【執筆者:管理栄養士 鳥越菜生】
魚肉ソーセージが健康に悪いと言われるのは、食べ過ぎるとカロリー・糖質や塩分の摂り過ぎにより、体に悪い影響が出る可能性があるからです。
また加工の際に添加物を使用する場合が多いため、摂取による危険性を心配する人が多いことも理由のひとつになっています。
しかし名前の通り魚肉が原料なので魚のタンパク質やDHA・EPAなど栄養が豊富で、そのままでも食べられて常備用にも人気です。
そこでこの記事では、美味しい魚肉ソーセージを安心して食べるために知っておきたい、次の項目についてご紹介します。
魚肉ソーセージのこと
- 健康に悪いと言われる理由
- 食べ過ぎた場合の体に悪い影響
- 毎日食べるときの適量と注意点
- おもな栄養素と体へのメリット
食べ続けると食品添加物のリスクがあるのかについても解説するので、魚肉ソーセージ好きで毎日食べるという人もぜひ参考にしてください。
目次
魚肉ソーセージの食べ過ぎは体に悪い|塩分や糖質に注意
魚肉ソーセージは食べ過ぎると糖質や塩分の摂り過ぎになり、肥満や生活習慣病の原因になるおそれがあることから、健康に悪いと言われることがあります。
そのほか商品によっていろいろな添加物を使用しており、摂取のリスクが懸念されることも、体に悪いと言われる要因です。
肥満 生活習慣病 |
カロリー・糖質の摂り過ぎ 塩分の過剰摂取 |
---|---|
添加物のリスク | 多量摂取で 摂取許容量を超える ※通常は問題なし |
魚肉ソーセージを安心して食べるために、体に悪影響となりうる原因を知っておきましょう。
食べ過ぎるとカロリー・糖質の摂り過ぎで太る可能性もある
魚肉ソーセージは食べ過ぎればカロリー・糖質の過剰摂取により、太るだけでなく生活習慣病の原因になる可能性もあります。
栄養成分 | 魚肉ソーセージ | 畜肉ウインナー |
---|---|---|
カロリー (kcal) |
158 | 319 |
糖質 (g) |
12.6 | 3.3 |
塩分 (g) |
2.1 | 1.9 |
タンパク質 (g) |
11.5 | 11.5 |
脂質 (g) |
7.2 | 30.6 |
魚肉ソーセージは1本18・50・65・75gなどいろいろな容量があり、何本かセットになっている商品が多いです。
畜肉ウインナーに比べて低カロリー・低脂質ですが、味付けの砂糖やつなぎ(結着材)のでん紛により糖質が多いので、食べ過ぎないよう注意が必要です。
エネルギー源に使われる分より過剰な糖は、グリコーゲンという塊や脂肪に変えて蓄えられるため、肥満や生活習慣病の原因になるのです。
魚肉ソーセージを多量に食べると、塩分の過剰摂取による悪影響を引き起こす危険性もあります。
塩分の過剰摂取になり生活習慣病の危険性が増す
魚肉ソーセージは塩分含量が多く、食べ過ぎれば高血圧をはじめ動脈硬化や脳卒中などの原因になることも、健康に悪いと言われる理由です。
原料の魚に含まれる塩分に調味料の食塩も加わり、魚肉ソーセージ100g中には2.1g(食塩換算)の塩分が含まれます。
塩分摂取量が多いと高血圧のリスクが高まり、さまざまな疾患に繋がりやすいので、健康維持のため減塩が推奨されています。
男性:7.5g未満
女性:6.5g未満
しかし現状では目標値より摂取量が上回っている人が多いため、塩分の摂り過ぎには注意しなければなりません。
同時にこの記事も読まれています
塩分だけでなく、添加物が含まれる加工食品なので、食べ続けることで体に悪影響があるのではと不安な人も多いようです。
添加物の摂取によるリスクが心配される
魚肉ソーセージには製造時に添加物を使用する場合が多く、摂取によるリスクが気になることも健康に悪いと言われる理由です。
食品添加物は食品の香り・色・食感を良くし、傷みや食中毒を予防する目的で使われ、風味と安全性を守るために必要な場合もあるのです。
同時にこの記事も読まれています
食品には食品添加物として許可されたもののみが使われるので、通常では健康を害する心配はありません。(※3)
