家族のために、「毎日の食卓に美味しい味噌汁を出したい」と思いませんか。
私は最近、味噌汁作りの研究にハマっているのですが、つい作り過ぎてしまうことがあるんですよね。
食べ物が痛みやすい時期になると、と念入りに火を入れて食べるようにしています。
でも、沸騰させた味噌汁って、美味しくないんですよね…。
「傷み始めているからかな~?」と首を傾げていましたが、調べてみると「味噌汁は沸騰させてはいけない」ということが分かったんです。
うっかり目を離しているうちに、グツグツと沸騰してしまった味噌汁がまずかったのは、そのせいだったのか!!
というわけで、今回は「味噌汁を沸騰させない3つの理由」のほか、以下の内容も調べてみました。
- 味噌汁はなぜ沸騰させないようにする必要があるの?
- 沸騰させてしまった場合の裏ワザはある?
- 味噌汁を何回かに分けて食べたいときの保存方法は?
- 沸騰させてしまった味噌汁は、食べるor捨てる?
また、味噌汁の温度は何度で沸騰するのか、沸騰させると栄養はどうなるのかなど、まだ疑問はたくさんあります!
今回は、美味しい味噌汁のための情報をたくさん集めてきましたので、ぜひ最後までご覧くださいね!
目次
味噌汁を沸騰させてはだめな3つの理由!
「味噌汁は作りたてが一番」といわれていますよね。
長時間煮込んだり何度も沸騰させたりしていると、味噌汁の美味しさが失われていってしまいます。
事実、沸騰してから味噌汁を食べると、たしかにまずいですよね…。
具体的には、次の3つの変化があります。
- 香りや旨味といった”風味”が失われる
- 舌触りが悪くなる
- 味噌に含まれる乳酸菌や酵素を殺してしまい、これらの効果が期待できなくなる
特に味噌の風味というのは、味噌汁の美味しさの決め手になるので、美味しく作るためには絶対に沸騰させてはいけないのです!
また、酵素などの栄養も失われてしまうんですね。
ネットで、味噌の製造・販売をしている業者の「味噌汁の作り方」のページを見てみたのですが…。
とにかく「風味がなくなり、美味しくない」「味噌らしさが損なわれる」ということを理由に、沸騰させないように書かれていました。
風味を逃がさないためには煮立てないこと!
味噌の販売元などの「味噌汁の作り方」を見ていると、よく「味噌汁は煮えばながいい」と書いてあります。
この「煮えばな」というのは、沸騰直前の状態のことで、味噌汁の水面が沸騰直前でぐらっと揺れる瞬間のことをいいます。
ところで、味噌のいい香りの正体が何だかご存じですか?
実は、味噌の香りの成分はアルコールです。
米味噌が樽の中で熟成されるときに、酵母という微生物が、糖をアルコールやエステルなどの香り成分へと変化させています。
このアルコールなどの香り成分は、90℃以上になると揮発してしまうため、沸騰させてはいけないのです。
ただし例外もあります。
八丁味噌に代表される東海地方の赤味噌(赤だし味噌)は、豆麹なので味噌を加えたあとに煮立たせてもよいのだそうです。
だから、鍋料理や味噌煮込みうどんには、赤味噌がよく使われるんですね!
ところで、味噌汁の美味しさは”香り”が最重要視されている傾向ですが、舌触りが悪くなるのも気になります。
これに関しては後述していますので、そちらもご覧くださいね。
沸騰がダメなら、ぬるいお湯で作れば美味しくなる?
「味噌汁は沸騰直前に火を止める」といいますが…。
沸騰させたくないなら「最初から少しぬるめの状態で作れば美味しいんじゃないの?」と思った方もいるかもしれませんね。
でも、わざわざ沸騰直前で火を止めることにも、ちゃんと意味があるんです。
「いただきます」の瞬間に、この75℃にしたいと思って温度を逆算していくと、沸騰直前に火を止めるのがベストタイミングなんです。
まず、沸騰直前(煮えばな)で火を止めた時点で、味噌汁の温度は95℃です。
そこから「お玉で鍋から味噌汁をすくって、汁椀によそう」という行為で、大体10℃くらい温度が下がります。
そこから逆算すると、沸騰直前まで温めておく必要があるというわけなんですね。
ちなみに、汁椀に入れてから1分で75℃まで下がってしまいます。
そのため、味噌汁は椀によそってから1~3分が、一番おいしいタイミングだといわれています。
食卓に並べるときには、味噌汁を一番最後によそうようにするとよいですね!
