【執筆者:編集部 宇野山萌】
「頂いたメールで恐縮ですが」という表現は、先方から送られてきたメールへの返信に、別件で自分の用事も一緒に伝えるときに添える言葉と考えられますが、あまり一般的ではありません。
「頂いた〇〇で…」は電話でよく使われる表現で、ビジネスメールでは1通に複数の用件を書くと、読みづらい・返信しづらいなどのデメリットがあるからです。
しかし「ひとまず用事を伝えておきたい」という場面は大いに考えられるので、メールに書きたいことがたくさんある場合の書き方やマナーについて、次のようにまとめて紹介します。
「頂いたメールで恐縮ですが」のこと
- 正しい使い方なのか
- 別件で質問や伝達がある場合の正しい連絡方法
- 「別件ですが」「度々のお願いで」など言い換えの例文
- ビジネスメールの基本マナー
「恐縮ですが」をなんとなく使っているけれど正しい使い方ができているかわからない人のために、意味や例文も紹介します。
まずは「頂いたメールで恐縮ですが」の正しい使い方から確認し、自信を持ってやり取りできるようになりましょう♪
目次
「頂いたメールで恐縮ですが」はビジネスにおいて一般的ではない
メールの返信に「頂いたメールで恐縮ですが」と書くのは、ビジネスシーンではあまり一般的ではありません。
一般的ではない理由 | メールより電話で使う表現 |
---|---|
正しい方法 | 別でメールを送る |
よく見聞きする表現だと感じる人は、電話で聞いているからかもしれません。
「頂いた〇〇で恐縮ですが」はメールより電話で使う
メールではなく電話では「頂いた電話で恐縮ですが」という言い回しをよく使います。
場面 | ・相手からかかってきた電話で話している ・自分の用事も伝えたい |
---|---|
理由 | ・電話の時間が長くなる ・電話料金がかかる |
かかってきた電話は相手が料金を払っているため、通話時間が長くなると負担をかけることになります。
会社の固定電話同士での会話なら個人的にお財布が傷むわけではありませんが、社会人として断りをいれるのがマナーです。
メールでは時間や料金の負担はありませんが、やり取り中の内容ではない用件を伝えるときはもう1通送る方がいいでしょう。
別件で連絡事項があるならもう1通メールを送る方がいい
やり取り中の案件からそれる話題で自分からも伝えたいことがある場合、返信メールの中に続けて書かずに別でもう1通送る方がよりいいです。
- 長文メールは読みづらい
- 別件に気付かれない可能性がある
- 用件が複数あると先方が返信しづらい
1通にいくつも用件を詰め込むと、正しく伝わらなかったり返信の仕方に困ったりと双方にとってメリットが少ないので、メールは長文を1回より短く何度も送る方がいいとされています。(※1)
どうしても1通で伝えたい場合も別メールを送る場合も、次で紹介する例文を参考にしてわかりやすい文章を書いてくださいね。
「頂いたメールで恐縮ですが」の意味と言い換えの例文
なにげなく使っている「恐縮ですが」の意味を理解すると、使い方を誤る心配なく言い換えできます。
意味 | ・詫びる気持ち ・ありがたく思う気持ち |
---|---|
言い換えの際に 加えるといい言葉 |
・申し訳ありませんが ・恐れ入りますが |
詳細と具体例を確認しましょう。
「恐縮ですが」は詫びる・ありがたい気持ちを表す意味の敬語
「恐縮」は「恐れる」「縮む」という文字の通り、相手に恐れ多く感じて身が縮む様子を表す言葉です。
- 申し訳ない
- ありがたい
- 謙遜する
- 身がすくむ
- 気恥ずかしい
「頂いたメールで恐縮ですが」や言い換え表現を使って、具体的にどのような文章を作ればいいのでしょうか。
メールに質問や連絡を追加する例文|別件ですが・私からもなど
「わざわざ別のメールを送るほどではないので1通で伝えてしまいたい」と思う場合は、次のような文章を挟むといいでしょう。
- 頂いたメールで恐縮ですが、私からも一点ご連絡させていただきたいことがございます。
- 別件ですが、こちらからもお伝えしたいことがございます。
- 話題が変わり大変申し訳ないのですが、私からも連絡事項がございますので続けて書かせていただきます。
別メールを送る例文|度々のお願いで・重ねて失礼しますなど
1通に連絡事項を追加するのではなく別のメールを送る場合には、後から送信する方の冒頭に次のような文章を添えるといいでしょう。
- 度々のお願いでご連絡することをお許しください。
