【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
煮物の定番、肉じゃが。お肉やじゃがいも、玉ねぎなど食べやすい具材が定番なので子供にも人気のメニューですよね。作りやすいし、食卓の強い味方と言えます。
ボリュームもあるので、メインのおかずに肉じゃがをたっぷり作って、テーブルの真ん中にどーん!と置いて出す方も多いんじゃないでしょうか。
けれど、たっぷり作った煮物って残るんですよね。
そこで今回のテーマは「肉じゃがの日持ち」についてです。
翌日くらいなら「味が染みて美味しい♡」というところですが、家族が同じおかずが続くと食べてくれなくなり、何日も余り続けてしまうことも…。
「たっぷり作って鍋ごとコンロに置いておく」「大皿に残った分をそのまま置いておく」という家庭も多いと思うので、
- 常温で置いたら日持ちはどのくらい?夏と冬、それぞれの目安
- 日持ちさせるための正しい保存方法
- 食べちゃダメ!危険な状態の肉じゃがとは?
という3点を中心にまとめていきます。
じゃがいもを大きめに切って、玉ねぎは甘くて美味しいから多めに入れて、子供が好きなお肉も多めに…なんてやっていると、すぐに大量にできてしまう肉じゃが。じゃがいもがメインなので味を変えるなどのリメイクもしやすいですから、たっぷり作っても困りません。
たっぷり作ったら、上手に保存して美味しく食べ切りたい!そのためのコツを紹介していきますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
管理栄養士・栄養士
目次
肉じゃがは冷蔵庫でどれくらい日持ちするの?常温保存は危険?
肉じゃがは”腐りやすいおかず”です。
夏場に常温で置いておいたら、すぐに腐ってしまいます。半日持たないこともあるんですよ。いくら室温が低い部屋であっても、冬でも常温での保存はしない方が良いです。なので、「肉じゃがは冷蔵庫で保存するもの!」と覚えておいてくださいね。
一般的な肉じゃがなら、
「冷蔵庫で2~3日程度は日持ちする」というのが基準です。ただし3日目まで持つという確証はなく、冷蔵庫内の温度変化や食べるたびに全部を再加熱しているかなどの条件次第では、3日も持たないこともあります。
ちなみに正しい保存方法であれば、低温で保たれるチルド室なら約4日、パーシャル室なら1週間くらい持たせることができるでしょう。
では、その”正しい保存方法”とはどんなものなのか、次をご覧ください。
肉じゃがを日持ちさせる方法!肉じゃがの正しい保存方法とは?
<肉じゃがを日持ちさせる4つのポイント>
- 保存する際は鍋のままではなく、別の容器に入れ替えて保存すると良い
- 移し替えるのに使う箸は、清潔なものを用意すると良い
- 冷蔵庫に入れる際は、必ず冷ましてから!
- 再加熱した肉じゃがを冷蔵庫に戻すと、傷みやすくなる
一番大切なのは、冷蔵庫に入れる際は必ず冷ましてからにすることです。鍋ごと水につけると早く冷ますことができますよ。1回分ずつタッパーに小分けしていると、収納しやすい上に食卓に出す際にも必要な分ずつ温め直せるので便利です。
温め直す時は、小鍋に移し替えて弱火で温めるのがオススメです。じゃがいもが焦げ付かないよう、弱火にしてくださいね。電子レンジで加熱すると加熱ムラができやすく、特に大きく切ったじゃがいもは中心まで温まらなかったりもします。
また肉じゃがを作る際に、あらかじめ”酢”を少し入れておくと腐りにくくなるという裏ワザもありますよ!
