【執筆者:編集部 宇野山萌】
三温糖は強い甘みから体に悪いとか、「糖」の名前から糖尿病の原因になるとか思われることがありますが、よほど摂り過ぎなければ危険はないと考えられます。
しかし肥満や虫歯とかかわりがあるのも事実です。
三温糖をうまく使いこなすために、リスクだけでなく特徴やメリット、他の砂糖との違いについて調べたことを次のようにまとめます。
三温糖のこと
- 体に悪いのかどうか
- どのような危険があるのか
- ほかの砂糖との違い
- 特徴やメリットと合う食べ方
三温糖を使ってみたいけど、なんとなくほかの砂糖と違うのではないかと不安で手が出ない人もいるのではないでしょうか。
どんな料理に合うかも紹介するので、ぜひ三温糖をキッチンに取り入れてくださいね。
目次
三温糖は体に悪い食品ではない | 摂り過ぎで害や危険はあるのか
三温糖のような砂糖は糖尿病の原因になると思われたり、食べ過ぎると虫歯になるから体に悪いと思われたりすることがあります。
しかしどれも三温糖だけが直接の原因とは考えにくく、普段の食事でリスクを伴うわけではありません。
高血圧 胃腸障害など |
ミネラルの過剰摂取 ※基本的に心配ない |
---|---|
糖尿病 | 三温糖の摂り過ぎで 糖尿病を発症するわけではない ※患者は糖質の量には注意が必要 |
肥満 | 糖質の摂り過ぎは肥満につながる ※基本的に心配ない |
虫歯 | 糖は虫歯の原因のひとつ ※ほかの原因と合わさると要注意 |
三温糖は色や風味に特徴がありますが、ほかの砂糖より体に悪い影響を与えるほど、大きな差があるわけではありません。
白砂糖よりミネラルは豊富だが害があるほどではない
三温糖は白砂糖と比較するとミネラル分を豊富に含んでいますが、健康状態に影響を及ぼすほどではありません。
三温糖 | 白砂糖 | 黒糖 | |
---|---|---|---|
ナトリウム | 7 | 1 | 27 |
カリウム | 13 | 2 | 1100 |
カルシウム | 6 | 1 | 240 |
マグネシウム | 2 | ー | 31 |
ナトリウムは高血圧、カリウムなら高カリウム血症を起こすなど、ミネラル分の過剰摂取には健康を害するリスクがあります。(※1)
三温糖は白砂糖より成分を多く含んでいますが、過剰摂取になるほどではありません。
- ナトリウム:600mg(必要量)
- カリウム:2500mg(目標量)
- カルシウム:800mg程度(推奨量)
- マグネシウム:350mg程度(推奨量)
ミネラル分はほかの食品からも摂取していることを加味しても、かなりの量を食べなければ目安量に到達しないことがわかりますね。
三温糖の摂り過ぎで糖尿病にはなりませんが、発症している場合食事バランスには注意が必要です。
砂糖は糖尿病の原因ではない | 患者はバランスの良い食事を
三温糖を含む砂糖が糖尿病を引き起こすわけではありませんが、糖質が高い食品なので患者は注意が必要です。
糖尿病とは(※2)
糖尿病は食事によって上がった血糖値を抑えるインスリンというホルモンが不足したり働きが悪かったりして、高血圧状態が続く病気です。生まれつきインスリンが少ない1型糖尿病と、機能が弱い2型糖尿病があります。
三温糖に含まれる成分のほとんど(100g中99g)をしめる糖質は、血糖値を上昇させる主な原因です。(※3)
糖尿病を患っていると糖質摂取量を制限するための食事療法をおこなうことがあり、砂糖類も対象になる可能性があります。
糖尿病の原因にはなりませんが、三温糖は肥満や虫歯の原因の一つにはなります。
肥満・虫歯の原因の一つだが直結するわけではない
三温糖や白砂糖などはカロリーが高いので、摂り過ぎれば肥満につながる可能性はあります。
おなじく糖は虫歯菌の栄養となるので、虫歯発症の原因の一つなのは事実です。
しかしどちらも三温糖だけが影響するのではなく、ほかの原因と重なって起こることを理解しなければなりません。
肥満 | ・食べ過ぎ ・運動不足 ・アルコールの摂り過ぎ |
---|---|
虫歯 | ・糖が含まれるものを食べる ・口の中に糖が長く残っている ・何度も飲食する |
糖を含むお菓子やジュースを、量や回数を考えずたくさんダラダラ食べると、肥満や虫歯につながるおそれがあります。
健康のためにはバランスのいい食生活と、規則正しい生活が大切ですね。
砂糖類の体への影響は、こちらの記事でも詳しく解説していますよ。
詳しくはこの記事をチェック!
