【執筆者:編集部 宇野山萌】
ハイブリッドの中古車はやめたほうがいいといわれるのは、せっかく安価で買ったのにすぐに故障して結局お金がかかったという事例があるからです。
実際にハイブリッド車特有の部品である駆動用バッテリーが劣化していて、20万円近い修理費用が必要になったケースもあります。
状態の悪い中古車を選ぶと損をしたり危険を伴ったりするおそれもあるので、リスクと購入する際の注意点を次のようにまとめて紹介します。
ハイブリッド中古車はやめたほうがいいか
- 買ってはいけないといわれる理由
- 後悔した体験談
- 失敗なく購入するための注意点
- どのようなメリットがあるのか
デメリットを理解して上手に選べばメリットもあるので、ポイントを押さえていい車を見つけられるといいですね。
まずはハイブリッド中古車に潜むリスクを、事例とともに紹介するので参考にしてください。
目次
ハイブリッド中古車はやめたほうがいいといわれる理由と事例
ハイブリッド中古車にはHV車ならではの特徴が原因で、修理費用や安全面のデメリットが考えられます。
理由 | 原因 |
---|---|
修理にお金がかかる | 駆動用バッテリーの修理は高額 |
感電事故 ショートによる発火 |
・高電圧バッテリーを搭載 ・水に浸かると非常に危険 |
ハイブリッド車にはガソリン車にはない部品が搭載されており、中には修理が高額になるものがあります。
駆動用(ハイブリッド)バッテリーに寿命がきたら修理が高額
ハイブリッド車にはバッテリーが2種類あり、そのうち高額な駆動用(ハイブリッド)バッテリーが購入後すぐにダメになると、車を安く買っても結局お金がかかる羽目になることがあります。
ハイブリッド車のバッテリーとは
ハイブリッド車には次のような2種類のバッテリーが載っています。
・補機用バッテリー:ハイブリッドシステムの起動、窓、ドアロックなどのシステムを動かすための12Vのバッテリー
・駆動用バッテリー:電気モーターに電力を送るための、ニッケル水素もしくはリチウム電池の大容量バッテリー
民間の中古車屋で値段の安さに目が繰らんで、200系クラウンHVを購入した人達が次から次へとHVバッテリー壊れて、高額修理(中古屋保証含め)を迫らせているのを見ていると、そこまでしてクラウンが欲しいのか?とマジで思う。
— 広ピー (@air23_ts808) October 3, 2020
安く購入したはずがすぐに修理費用がかかっては本末転倒ですし、補機バッテリーと違い駆動用バッテリーは自分では交換できません。
とうとう、再び発生しました😓
30プリウス、ハイブリッドバッテリーがNGみたいです😓
よって修理はハイブリッドバッテリー本体の交換のみ😢
見積もりは173,580円になりました。
リビルドも考えようかなぁ?#30プリウス#ハイブリッドシステムチェック pic.twitter.com/xR7DTnDzEp— きんちゃん (@kinchan1102) February 8, 2022
決して安くない金額なので、無駄にしないよう正しく見極めたいところです。
コスト面ではなく危険が潜んでいる場合もあります。
冠水・浸水したHV車は非常に危険
大雨のような水害で冠水した車には感電やショートによる火災のリスクがありますが、なかでも高電圧のバッテリーを搭載しているHV車は危険が大きく国土交通省からも注意喚起がされています。
「浸水・冠水被害を受けた車両の対処方法」
1.自分でエンジンをかけない。
2.使用したい場合には、お買い求めの販売店もしくは、最寄りの整備工場にご相談下さい。特に、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)は、高電圧のバッテリーを搭載していますので、むやみに触らないで下さい。
3.なお、使用するまでの間、発火するおそれがありますので、バッテリーのマイナス側のターミナルを外して下さい。
エンジンをかけてはいけないのですが、まれにそのまま走らせるつわものもいるようです。
ダンナの知りあいの息子さんが、仕事中に水没したハイブリッド車がエンジンかかったからそのまま乗って帰宅したとのこと。怖い。
水没具合にもよりますが、とりあえずディーラーさんに確認した方がよいです。ハイブリッド部分はディーラーでも電気工事士免許がないと触れないそうです。— かちゃ (@ko_kacha) July 8, 2018
もしこのまま中古車販売店やオークションで出品されると、見た目では判断できず購入してしまうかもしれません。
最近はブドウで忙しいけど他の悲しいことで気分がすごく落ちてしまってツイッターを使う気持ちが無かった
😣
中古の初めてハイブリッド車を店で買ったすごく喜んだけどサギされた😢
買った時は嘘で完全に問題ないって言われたけど雨が降ったら水がハイブリッドバッテリーまで流れて壊れた
泣きたい😢— 🅰️NGELO 🇮🇹 🎄 (@Angelo_APK) October 1, 2020
この方の購入した中古ハイブリッド車が浸水車だったかどうかはわかりませんが、「詐欺だ」と感じるような状態の悪い車を買わないためには、信頼できる店で車を見極めて選ばなければなりません。
リスクを回避しハイブリッド中古車を買うための注意点
すぐに壊れるような中古車を買わないためには、次のようなポイントに注意しましょう。
車のコンディション確認も大切ですが、まずは情報を正しく開示する誠意ある販売店を選ぶことが重要です。
デメリットも開示する信頼できる団体加盟の販売店を選ぶ