実は肉じゃがなどの煮物がどれだけ日持ちするかというのは、使っている具材というよりも、味の濃さに比例します。おせち料理は味が濃いものが多いですよね。あれも、濃い味付けの方が長く日持ちするからなんです。
ただし、どの具材を使っても日持ちが同じになるわけではありません。例えば”じゃがいも”や”にんじん”は傷みやすいので、肉じゃがは煮物の中では日持ちが短めだと認識しておいた方が良いでしょう。
そんなに傷みやすいのなら、すぐに冷凍してしまうのはどうなんだろう?ということで、次は冷凍保存についてです。
肉じゃがを作りすぎちゃった!残りの肉じゃがは冷凍保存できるの?
基本的に、肉じゃがは冷凍保存には向いていません。と言いますのも、
- じゃがいも⇒冷凍すると水分が出てカスカスになってしまう
- しらたき⇒冷凍すると水分が出てゴムのようになってしまう
- こんにゃく⇒冷凍すると食感がかなり変わる
というように、使っている具材が冷凍に不向きなものが多いからなんです。腐っているわけではないけれど、食感が大きく変わって美味しくない状態だと食べたくなくなりますよね。
ただ、アレンジレシピで使うつもりならば冷凍しておいても大丈夫ですよ。
実際に、食感が気になるしらたきやこんにゃくを取り除き、コロッケ用に冷凍しておくという方もいます。余力があるなら、コロッケの形に成型して衣をつけ、あとは揚げるだけの状態で冷凍しておくのも良いですね。
アレンジレシピ用として冷凍をするのであれば、2~3週間程を目安に食べ切ってください。
肉じゃがを美味しく食べ切ろう!リメイクレシピを集めました
同じ味ばかりじゃ飽きてしまうし、かといって毎回コロッケにするのも面倒くさい…。
そんな方のために、スボラ主婦を自負する私でも「これなら簡単♪」と思った、お手軽なリメイクレシピをご紹介しますね。
①ピザ用チーズでとろ~りアレンジ
基本はチーズを載せて焼けばOKなので簡単ですし、お子様向けにも1人ランチ向けにもアレンジできてオススメのレシピです。
<基本のグラタン風アレンジ>
スキレットや耐熱皿に肉じゃがを入れ、ピザ用チーズをのせてオーブントースターで焼く
ちょい足しアレンジ
- 餅orトッポギとコチュジャンを加える
- 洋風肉じゃがや塩肉じゃがの場合、ミートソースをかけるのもアリ
- 冷凍パイシートを使ってパイにすると、簡単なのに豪華になる
- ご飯も足して、ドリアにする
②その他のリメイクレシピ
- 具材を少し小さく切り、スパニッシュオムレツにする
- 水を足し、ひと煮立ちしたらカレールーを加えてカレーうどんにする
- パンにのせ、マヨネーズと好みで一味か黒胡椒を振ってトーストに
- 揚げるのは面倒なので、焼いたパン粉をかける”スコップコロッケ”にする
肉じゃがをカレーにリメイクするのは、SNSでも人気の高いレシピです。ここではカレーうどんで紹介しましたが、ご飯にかけるカレーでもOK!
カレーうどんの時はめんつゆを足して濃い目にしておくと、出汁の風味で少し和風な感じになります。しっかり鰹の香りがする方が美味しいんですよ。
腐った肉じゃがの見分け方とは?こうなったら絶対に食べちゃダメ!
肉じゃがは傷みやすいので、冷蔵庫に入れていたとしても腐ることはあります。腐っているかどうかは基本的に見た目と臭いで判断しますので、次のポイントを参考に、食べても大丈夫な状態かどうかご自身でチェックしてから食べてくださいね。
<腐ってる肉じゃがを見分けるポイント5つ>
- 腐っているような臭いがする
- 見た目が明らかに普段と違う
- 白い”膜”が張っている
- 触ってみた感触が普段と違う
- ネバネバと糸を引く
ネットで肉じゃがが腐っているか質問している方は、以上のような特徴をあげていることが多いです。見た目や臭いが普段と違うので、不安を感じて確認したいようですね。
腐っているような臭いとは、大抵は酸っぱい臭いや納豆のような臭いです。そうでなくても、「美味しそうな肉じゃがの臭いとは違う!」と思ったら食べるのは諦めましょう。
また冷めた肉じゃがの油脂分が白く固まって浮いていることがありますが、これは問題ありません。危険なのは、白くて薄い膜が表面を覆うようにできている場合です。
どうしても判断がつきにくい場合は、ほんの少量を口に入れて確かめてみる方法もあります。ただし少しでも異変をしたら吐き出し、口をゆすいでおいてくださいね。
肉じゃがはもともと腐りやすい料理ですし、何か少しでも違和感を感じたら、食べるのは諦めた方が良いでしょう。
肉じゃがによる食中毒事件が発生!加熱しても安心できないウェルシュ菌とは?
