【執筆者:編集部 田畑ひとみ】
ふきを食べ過ぎると、栄養素であるカリウムや食物繊維の影響で胃痛や下痢を引き起こす場合があります。
また、ふきに含まれている「あく」は口にするとえぐみや苦みがあるため、しっかりとあく抜きする必要があります。
ふきは山菜の一種で、爽やかな独特の香りを楽しめる野菜でもあります。
料理は美味しかったのに、胃痛や下痢になってしまっては台無しですよね。
ふきを美味しく安心して食べられるように、この記事では以下についてまとめています。
この記事を読むと、ふきの食べ過ぎで体調不良になる原因や、適量であれば健康面で良い影響が期待できるのがわかりますよ。
また、あく抜きの詳しい方法や、おすすめの食べ方をご紹介していますのでぜひ参考にどうぞ♪
目次
ふきの食べ過ぎは体に悪い?病気になる危険性はあるのか
ふき・ふきのとうを食べ過ぎると腹痛や下痢などを引き起こすことがあるのは、カリウムや食物繊維の影響だと考えられます。
ほかにもアレルギーで腹痛や下痢になる場合や、天然毒素についても注意が必要なので、食べ方に気をつけなければ体に悪い影響があるかもしれません。
まずは、豊富に含まれるカリウムや食物繊維の影響について確認しておきましょう。
胃痛や下痢を引き起こす原因
ふき・ふきのとうを食べ過ぎると、胃痛や下痢を引き起こす場合があります。
カリウムの過剰摂取や腎機能低下が原因で、血液中のカリウム濃度が高くなる「高カリウム血症」になると、腹痛や下痢を引き起こすことがあるのです。(※1)
また、ふきに多く含まれる「不溶性食物繊維」は水に溶けないため、胃腸が弱い人が食べ過ぎると胃痛や下痢を引き起こす可能性があります。(※2)
また、腹痛や下痢を引き起こす原因はアレルギーかもしれません。
アレルギーで腹痛や下痢などを引き起こす場合も
ふき・ふきのとうは、アレルギーの抗原として注意したほうが良い食品とされています。(※3)
そのため、体質に合わないと食後に腹痛や下痢が起きることがあります。
私は山菜食べられない人なの…。それにふきのとうはずっと前にGWに泊まったホテルに出て、食べたらものすごい腹痛がきて、そのあと夜明けまで寝られずトイレに何回も行った思い出があってなおさらダメ…😱😱
— ともこ (@tomo37782998) May 12, 2016
のどの違和感または傷み、体の痒み、発疹、腹痛、下痢、嘔吐
体質によってはアナフィラキシー症候群になる危険性もありますので、症状が表れた場合はすぐに病院で診てもらいましょう。(※5)
また、ふき・ふきのとうに含まれる「あく」にも注意が必要です。
ふきの「あく」は毒性がある!
ふきには自然毒のピロリジジンアルカロイド類(ペタシテニン)が含まれています。
植物に含まれる有毒成分のピロリジジンアルカロイド類は600種類以上あるといわれており、中には人や動物の肝障害を引き起こす原因になるともいわれています。(※6)
ただし、日本ではふき・ふきのとうを「あく抜き」をしてから食べる習慣があるため、ピロリジジンアルカロイド類が原因となる健康への悪影響は報告されていないそうです。
ちなみに、ふきの地下茎は食べられるところではありません。
また、ふきのとうは有毒植物のハシリドコロの新芽と似ていて、誤食することがあるので注意しましょう。
ふきのとう | ハシリドコロ |
---|---|
白い綿毛がある つぼみが詰まっている |
綿毛はない 葉が詰まっている |
このように、ふき・ふきのとうを食べ過ぎると体に悪い影響をもたらすこともありますが、適量ならうれしいメリットをもたらすことも期待できます。
どれくらいなら食べても大丈夫なのか確認しておきましょう。
ふきが食べ過ぎにならない1日の適量|栄養やメリットとは
茹でたふきは1日に100gまで、茹でたふきのとうは1日に50g(生なら30g)までなら食べても体に悪い影響は与えないと考えて良いでしょう。
ふきの適量を知るには、栄養素の摂取目安量から考える必要があります。過剰摂取を引き起こすデメリットの原因であるカリウムについて見ていきましょう。
ふきの適量は栄養素の摂取量を目安にしよう
ふきの食べ過ぎでデメリットとなるカリウムの摂取目安量は以下のようになっています。
