【執筆者:編集部 奈良虹子】
シソを庭に植えたいけど、本当に大丈夫なの?
シソが庭を占拠するって本当?
害虫の心配も知りたい!
本記事では、このような疑問にお答えします。
シソは日本の食文化に欠かせないものですが、「シソを植えてはいけない」といわれるほど繁殖力が強いため、育て方には少し注意が必要です。
地植えにすると増えすぎる・バジルや赤紫蘇など一緒に植えてはいけない野菜があるなど、栽培で考えられるリスクと解決方法を解説します。
- シソの繁殖力はどれほど高いのか
- 害虫を引き寄せる可能性とリスク
- リスクを回避できる簡単な育て方
- 一緒に植えるのがNGな野菜
- 栽培トラブルへの対処法
植えっぱなしにすると増えすぎたり害虫を呼んだりとトラブルもあるシソですが、上手に育てればいつでも新鮮な香りと風味を味わえます。
リスクと解決方法を確認して家庭菜園初心者も上級者も、楽しく美味しくシソを満喫してくださいね。
目次
シソを植えてはいけない主な理由
シソの独特の香りと風味を好む人はたくさんいますが、自宅の庭で家庭菜園を楽しむには注意すべきポイントがあります。
シソ栽培で起こり得る問題点について詳しく解説します。
植えっぱなしにすると増えすぎる
シソは非常に繁殖力が強い植物で、一度庭に植えるとこぼれ種が自然に発芽して庭全体を占拠するリスクがあります。
畑に雑草生えまくり…と思いきや
シソの葉が大量発生!こぼれ種から
通り道が…うーん天ぷらかな🐝✨#家庭菜園 #大葉 #シソ #紫蘇 #田舎暮らし pic.twitter.com/e3oFIF2WKW— ハチまろ (@hachimaro34sato) June 12, 2021
雑草並みの繁殖力を持っており、園芸の専門家の間で「シソは地植えすると増えすぎる」というのが常識とされいるほどです。
放置するとほかの植物の生育スペースを奪い、庭や家庭菜園がシソだらけになってしまうため、植える際には十分な注意が必要です。
シソの香りは害虫を遠ざけも引き寄せもする
シソ科植物の強い香りはイモムシやナメクジを遠ざける効果があるいっぽう、ヨトウムシ(夜盗虫)やオンブバッタを引き寄せる原因となります。※
※参照元:ブラックペパーミント|キャンパスの植物たち(東邦大学) https://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/yakusou/MedicinalHarbGarden/167-blackpeppermint.html
中でもヨトウムシはキャベツようなアブラナ科・ナスやジャガイモのようなナス科・きゅうりのようなウリ科野菜に加え、ダリアやパンジーなどの花き類も好んで食べるので要注意です。※
※参照元:ヨトウガ(ヨトウムシ)(島根県) https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/norin/gijutsu/nougyo_tech/byougaityuu/byougaityuu-index/asukko/ky094.html
キャベツは結球、ブロッコリーも
頂花蕾が見え始めました😊この時期のキャベツのヨトウムシは
要注意で、結球し始めの柔らかな芯の
部分を食べてます。毎朝、見回りしてますが
けっこう食べられてます😌#家庭菜園 #ブロッコリー
#キャベツ pic.twitter.com/U1dTKuY0cp— 緑中緑の畑 Green in Green (@Kabo11Nakayasu) October 16, 2023
ほかの野菜や花を育てている庭にシソを植える際は、害虫対策をしっかりとおこない特にヨウトウムシの発生に注意する必要があります。
シソの基本的な育て方と地植え・プランター栽培の違い
形の整った葉をたくさんつけるシソは、見栄えもよく栽培が楽しい植物ですが、ポイントを押さえなければ枯らしたり増えすぎたりとトラブルに繋がります。
そこでシソを栽培する際のポイントと特に注意すべき点を解説するので、上手に育ててキッチンを豊かな香りで満たしましょう。
初心者でもOK!基本的な育て方
シソは初心者でも育てやすい野菜なので、次にまとめるように土質や水やりに注意して挑戦してみましょう。
種まき 植え付け時期 |
・種:4月頃(20℃以上) ・苗:4~6月頃 |
---|---|
収穫時期 | 6~8月頃 |
土質 | ・水はけのいい培養土 ・鉢底石を入れる ・鉢は大きめがいい |
水やり | ・土の表面が乾いたらたっぷり (鉢底から水が出るまで) ・水が少ないと葉が固くなる |
肥料 | 草丈20cm程度になったら 月に1~2回程度追肥する |
摘芯・収穫 | ・草丈30cm程度になったら開始 ・下の柔らかい葉から収穫 ・茎の先端を摘むと 上への成長を止められる |
こちらの動画では、プランターへの植え付け方法をわかりやすく解説していますよ。
花や野菜用の緩効性肥料(効果がゆっくりと続く)があれば、元肥にも追肥にも使えて便利ですよ。
大きく育てたいのかコンパクトにまとめたいかによって、植え方も検討してください。
地植えよりプランター栽培の方が管理しやすい
