【執筆者:編集部 大室康代】
野菜スープは常温だと痛みやすく、冷蔵庫に入れても数日程度、冷凍保存で1ヶ月程度の日持ちです。
入れる具材によってはさらに腐りやすくなるため、なるべく早めに食べ切りましょう。
また、野菜スープは加熱した後でも保存方法を間違えると危険な食中毒菌が発生するため、抑制するには正しく冷蔵・冷凍しなければなりません。
この記事では、野菜スープを安全に美味しく食べるために以下の内容をお伝えしていきます。
野菜スープのこと
- 手作りの日持ちや市販の賞味期限
- 傷みやすい具材とは?
- 注意すべき食中毒菌
- 冷蔵・冷凍の正しい保存方法
作り置きした野菜スープの保存期間が気になる方や、一晩放置しても大丈夫か気になる方は、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
野菜スープの日持ちや賞味期限|常温・冷蔵・冷凍の保存期間も
手作りの野菜スープは常温だとほとんど保存できませんが、冷凍すれば1ヶ月程度日持ちします。
状態 | 日持ち | |
手作り | 常温 | 2時間程度 |
冷蔵 | 2~3日程度 | |
冷凍 | 1ヶ月程度 | |
市販品 | レトルトパウチ | 数ヶ月~1年程度 |
粉末 | 1年~2年程度 | |
フリーズドライ | 1年~5年程度 |
常温で置くと雑菌が繁殖しやすくなるので、残ったスープは冷蔵庫に保存しましょう。
夏も冬も常温保存は避けて冷蔵庫へ
手作りの野菜スープは何日もつという明確な答えはありませんが、雑菌の繁殖が緩やかになる冷蔵庫だと数日くらいであれば日持ちすると考えられます。
常温保存は特に夏が危険ですが、冬でも部屋の中は暖かいので腐る可能性があります。
市販品の賞味期限は比較的長いので、食事に野菜を取り入れたい方や一人暮らしの方にもおすすめです。
また野菜スープに入れる具材によっては、さらに腐りやすくなるため注意しましょう。
腐りやすい具材と腐る時の見分け方
タンパク質を含む食材や炭水化物(でんぷん)は腐りやすいので、野菜スープに入れると傷みが早くなる可能性があります
成分 | 具材例 |
---|---|
タンパク質 | ・牛乳・豆乳 ・肉類 (ソーセージ、ベーコンなど) ・魚類 |
炭水化物 | ・いも類 (じゃがいも、さつまいもなど) ・穀物 |
微生物がタンパク質や炭水化物を分解して、人体に有害な物質を生成すること。
具材で日持ちがどれくらい短くなるか明確には言えませんが、早めに食べ切る、早めに冷凍するなど慎重に扱いましょう。
そして、野菜スープは腐ると酸味や腐敗臭がしてきます。
- カビが生えている
- 明らかに不快な臭い
- 酸味・苦味がある
味や見た目がおかしい場合は、腐ってる可能性があるので注意です。
そのほか以下の記事では、ミネストローネやシチューが腐った場合はどうなるかを説明しているので、こちらも参考にしてみてくださいね。
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また保存方法が悪いと、見た目の変化がなくても食中毒菌が発生していることがあります。
スープの作り置きは危険!熱に強い食中毒菌
加熱後の野菜スープを常温保存すると、ウェルシュ菌・ボツリヌス菌による食中毒を引き起こす可能性があります。
ウェルシュ菌・ボツリヌス菌は熱に強いため、加熱しても死滅しません。
ウェルシュ菌 (※2) |
ボツリヌス菌 (※3) |
|
---|---|---|
特徴 | ・肉や魚に付着 ・加熱しても 死滅しない ・12℃~50℃で増殖 (スープの温度) ・100℃で1時間 の加熱にも耐える |
・土壌中に含まれる ・毒素は加熱しても 死滅しない ・保存3℃未満で冷蔵 -18℃以下で冷凍 |
主な症状 | ・腹痛や下痢 ・潜伏期間は 6時間~18時間 |
・嘔吐や下痢 ・視覚障害 ・神経系に影響 ・潜伏期間 8時間~36時間 |
2つの食中毒菌は酸素が無い状態を好むため、とろみをつけたスープは特に注意です。
これらの食中毒菌は保存の仕方に問題があると増殖しやすいので、正しい方法を確認しておきましょう。
野菜スープの作り置きを日持ちさせる冷蔵・冷凍保存方法
野菜スープを日持ちさせたいなら、急速に冷やして食中毒菌が増える温度を避けましょう。
保存前 | 保存時 | |
---|---|---|
常温 | × | |
冷蔵 | ・氷水で鍋ごと冷やす ・浅い容器に移し替える ・保冷材の上で冷やす |
・冷蔵庫の なるべく奥に保管 ・ジッパー袋は 金属バットに載せて |
冷凍 | ・金属バットに 載せて冷凍 |
ウェルシュ菌・ボツリヌス菌の予防には中心まで急冷させることが大切です。
鍋ごとはNG|冷蔵保存は小分けしよう
野菜スープを冷蔵保存するなら、できるだけ加熱後30分以内に中心温度を20℃程度に下げてから冷蔵庫に入れましょう。
鍋ごと氷水に入れて冷やす場合は、中心の温度が下がりにくいため、かき混ぜながら冷やすとムラなく冷ませます。
また浅い容器に入れ替えると、保冷材の上で冷めやすくなりますよ。
浅い入れ物がなければ、ジッパー袋を使用しても良いでしょう。
ジッパー袋で冷凍も可能ですが、冷凍用の保存容器を使うと保存しやすくなります。
また、解凍する時はしっかり中まで火を通して雑菌の繁殖を抑えましょう。
冷凍と解凍の注意点
ジッパー袋で冷凍するのは便利ですが、膨張して破れたりこぼれたりする可能性もあるので、できれば冷凍用容器に小分けするのがおすすめです。
凍ると容量が増えるため、8分目程度の量にしましょう。
- 薄型のコンテナー
- 蓋がスクリュー状になっている物
蓋がスクリュー状なら冷凍する時にこぼす心配が無く、薄型なら冷凍庫で重ねられます。
また、冷凍保存には向かない具材があるので注意してください。
- 芋類・たけのこ…食感が変わる
- 豆腐・こんにゃく…スポンジのようになる
つぶす・取り除く・刻むなどの対策をすると解凍後も美味しくいただけますよ。
また、解凍する時はしっかり中まで火を通して、解凍する際にも温度に注意しましょう。
スープを解凍する場合は、電子レンジではなく鍋でしっかり加熱すると、中の具材も雑菌が繁殖する温度を避けられます。
結論|野菜スープを日持ちさせるなら急冷して冷凍しよう
- 冷凍すると1ヶ月程度日持ちする
- 腐りやすい具材に注意
- 常温保存は食中毒の危険がある
- 冷蔵・冷凍保存する前に急冷する
- 解凍する時は鍋で十分に加熱する
野菜スープは、冷蔵保存ではあまり日持ちしませんが、冷凍保存をすると1ヶ月程度は食べられます。
常温保存するとウェルシュ菌・ボツリヌス菌による食中毒の恐れがあるので、冬も常温は避けて夏の気温が高い季節は特に気をつけましょう。
作り置きしたい場合は正しい方法で保管して、保存期間中に美味しく食べ切るようにしてくださいね。