ある日、実家に預けていた3歳の息子を迎えに行くと、うれしそうに人参の種袋を持っていました。
不思議に思い息子に聞いてみると一言、「ニンジンさん」。うん、それは見れば分かるんだけど。
…なぜ人参の種を持ってきたのかな?
母に聞いてみると、一緒に畑に植える種を買いに行ったら、どうしても人参の種を買うと言い張ったとのこと。
人参は難しいからトマトにさせようとしたけど、何を言っても折れなかったようなのです。
「ニンジンさん、作ろうね!」とうれしそうな息子。そんなに人参好きじゃないじゃないの…と思いつつも、せっかくなので自宅で育ててみることにしました。
しかし、トマトやナスなど放っておいてもできるような野菜は作ったことがありますが、人参は初めて。
しかしも種からとなると、素人でもちゃんとできるのか心配です。
失敗してしまったら息子が悲しむというプレッシャーもあるので、さっそく人参の種の発芽日数から、詳しく調べてみます。
- 最初が肝心!人参を確実に発芽させるコツは種まきにあった!
- まだ芽が出ない!人参の種が発芽するまでに要する日数は?
- ここまで来れば後少し!人参の間引きや土寄せのポイントは?
- いよいよ収穫!人参の収穫のタイミングはいつ頃なの?
- 大切な人参を守るために!なりやすい病気と対策はコレだ!
そもそも我が家は賃貸なので、プランターでしか栽培できません。
不安は募りますが、実家の畑では毎年育てているので、両親に教えてもらいながら挑戦してみることにします。
目次
最初が肝心!人参を確実に発芽させるコツは種まきにあった!
人参を育てようとすると、人参の土とプランターを購入して種まきをするイメージですが、適当にまいて発芽を待っていても出てはくれません。
人参を育てる上で一番重要とも言えるのが種まきなのです。
まずは、正しい種まきの方法を確認しましょう。
人参の種まき
涼しい地域では6月、中間地や暖かい地域では7月頃に種まきをします。
野菜の種は敏感なので、種まきの季節を守らないとうまく発芽できないのです。
- 種を一晩中水につけておく
- 水につけておいた種を、まく前に拭いて余分な水気はとっておく
- 土にも十分水をまいておく
- 5~10mm程度の深さの溝を作って、1~2cm間隔で種をまく
- 種をまきおわったら、1cm程度土を被せる
- 乾燥しないように枯れ草や籾殻を被せる
- 定期的に水やりをする
これまで人参の種まきをして発芽しなかった経験がある方は、原因は土の被せ過ぎか水不足で土が乾燥してしまったことが考えられます。
種まきの時点から、しっかり水を与えてあげましょう。
まだ芽が出ない!人参の種が発芽するまでに要する日数は?
ポイントをチェックして、正しい種まきができたら、次にきになるのが「いつ芽が出てくるのか」ですよね。
過保護にしすぎて失敗してしまうこともあるので、発芽までの注意点を確認しておきましょう。
人参の種が発芽するまでの日数
人参の種が発芽する温度は8~30℃で、一番発芽に適した適温は15~25℃と言われています。
人参の種の発芽にかかる日数は、この温度が重要な要素。どのくらい適温を保てたかで大きく変わってきます。
- 15~25℃では発芽にかかる期間は8~10日程度
- 10℃では14日程度
- 5℃だと30日以上かかって発芽するか、発芽しないこともあり、発芽揃いも悪くなる
- 35℃以上だとほとんど発芽しない
人参栽培の失敗のほとんどが発芽不良によるものです。
ついつい暖かくしてあげたくなりますが、涼しすぎても暖かすぎてもダメなので、繊細な温度管理が求められるのですね。
しかし、適温を頭に入れて管理し、うまく発芽してしまえば栽培の半分は成功したと言っても過言ではありません。
しっかり芽を出させて、収穫までの第一歩の喜びを味わいましょう。
ここまで来れば後少し!人参の間引きや土寄せのポイントは?
難しい発芽をクリアしたら、あとは大きくなるのを待つだけ!