味噌の酵素をできるだけ残したいなら50℃以下で!
発酵食品である味噌には、乳酸菌や多くの酵素が含まれています。
酵素と聞くと、生野菜などの加熱されていない食品に多く含まれているイメージですよね。
それもそのはず、酵素というのは熱にとても弱いんです。
酵素が高温状態にさらされると死滅してしまうので、味噌汁にすると効果的な摂取はできません。
風味を味わいたいだけなら、上記のような温度で作れば美味しく飲めるのですが、味噌の持つ乳酸菌や酵素は死滅してしまいます。
この酵素が耐えられる温度というのが、約50℃なんです。
乳酸菌というのは、腸内の善玉菌のエサになるため無意味というわけではありません。
ただし、味噌汁で酵素を摂取しようと考えるのなら、味噌汁の作り方を工夫する必要があります。
具材はあらかじめ別茹でするなどして、火を通したものを椀や鍋に入れ、50℃のお湯を注いで味噌を溶き入れたら完成です。
そして、作ったらすぐに飲むのが望ましいです。
また、味噌を溶かしたあとに沸騰させてしまうと、酵素が全滅してしまうので注意しましょう。
保温機能のある水筒にお湯を入れ、食べる直前に味噌を溶き入れて飲んでもいいですね!
さて次は、味噌汁を長く煮立てたときの舌触りについてです。
舌触りが悪くなるって、どういう状態なんでしょうか?
味噌汁を沸騰させると舌触りが悪くなる!? そうならないためのコツ
長く煮立てると、味噌汁の”不溶性物質”(大豆や米の粒)が、上澄み液と分離してしまい、風味が落ちてしまうのだそうです。
それを避けるために、味噌は具材に火が通ったあとに溶き入れるのが鉄則。
あらかじめ下茹でしたものを使うか、だしを取る水の段階から具材を入れるなど、長く煮立てない工夫が必要です。
具材の煮立て方
切った具材をどのタイミングで鍋に入れるかは、
というのが基本です。以下で詳しく紹介しますね。
1.まずは根菜類・貝類を入れる
人参、大根、ゴボウなどの根菜類は、火が通るのに時間がかかるので、最初に(水のうちから)鍋に入れて火を付けます。
シジミやアサリなどの貝類も、よくだしが出るので水の状態から鍋に入れます。
貝類はアクがけっこう出るので、根気よく取り除いてくださいね。
2.さっと湯通しする程度でOKの葉物野菜を入れる
1の具材に火が通ったあとで、もしくはお湯が沸いてから煮る具材は、葉物が中心です。
3.一旦火を止め、味噌を溶き入れる
味噌を溶き入れるのは、具材に火が通ったあとに火を止め、沸騰でグラグラしていた鍋の中が落ち着いてからです。
鍋の中に直接ボトンと味噌を入れると、熱すぎて香りが飛んでしまいます。
ですから、必ず溶いて入れるようにしてくださいね。
4.最後に豆腐や香りのある野菜を入れる
味噌を溶き入れたら、煮立たせないように注意しながら火を入れます。
このとき、豆腐などの煮崩れしやすいものや、長ネギなど香りのある野菜などを入れます。
ネギやミョウガなど香りを楽しむ野菜は、香りが飛んでしまわないように、火を止めてから入れてもいいでしょう。
また、ワケギなど青みを生かす素材は、椀によそってから飾りとして盛り付けたりもします。
それぞれの具材のよさが発揮できるタイミングで、鍋に入れていくのが美味しい味噌汁を作るコツですよ!