中古車は1台ずつ状態が異なるため、それぞれの状態を正しく把握して開示している良識ある販売店で購入しましょう。
- 実際の車を見られる(展示場がある)
- 展示場や車がきれいに保たれている
- 整備のノウハウがある
- 自宅に近い
- 自動車販売に関係する団体に加盟している
自動車販売に関係する各団体は、公正取引委員会監視のもとで活動する「一般社団法人自動車公正取引協議会(公取協)」に加盟しており、中古車販売時に必要な情報を提示するルールが定められています。
有利な情報だけでなく故障・修理歴のような不利益なデータも明示されているので、よく見て不明な点は尋ねれば、車の状態を把握できるはずです。
ハイブリッド車の場合、特に走行距離のチェックは欠かせません。
走行距離と初回登録日を確認する
駆動用バッテリーの修理にお金がかからないようにしたければ、走行距離と新車時の登録日は大きな目安の一つになります。
劣化具合は車の使用状況により異なりますが、各メーカーで保証期間があるからです。
メーカー | 走行距離 保証期間(新車登録日から) |
---|---|
トヨタ | 10万kmまで 5年 |
ホンダ | |
三菱 (アウトランダー PHEV22年型以降) |
16万kmまで 8年 |
距離・登録からの年数ともに条件に当てはまるなら、仮に購入後すぐにバッテリーがダメになっても、メーカーの保障を受けられる可能性がありますね。
保障条件を満たしていない車の場合は、販売店にバッテリーの状態を尋ねるのもひとつの手です。
駆動用バッテリーの劣化状況を確認する
駆動用バッテリーの状態は見た目では判断できませんが、販売店に聞けばわかる可能性があります。
※ Δ(デルタ)SOCの数値を訪ねる
・正常値:20%未満
・要注意:20~40%
・危険値:40%以上
こちらの動画でもわかりやすく解説されていますよ。
販売店に整備士が常駐しているかどうかですぐに回答を得られるかどうかが変わるかもしれませんが、対応の様子も参考になりそうですね。
そのほか明らかに長期間放置された車も、バッテリーの状態が悪くなっている可能性があります。
長く放置された車は買ってはいけない|バッテリー劣化の恐れあり
ハイブリッド車に載っている駆動用バッテリーは、車を走らせることで充電され性能が保たれるので、長期間動かされた形跡のない車は要注意です。
汚れや埃が積もっていて、明らかに長期間乗られていない車はバッテリーが劣化している可能性があるので慎重に検討しましょう。
車にはタイヤの状態も重要なので、詳しく解説しているこちらの記事も参考にしてください。
同時にこの記事も読まれています
デメリットが多いなんてハイブリッドの中古はどうなの?と思う人もいるかもしれませんが、上手に選べばメリットもあります。
ハイブリッドの中古車購入にはメリットもある
修理費用の心配をクリアすれば、ハイブリッド中古車はコスト面でのメリットがあります。
税金が安くなる | ・自動車重量税:免税の可能性 ・自動車税:減税の可能性 (プラグインハイブリッドの場合) |
---|---|
ガソリン代が安い | 燃費がいい |
年によって条件は異なりますが、ハイブリッド車はエコカー減税の対象となる可能性が高いです。
重量税・自動車税の減税が受けられる可能性がある
排出ガスや燃費性能に優れた車には減税措置があり、新しいハイブリッド車の場合対象になる可能性があります。
減税条件は閣議決定により更新されるので年次によって異なりますが、たとえば2023年4月までの措置は次の通りです。
税金の種類 | 条件 | 減税内容 |
---|---|---|
自動車重量税 (※3) |
・新車新規登録: 2021/5/1~2023/4/30 ・令和12年度燃費基準 を120%以上達成 |
初回継続検査時 の分を免税 |
自動車税 (※4) |
・新車新規登録: 2021/4/1~2023/3/31 ・電気自動車や プラグイン ハイブリッド車 |
翌年度分を 約75%減税 |
新車登録から1~2年の新しい車は対象になるかもしれないので、最新の税制を確認しながら検討してください。
長期的にみると燃費の良さも大きな魅力です。
燃費がいいのでランニングコストが抑えられる
ハイブリッド車はガソリン車よりも燃費がいいため、同じ量のガソリンで長い距離を走行できます。
ホンダ・VEZELのカタログ値で比較してみましょう。
ガソリン車 | e:HEV X | |
---|---|---|
カタログ値 | 約17km/L | 約25km/L |
30Lでの走行距離 | 約510km | 約750km |
走る頻度や距離を考慮して、自分の乗り方に合う車を選びましょう。
結論|古すぎるハイブリッド中古車はやめたほうがいい
- 駆動用バッテリーが劣化すると交換費用が高額
- 水没したHV車は感電の危険がある
- 各種団体加盟の信頼できる販売店で購入する方がいい
- 走行距離・年式・バッテリー劣化状況を確認する
- 新しいと減税対象の可能性もある
ハイブリッド中古車は状態の差が大きいので、情報をプライスカードに表示している自動車公正取引協議会加盟団体に所属した販売店での購入がおすすめです。
ハイブリッド車専用の駆動用バッテリーは交換費用が高額なので、メーカー保証期間内かどうかや劣化状況を確認するといいでしょう。
新しい車体は次回の税金が免税・減税になったり、燃費がよくガソリン代が抑えられたりするので、よく吟味していい状態の車を見つけられるといいですね。