【監修者:共立女子大名誉教授・薗田 勝先生】
【執筆者:編集部 坪田八重】
砂肝(砂ずり)は緑色に変色したり黄色や黄緑の物がついていることがありますが、有害なものではなく食べられる可能性が高いです。
ただし緑の変色は胆汁がついたときに見られるもので、強い苦味を感じることもあるため下処理で取り除くのがおすすめです。
砂肝は正しく下処理すると食感が良くなったり、火が通りやすくなる効果が期待できます。
加熱が不十分で中が赤い状態の砂肝を食べるとカンピロバクターによる食中毒を引き起こす危険があるため、安全に美味しく食べられるよう次のことを調べてみました。
固くて白い銀皮は下処理で取り除くのが一般的ですが、手で取り除く方法もあります。
生だと日持ちしづらい砂肝の冷凍保存についても紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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目次
砂肝・砂ずりの緑や黄色い部分は食べられる?変色の原因とは
砂肝の緑色の変色や黄色い部分は鶏をさばくときに付着した可能性が高く、下処理をすれば美味しく食べられることが多いです。
また白い銀皮は取り除かなくても食べられますが、取り除くと食感が良くなりますよ。
ちなみに砂ずりは一部の地域で使われる砂肝の別名のことで、どちらも同じ部位のことです。
砂肝は中まで火が通りづらく、焼いた後でも断面が赤いことがあります。
その場合は生焼けの可能性があり食中毒に繋がる可能性があるため、焼き方や下処理の方法を工夫して防止しましょう。
まずは砂肝がなぜ緑に変色するのか確認してみましょう。
緑色になる理由は胆汁がついたため
砂肝は鶏の体内にある2つの胃袋のうちのひとつで、筋胃(きんい)または砂嚢(さのう)と呼ばれています。(※1)
内臓の一部でもあるため周りにはさまざまな臓器が詰まっていて、切り分ける際に胆のうを傷つけることがあります。
胆のうの中には緑色の苦味のある胆汁(たんじゅう)が入っていますが、この胆汁が付着した部分は緑色に変色し、苦味が移ります。
緑色の変色は生の状態でも見られますが、加熱後の砂肝に現れることもありますよ。
久々に砂肝食べたくなって焼いたら緑に変色した部分があったw
どうもたん汁がかかるとこうなるらしいね— ✩タハト*✧ (@TqHqt_714) April 16, 2017
緑に変色しただけなら害はないため食べても大丈夫ですが、火を通しても苦味が残っている可能性が高いです。
そのため、下処理の時点で緑に変色している部分を見つけたら取り除くことをおすすめします。
砂肝には黄緑や黄色の何か分からないものが付いていることがありますが、砂肝の周辺部位の可能性が高いです。
黄緑や黄色の部分は取り除けば大丈夫
砂肝についている黄色や黄緑色の膜のようなものは、砂肝の内皮の一部と考えられます。
内皮はパックに詰める前に通常取り除かれますが、まれに黄色や黄緑の付着物として砂肝に残っていることがありますよ。
砂肝なんだけど黄色すぎん?
今日買ったばっかやぞ pic.twitter.com/LA4mHo8Erd— 黒衣@国歌星人 (@kokuino_senshi) December 15, 2020
内皮にはえさの臭いがついている場合があり、食感も固いため食用に向いていません。
またこの部分にはえさのかけらや、砂などが残っている可能性があります。
実際にえさや砂が入ってると食べたときにジャリジャリするため、下処理の時点で必ず取り除きましょう。(※2)
また砂肝の周りに付いている黄色いものは鶏の脂肪の可能性があります。
残したままでも食べられますがそのまま調理すると雑味が出る原因に繋がります。
そのため砂肝を美味しく食べるためにも、取り除くことをおすすめします。(※3)
そして加熱後に中が赤いときは生焼けの可能性があるため注意が必要です。
内部に赤みがあるときはカンピロバクターに注意
生の鶏肉には下痢や嘔吐など食中毒症状を引き起こすカンピロバクターという細菌に高い確率で汚染されています。
砂肝では60%以上の確率で検出されているため、火が通っていないものを食べると大変危険です。
カンピロバクターによる食中毒を防ぐには、中心部までしっかりと火を通すことが大切です。(※4)
ただし砂肝は火が通りづらく、加熱後も赤みがかって見えることもあるため焼き加減が分かりにくいです。
見た目だけで火が通っているか判断できない場合は、以下のような特徴を合わせて確認してみましょう。
- 弾力がなく柔らかい
- 軽く押さえたときに赤い肉汁が出る
加熱不足の砂肝を食べて食中毒症状が出たときの対処法は、水分補給しながら安静に過ごすことです。(※5)
