【執筆者:編集部 鳥越菜生】
タコは臭いと感じても、もともと体の周りに持っている特有のぬめりや生臭い匂いが残っているためで、問題なく食べられる場合があります。
しかしタコは魚介類の中でも傷みやすく、腐って臭い匂いが強くなったら食べると危険な状態になっている場合もあるので、見分け方を知っておくと便利です。
またタコと言っても、茹でタコと生タコでは扱い方や日持ちも違いますよね。
そこでこの記事では、食べようと思ったタコが臭くて困ったときに知っておくと役立つ次の項目について解説します。
この記事を読めばタコが臭くても慌てずに対処し、食べて大丈夫な場合は臭みを気にせず美味しくアレンジして食べられるようになりますよ。
生タコは塩もみをしっかりしてぬめりを取れば臭み取りができるので、下処理のやり方や正しい保存方法を実践し、スーパーで買ったり釣ったりした丸ごとのタコも美味しく食べつくしましょう。
目次
タコが臭い原因と腐るとどうなるか?見分け方を解説
タコが臭いのは体表のぬるぬるや内臓が残っていたり、体内の成分が分解されはじめ生臭さが出たりしたのが原因で、食べても問題ない場合もあります。
しかしタコは傷みやすい魚介類で、保存状態によっては腐る場合もあるので、臭いときに食べられるかの見分け方を覚えましょう。
まず、タコが臭いときも食べられる理由や匂いの原因を解説しますね。
茹でタコが生臭いのは残ったぬめりや内臓が原因
鮮度に問題がないのに茹でタコが臭いのは、生タコを下処理する際にぬめりや内臓、足の吸盤の汚れが取りきれなかったことが原因の場合が多く、臭み取り対策をすれば食べられます。
タコに限らず魚介類には独特な生臭い匂いがありますが、釣った後死んでから次第に匂いが強くなっていきますよね。
この生臭さは、魚介類が海水中で生きるため体内に溜めているトリメチルアミンオキシドという物質が、死後に体表面にいる細菌に分解されてトリメチルアミンになるのが原因です。(※1)
このような臭いタコもほかに異変がなければ鮮度に問題なく食べても大丈夫ですが、腐ると食べてはいけない状態になるので見分け方を覚えておきましょう。
腐敗して食べられないタコの見分け方
タコは腐ると臭い匂いが強くなり、柔らかくなってドロっと溶けてきたり変色やネバつきが出たりして、体に悪影響を及ぼす可能性があるため食べられません。
新鮮な茹でタコはつやと弾力があり、皮の色は鮮やかな赤みのある色で身が白く、トレー入りはドリップが少ないことも要チェックですが、市販の茹で・蒸しタコは消費・賞味期限が1~2日のものが多いです。
生タコの場合は、釣り上げたあと絞めたりスーパーで購入したりして家に持ち帰るまでの温度管理にも注意し、できるだけ速やかに対処する必要があります。
茹でタコ・蒸しタコと生タコの状態別に腐るとどうなるかの特徴を覚え、臭い匂いが強いときはほかの状況もチェックして食べられるか判断しましょう。
タコの状態 | 食べられる | 食べられない |
---|---|---|
茹で・蒸し | 生臭いが変色も無く 弾力がある |
・異臭が強い ・皮が黒ずんだ色になる ・皮や吸盤が剥がれる ・ドロッと柔らかくなる ・表面にネバつきがある ・カビが生えている |
生 | 生臭いが表面にネバ つきはない |
・異臭が強い (魚の死臭が強い) ・表面に通常のぬめりでない ネバつきがある ・体が変色している |
茹でタコが臭いだけでなく皮に黒い変色があったり、弾力がなく溶けたように柔らかくなって皮や吸盤が剥がれてきたりネバつきが出たりすると傷んでる状態です。
腐ったタコはカビや細菌などの微生物が繁殖している可能性があり、食中毒の危険性もあるため扱い方にも注意しましょう。(※2)