- 重ねて失礼します。
- 五月雨式に失礼いたします。
- 重ねてのご連絡で大変申し訳ございません。
メールや手紙のマナーや書き方については、ほかにも記事があるので参考にしてください。
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さらにビジネスメール全般のマナーをマスターして、取引先や顧客と不安なくやり取りできるようになりましょう。
「頂いたメールで恐縮ですが」以外のビジネスメールのマナー
ビジネスメールにおいて重要なのは、簡潔にまとめることとメールに頼り過ぎないことです。
- 宛先間違いは絶対NG
- 誰からの何の用件での連絡なのかを簡潔にまとめる
- 重要なことは電話や面談で話し合う方がいい
あまり難しく考えるより、書くべき内容をテンプレート化しておくと便利ですよ。
ビジネスメールは宛先・用件・差出人を簡潔にまとめる
ビジネスにおけるメールは次のような流れに従って書きましょう。
項目 | 具体例 | 注意点 |
---|---|---|
件名 | 打ち合わせ日程の件 | ・用件を明確に ※【至急】【連絡】 なども効果的 |
宛先名 | 株式会社ヨセミテ 営業部 〇〇様 |
・社名は略さない ※(株)はNG |
挨拶 | お世話になっております。 △△株式会社 □□です。 |
・冒頭の挨拶文 ・自分の所属と氏名 |
用件 | 打ち合わせ日程の件で ご連絡いたします。 |
件名と一致させる |
詳細 | 〇〇の打ち合わせを 下記日程でおこなえればと 考えております。 期日:×月×日 時間:10:00~ 場所:弊社会議室 ご都合いかがでしょうか? ご確認のうえ△日までに 私宛にご連絡頂けると 嬉しいです。 よろしくお願いします。 |
・わかりやすく ・依頼することは 期日などを明確に |
署名 | △△株式会社 企画開発部 □□ □□ TEL:〇〇-〇〇〇-〇〇〇 アドレス:△△@△△△ |
所属・氏名・連絡先 を記載する |
ミスは大きな損失となるので、漏れを防ぎ二度手間を回避するために、「5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)」の抜けがないように気を付けましょう。
ビジネスメールのマナー本もたくさん出版されているので、1冊あると安心ですね。
またメールはあくまで連絡事項や簡単な相談ツールとして使い、本格的な打ち合わせは直接やり取りするのが一般的です。
「メールで恐縮ですが」の使い方|詳細は電話や面談する場合
先方が離席していてもこちらのタイミングで連絡を入れられるメールは非常に便利ですが、重要な事項は電話や対面で話す方がいいとの考えが残っているので頼り過ぎるのは危険です。
本来直接話すべき内容を取り急ぎメールで連絡する場合は、次のように書くと相手に不快感を与えずに済むでしょう。
- ご多用のことと存じますので、メールで恐縮ですが取り急ぎご一報を入れさせていただきます。
- 直接お伺いするべきところをメールでのご連絡となり大変恐縮ですが…
- 詳細は後日改めてご説明に伺いますが、まずはメールにてご連絡させていただきます。
「メール連絡で申し訳ない」という趣旨の一文がなければ、「メールで済ませるつもりか!」と相手を怒らせてしまう恐れもあります。
自分の意図と必要な情報を、上手に伝えてくださいね。
結論|「頂いたメールで恐縮ですが」より別で連絡する方がいい
- 「頂いた〇〇で」はメールより電話で使う表現
- 1通に用件が多すぎるのはNG
- 複数の連絡があるならメールを分ける方がいい
- 「恐縮ですが」は申し訳なさや感謝を表す言い回し
- ビジネスメールは簡潔にまとめる
ビジネスシーンで返信メールに別件も添えたい場合「頂いたメールで恐縮ですが」と続けるよりも、もう1通にわけて連絡する方がいいマナーといえます。
「わざわざ別メールを送るほどではないけど…」という内容なら、「別件ですが」「私からも1点お伝えさせてください」のように書き添えるといいでしょう。
「頂いた〇〇」はむしろ電話で使われることが多く、相手からかかってきた電話で自分も話したいことがあるときにはひとこと付け加えるべきです。
ビジネスメールには家族や友人とのやり取り以上に、情報をコンパクトにまとめるスキルが求められます。
伝えたい内容が相手に確実に伝わるよう、情報を精査して正しいマナーで書かれたメールを送ってくださいね。