私は一昔前に高額な料金を支払ってNTTの電話加入権を得たのですが、最近は固定電話をほとんど使わずに携帯電話ばかり使っているので
いっそのこと固定電話を解約をしたら返金されるのではないかと思っていましたが、どうやら電話加入権は返金されないようなのです。
固定電話の『電話加入権』は、1つの財産として認識されていたはずなのですが、なぜ返金されないのか、腑に落ちませんよね。
そこで電話加入権を解約しても返金されない理由や、解約するよりも良い方法を徹底的に調べてみました。
私が電話加入権を得たのは、数十年も昔なのですっかり忘れていましたが、けっこうな金額をNTT(その当時は電電公社でしたが)に払いました。
最近は固定電話の必要性があまり無いので電話加入権を解約をしようかと思っていたのですが、支払ったお金は返金してもらえないことがわかってショックを受けました。
今回は電話加入権が返金されない理由など、電話加入権を解約する前に知っておきたいポイントを以下の項目を中心に詳しく解説します。
- NTTの電話加入権料は解約しても、返金してもらえない!
- 解約前に休止を検討してみよう!10年間加入権を預かってもらえる
- NTT固定電話回線の加入権は譲渡できる!手続きや料金は?
- 電話加入権を売る方法があるの?詳細について調べてみた!
- NTTによる電話加入権詐欺って、どのような事件だったの?
以上についてお話していきますので、私のように電話加入権の解約を考えている人や気になっている人も一緒に考えてみましょうね。
目次
NTTの電話加入権料は解約しても、返金してもらえない?
NTTの固定電話を解約する理由はいろいろありますが、解約をすると契約時に支払った電話加入権料を返金してもらえると思っている私のような人は多いと思います。
NTTの固定電話を設置する際には、高額な電話加入権料が必要だった時代もあるため、解約すると返金されるのではないかと考える人が多いのも当然です。
ところが、電話加入権料はそう簡単に返金されるものではないようなのです。
電話加入権そのものは、今も昔も返金されない
電話加入権とは、固定電話の回線をNTTと契約する時に必要になる権利のことで、施設設置負担金を払うとその電話加入権を得られるという一連の流れをまとめた言葉です。
その施設設置負担金は、電話回線建設費の一部であるだけで、権利ではなく、財産的価値までは保証されていないのです。
結果、返金する制度自体がないということです。
最近は、”いえ電”、家の固定電話を設置している人がほんとに少なくなりました。
その理由の一つに、電話加入権つまり施設設置負担金が高額だという理由もあるのだと考えられます。
結婚した長男も連絡は携帯電話のみ。昭和人間の私としては、少し物足りなさを感じてしまいますが、これも時代の流れなのでしょうね。(こういう言い方が昭和ですね)
電話加入権の売買は可能だが価値はない!
10年以上前までは約72000円だったNTTの固定電話施設設置負担金は、現在36000円(税抜)になりましたが、やはり安い金額ではありません。
電話加入権をNTTで返金してもらえないなら、必要な人に売ることはできるのかと聞かれれば、「イエス」です。
でも、施設設置負担金という名前でもわかるように、電話加入権は電話回線の施設を整えるための負担金なので、全国的に電話網が発達している現代では役割はほぼ終わっていると言えるでしょう。
現在では、施設設置負担金そのものの制度を廃止する方向になっているそうなので、電話加入権の財産的価値はほとんどありません。
仮に電話加入権を買い取ってくれる業者があっても数千円程度でしょう。
10年以上前には、近くの電柱に《電話加入権高価買取》と大きく書いたチラシが貼ってあり、(電話の権利って高く売れるんだ)と思って見ていたことを覚えていますが、そんなチラシは今どこを捜しても見当たらないでしょうね。
電話加入権があれば、施設負担金は無料になる
電話加入権の財産的価値はないのですが、もしも引越し先で固定電話を設置する場合、電話加入権があれば32000円の施設設置負担金は払う必要がありません。
つまり、今後また固定電話を付ける可能性があるならどうせ返金されない加入権なのですから(荷物にもなりません)解約を急ぐことはないのかもしれませんね。
しばらく使用する予定がない電話加入権を解約しない場合はそのまま放っておいてもいいのですが、とりあえず休止手続きをするのもおすすめです。
解約前に休止を検討してみよう!最長10年間は加入権を預かってもらえる
今は必要ないけれど将来的にまた固定電話が必要になるかもしれないと思うなら、電話加入権の解約はひとまず待って電話回線を休止扱いにする方法もあります。