買ってきたタコの賞味期限について詳しく知りたい方は、調理後のタコの場合や期限切れのときの対処の方法もご紹介しているので、せひ次の記事もご覧ください。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
タコは臭いときも腐るまで鮮度が落ちていなければ食べられますが、匂いを気にせず美味しく食べられるように、臭みを消す調理法やおすすめのアレンジレシピをご紹介します。
臭い消しもできる!タコの臭みが気にならなくなる対処法
刺身用となっていても茹でタコや蒸しタコが臭いことがありますが、フードロスを防ぐためにも、鮮度に問題がなければ臭みを消す対処法の活用や調理法の工夫で美味しくして食べましょう。
茹でタコが臭いときは、使う前に臭み取りの下ごしらえをすると匂いが取れる場合があるので、簡単なやり方を覚えておくと便利です。
匂いが気になる茹でタコの臭い消しの方法
茹でタコが臭いときは、塩もみ後に残っていた汚れや内臓を洗い流したり、湯通しか軽く茹でたりする方法で臭い消しができます。
- 流水で表面を流し優しくこすり洗い
- 湯通しする
- 酒を加えた湯で再度茹でる
吸盤に汚れが付いている場合はまず流水でこすり洗いし、表面を優しく洗い流しながら胴体の内側に内臓が残っていたら取り除きましょう。
水洗いで匂いが取れない場合は、ザルに置いて湯をかけ流す方法やさっと湯にくぐらせるか数秒~30秒くらい茹でて表面を加熱する方法もおすすめです。
また酒を加えた湯で茹でると、アルコールの共沸作用というはたらきで揮発するときに一緒にトリメチルアミンも除去できるため臭み消しに効果的ですよ。(※3)
臭い茹でタコに臭み取り対策をしたら、調理法の工夫で匂いが気にならないだけでなくより美味しくアレンジできるおすすめレシピを活用しましょう♪
タコが臭いときにおすすめの食べ方とアレンジレシピ
タコの匂いが気になるときには、臭みを取る下処理に加え、調味料の濃い味を付けたり酸やアルコールの力を利用したりする調理法や香ばしく炒める・揚げる料理がおすすめです。
タコが臭いときに特に取り入れたい調理のコツとおすすめレシピをご紹介しますね。
酒やみりんのアルコール成分で臭みを飛ばす煮付け
煮付けにすると甘辛い味が付いて匂いをカバーできるうえ、煮汁の酒やみりんに含まれるアルコール成分により生臭さの原因物質・トリメチルアミンを飛ばして臭みを減らせます。
今井真実さん @imaimamigohan のタコの柔らか煮、コメントの通りにスープジャーで作成!すっごい柔らかく煮えて大満足!
スープジャーで調理、色々実験出来そう!楽しい!#Twitter家庭料理部 #Twitter料理部 #料理好きな人と繋がりたい https://t.co/TUAZD2Mzq5 pic.twitter.com/S1Z0e15XyL— とあ (@boitoa) January 11, 2022
スープジャーを使うと時短にもなりますね!
タコの煮付けは「やわらか煮」と言われる通りじっくり煮ると柔らかくできるので、下処理で茹ですぎて固くなったタコにもおすすめの調理法です。
酢やレモンの酸の力で生臭さを軽減するマリネ・酢の物
酢やレモン汁を使うマリネや酢の物はさっぱりした酸味で食べられるメニューですが、酸のはたらきでアルカリ性のトリメチルアミンを中和して臭みも減らせます。(※4)
炒め物や揚げ物にして香ばしさをプラス
臭いタコは炒め物・から揚げ・天ぷらにすると香ばしい風味で匂いが気になりません。
さらに加熱により熱に弱い細菌類を死滅させる効果もあります。(※5)
*居酒屋の味!揚げないタコの唐揚げ* by abcdefg123
さっぱりとレモンをかけて食べるとさらに臭み無しに!
