【執筆者:管理栄養士 鳥越菜生】
砂糖はカビが生えない・腐らない食品と言われ、賞味期限の記載を免除されているほど長期保存できる食品です。
白砂糖のほか三温糖・黒砂糖・きび砂糖などの茶色い砂糖も人気ですが、保存状況が良くないと劣化し、カビが生える可能性もあります。
またカビ以外にも劣化して食べられなくなる場合もあるので、注意が必要です。
この記事では、砂糖を日持ちさせ安全に美味しく食べるために知っておきたい、次の項目についてご紹介します。
砂糖のこと
- カビが生える可能性と種類の違い
- 賞味期限がない理由と日持ち期間
- 食べられない状態の見分け方
- カビや劣化を防ぐ正しい保存方法
保管中の砂糖を取り出したら白カビが生えたように見えたり固まったりしていて、使えるか悩んでいる人はぜひ参考にしてくださいね。
目次
砂糖にカビは生えない?三温糖と黒砂糖・きび砂糖の違いも
砂糖の成分はほぼショ糖のみのためカビは生えにくいですが、保存状況や種類によっては劣化するだけでなくカビも発生し、食べられなくなる場合があります。
食べられない | 食べられる | |
---|---|---|
見た目 変色 |
・カビが生えて 変色がある (ピンク色・ 白いふわふわなど) ・部分的に変色 している (異物がしみ込んだ 可能性大) ・濃く黒っぽく 変色 ・袋内に虫が侵入 している |
・固まっている ・全体的に黄色や 薄茶色に色付いて 黄ばんでいる |
臭い 匂い におい |
・不快臭 ・酸っぱい匂い ・(黒糖の場合) むせるような匂い |
いつもと違う匂い |
味 食感 触感など |
・溶けてベトベト している ・風味が悪い |
- |
砂糖はほとんど水分を含んでいないためカビや雑菌などの微生物が繁殖できず、腐りにくい食品です。(※1)
長期保存しても品質が変わりにくいため、JAS法で「期限の記載を省略できる食品」に認定されており、ほとんどの商品で賞味期限が設定されていません。(※2)
砂糖には周りの水分を奪って抱え込む性質があるため、ほかの食品にも防腐効果を発揮し、高濃度になるほどカビの繁殖を抑えられます。
砂糖には浸透圧の差から微生物自身の水分を奪うという殺菌作用もあるため、虫が侵入しても脱水されて死ぬ場合が多いようです。
しかし最も水分含量が多い黒砂糖にはカビが生えることもあるので、白やピンク色などのふわふわしたものが表面に付いていたらカビの可能性があります。
しかし固形の黒砂糖は白く見えても、さらっとしていつも通りの香りがするならカビではなく、乾燥しすぎや表面が擦れただけで問題なく食べられます。
砂糖にはカビが生えたようでも食べられる場合や、カビ以外の劣化でも食べない方が良い場合もあるので、見分け方を知っておきましょう。
固まる・異臭・黄ばみの異変があっても食べられる理由
砂糖は乾燥して固まったり、近くにある物の臭いを吸って異臭がしたりするだけなら、劣化でなく食べられる場合が多いです。
精製糖である上白糖・三温糖はしっとり感を持たせるために転化糖液を振りかけてあるため、固まりやすい性質があります。
三温糖は上白糖を取り出したあとの糖液をさらに煮詰めて精製されるため、加熱によりカラメル成分ができて薄茶色になります。三温糖の方が甘みを強く感じるのはカラメルのコクや風味が加わるためで、黒砂糖やきび砂糖のようにミネラル分を含んでいるわけではありません。
砂糖は水分とともに臭いも吸収しやすく、湿気の多い場所や匂いの強い物のそばに置くと、カビ臭くなったり嫌な匂いが付くことがあります。
また長く保存していると全体的に黄ばむ場合がありますが、メイラード反応という自然現象で、甘味も変化しないため問題なく食べられます。
しかし部分的に変色したり一部が溶けたり、白やカラフルな色が見えてカビが生えているときは食べない方が良い状態です。
カビが生えた・溶けた場合は要注意|食べられない状態の特徴