固定電話が必要になることなんてもうないと思っているかもしれませんが、案外考えられるんですよ。
電話回線を休止にしたほうが良い理由
他の電話回線が使えなくなったとき
災害などで電話回線が切断されると電柱の所有権はNTTと電力会社にあるために優先して復旧されるのは、NTT回線なので他の回線は復旧までに時間がかかると予想されます。
子どもが独立した時や親せきや会社設立などで電話が必要になるとき
電話加入権を譲渡して使用できます。譲渡については、あとでお話しますね。
生活環境が変わって、また電話が必要になったとき
引っ越しなどで生活環境が変わる場合にも電話加入権があればすぐに復活できます。
長い人生、何があるかわかりませんから、万一の場合に備えて電話回線を「休止」という方法もいいのではないでしょうか。
電話加入権を休止する方法
電話の利用を休止する場合は、ご利用のNTTへ連絡し手続きをするだけです。
費用は特別な工事がなければ2000円(税別)で済みます。
*もしネットを利用されている場合は、電話が休止扱いになってもネットはそのまま使用できますので安心して下さいね。
再開したい時もNTTに連絡すれば、速やかに工事をしてもらえますが、工事費として2000円(お宅へ訪問が不要な場合・税別)または10000円(お宅へ訪問が必要な場合・税別)ほどかかります。
休止した後に注意すること
電話回線の利用休止手続きをすると、NTTから送られて来るお知らせのハガキは電話加入権をNTTで預かっているという証明書のようなものですので、大切に保管してください。
次に再開する時や譲渡する時にも必要です。
利用休止の期間は5年間なので、5年を過ぎるとNTTから利用休止更新の確認をとるために書類が郵送されてきます。
休止をさらに5年更新(延長)するのなら、必ず申し込みをしてください。延長申込みをしないと解約されてしまいます。
また、回線を再開した時の電話番号は、以前のものと変わりますので、気を付けてください。
電話番号を変更したくないなら、休止ではなく中断を
今までの電話番号に愛着があったり、何か思い入れがあって、次に電話を使用するなら同じ番号がいいと考えているなら利用中断という方法もあります。
利用中断でかかる工事費用は利用休止と同じ2000円、再開費用も2000円または10000円程度で、中断期間は無期限です。
ただし、中断の期間も回線使用料は、支払わなければなりません。
使用していない電話代を払うようなものなので、積極的におすすめはしませんが、休止では困る何かの理由がある場合は、考えられる方法だと思います。
法人が電話加入権を解約した時の会計処理は?
個人が電話加入権を解約する場合は、単純に解約工事費用を払えばそれで終わりです。税務上に何かしらの申告はまず必要ないでしょう。
でも、法人となると結構面倒なことになるようです。
簡単に言ってしまうと電話加入権は『非減価償却資産』(減価償却できない固定資産)ですので、購入価格を貸借対照表の資産の部分に計上します。
使用しない電話を解約しても購入価格は帰ってこないので、損金(費用)として計上したいところですが税法上できません。
大した節税にもならないのに、会計処理は面倒なので、よほどの理由がない限り、法人では電話加入権を解約するという選択はされず、休止扱いにする方が良いと考えられています。
電話加入権の休止扱いについては、お分かりいただけたでしょうか?
次は、子供や知り合いに電話加入権を渡したいという場合に役立つ、電話加入権の譲渡の方法ついてお話していきますね。
NTT固定電話の加入権は譲渡できる。その方法は?
子どもの独立に際して、または親せき・友人が固定電話か必要になってなど、新しく電話回線を開くとなると32000円という無駄な(失礼つい本音が)施設設置負担金を支払わなければなりません。
でも、あなたが使っていない回線があるなら利用しない手はありませんよね。電話加入権を譲渡する側も譲渡される側も無駄な出費を防げるのですから。
電話加入権を譲渡(名義変更)するのは、一種のリサイクルのようなものですね。
電話加入権を譲渡できる条件は?
電話加入権を譲渡するなら、利用中の電話回線ならきちんと使用料を支払っていることが前提ですね。
これは、譲渡された人が未払い分を支払わなければならない為の最低限の配慮です。
休止中の回線なら、休止手続きをした時にNTTから送られてきた電話加入権預かり証明書が必要ですので必ず保管しておいてください。
譲渡は、国内であれば相手がどこに住んでいてもできます。
では、手続き開始です!
電話加入権を譲渡する方法は?