男性(18歳以上) | 女性(18歳以上) |
---|---|
2500mg | 2000mg |
茹でたふき100g当たりのカリウム含有量は230mgです。(※8)
他の食事からも摂取することを考えると、1日に100gまでなら食べても大丈夫でしょう。
市販されている水煮の状態であれば、1~2本は問題ないでしょう。
ふきのとうは、茹でたふきよりもカリウムの含有量が多いので、茹でた状態なら50gまで(生なら30g程度)までにとどめておきましょう。
適量を守り、食べ過ぎなければ期待できる効果についても確認してみましょう。
ふきを食べることで体に良い効果も期待できる
ふき・ふきのとうは、食べ過ぎなければこのような効能が期待できます。
- 抗酸化力があるポリフェノール
- カリウムは高血圧予防、むくみ防止に繋がる
- 不溶性食物繊維が便秘改善に繋がる
ふきを食べたときに感じる苦みはポリフェノールで、抗酸化作用により体内の活性酸素を取り除くはたらきが期待できます。(※9)
さらにこのポリフェノール類にはアレルギーの原因となるヒスタミンを抑える効果も確認されています。(※10)
カリウムには体内の塩分(ナトリウム)を排出し、水分量を調節するはたらきがあるので、塩分の摂り過ぎが気になるときに役立つでしょう。(※11)
また、不溶性食物繊維は腸内環境を改善して便通を促すはたらきもあります。(※12)
ふきを美味しく食べて栄養も摂れるように、次の章ではふきの正しいあく抜きの方法やおすすめの食べ方をご紹介いたします。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
ふきの正しいあく抜きの方法は?おすすめの食べ方も紹介
ふきに含まれるピロリジジンアルカロイド類は、茹でこぼしと水にさらすと減少します。(※13)
あくの抜き方はこちらを参考にしていただくと良いでしょう。
このように水に浸かった状態で保存してさまざまな料理に使えますが、おすすめの食べ方は煮物です!
水溶性食物繊維を含む海藻と組み合わせると便秘改善効果が増すのでおすすめです。
低カロリーで糖質も少ないので、ダイエット中にもうれしい食材ですね!
ちなみに、自生した庭のふきは固いので佃煮にするのもおすすめです。
生のふきが手に入らなかった場合も、水煮の状態で市販されている商品もあります。
あく抜きの手間も省けるので、時短で調理できますね。
結論|ふきは食べ過ぎに注意して美味しく食べよう
ふき・ふきのとうの食べ過ぎはカリウムや食物繊維の過剰摂取となり、副作用で胃痛や下痢が起きる場合があります。
また、アレルギーの可能性もありますので、腹痛や下痢を含むアレルギー症状が出た場合はすぐに病院へ行きましょう。
食べ過ぎず、しっかりあく抜きすると健康に悪影響を与えることは無いので安心してくださいね。
天然のふき・ふきのとうは春が旬でいつまでも食べられる山菜ではありませんが、ハウス栽培ものが秋に出回るので、見かけたときには適量を守って美味しく食べましょう。
参考資料
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※1 低カリウム血症・高カリウム血症|ナース専科
※2 過敏性腸症候群の人が知っておきたい食事療法|協立内科クリニック
※3 東京医大式 食物抗原強弱表[改訂版]|自然食品・有機米かねこや
※4 遅延型食物アレルギー(スローフードアレルギー)|アイクリニック
※5 フキノトウによるアナフィラキシーショックの1例(臨床皮膚科68巻6号)|医書.jp
※6 食品中のピロリジジンアルカロイド類に関する情報|農林水産省
※7 カリウムの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
※8 ふき/葉柄/ゆで 日本食品標準成分表2020年版|食品成分データベース(文部科学省)
※9 春の旬野菜フキ|JAグループ
※10 フキ|オリザ油化
※11 カリウム|e-ヘルスネット(厚生労働省)
※12 食物繊維の分類と特性|大塚製薬
※13 ふき・ふきのとうはあく抜きして食べましょう|農林水産省