【執筆者:編集部 山上由利子】
賞味期限切れの卵でも、ゆで卵にするなど加熱すれば食べられます。
しかし半熟卵など加熱が不十分だったり、保存方法を誤ると、食中毒が起きることがあり注意が必要です。
そこでこの記事では、賞味期限切れの卵でもゆで卵にして安全に美味しく食べ切るために、押さえておきたい事柄をご紹介します。
ゆで卵のこと
- 生食できる期限と賞味期限
- 賞味期限切れ後の卵はいつまでならゆで卵で食べられるか
- 食中毒を予防する方法
- 冷蔵庫で保存するときの注意点
賞味期限切れでも1週間や10日くらいなら加熱して何とか食べるとして、期限切れから2週間や1ヶ月も経ったものはどうしたらいいか悩んでいた人にとって、役に立つ情報です。
後半ではゆで卵のアレンジレシピも紹介しているので、ぜひ最後まで読んでくださいね ♪
目次
賞味期限切れの卵は加熱して食べられる|ゆで卵は加熱時間が重要
卵の賞味期限は安全に生食できる期限を示しており、賞味期限切れでも十分に加熱すれば食べられます。
生食できる期限とは、生で食べても健康を害することなく安全に食べられるという観点から、卵の場合はサルモネラ食中毒を想定して決められています。
生食できるのは、サルモネラ菌が増殖を開始するまでの期間とされ、温度と一定の関係があることがわかっています。
家庭での保存温度は10℃以下を前提として保存温度ごとに日数が割りだされています。
それぞれの季節で平均気温をもとに計算すると、生食できる期限は以下の通りです。
夏期 (平均気温27.5℃として) |
16日以内 |
---|---|
春秋期 (平均気温22.5℃として) |
25日以内 |
冬期 (平均気温10.0℃として) |
57日以内 |
実際には安全性を考えて賞味期限は生食できる期限より短めに設定され、年間を通してパック後14日程度としている事業所が多いようです。
賞味期限切れでも加熱すれば食べられる理由
日本は卵を生食する独自の食文化があり、賞味期限は生食することを前提に設定されています。
生食できる期限は、サルモネラ菌の増殖を目安に決められたもので、卵の品質低下を目安にしているわけではありません。
サルモネラ菌は熱に弱く、75℃以上、1分以上の加熱で死滅します。(※1)
生食できる期限が過ぎてサルモネラ菌が増殖したとしても、しっかり加熱すれば菌は死滅し卵は問題なく食べられるのです。
ただし、ひびが入った卵は雑菌が侵入して傷んでいる可能性があります。
賞味期限内でも生食せず加熱して食べましょう。
ゆで卵の加熱具合|賞味期限切れ1週間後、10日後では半熟卵はNG
サルモネラ菌が死滅する75℃以上、1分以上の加熱とはどのくらいか、ゆで卵の場合固ゆで卵となります。
75℃以上になると卵の黄身は完全に固まるので、半熟卵のように黄身の中心部分が固まっていないものは、75℃に達していないということになります。
半熟卵では加熱不十分となり、サルモネラ菌は生きているおそれがあります。(※3)
賞味期限切れ2週間後の卵は固ゆで卵にすれば食べられる場合がある
日本は卵を生食するので賞味期限は短いですが、海外の場合は加熱して食べるので賞味期限は30日以上が普通のようです。
国内の養鶏業者のコメントを調べてみました。
- 生食用賞味期限は1ヶ月をつけている (ポロニ養鶏場)
- 正常な卵は1ヶ月や2ヶ月では腐らない (篠原養鶏場)
- 一定の低温に保てば3ヶ月は食べられる(養鶏会社落水正商店)
賞味期限切れ2週間とは、賞味期限14日を足せば、パック後28日になります。
海外の賞味期限が約30日であることを考えると、加熱すれば食べられると思われます。
ただし、ひびが入った卵を使用していないことや正しい保存方法を守った場合に限られます。
実際、賞味期限切れ2週間後の卵でゆで卵にして食べた人は多く、SNS上でも食べて異常があった例は見つかりませんでした。
賞味期限切れ2週間のタマゴを、ゆで卵にしたら食べられますかの結果です。さすがに半熟にはせずに、しっかり火を通していただきました。今のところ、問題ありません。みなさん、ありがとうございました^_^ https://t.co/5uRhyUtBg5
— そうたろう🇺🇸 (@SotaroMisawa) May 27, 2020
賞味期限切れ2週間後の卵は固ゆで卵にすれば食べても問題ないと思われますが、それ以上となると卵の品質低下が問題になります。
期限切れ1ヶ月後の卵の場合|腐敗に注意
期限切れ1ヶ月後とはパック後から約44日(30+14)となり、海外の賞味期限を超過しています。
冷蔵庫で何日もつか正確なデータはありません。
SNS上では、賞味期限切れ1ヶ月後の卵をゆで卵にして食べたけど何ともなかったという人もいれば、ダメだったという人もいます。