電話加入権譲渡の手続きは、まずNTTに連絡することから始めましょう。
『譲渡承認請求書』と名義変更手続きに関する案内の書類が届きます。または、NTT東日本または西日本の公式サイトからダウンロードします。
下記の必要な書類をNTTへ郵送して譲渡承認手数料(1回線に付き800円)を支払えば、譲渡手続きが実行され、その旨が後日NTTより連絡されて来たら完了です。
譲渡する人
- 印鑑証明書 発行日から3か月以内のもの(コピー不可)
- 印鑑登録された印鑑 譲渡承認請求書に押印します
- 利用休止中なら電話加入権預かり証明書
譲渡される人
- 契約者名と住所が証明できる書類(コピー可)〈運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証・住民基本台帳(顔写真付き)など〉
- 印鑑 譲渡承認請求書に押印します
「譲渡」以外に電話加入権を変更する場合
電話加入権を相続して電話加入権を受け継ぐ「承継」や、結婚などで氏名が変わった場合の「改称」については用意する書類等が異なります。
- 個人が承継:戸籍謄本など死亡の事実または相続関係が確認できる書類と新契約者の印鑑
- 法人が承継:登記謄本など承継関係が確認できる書類と新契約者の印鑑
- 個人が改称:戸籍謄本など名前が変わった事実が確認できる書類と新契約者の印鑑
- 法人が改称:登記謄本など商号が変わった事実が確認できる書類と新契約者の印鑑
手数料については全て無料になります。
ここまでは、電話加入権を所有したままで有効な方法についてお話してきましたが、やはりスッキリと手放したいという人のために、電話加入権の売却についてもお話をしておきますね。
電話加入権を売却する方法を調べてみた!
電話加入権の価値は年々下がり今はほとんどないに等しい状態で、実際個人で売却するとしても2000円程度にしかなりません。
そうわかっていても、少しでも高く買い取ってもらえないかなぁと考えるのが庶民です(私だけ?)。
いろいろ探してみた結果、過去に「平成電電」が起こしていた電話加入権買い取り詐欺の事例があるので注意しなければいけません。
平成電電の電話加入権買い取り詐欺事例
平成電電とは、すでに破産している電気通信事業者です。
NTTの電話加入権を高額で買い取り、割安の固定電話サービスをうたって一時期は2万人以上の顧客を集めましたが、2006年に破産手続きが開始され、のち詐欺容疑で元社長が逮捕されています。
当時すでに価値の下がっていた電話加入権を条件付き最大36000円で買い取り、自社の顧客として囲い込もうとした平成電電の離れ業に、
少しでも資産価値を戻そうとした法人などが食いついてしまったという、いまだによくある詐欺まがいのセールス行為でした。
正直、ほとんど価値のない物に36000円の値段をつけるという時点で「ん?」と首をひねっておかしくないと思いますが、人ってどこか抜けているのでしょうね。というより自分だけは大丈夫という思いがあるのかも。このようなおいしい話はありませんよ。
電話加入権売却ではなく乗り換えでお得になるサービス
電話加入権はそのままで電話会社を乗り換えてもらえれば、電話基本料などがNTTよりお得になる方法があるのでこちらも検討してみてはいかがでしょうか?
代表的なのはソフトバンクの「おとくライン」です。
- 乗り換えに伴う工事費用 初期工事費1,000円+標準工事費100円×60か月
- 基本料金(アナログ) 1級・2級1,350円、3級1,500円
NTT東日本の固定電話は、
- プッシュ回線:1級・2級1,600円、3級1,700円(ライトプランは1級・2級1,850円、3級1,950円)
- ダイヤル回線:1級1,450円、2級1,550円、3級1,700円(ライトプランは1級1,700円・2級1,800円、3級1,950円)
ちなみに、プッシュ回線とダイヤル回線はどちらもアナログ回線ですが、プッシュ回線はダイヤルボタンを押すと「ピポパ」という音が出て、ダイヤル回線は「ジジジ」という音がします。
また、1級から3級とは電話サービス取扱所の違いで、お住まいの地域によって基本料金が変わる仕組みになっています。
例えば、プッシュ回線で3級局の地域に住んでいる人はNTT東日本では毎月1,700円の基本料金ですが、おとくラインに乗り換えると毎月1,500円になるので月々200円お得になります。
ただし初期工事費と標準工事費を合わせると1,000+6,000=7,000円分の元をとるまでには35ヶ月かかるので、3年経つとようやくお得になると言えますね。
電話番号はそのまま変わらず、基本的な電話サービスもほぼ変わらないまま、基本料はお得になりますので、ちょっとうれしいですよね。
ただし、指定されたブロバイダーとしか契約できない点や、一部のチケット予約などの利用ができない点など、デメリットも考慮しなくてはなりません。
また、KDDIもau回線を使ったサービス・ホームプラスや、NTTドコモはドコモ光回線を使用したドコモ光電話を提供していますので、契約している携帯電話会社に合わせて検討してみるのも良いですね。
ここでちょっとブレイクです。せっかくなので電話番号に関する豆知識をお教えします。知っとくとお得な情報ですよ(^_-)-☆
また、それぞれ地元のケーブルテレビ会社には、独自で電話サービスを提供しているところもあり、基本料金はやはりNTTより安く設定しているようですが…。
私の地元京都にもみやびジョンという通信会社が電話サービスも提供していたようですが、今はジェイコムに吸収合併されてなくなりました。
小規模の通信事業会社が生き残るのは、やはり大変なんだと思います(‘_’)
電話加入権を巡りこんなに考えないといけないのは、いったいなぜ?そう思った時にふと考え付いたことは「これってNTTのせい?」
実は、NTTも過去に電話加入権を巡って問題を引き起こしていました。
NTTによる電話加入権詐欺!?いったいどういうこと?
