【執筆者:編集部 山上由利子】
ミョウバンが体に悪いとされるのは、アルミニウムが含まれており多量に摂取すると体への影響が心配されるからです。
アルミニウムは動物実験では多量投与すると毒性があることが確認されています。
アルミニウム自体は土壌・水・空気中に多く存在し、農作物や水産物などを食べることで毎日摂取している物質ですが、摂取量としてはミョウバンからのものが大半を占めます。
そこでこの記事ではミョウバンを安全に使用するために押さえておきたい事柄を紹介します。
ミョウバンのこと
- ミョウバンのメリット・デメリット
- アルミニウムの毒性はどの程度か
- アルミニウムとアルツハイマーとの関連性はあるか
- 適切な使い方
ミョウバンは制汗剤など化粧品にも使われているため、肌にとって危険はないか気になりますね。
後半ではアルミフリーの商品も紹介していますので、ぜひ最後まで読んでくださいね ♪
目次
ミョウバンが体に悪いわけではない|アルミニウムの摂取量が問題
ミョウバンが体に悪いとされるのは、アルミニウム化合物であるためアルミニウムの過剰摂取による毒性が懸念されるからです。
毒性 (動物実験で) |
腎臓への影響 握力の低下 |
---|---|
関連の疑い | アルツハイマー病 乳がん |
ミョウバンにはおもに硫酸アルミニウムアンモニウムや硫酸アンモニウムカリウムがありますが、一般的にミョウバンといえば硫酸アルミニウムカリウムのことを指します。
ミョウバンを加熱脱水したものは焼きミョウバンと呼ばれ、スーパーなどで塩の近くに陳列されています。
昭和23年に食品添加物に指定されているほか、口腔粘膜の収れんや止汗・防臭として医薬品にも使用されており、適切に使用すれば毒性はありません。
しかし、動物実験でアルミニウム化合物を多量に投与した場合に毒性が出たため、総量としてのアルミニウムの摂取量に注意が喚起されるようになりました。(※1)
ミョウバンの用途と使用基準が改正された理由
ミョウバンは古くから知られており、さまざまな用途に使われています。
食品添加物 | 膨張剤 | 炭酸ガスを発生させる |
---|---|---|
色止め剤 | 漬物の色落ち防止 | |
形状安定剤 | 煮崩れ防止 | |
品質安定剤 | 歯ごたえをよくする | |
化粧品 | 制汗剤 | 止汗、防臭 |
医薬品 | 止血剤、うがい薬 | 収れん作用 |
炭酸ガスの発生量・風味・風合いなどの点で膨張剤として有用な添加物であり、特にパン・菓子類に多く使われています。
日本ではミョウバンは健康に悪影響はないとの認識でADI(許容1日摂取量)は設定されていませんが、JECFA(食品の安全評価をする国際機関)ではアルミニウムとしてPTWI(暫定耐容週間摂量)2mg/kg体重/週を設定しています。(※2)
アルミニウム摂取の由来を調べると大半はミョウバンからであり、パン・菓子類からの摂取が多いことからミョウバンの使用基準が改正されました。
ミョウバンの使用量は、パン・菓子類1kgにつきアルミニウムとして0.1g以下に制限
改正後は基準値を超えていた小児のアルミニウム摂取量の推計値が1.598mg/kg体重/週であることが確認されました。(※4)
厚生労働省は、改正後の食品などに由来するアルミニウムの摂取量のほか、アルミニウム製器具・容器からの溶出や水道水に含まれるアルミニウムの影響も考慮して、総摂取量の平均を推計しています。
- 小児(1~6歳):1.2
- 国民全体:0.69
いまのところミョウバンを含めアルミニウムの経口摂取量については基準値の2mg/kg体重/週以下なので安全が確認されていますが、経口以外の摂取では安全性が気になります。
ミョウバンは皮膚からも吸収される|肌に傷があると要注意
ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)によると、アルミニウムを含む制汗剤を使用した場合、肌からの吸収量は食品などから吸収される量に近い可能性があるそうです。
カミソリで剃った直後は皮膚に小さなキズが付いている場合があり、成分が血液中に直接入る可能性があるので注意が必要です。
ミョウバンは安価なため多くの食品・製品に使われているので、アルミニウムの毒性について正しく理解しておく必要があります。
アルミニウムの体への影響|危険性の程度
アルミニウムはどこにでも存在し、あらゆる食べ物にも含まれているため、総摂取量には注意する必要があります。
健康な人では基準値を超えるアルミニウムを摂っても健康に影響はないとされています。
しかし吸収後、骨などに分布した場合は蓄積する可能性があるので、長期的な影響を見ることも重要です。