季節の野菜は、根菜類ならじっくりだしから火を通し、アクが強い葉ものなら下茹でをしておくとよいでしょう。
例えば、ホウレンソウはアクが強いので別に下茹でしたほうがいいですが、三つ葉や水菜などは下茹でする必要はありません。
ところで、せっかく素材のよさが出るように気をつけて作るのなら、だしにもこだわってみたくなりませんか?
顆粒だししか使ったことがないという方も、ぜひチャレンジしてみてください!
簡単だし、すごく美味しくなるんですよ♡
美味しいだしの取り方
味噌汁は、味噌の風味とともにだしの香りがすると、美味しさが増しますよね。
だしは、作り置きをすると便利ですが、やはり使う直前に用意したほうが、風味も強くて美味しい料理ができます。
昆布、煮干し、鰹節。それぞれ美味しいだしをとるコツは、以下の通りです。
1 | 昆布 | 分量の水に一晩浸けておくと、ぬめりや濁り、臭みが出にくくなる。
時間がないときは、流水で擦りながら洗ったあとに、キッチンペーパーでぬめりを拭き取るようにします。 ポイントは、必ず沸騰させる前に鍋から昆布を取り出すこと! |
2 | 鰹節 | 糸削りのものは使わず、薄削りや厚削りのものを使います。パッケージに”花かつお”と書いてあるものはOKです。
厚削りのものは、濃厚な濃いだしを取るのに向いているなどの特徴がありますので、好みに合わせて選んでくださいね。 沸騰したお湯に鰹節を入れ、すぐに火を止めます。そして1~2分待って鍋に鰹節が沈んだら、ザルなどで濾します。 このときに、ギュッと絞ってはダメですよ!えぐみが出てしまいますからね。ポイントは、アクをきれいに取り除き、鰹節が鍋の底に沈んだら漉すこと! |
3 | 煮干し | なるべく鮮度のよい煮干しを使いましょう。背中側が湾曲している煮干しが理想です。鮮度の悪い煮干しを使うと、生臭みが出てしまいます。
煮干しを丸ごと入れると、苦味が気になるという方は、だしを取る前に腹わたをしっかり取り除いてくださいね。 火にかけて煮出すと、煮干の風味がしっかり出た家庭的な味に仕上がります。また、火にかけずに水出しすると、煮干しのくせが出すぎず、まろやかな味になります。 |
これらのだしを組み合わせて、料理に使ったりもしますよね。
鰹と昆布の合わせだしは一般的なだし汁で、味噌汁に使うと上品な味に仕上がります。
味噌汁に使うだしを取る際は、少し鰹節を煮出すことで、風味をしっかり出すと美味しいですよ。
鰹の削り節のほかに、味噌汁のだしとしてよく合うものは、鯖の削りぶしやいわしの削りぶしなどでしょう。
風味もよくて、味噌とよくマッチします。
また、顆粒タイプのあごだしをはじめ、手軽に使えるタイプのだしでも、豊富な種類がスーパーなどで簡単に手に入ります。
ただし、顆粒タイプは香りが飛びやすいので最初からは入れず、味噌を溶き入れるときに一緒に入れてください。
「好みの味噌×好みのだし」という組み合わせを楽しんでみてくださいね!
煮立て過ぎると味噌汁が爆発する!?
次のような話を聞いたことはありませんか?
- 味噌汁が爆発した!
- 沸騰させたら、突然すごい量の泡が出てきた!
ステンレス鍋で味噌汁を温めていると、爆発のようなことが起きることがあります。
これは「突沸(とっぷつ)」と呼ばれる現象です。
加熱ムラによって、100℃を超えても沸騰しない状態が保たれ、何かのきっかけで突然沸騰することで起こります。
ステンレス以外の鍋や具の多い味噌汁では、突沸は起こりにくいようです。
ステンレス鍋で温め直すときは、よく混ぜてから加熱するなど、加熱ムラが起きないように注意しましょう!
さて最後は、お待ちかねの裏ワザ!
