶ける可能性がある素材には使わない
酢の強い酸性の成分で、変質などの影響がある素材があります。
- 金属
- 漆器
- 大理石
- 白木
- 電気コード など
酢を使ってもいい素材かどうかわからないときは、目立たない小さい箇所で試すなどしてから使うようにして下さいね。
3.きちんと拭き取ることが重要
こんな情報を見つけました。
お酢には糖分やアミノ酸が含まれており、細菌やカビの栄養源として増殖を手助けしてしまう可能性があります。
つまり、
私は、「洗濯をするときに酢を入れるといい」という話を聞いたことがあったのですが、それも間違いのようです。
また、洗濯層に酢の成分が残ると、カビの原因になることもあります。
洗濯で落としたい、油汚れや皮脂などのたんぱく質の汚れは酸性ですので、酢は効果を発揮できません。
酸性の汚れを落としたい時には、アルカリ性の重曹やセスキ炭酸ソーダを使うことをおすすめします。
適材適所に使うのが大切ですね。
まとめ
賞味期限切れの酢について、詳しく調べてきました。
古くなった酢についても、”お掃除に効果的”という、漠然とした情報だけを持っていた私は、使ってはいけない場所があるということを初めて知りました。
ポイントをまとめてみます。
- 酢は賞味期限切れでもすぐに腐らず食べられる可能性が高い
- 腐らなくても劣化はする
- 未開封の酢は賞味期限2年が一般的
- 開封後は保存方法を守って賞味期限内に食べきるのがおすすめ
- 酢は基本的には常温保存でOK
- 冷蔵庫で保存すると酢の酸化を防げて日持ちしやすい
- 酢にできる白い膜は無害だが劣化しているので食べない方がいい
- 古くなった酢はお掃除に使える
- お掃除に使う場合は適材適所で危険な使い方をしない
私は料理を作るときに、五味(甘・辛・酸っぱい・苦・しょっぱい)を心掛けています。
特に、食欲増進にもつながる”酸っぱい”は必須の味だと思っています!
五味を心掛けるようになってから、我が家では酢がみるみるうちに減るようになりました。
保存方法には全く気を使っていなかったのですが、改めて考えると、ガス台の横で温度変化が激しい場所に保存していました・・・。
まずは保存場所を変える必要がありますね。
早速実家にも行って、今回知った情報を母と共有すると同時に、劣化した酢を使って掃除の手伝いでもしてみようと思います !