過去には肉じゃがが原因の食中毒事件も起きています。
- 加熱調理が不十分だった
- 室温で放置していた時間があった
- 翌朝の加熱が不十分だった
というような状況で、ウェルシュ菌が増殖したことが原因です。
ウェルシュ菌は加熱によって死滅しますが、毒素は残ってしまいます。そのため「しっかり加熱したから大丈夫だろう」と思っていても、食中毒になってしまうことがあるんです。
ウェルシュ菌は常温で放置すると増殖してしまうので、肉じゃがを作ったら、2時間以上常温で放置しないように気をつけましょう。
まとめ
- 「肉じゃがは腐りやすいおかず」という認識を持っておこう
- 冷蔵庫で保存すれば、2~3日程度持たせることができる
- チルド室なら4日、パーシャル室なら7日程度の日持ちが期待できる
- 再加熱は、食べる分ずつ小鍋で温めるのがオススメ
- 肉じゃがの具材は冷凍すると食感が大きく変わるものが多く、冷凍には不向き
- コロッケのような潰してしまうレシピのリメイク用として冷凍しておくのはアリ
- 冷凍する場合は2~3週間を目安に食べ切ると良い
<肉じゃがを日持ちさせる4つのポイント>
- 保存する際は鍋のままではなく、別の容器に入れ替えて保存すると良い
- 移し替えるのに使う箸は、清潔なものを用意すると良い
- 冷蔵庫に入れる際は、必ず冷ましてから!
- 再加熱した肉じゃがを冷蔵庫に戻すと、傷みやすくなる
<腐ってる肉じゃがを見分けるポイント5つ>
- 腐っているような臭いがする
- 見た目が明らかに普段と違う
- 白い”膜”が張っている
- 触ってみた感触が普段と違う
- ネバネバと糸を引く
<肉じゃがのリメイクレシピ>
- スキレットや耐熱皿に肉じゃがを入れ、ピザ用チーズをのせてオーブントースターで焼く
- 具材を少し小さく切り、スパニッシュオムレツにする
- 水を足し、ひと煮立ちしたらカレールーを加えてカレーうどんにする
- パンにのせ、マヨネーズと好みで一味か黒胡椒を振ってトーストに
- 揚げるのは面倒なので、焼いたパン粉をかける”スコップコロッケ”にする
いかがでしたでしょうか。「煮物は日持ちする」というイメージが強いので、煮物の一種である肉じゃがが腐りやすいというのは、意外だったという方もいるのでは?
私自身も「じゃがいもは冷凍したら美味しくなくなるし、鍋ごと冷蔵庫には入らないしなぁ」とコンロに出しっぱなしにして、腐らせてしまった経験があります。夜食べて、翌朝にはアウトでした。必ず器に盛って冷蔵庫にしまうようにしてからは、今のところ腐らせてはいません。
最近は家の断熱効果も高いですから、冬も室温がさほど低くはならず、常温放置は思っている以上に腐りやすいという印象があります。長く日持ちさせようと思ったら、作ってすぐに食べる分と保存する分に分けるなど計画的になった方が良さそうですね。
そんなの面倒くさい!という方は、リメイクレシピもたくさんご紹介しましたので、早めに美味しく食べ切ることを目指しましょう。