シソを地植えする場合とプランターで育てる場合では、それぞれメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
地植え | ・大きく育てられる ・グランドカバー になる ・放置しても育つ |
・害虫を防ぎにくい ・増えすぎる |
プランター | ・大きさ管理が楽 ・移動しやすい |
・水やりが頻繁 ・まめに追肥が必要 |
地植えでもプランター栽培でもほかの植物に影響を与える可能性があるので、周りの環境には注意が必要です。
次の「一緒に植えてはいけない野菜」と隣り合わないように注意し、元気に育ててくださいね。
シソと一緒に植えてはいけない野菜の種類
シソには一緒に植えるべきではない植物があります。
野菜の種類や理由を紹介するので、確認して植え付けの場所を検討しましょう。
青シソと赤紫蘇やバジルを一緒に植えると交雑のリスクがある
青いシソ(大葉)と赤紫蘇はアントシアニンの量や香りが異なりますが、近くで栽培すると交雑のリスクがあります。
交雑とは
交雑とは植物や動物で別の種類が混ざり合うことです。
洋食で使われるバジル類も同じシソ科植物で交雑する可能性があるので、注意が必要です。
交雑すると次のような変化やリスクが考えられます。
- 色が悪くなる
- 香りが落ちる
- 繁殖力が高くなる
※参照元:シソ|四季のしおり(近大 薬用植物園) https://www.phar.kindai.ac.jp/yakusouen/shiori/shiori_34.htm
交雑すると香りや色が薄くなり、シソとしての利用価値が低下します。
赤紫蘇と青シソを栽培する際には、距離を開けて植えるかどちらかを選んで栽培するといいでしょう。
シソに寄る害虫の被害に合う野菜は一緒に植えてはいけない
シソに寄る害虫の被害にあいやすい野菜は、同じプランターや畑での栽培は避ける方が賢明です。
害虫の種類※ | 主な被害内容 | 被害にあう野菜の例 |
---|---|---|
ヨトウムシ | 食害 | キャベツ、ブロッコリー 大根、白菜、人参、苺 ピーマン、パクチー |
ハダニ | ・葉の汁を吸う ・白く変色して 葉が枯れる |
枝豆、キュウリ、スイカ 里芋、パクチー |
オンブバッタ | 食害 | ナス、白菜、春菊、キク ホウセンカ |
※参照元:シソ(紫蘇)の病気と害虫|野菜の育て方(やまむファーム) https://ymmfarm.com/cultivation/pest/veg/perilla
交雑や害虫被害を防ぎきれいなシソを育てるために、できる対策をおこないましょう。
シソの増えすぎや害虫被害を防ぐための予防と対策
シソはその独特の香りと風味で、日本の食文化に欠かせないハーブの一つですが、栽培には注意が必要です。
シソ栽培時にでくわす可能性のある問題と、解決法を紹介します。
増えすぎないように適切に間引く・種になる前に摘む
シソは非常に繁殖力が強く庭や家庭菜園に植えると、こぼれ種から翌年予想以上に増えてしまうことがあるので植え方や育て方での管理が必要です。
- 鉢やプランターに植える
- 成長点を摘んで止める
- 花を摘む
鉢やプランターに植え、てっぺんの葉を摘むと上への成長を止められるので、大きさを管理しやすくなります。
また夏の終わりごろから花が付き始めるので、こまめに摘み取りましょう。
また害虫への対策も忘れずおこないましょう。
シソに付きやすい害虫の予防と駆除方法
シソに集まりやすいヨトウムシやハダニによる被害を最小限に抑えるためには、予防と対策が重要です。
予防策 | 駆除方法 | |
---|---|---|
ヨトウムシ | ・防虫ネット ・雑草を抜く |
・卵を見つけたら 葉ごと摘む ・成虫はつまみ取る |
ハダニ | ・乾燥させない (葉裏にスプレー) |
葉裏に見つけたら 葉ごと摘む |
オンブバッタ | 防虫ネットを | 手で取って駆除する |
害虫が発生した場合は早期に対処することが重要です。
水やりのたびによく観察し卵の段階で発見できれば、食害にあう前に対処できます。
天然由来成分で家庭菜園にも使いやすいスプレーもあるので、必要に応じて優しい害虫駆除剤の使用も検討しましょう。
対策を講じて健康なシソを育て、豊かな香りと風味を楽しんでくださいね。
シソは植えてはいけない野菜ではないが対策が必要
「シソを植えてはいけない」と検索し悩んでいる人に向けて、その理由と対策を解説してきました。
- シソは繁殖力が非常に高い
- 庭が占拠されるリスクがある
- ヨトウムシなどの害虫を引き寄せやすい
- 初心者でも育てやすい
- プランターや鉢での栽培がおすすめ
- 赤紫蘇と青シソは交雑しやすい
- ナス科やアブラナ科野菜一緒にしない
- 地植えよりプランターが管理しやすい
- 花が咲く前に摘むと種が飛ばない
- 防虫ネット設置のような対策は重要
- よく観察して卵のうちに駆除する
- 適切な管理でシソの魅力を楽しめる
シソは栽培のポイントを理解して対策を講じれば、庭やプランターで簡単に育てられます。
繁殖力や害虫問題に悩まされることがなければ、モリモリと成長する姿を愛でながら香りと風味を楽しめるでしょう。
水やりと状態の観察を忘れずに、ツヤツヤと柔らかいシソを味わってくださいね。