食品添加物は消費者の健康を損なうおそれがないことが必須条件なので、安全試験により毒性調査もされ、発がん性が疑われるものが許可されることはありません。
添加物の使用基準は食品衛生法に基づき、それぞれの1日摂取許容量(ADI)を十分に下回るよう、厚生労働省により設定されています。
添加物には化学合成物だけでなく天然添加物も含まれ、着色料にトマトから抽出したリコピンやクチナシ色素を使った商品もありますよ。
魚肉ソーセージを食べて体に悪い影響が出ないように、気を付けたいポイントや1日何本までが適量かも確認しておきましょう。
健康に悪い影響を出さない方法と毎日食べるときの適量
魚肉ソーセージを食べてデメリットを避けるには、表示の原材料欄や栄養成分値をチェックして選び、食べ過ぎないことが大切です。
肥満 生活習慣病 |
適量を守る 食べるタイミングに注意 減塩調理を工夫 |
---|---|
添加物のリスク | 適量を守る 加工食品の多用を避ける 記載の原材料欄をチェックする 無添加の商品を選ぶ |
間食として食べる場合は、塩分摂取量から考えると1本60g前後の商品なら1本、18~20gくらいの商品なら2~3本までが適量目安です。
塩分を約50%カットした減塩タイプもありますよ。
添加物をなるべく摂取したくない人は、記載の原材料欄から添加物の種類をチェックし、なるべく少ない商品や無添加タイプを選ぶと良いですね。
化学合成された添加物をできる限り不使用にした商品もあるので、ぜひチェックしてみてください。
魚肉ソーセージは食べ過ぎないようにすれば体に悪いわけではなく、健康に役立つメリットも期待できますよ。
魚肉ソーセージの栄養と健康に役立つメリット | トクホも人気
魚肉ソーセージには魚のタンパク質やカルシウムのほか、血中コレステロールを減らすはたらきのある不飽和脂肪酸も含まれています。
しかし医薬品のように病気に対する効果・効能が認められたものではないため、食品として適量で活用しましょう。
タンパク質 | 体の成分を作る材料になる |
---|---|
DHA (ドコサヘキサエン酸) EPA (イコサペンタエン酸) |
LDLコレステロールを減らす 高い血圧を下げて正常に保つ |
カルシウム | 骨や歯を作る材料になる 体の機能を正常に保つ |
ビタミン | 体の機能を正常に保つ |
適量で食べるとデメリットを防げるだけでなく、栄養成分により体に良いはたらきを期待できますよ。
魚油に含まれるDHA・EPAが摂れる
魚肉ソーセージは魚の豊富な栄養成分を摂取できるうえ、魚油に特有の多価不飽和脂肪酸であるDHAやEPAによる健康に良い効果が期待できます。
DHA・EPAは血中LDLコレステロールを減らし、動脈硬化・血栓の予防や高血圧の改善など、さまざまなはたらきをしますが、体内ではほとんど作られません。(※4)
原料には白身のタラが主流ですが、特にDHA・EPAの効果を期待する場合は、含有量の多いアジ・イワシ・サバなどの青魚を使った商品がおすすめです。
機能性表示食品:体の生理機能を整える作用を持つ成分を含み、健康維持・増進に役立つ旨の表示を、事業者の責任で届け出たうえで許可された食品
魚肉ソーセージには、原料の魚に含まれるうえにカルシウム剤を配合している場合も多く、牛乳が苦手な人のカルシウム補給源にもおすすめです。
食べ過ぎに気を付けて、魚肉ソーセージの栄養と美味しさを上手に活用しましょう。
結論|魚肉ソーセージは適量なら健康に悪いわけではない
- 食べ過ぎると糖質の摂り過ぎで太る可能性あり
- 塩分を多く含むため摂取量に注意
- 間食には1日60g前後までが適量
- タンパク質やカルシウムのほかDHA・EPAも摂れる
- 適量なら悪影響は避けられ健康に良い効果も期待できる
魚肉ソーセージは畜肉製のウインナーと比べるとカロリーは半分程度で低脂肪ですが、糖質や塩分を多く含むため過剰摂取に注意が必要です。
しかし魚の栄養が豊富で、血中コレステロールの低下や脳機能の活性化などのはたらきを持つDHAやEPAも摂取できます。
トクホや無添加タイプのほか魚の種類にこだわった商品もあるので、適量でデメリットを防ぎ、上手に活用しましょう。