このような生焼けや変色は、下処理の工夫で防ぎやすくなります。
食中毒の危険を防ぐためにも砂肝の正しい下処理の方法を確認してみましょう。
砂肝・砂ずりの緑や黄色の変色を防ごう!正しい下処理のコツ
砂肝の下処理のコツは変色した部分や、周辺部位の残りをすべて取り除くことです。
- 緑色に変色している
- 黄緑や黄色の内皮や脂肪など
- 青白い銀皮(固い食感が好きなら残してもOK)
このような部分を取り除くことで加熱後の変色を抑えられるほかに、食感が良くなる効果も期待できますよ。
ちなみに緑色の胆のうがついている場合は、傷つけると胆汁が流れ出すことがあります。
胆汁が付着した部分には苦みがつくので、破らないないよう慎重に取り除きましょう。
銀皮も下処理の時点で取り除きますが、食べられる部分なので好みに合わせて残したままでも大丈夫です。(※6)
- STEP1銀皮を削ぎ落とし、緑や黄色など変色している部分は切り取る胆のうの一部や胆汁を残すと苦味がでることがあるため、特に注意して取り除きます
- STEP2切れ目を入れるか、薄くスライスして調理する切れ目を入れることで食感が良くなり、火の通りもよくなります
砂肝はレバーと違い臭みが少ないため、水にさらす必要はありませんよ。
また銀皮は包丁で削ぎ落とすのが一般的ですが、実は手ではぎ取ることもできます。
はぎ取ると食べられる部分を削りすぎず下処理できるため、1分で見られるこちらの動画を参考にぜひ挑戦してみてください。
下処理でスライスしたり切れ目を入れたりした砂肝は火が通りやすくなっていますが、食べる前に必ず中心部に赤みが残っていないか確認しましょう。
ちなみに砂肝の生焼けは、焼く前に茹でて火を通しておくことでも防げます。
ただし茹でると水分で水っぽく感じるデメリットもあるため、生焼けが心配な場合のみ行うのがおすすめです。
砂肝は賞味期限が短いため、さまざまなレシピを活用して美味しく食べきりましょう♪
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
砂肝を美味しく食べきろう!日持ち期間目安とおすすめレシピ
生の砂肝の日持ち期間は、緑の変色があってもなくても数日程度です。
あまり日持ちしないため購入後はなるべく早く下処理をして、調理するか冷凍保存しましょう。
冷凍時はラップと冷凍保存用袋の2重で保存すれば空気に触れにくくなり、冷凍焼けの対策にもなります。
また次のようなステンレス製のバットに平らに載せて冷凍すると、凍るまでの時間が短縮できて味の劣化を防げますよ。(※7)
調理するときは冷蔵庫に移して解凍してから加熱しましょう。
ただし、薄くスライスして冷凍した場合はそのまま調理することもできます。
凍ったまま調理する場合も食中毒対策のため、しっかり火を通すように注意してください。
砂肝は焼き鳥のように焼いて食べるイメージが強いですが、それ以外のさまざまな食べ方でも楽しめますよ。
焼く以外のおすすめ砂肝レシピ
まず紹介するのは茹でた砂肝を調味料に漬けるだけの簡単レシピです。
歯ごたえが特徴の砂肝は、お酒がすすむアヒージョの具材にもピッタリです。
アヒージョと同じく、砂肝とオリーブオイルを使ってコンフィにも挑戦できます。
このレシピはレバーや牡蠣など、砂肝以外の具材を入れても美味しくアレンジできますよ。
結論|砂肝は緑や黄色にならないようにしっかり下処理しよう
砂肝の緑色の変色や黄色い部分は胆汁や脂肪などが付着している部分と考えられ、苦味があったり雑味が出たりするため取り除いたほうが美味しく食べられます。
また砂肝は火が通りづらく、生焼けで食べるとカンピロバクターによる食中毒の危険があります。
安全のためにも下処理の時点で切れ目を入れたり薄くスライスするなど火の通りを良くする工夫をし、生焼けの場合は電子レンジを使い再加熱してから食べましょう。
生のままだと数日しか日持ちしないため下処理後すぐに冷凍保存するか調理して、傷む前に食べきりましょう。
名誉教授
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 【焼き鳥部位紹介】砂肝(ずり)|焼き鳥一筋30年焼き鳥専門店 大黒堂
※2 事例18:鶏砂肝の黄色異物|福岡市
※3 鶏肉の「肉掃除」をマスターしよう!|NHKテキストビュー
※4 カンピロバクターによる食中毒にご注意ください |食品安全委員会
※5 「食中毒について」|公益社団法人全日本病院協会
※6 砂肝とは?下処理の方法やおすすめレシピもご紹介! | DELISH KITCHEN
※7 【肉の冷凍】どれが正解? 保存・解凍・賞味期限までを全部解説! |ほほえみごはん(ニチレイフーズ)