2004年に「NTTの電話加入権(施設負担金)が2011年までに廃止される」とニュースが流れ、“財産”だと思ってきた電話加入権が”紙切れ同然”になるかもしれないと怒りをあらわにした利用者が多くいました。
NTT側は、電話加入権は施設を整えるための一時金であって財産ではないと言っていますが、セールス文句として「資産価値があります」と言ってきた事実がありましたが、よくある詐欺の常套句ですよね。
利用者が怒るのも無理ありません。見逃すわけには行けません。皆さんもこの事実を知っておくことは大事だと思いますよ。
「電話加入権は資産」とアピールしていた事実
実は、NTTのセールスに使用されていた「『じぶん電話宣言』電話はいつまでも大切な自分の財産」だというパンフレットが存在していました。
そう言い切れるのは、利用者がそのパンフレットを保管していたからです。
財産ではないというNTTが、電話が財産だと宣伝していた証拠だと思われても仕方ないですよね。
それを今更何の価値もないとはどういうこと?と怒る利用者の気持ちも理解できます。一部の人は「国家的詐欺」だと言って憤っていました。
電話加入権料変換訴訟も請求が棄却される
戦後電話回線が徐々に引かれ、一般の家にも電話がつけられるようになると、NTTの前身電電公社は、高額の負担金を請求しました。
例えば1968年頃なら30000円、今の価値で10万円以上です。もし払わなければ、電話がつけてもらえないのです。でも電話は財産なのだからと納得してみんな支払ってきました。
以前なら電話加入権を質に入れてお金を貸してもらえることもできたのですから、ほとんどの人の認識は「電話加入権は大切な資産」だということで一致していたのでしょう。
ところが廃止されるなら買い戻してほしいという利用者の声に対し、NTTは全く対応していません。1997年には、加入権料の返還請求訴訟までありましたが、請求は棄却されています。
腑に落ちませんね。こういうことはみんなで注目しておくことが重要です。
大きなことはできなくても「いつも監視しているよ」という空気を持っておくことは、今回に限らず様々な政策に対しても自分たちのために必要なことだと思います。
過去の判例からもわかるように、NTTは電話加入権料の返金には応じてくれないので、解約して丸損になるよりも記事の中で説明した休止または他社の基本料金が安くなるサービスの利用を検討したほうが良いでしょう。
ではもう一つ電話の豆知識を。無言電話って気味悪いですよね。そんな時のために役立つかもしれません。
まとめ
NTTの電話加入権を解約すると返金されるのかという点について、いろいろな選択肢についてお話してきましたが、参考にしていただけましたか?
もう一度簡潔にまとめておきますね。
- 電話の解約をしても、お金は帰ってこない
- 解約前に利用休止・名義変更などの選択もある
- すぐに決められなければ、解約ではなく休止がオススメ
- 万一の災害を考えれば電話加入権は手放さないほうがいいかも
- 固定電話サービスは、多種多様なので自分に合ったものを探してみよう
私も参考にできることが多くありました。無駄な基本料を払い続けるよりとりあえず休止しておけば、何かの時に助かるかもしれません。
もしかしたら、新しい仕事でもしてすごく忙しくなったりしたら、また固定電話が必要になるかもしれませんよね。(⌒∇⌒)
また、自宅に固定電話があるのとないのとでは個人信用情報にも大きく関わるそうで、住宅ローンやクレジットカードなどの審査を受ける際に固定電話があれば個人の信頼性が増すとも言われています。
未来はわかりませんもの。気持ちは大きく持っておきましょう!
皆さんも、結論はすぐに出さず(NTTをあてにせず)自分で考え、じっくり温めてから、判断してみてくださいね。
そしてこの記事がその際の一考のヒントになれば、うれしいです!