【執筆者:編集部 芦川真理】
冷蔵・冷凍品の生ハムを常温放置したら、短時間で見た目や臭いに異変がなければ加熱して食べられる可能性があります。
しかし、生ハムを加熱すると水分が抜けて塩辛さが増してかたくなるため、本来の風味を損なってもいい場合に限ります。
また、常温の中に何時間置いたかわからない場合は、傷みが進み危険な状態になっている可能性があるため食べないようにしましょう。
常温保存ができる生ハムの原木なら、基本的に賞味期限まで食べられます。
生ハムは製造方法によって保存方法が異なるため、取り扱い方法を間違えると食べられなくなるため注意が必要です。
この記事では、生ハムを美味しく食べてもらうための以下の項目について紹介します。
生ハムのこと
- 保存方法別の日持ち目安
- 常温保存できる・できない商品のちがいについて
- 腐ったときの変化と常温放置したときの注意点
- 正しい保存方法と原木のケア方法
生ハムの原木を日持ちさせる保存方法が知りたい人や、原木って何?という初心者にも役立つような内容なのでぜひ参考にしてみてください。
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目次
生ハムの常温放置は何時間まで大丈夫?賞味期限目安について
冷蔵・冷凍の生ハムを常温放置したら、短時間なら食べられる場合がありますが、長時間経っていたら傷んで食べられない可能性が高いです。
生ハムの原木であれば常温保存できるので、問題なく食べられます。
市販の生ハムは、商品によって日持ち期間が異なるため、パッケージに記載された賞味期限を確認しましょう。
未開封 | 開封後 | |
---|---|---|
冷蔵品 | 10~30日程度 | 期限にかかわらず 早めに食べ切る |
冷凍品 | 半年~1年程度 | |
常温品(原木) | 半年~2年程度 |
常温品の生ハムの原木は、かたまりの状態から少しずつカットして食べる商品で、食べ終わるまで常温保存できます。
同じ生ハムでも、冷蔵・冷凍が必要なものと、常温保存ができる商品があるのは、製造方法にちがいがあるためです。
常温保存で日持ちする生ハムと出来ない商品がある理由
生ハムに常温保存できる・できない商品があるのは、製造方法が異なるためです。
冷蔵・冷凍が必要な、日本のスーパーやコンビニでよく見かける薄いピンク色をしたスライス済みの生ハムは、ドイツの製法をもとに作られたラックスハム(ラックスシンケン)という種類です。
骨のない豚のロース肉を使って、塩漬けをしてから低温でじっくり燻製をおこない、およそ2日程度で出来あがります。
一方、常温保存が可能なのは、おもにスペインやイタリア製の生ハムです。
骨付きの豚の前足や後ろ足をまるごと使って塩漬けをしたあと、乾燥や熟成に数年もの長い時間をかけるのが特徴です。
食品が腐敗する原因となる微生物が増殖するには、栄養・水分・温度などの条件が必要です。(※1)
スペインやイタリア製の生ハムは、製造過程に長時間かけて乾燥させる工程があるため、微生物の増殖に必要な水分がほとんどなく、常温保存が可能な状態に仕上がります。
冷蔵・冷凍の生ハムは、未開封・開封後にかかわらず、常温放置すると傷みが進むため、食べられない状態の見分け方を知っておきましょう。
3時間常温放置なら変色や臭いを確認|半日以上は腐る可能性大
冷蔵・冷凍の生ハムを常温放置してしまった場合、2時間以内なら見た目や臭いに異変がなければ加熱して食べられる可能性があります。
また、半日や1日常温放置すれば、腐敗が進んで臭いや見た目に異変が出て食べられないとわかりますが、3時間程度だと、食べられる状態なのか判断が難しいため注意が必要です。
食べられない | 食べられる | |
---|---|---|
見た目 変色 |
・茶色 ・乾燥している ・カビが発生 |
・ピンク色 ・みずみずしい |
匂い 臭い におい |
・発酵臭 ・カビくさい |
燻製の香り |
味 食感 触感など |
・表面がヌメヌメ ・ドロドロ ・糸を引く |
柔らかい |
しかし食中毒菌が付着していた場合、腐ったときのように見た目や臭いに変化を出さずに、食品中に増殖したり毒素を排出したりします。(※2)
一方、同じ生ハムでも常温保存可能な原木は、カビが発生しても食べられる場合があり、冷蔵・冷凍品と見分けるポイントが異なります。
常温保存できる原木にカビが生えても食べられる可能性あり
生ハムの原木に白カビが生えた場合は、基本的には問題なく食べられます。