卵の卵白にはリゾチームという抗菌作用のある酵素が含まれていて一定期間は腐りませんが、時間が経つにつれ抗菌作用は弱まりさまざまな細菌が増殖してきます。
腐敗菌が増殖すると卵は腐ってしまいます。
腐るとどうなるか見分け方は以下の通りです。
見た目 | 白身が緑っぽい蛍光色に変色 |
---|---|
臭い | 強烈な悪臭 |
賞味期限切れに関してはすべて自己責任となるため、卵が傷んでないか状態をよく見て自分で判断することが重要です。
安全に美味しくゆで卵を食べたいなら、なるべく卵の品質を劣化させないよう正しく保存することが大切です。
ゆで卵を安全に食べるには|卵の正しい保存方法とアレンジレシピ
生食できる期限は家庭での保存温度が10℃以下という条件で設定されています。
購入後はなるべく早く冷蔵庫(10℃以下)で保存しましょう。
常温 | NG |
---|---|
冷蔵 | 10℃以下(なるべく温度を一定に保つ) |
冷凍 | 生卵はNG(加熱すればOK) |
市販の卵にはどの商品にも賞味期限のほかに、保存方法・使用方法が表示されています。
- 保存方法:購入後は冷蔵庫(10℃以下)で保存
- 使用方法:生食の場合は賞味期限内
期限経過後は加熱調理しなるべく早めに食べる
必ず表示の通り方法を守りましょう。
保存期間をのばす保存方法|冷蔵庫で保存するときの注意点
ひびが入った卵は雑菌が侵入するので賞味期限内でも傷むおそれがあります。
保存用にはしないで加熱して早めに食べましょう。
- パックのまま保存する
卵には雑菌が付着しているので菌の汚染を防ぐため - 卵の丸い方を上にする
丸い方には気室(空洞)があり、鮮度が落ちて黄身が浮いても殻に触れるのを防ぐことができる
- ドア側には置かない
ドアの開閉の度に振動が伝わりひびが入りやすくなる
温度が上がり傷みやすくなる - 吹き出し口付近には置かない
冷やし過ぎで凍結することがある
ドアの開閉で温度変化が激しいと結露が生じることがあります。
卵の表面には気孔という無数の小さな穴があり、水分と一緒に雑菌も入りやすくなり傷みやすくなるので、ドア側ではなくなるべく奥の方に保存しましょう。
賞味期限切れの卵でもゆで卵で安全に食べるためには、固ゆで卵になるよう十分に加熱する必要があります。
確実に固ゆで卵をつくる方法
季節を問わず、どんな卵でも同じように中までしっかり火を通して固ゆで卵を作るにはコツがあります。
沸騰したお湯に冷蔵庫から出したての卵を静かに入れゆでます。
沸騰をキープするくらいの火力で13分間ゆでたら火を止め、冷水にとってさまします。
加熱すると白身部分の酵素の抗菌作用はなくなるので、ゆで卵は日持ちしません。
殻付きは冷蔵庫での保存期限は2~3日ですが、殻をむいた場合は当日中に食べきりましょう。
一度にたくさんのゆで卵を作って食べきれないようなら、冷凍保存がおすすめです。
ゆで卵の冷凍保存方法|解凍後の活用レシピ
ゆで卵を冷凍すると、白身部分が解凍時にゴムのような食感になり美味しくなくなります。
食感が悪くならないようゆで卵を細かくつぶして、卵1個につき大さじ2程度のマヨネーズを加えてフィリングを作りましょう。
細かくするにはマッシャーがあると便利です。
ラップに包み、チャック付き保存袋にいれて冷凍すれば1ヶ月程度は保存できます。
解凍後は衛生上の観点から、加熱調理することをおすすめします。
卵フィリングはいろいろ料理に使えて便利です。
小松菜の卵フィリングあえ
材料
卵フィリング1個分
鶏がらスープの素:適量
しお:少々
油:適量
- 小松菜(orほうれん草)は3~4cmの長さに切る
- ウィンナー(orベーコン)を適当に切り油で炒める
- 小松菜を加え炒め、しんなりしたら卵フィリングを加えグツグツするまでしっかり火を通す
- 鶏がらスープの素と塩少々を加え味を整え火を止めてできあがり
加熱調理した卵についてもっと詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてくださいね ♪
詳しくはこの記事をチェック!
結論 | 賞味期限切れ2週間後の卵は固ゆで卵ならOKの場合もある
- 賞味期限は生食できる期限のこと
- 賞味期限切れでも加熱すれば食べられる
- 卵はサルモネラ菌食中毒に注意
- 固ゆで卵にすればサルモネラ菌は死滅する
- ゆで卵は細かくつぶせば冷凍しても美味しく食べられる
卵の賞味期限は生食を前提に設定されています。
生食できる期限はサルモネラ菌が増殖を始めるまでの期間とされており、卵が劣化して食用に適さなくなる期間のことではありません。
この記事を読んで卵の賞味期限の意味を正しく理解し、食べられるはずの卵を無駄に廃棄することのないようにしていただければ嬉しいです ♪