「沸騰させてはいけないって分かっていても、うっかり…」ということってありますよね。
そんなときにおススメの方法です。
うっかり沸騰させちゃった!裏ワザで美味しさ回復
まずネットで、次の質問に対する回答を集めてみました。
大半の方は「捨てずに食べます」との答え。
そう、たとえまずいと分かっていても、もったいないから捨てないんです。
でも、美味しくない味噌汁を食べるのは、正直つらいですよね。
中には「罰として食べる」という方もいましたが、一緒に食べる家族からすれば、ただの巻き添えですよね(笑)
そこで注目したいのが、次の方法です。
私の実家は、名古屋流の赤味噌の味噌汁をよく作っていたんですが…。
沸騰させて苦みが出てしまったら、白味噌など全く違う味噌を少量足すことで、風味を回復させていました。
別の種類の味噌を常備していなかったとしても、新たに少量の味噌を足すことで風味が足されるので、多少はマシになるはずです。
また、一人暮らしの方や家族の食事時間がバラバラな方の場合。
具材に火を通すところまでで保存しておき、食べる直前に味噌を溶き入れるという方法なら、風味が損なわれることもありませんよ。
健康に良い味噌汁!その効果を知ろう!
1981年、国立がんセンター研究所の平山雄博士によって発表された『味噌汁を飲む頻度と胃がんの死亡率との関係』の調査結果によると…。
「味噌汁を飲む頻度の高い人ほど、胃がんによる死亡率が低い」ということがわかりました。
味噌汁を飲む人と、飲まない人の死亡率には明らかに差があり、男女ともに味噌汁の摂取頻度が高くなるほど、胃がんの死亡率が低くなるそうです。
この同じ調査結果を、喫煙の有無で分けたところ…。
“タバコは吸わないが、味噌汁をまったく飲まない人”よりも“タバコを毎日吸うが、味噌汁を毎日飲む人”のほうが、胃がんによる死亡率は低くなっているといいます。
こうしたデータがあるからこそ、健康のために味噌汁を飲むという習慣が根付いているんですね。
毎日味噌汁を飲むなら、美味しいに越したことはありません。
家族の健康を考え、食卓には味噌汁が常に提供できるように、バリエーションもつけていけるといいですね。
本物の味噌汁の作り方:豆腐とワカメ
まとめ
味噌汁を沸騰させてはいけない3つの理由
- 香りや旨味といった”風味”が失われる
- 舌触りが悪くなる
- 味噌に含まれる乳酸菌や酵素を殺して効果が期待できなくなる
美味しい味噌汁を作るためのポイント
- 具材に火が通ったあとに味噌を溶き入れること!
- 具材によって鍋にいれるタイミングが異なるので気をつける
- 別に下茹でしたり、アクを丁寧に取り除いたりすることで美味しさがアップ
- ネギやミョウガなど、具材からの香りも楽しもう
- だしの香りも大切なので、鰹節や昆布から丁寧にだしを取ってみよう
味噌汁の美味しさを回復する裏ワザ
- うっかり沸騰させてしまったら、少量の味噌を足すとよい
- 温め直すなら具材に火が通ったところで保存し、食べる分ずつ味噌を溶き入れる
- 温め直しても風味が落ちにくい味噌を使う
和食というのは基本的に、素材の風味を大切にする料理だと思います。
味噌汁の調理で特に気をつけたいのは、加熱するときの温度と時間です。
香りの成分が熱に弱いため、なるべく直前に作り、一番美味しい状態で「いただきます」といえるのが理想ですが…。
毎日の食卓では、なかなかそうはいきませんよね。
味噌やだしを選ぶだけでなく、自分の家庭に合った作り方を模索してみるのも楽しいものですよ。
季節ごとの旬の野菜を取り入れたり、家族の好みを追求した定番の具があったり…。
味噌汁の変化だけでも、食卓にバリエーションが増える気がしませんか?
簡単なようで、奥が深いのが味噌汁です。
ぜひ、色々な組み合わせを試してみてくださいね!