砂糖にカビや部分的な変色が生じたり溶けたりしたら、食べない方が良い状態です。
ショ糖濃度(純度)が低くもともと水分を5%程度含む黒砂糖は、保存状況により湿気を吸ってカビが生える場合があるようです。
賞味期限はまだまだなんだけど、黒糖、カビ生えてしまったっぽい…💧未開封だけど保存方法が悪かったのかしら?😭 pic.twitter.com/R9rSlLgcgD
— ジグザグ♒️ (@tomcatR20) July 26, 2021
このほかにも開封後の黒砂糖を常温保存していたらカビが生えた、という口コミが多くありました。
カビが生えたら極力食べない方が良いですが、気付かず食べても一度の量ですぐに中毒を起こす心配はあまりないので、落ち着いて対処しましょう。(※4)
部分的に変色している場合は、近くにあった何かの液体がこぼれてしみ込んだ可能性もあるため、カビっぽくなくても残念ですが廃棄しましょう。
湿気を吸って溶けた場合も、品質劣化の可能性があるため、食べるのはおすすめできません。
またミネラル分を含む砂糖は風味を楽しむのに独特な香りやコクが欠かせませんが、保存状況が良くないとせっかくの風味が損なわれます。
黒砂糖のほか、きび砂糖も完全には精製しないのでさとうきびの香りやコクが味わえ、まろやかな甘さで人気ですよ。
砂糖をできるだけ長く安全に風味良く使えるように、正しい保存方法を守りましょう。
砂糖のカビ・劣化を防ぐ保存のコツは密封と保管場所
砂糖をカビが生えないように保存するには、密閉容器に入れて冷暗所に置き、なるべく温度変化がないよう注意しましょう。
常温 | ・直射日光や高温多湿を避け 冷暗所に置く ・缶やビンまたは密閉容器に 入れる ・使う分を小出しにする (残りは容器に入れて保管) ・洗剤・化粧品・漬物などの 匂いの強いものを近づけない |
---|---|
冷蔵 | 可能だが固まりやすいため 推奨しない (ただし黒砂糖にはおすすめ) |
冷凍 | 可能だが固まりやすいため 推奨しない |
賞味期限のない砂糖は開封の有無に関わらず、劣化しなければ長期間使い続けられるので、風味を落とさず長く日持ちさせる保存のコツを確認しましょう。
開封前も密閉できる保存容器に入れ冷暗所で保管
砂糖は周りの湿度に影響を受けやすいので、乾燥や湿気を防ぐため未開封でも保存容器に入れて密閉し、涼しい場所で保管しましょう。
砂糖は傷みにくいためプラスチック製の袋に入っている場合が多いですが、乾燥しすぎにならないよう乾燥剤は封入されていません。
密閉性の高い缶やビンをはじめ、こちらのような保存容器に入れておけば虫の侵入も防げますよ。
湿気と高温で溶けたり固まったりしやすいためコンロ周りは避け、なるべく涼しい場所に置きましょう。
- コンロの周り
- シンク下の収納
- 直射日光が当たる窓辺
- 湿気が溜まりやすい押入れ(特に下方)
冷蔵庫内は乾燥していて匂いも付きやすいうえ、出し入れで温度差が激しくなるので、砂糖の保管場所には向きません。
結論|砂糖は冷暗所で密封保存してカビや劣化を防ごう
- ほとんどの種類でカビは生えにくく傷みにくい
- 黒砂糖はカビが生えやすく開封後は冷蔵がおすすめ
- 賞味期限はない場合が多く長期間の日持ちが可能
- 開封前も通気性があるため保存容器に入れて保管
- 開封後も冷暗所で常温保存が基本
砂糖にはカビが生えにくく、正しく保存すれば長期間品質が変わりにくいため、賞味期限も表示されていない場合が多いです。
しかしカビ以外にも、溶けたり部分的に変色したりして食べない方が良くなったり、香りやコクが損なわれ風味が落ちる場合もあります。
特に黒砂糖は傷んでカビが生える場合もあるため期限が記載された商品も多く、扱い方に注意が必要です。
種類ごとの風味や特徴を活かして美味しく食べるために、劣化を防ぐ保存のコツを実践しましょう。