生ハムの原木に発生した白カビについては熟成を促す役割があるため、オリーブオイルを含ませたキッチンペーパーでふき取ったり、発生した付近を切り取ったりしてから食べましょう。
しかし、あまりにも広範囲に広がった状態や、黒や青緑色などほかの色のカビが発生した場合、アレルギーを引き起こす原因や、発がん性や強い毒性を持つカビの可能性もあるため食べないほうがいいでしょう。(※3)
生ハムの原木、貰ったけど結局油断してたら素人判断では怖い感じでカビが出てきてしまったから食べ切れず捨てた…二人暮らしでの原木は多すぎる上に切るのもかなり難しく、薄手のしっとり生ハム好きからすると程遠いまるで削り節のような出来になってしまうしで最初から切れてるやつ貰いたいってなった pic.twitter.com/uUIcP5qkP5
— 水野 (@mznt3) July 9, 2019
素人判断では怖いと感じるくらいにカビが発生してしまった人の口コミもありました。
捨てるのはもったいないと感じても、明らかに危険な状態にまでカビが見られるなら安全のために処分してくださいね。
生ハムを最後まで美味しく食べるためにも、それぞれの正しい保存方法を覚えておきましょう。
生ハムの冷蔵・冷凍保存方法|原木を常温で保存する方法も
冷蔵・冷凍の生ハムは、未開封であれば賞味期限まで保存可能ですが、開封後は早めに食べるようにしてください。
常温保存可能な、生ハムの原木は基本的には常温で賞味期限まで食べられます。
しかし、日々のお手入れをおこなわないとカビが生えて食べられなくなる可能性が高いです。
常温品 (原木) |
冷蔵品 | 冷凍品 | |||
---|---|---|---|---|---|
未開封 | 開封後 | 未開封 | 開封後 | ||
常温 | 賞味期限 まで |
NG | |||
冷蔵 | お早めに | 賞味期限 まで |
お早めに | NG | |
冷凍 | 1種間程度 | 賞味期限 まで |
お早めに |
冷蔵品は、未開封であれば真空パックの状態のまま冷凍できますが、解凍したら丸ごと使い切る必要があるため、使いやすくするためにも小分けにして冷凍するのがおすすめです。
- ラップの上に重ならないように広げるてぴったり包む
- さらにアルミホイルで包む(急速冷凍のため)
- 保存用の袋に入れてから冷凍庫へ
- 食べるときは冷蔵庫で30分ほどかけて解凍がおすすめ
冷蔵庫に入れる場合も、カットしたもの清潔な密閉容器か空気がないらないようにラップで包むのがおすすめですが、なるべく早めに食べ切ってください。
生ハムの原木は常温保存可能ですが、お手入れをしないで放置してしまうと食べられなくなってしまうため、上手に保存するコツを覚えておきましょう。
生ハムの原木を常温で上手に保存するコツ
生ハムの原木を上手に保存するには、温度・湿度・保管場所に気を配る必要があります。
生ハムの原木を生産するヨーロッパとはちがい、日本は高温・多湿の国なので保管場所を間違えるとカビが生えやすい環境になってしまいます。
- 直射日光があたらない暗い場所
- 温度・湿度変化の少ないところ(理想20度前後)
- 風通しのいい場所(クーラー・暖房の風は×)
大きな生ハムの原木の場合、食べる分をスライスして何日もかけて食べすすめるのが醍醐味です。
そのため、長持ちさせるには切り口部分のケアをおこなうのも大切です。
(カットの際に出た余分な脂の塊があればキッチンペーパー代わりに利用する)
・ホコリよけで清潔なフキンを上からかける
(ラップで密閉するとカビが発生しやすくなるためNG)
白カビが発生した場合の注意点は、上記で解説したとおりなので再度確認してみてくださいね。
詳しくはこの記事をチェック!
結論|生ハムは冷蔵・冷凍以外にも常温保存できる商品がある
- 冷蔵・冷凍品を常温放置したら傷んでいる可能性大
- 製造方法が異なるため常温保存できる商品もある
- 腐ると見た目や臭いに異変が出る
- 原木を常温保存するには環境を整える必要あり
- 日持ちさせるには冷蔵冷凍を活用
常温保存できる生ハムの原木もありますが、冷蔵・冷凍品は常温保存できません。
常温で3時間放置してしまった場合、見た目や臭いに異変がなくても安全とは言い切れないため、食べないようにしましょう。
カビが発生しやすい生ハムの原木を日持ちさせるには、保管場所や日々のお手入れが大切です。
冷蔵品ですぐに食べきれない場合や、生ハムの原木をうまくケアできないときは、冷凍で1週間ほど保存できるので活用してみてください。