三温糖は食べ過ぎなければ悪いものではないとわかりましたが、白い砂糖との違いがわからないとうまく使いこなせませんね。
作り方の違いや成分の特徴を確認して、正しく使い分けられるようになりましょう。
三温糖は白砂糖や黒糖とどう違うのか | 特徴やメリットとは
三温糖はサトウキビやてんさいなどの原料を絞った汁から、結晶のみを取り出して作る「精製糖」で、それに対して黒糖のように絞り汁そのものを煮詰めて作るものは「含蜜糖」と呼びます。
分類 | 砂糖の名前 | 特徴 | |
---|---|---|---|
精製糖 (分蜜糖) |
車糖 | 三温糖 | ・しっとり ・甘味が強い ・コクがある |
白砂糖 (上白糖) |
・しっとり ・甘味が強い ・あっさり |
||
ざらめ糖 | ・グラニュー糖 ・白ざら糖 ・中ざら糖 |
・さらさら ・粒が大きめ |
|
含蜜糖 | ・黒糖 ・加工黒砂糖 ・てんさい糖 ・きび砂糖 ・カエデ糖 など |
・原料特有の 風味が生きる ・味わいが深い ・栄養成分が豊富 |
家庭の調味料として使われることが多い上白糖と三温糖では、どのような違いがあるのでしょうか。
上白糖と比較して体にいいのはどちらか | 原料は同じ
三温糖は上白糖と基本的に同じ原料・製法で作られ、加熱により起こるメイラード反応か、カラメル色素の添加によって茶色になっています。
メイラード反応とは
加熱によって糖とアミノ酸が反応し、褐色の「メラノイジン」が作り出されることです。メイラード反応を起こすと香ばしくなりコクが増します。
成分量の表で紹介した通り、三温糖の方が若干ミネラル分が多く含まれていますが、体調に大きく作用するほどではありません。
毎日の食事に使う砂糖から効果的にミネラルを摂りたいと考えるなら、含蜜糖である黒糖やてんさい糖がおすすめです。
黒糖は独特の味や香りが主張しますが、てんさい糖やきび砂糖はクセが少ないので使いやすいですよ。
▼てんさい糖
▼きび砂糖
成分はほとんど変わりませんが三温糖は風味に特徴があるので、上手に使いこなしましょう。
特徴を生かせる使い方
三温糖は香ばしい風味とコクがあるので、次のような料理や使い方がおすすめです。
- 照り焼き
- 煮物
- 佃煮
- すき焼き
- コーヒー
- 紅茶
こってりした甘辛い味付けや、和食の煮物全般を味わい豊かに仕上げられます。
またカラメルにより香ばしい香りも感じられるので、コーヒーや紅茶に入れても美味しいですよ。
これを機に挑戦しようと思う人は、通販でも購入できるので試してみてくださいね。
意外にどんな料理にでも使えるので、無駄なく食べ切ってくださいね。
三温糖は体に悪いわけではないのでうまく取り入れよう
- 極端に摂り過ぎなければ体に悪いわけではない
- 糖尿病の原因ではないが患者は糖質の摂り過ぎに注意
- 三温糖だけが肥満や虫歯の原因になるわけではない
- コクが深く甘みを感じやすい
- 煮物や甘辛い味付けによく合う
三温糖は砂糖の一種なので肥満や虫歯の一因ではありますが、それ以上に生活習慣が大きくかかわります。
白い上白糖と比べると少しミネラル分が多めですが、良くも悪くも健康に影響を及ぼすほどではありません。
しかし最後に加熱やカラメル添加して作られる三温糖は、上白糖より深いコクが味わえます。
煮物や照り焼き・コーヒーによく合うので、風味を生かして美味しく使いましょう♪