衣にカレー粉や青のりを加えて風味をプラスするのもおすすめです。
以上のように匂いが気になるタコを美味しくできる方法もありますが、生タコが手に入ったときに失敗して臭くしないように、正しい下処理の方法や保存のコツも知っておきましょう。
タコが臭くなるのを防ごう!正しい下処理方法は?
タコの臭い匂いを防ぐには下処理でぬめりを取りきる必要がありますが、すぐに食べない場合は正しく保存して傷みを防ぐことも大切です。
まず生タコが丸ごと手に入ったときのために、臭い匂いを防ぐ正しい下処理の仕方を知っておきましょう。
タコのぬめりを取りきる下処理のコツ
タコの臭いぬめりを取るには、内臓を取り出したあと塩もみのほか米ぬかを使ったり冷凍したりする方法があるので、やり方のコツやそれぞれの利点などもご紹介しますね。
まず基本の塩もみのやり方から茹で方までをわかりやすく教えてくれる動画を見つけたので、ぜひ覧ください。
家庭で一人で行う場合は、あらかじめ適当な容器に塩を数回分用意しておくと便利です。
タコに塩を適量かけて手でもんでいきますが、汁が臭いので、飛び散りを防ぐため大きめのボウル・鍋・バケツなどを使いましょう。
ぬめりが取れたタコの足を生で刺身にする場合は、臭い匂いを避け食感を良くするため皮を剥く方法があるので、次の動画を参考に挑戦してみてくださいね。
また塩の代わりに米ぬかを使うとタコに塩分が入らずにぬめり取りができるので、食事からの塩分を少しでも減らしたい方におすすめです。
タコの臭いぬめりをきれいに取るには時間がかかりますが、いったん冷凍タコにして後日解凍すると取れやすくなるので、釣ったタコを下処理する余裕がない場合は迷わず冷凍しておきましょう。
以上の方法でぬめりが取れたら、美味しく食べつくせるように、傷みにくい保存のコツも覚えましょう。
タコの鮮度を落とさない保存のコツ
茹でタコは冷蔵で2~3日なら鮮度を落とさず保存できますが、生タコは日持ちしないので保存するなら新鮮なうちに冷凍しましょう。
タコの状態 | 保存方法 | 保存の目安期間 |
---|---|---|
茹でタコ | 冷蔵 | 2~3日 (※市販品は表示の消費・賞味期間を参照) |
冷凍 | 3~4週間 | |
生タコ | 冷蔵 | ー |
冷凍 | 約1ヵ月 |
茹でタコも2~3日中に食べない分は、早いうちに使いやすい大きさに切ってキッチンペーパーで余分な水気を取り、ラップで包んで保存用袋に入れて冷凍すると約1ヵ月は風味を保てます。(※6)
生タコも冷凍できるので、すぐに食べない場合はそのままナイロン袋に入れて冷凍しておけば鮮度も落ちにくく、解凍して下処理でぬめり取りをするときも楽にできますよ。
下処理済みの生タコは足と胴体を切り離したら使いやすく足を切り分けて包み、保存用袋に入れて冷凍しましょう。
なお生タコの刺身は傷みやすいので残ったら腐る前に湯通しして冷蔵し、酢の物や炒め物にアレンジする方法もおすすめですよ♪
丸ごとのタコも状態や用途に合わせて使いやすく保存しておけばいろいろに楽しめ、調理の時短にもなりますね。
結論|生臭いタコにならないように注意しよう
タコは下処理の段階で体表面のぬめりが取りきれていないと生臭くなる場合がありますが、腐っていなければ食べられるので、見分け方を覚えておくと重宝します。
食べられる場合も臭いと美味しくないので、生臭いタコの臭みの取り方や匂いの気にならなくなる調理法を活用し、美味しくムダなく食べきりましょう。
また生タコが手に入ったときは生臭くならないように正しい下処理の方法を実践し、劣化を防いで保存しながら、タコの栄養と旨味を堪能してくださいね。