しかし、収穫の大きさになるまでの間にも、しっかりやっておくべきことがありますよ。
発芽後にすること
発芽後にすることは、大きく分けて間引き、追肥、除草、土寄せになります。
1回目の間引き
発芽して本葉が2~3枚になったら、2~3cm程度の間隔を目安に1回目の間引きを行い、追肥をしておきます。
また、このタイミングで雑草などの除草をしておきましょう。
2回目の間引き
本葉が5~6枚になったら、6~10cm程度の間隔を目安に2回目の間引きを行い、追肥をしておきます。
「もったいない」と思ってしまいがちですが、動画を参考に、適切に行うことが大切です。
まだ雑草が伸びていたら、除草をしつつ、2回目の間引きの後で葉の根元に土が入らないように根本に土寄せもしておきます。
間引いた人参の葉っぱはとても柔らかく、また栄養がたくさん含まれていますので、油炒めなどにして食べることをおすすめします。
いよいよ収穫!人参の収穫のタイミングはいつ頃なの?
ここまで順調にできれば、あとは美味しい人参の収穫を待つばかり。
間引きしてからどのくらい待てば、食べられるくらいの人参ができるのか気になりますよね。
収穫のタイミング
人参は、種まきから約120日程度で収穫できると言われていて、2回目の間引き以降にはとくに難しいことはありません!
以下のポイントに注意して、気長に待ちましょう。
- 栽培後半は水やりや追肥は必要ない
- 畑の排水をきちんとやる
- 畑を適湿に保つことで着色や味が良くなる
- 湿度が高すぎると根割れを起こす可能性がある
収穫のタイミングは葉が黄色くなる手前頃です。少し葉っぱが黄色くなってきたような…と感じたら、すぐに根本の部分の土を少し除けてみて人参の大きさを確認しましょう。
しっかり肩が見えたら食べごろ。掘り起こしていただきます。
「まだ小さめかも?」などと思い、収穫のタイミングが遅くなるとどんどん人参が固くなってしまいます。
せっかく一から栽培した人参ですから、葉が黄色くなってからでは遅いので、しっかり美味しいタイミングを見計らって収穫しましょう。
大切な人参を守るために!なりやすい病気と対策はコレだ!
せっかく芽が出て育ってきても、病気にかかってしまっては元も子もありません。
人参の病気は、目で見て確認できる場合が多いのでしっかり注意してあげましょう。
人参がかかりやすい病気
野菜の種類によって、かかりやすい病気も変わってきます。
人参はどのような病気になりやすいのか事前に知っておくことで、すぐに気づける目を養っておきましょう。
食害
アゲハやミツモンキンウワバの幼虫によって葉を食べられてしまうこと。蛾の幼虫であるネキリムシは人参そのものも食べてしまうこともあります。
黒葉枯病
はじめは葉に黒褐色の小さな斑点ができてやがて黄色っぽく変色、次第に斑点が融合して大きくなり大型病斑になっていきます。
どんどん斑点が拡大するとともに枯れてしまうため、栄養が足りずに人参が生育不良になってしまうでしょう。
高湿度の場合、斑点の部分に黒色ビロード状のかびを生じることもあります。
発芽後60~90日の間で発症すると言われ、降雨と乾燥が繰り返されると発症しやすくなります。
うどんこ病
葉の表面に白いカビが発生し、どんどん広がっていきます。6月上旬から発生しはじめ、風通しの悪い畑でよく発症すると言われます。
黒葉枯病やうどんこ病は、薬剤で予防することができるため、初期の薬剤防除を徹底することが肝心です。
また、人参がかかってしまう病気はほかにもたくさんあります。
何か変だなと思ったら、すぐに確認して対処するようにしましょう。
まとめ
手がかかるとそれだけ愛情も深くなるので、収穫できた時の喜びはひとしおです。
人参はいろいろな料理に使えますが、やはり一番最初は生で食べたいと思います!
では、最後に今回のポイントをまとめます。
- 人参を上手に発芽させるためには乾燥させないことが大切
- 株と株の間がせまいと成長が悪くなるので間引きをする
- 土寄せをしないと青首になる
- 間引き以降はあまり追肥や水やりは必要ない
- 病害虫から人参を守るために早めに薬剤で予防する
こんな機会でもなければ、「自宅で人参を栽培してみよう」と思うこともなかったかもしれません!
これからは難しいからといって敬遠せずに、きちんと調べていろいろな野菜作りに挑戦してみようと思います。