とくに腎臓機能に障害がある人はアルミニウムを尿としてうまく排泄できないため、アルミニウムが蓄積しやすいので注意が必要です。
一時期、アルミニウムとアルツハイマーに関連があるような情報がありましたが、JECFA(食品の安全評価をする国際機構)や食品安全委員会が検討した結果、関連性を証明する情報は認められないと結論付けました。(※4)
また、乳がん女性の切除した組織からアルミニウムが検出されたことで、制汗剤のアルミニウムと乳がんの関連が話題になりましたが、NCI(アメリカ国立がん研究所)は関連を裏付ける証拠はないとしています。
ミョウバン自体に毒性はありませんが、アルミニウム摂取量の大半を占めるため、過剰摂取には気を付けるようこころがけましょう。
ミョウバンの体への影響を考えた適切な使い方
ミョウバンは食品の風味・色合いをよくしたり、止汗・防臭のメリットがありますが、アルミニウムの摂取量を増やしてしまうというデメリットがあります。
アルミニウムはどんなものから摂取されているのか、使用基準改正後の厚生労働省が推計したデータがあります。
由来 | 小児(1~6歳) | 国民全体 |
---|---|---|
パン・菓子類に使われる ミョウバン |
11.096 | 10.249 |
パン・菓子類以外に 使われるミョウバン |
2.873 | 14.531 |
着色料 | 0.077 | 0.077 |
未加工品 | 1.176 | 2.590 |
アルミニウム製器具・容器 | 1.939 | 43.990 |
水道水 | 1.4 | 2.8 |
合計 | 20.500 | 38.227 |
mg/kg体重/週に換算 (小児体重16.5kg 国民全体55.1kgとして) |
(1.2) | (0.69) |
引用元:食品安全委員会 添加物評価書 硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム
アルミニウム摂取のうち、ミョウバンが大半を占めることがわかります。
ミョウバンの摂取量を減らす方法
市販品は見た目などの商品価値を上げるためにミョウバンを使用していることが多いです。
普段食べる分で見た目にこだわる必要がない物は、アルミフリーの材料で手作りすればかなり摂取を抑えられます。
ミョウバンを多く含む食品としてはパン・菓子類・漬物が挙げられます。
小児の食べる頻度・量を考慮してアルミニウム摂取量(推定)が多かった食品は以下の通りです。
- ケーキドーナッツ
- ソフトビスケット
- ショートケーキ
- ホットケーキ
昭和産業・日清製粉ウェルナ・森永製菓のケーキミックスはアルミフリーと謳っていませんが、膨張剤にミョウバンを使用していないので安心して使えます。
市販の漬物では塩漬けよりぬか漬けのほうがアルミニウムの摂取量は少なくなります。
できれば漬物も、多少色合いが悪くてもミョウバンなしで作ることをおすすめします。
ミョウバンは多くの化粧品に使用されていますが、ミョウバン以外のアルミニウム化合物も発色や制汗目的で使用されていることが多いです。
その点、オーガニック製品ならアルミフリーです。
ミョウバンはアンモニア臭に有効なため、デオドラントスプレーとして手作りしている人もいます。
インスタライヴで教えてもらった「tany water」 ミョウバン水。試してみて消臭効果あったら安上がり💰️ pic.twitter.com/WuOZKKrtbR
— こうどうしょく (@xAQYUyHoeIq9urr) October 23, 2022
くれぐれも使い過ぎには気を付けましょう。
ミョウバンは添加物としてのメリットもありますが、摂取量を抑え上手に活用したいものです。
食品添加物についてもっと知りたい人はこちらの記事も参考にしてくださいね ♪
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結論|ミョウバンは体に悪いわけではないが摂取量は抑えよう
- 適量であれば毒性はない
- 食品添加物・医薬品として使われている
- 動物実験でアルミニウムの毒性が確認されている
- アルミニウムとアルツハイマーの関連は証明されていない
- 不必要は使用はなるべく抑える
ミョウバンは添加物としてメリットがある一方で、使い過ぎるとアルミニウムの摂取量が増えるというデメリットがあります。
アルミニウムの摂取量は今のところ許容量を下回っているので、過度に心配する必要はありませんが、ミョウバンを含んだパン・菓子類・漬物の多ベ過ぎや制汗剤の使い過ぎには注意しましょうね ♪