ご飯(ごはん)は常温で放置するなど保存の仕方によってカビが生えやすく、ピンクや緑、黒などさまざまな色に変色する場合があります。
またカビ以外にも細菌などが原因で変色する場合もありますが、食べても問題がないこともあるため、判断に困ることもあるでしょう。
傷んだご飯を食べて食中毒などを起こすのは困りますが、せっかく食べられるなら廃棄するのはもったいないですよね。
そこでこの記事では、変色したご飯が食べられるかどうかの見分け方や正しい保存方法など、次の項目について解説します。
この記事を読むと、ご飯が変色しても慌てずに対処できるようになり、上手な保存方法もわかるので、一度に多く炊く方も美味しく食べきれるようになりますよ。
カビや変色を防ぎ、いつでも白くて美味しいご飯を食べられるように、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
ご飯にカビが生えた?食べられるか見分け方のポイント
ご飯(ごはん)を炊飯器で保温したままにしたり高温多湿な室内で長時間放置したりするとカビが生え、青や緑、紫や黒、オレンジなどいろいろな色が付くことがあります。
ご飯や米に付くカビには、人体に有毒なカビ毒(マイコトキシン)を産生するものもあるため注意が必要です。
まず、ご飯にカビが生えたときの状態や見分け方から解説していきますね。
緑や黒の変色はカビの可能性が高く食べられない!
ご飯に緑、紫、黒などの色が見えたら、青カビや黒カビなどのカビが生えて食べられない可能性が高いです。
カビには種類が多く、増えると集落(コロニー)と呼ばれるさまざまな色の塊を作り、中には有害なカビ毒を作り出すタイプもあります。(※1)
カビ毒には肝臓や腎臓などへの毒性や発がん性があるものもあり、多量摂取で急性中毒、少量でも長期間摂取し続けると慢性中毒を起こす可能性があり要注意です。
実際にご飯にカビが生えた方のSNSを覗いてみました。
昼ごはん食べようと思って炊飯器開けたらカビ生えてたwww pic.twitter.com/IXwDT6r7RU
— スラッピー (@taka_1114514) August 8, 2021
こちらの写真では、ご飯に黒っぽいカビが生えているのがはっきり見えますが、白や緑のカビが一面に生え、綿毛のようなふわっとしたものが付いている場合もあるようです。
ご飯にカビを見つけたら、無害な種類かどうかを色や見た目で判断するのは難しく、内部に菌糸を伸ばしたり周りに胞子を飛ばしたりしている場合もあるため、カビた部分を取り除いても食べない方が良いでしょう。
以上のように、ご飯にいろいろな色が見えるとカビが発生している場合が多いのですが、中には細菌が原因の場合もあります。
ピンク色になるのはセラチア菌が原因の場合も
ご飯がピンク色に変色するのは、カビによる場合もありますが、セラチア菌などの細菌が出す赤い色素が原因の場合が多いです。
水や土壌などに広く存在しているセラチア菌は熱に弱いため、お米を炊飯することで死滅します。
ただし炊飯後のご飯を常温や冷蔵庫で放置・保存していると、そこにセラチア菌が付着して赤い色素を作り出すことがあります。(※3)
セラチア菌の毒素は弱いので、健康な方なら体への悪影響はありませんが、保存中にほかの細菌やカビも発生している可能性があるため、やはり食べるのはおすすめできません。
このようにご飯はカビや細菌が原因で変色しますが、炊飯前の米にもカビが生える場合があるので計量して洗うときに色や臭いにも注意しましょう。
炊飯前の米にカビが生えている場合も
米にも保存中にカビが生えることがあり、黄・茶・紫・黒色などに変色して粉っぽくなるうえ、カビの種類によってはカビ毒に汚染される場合もあります。
炊飯前の生米(きまい)にカビが生えると、炊いてもパサついて風味が無く美味しく感じられないうえにカビっぽい臭いが残ることもあり、カビ毒の心配もあるため食べないようにしましょう。(※6)
ただし、玄米に緑色の粒が混ざっているのは、熟す手前で収穫された未熟米なので問題無く食べられます。(※7)
米にカビが生えると独特なカビ臭い臭いがしますが、古米はカビ臭く感じてもカビではなく、食べられる場合も多いです。
古米がカビ臭いのは糠の酸化による場合も
収穫後1年以上経過した古米がカビ臭いときは、カビではなくお米に含まれる糠(脂質)の酸化が原因の場合が多く、よく洗えば臭いもある程度落として食べられますよ。(※8)
お米は収穫から時間が経てば経つほど脂質が酸化して、黄色っぽく変色し古米臭(酸化臭)が発生します。
特に精米前の玄米には糠(脂質)が多く含まれるため古米臭が強くなりますが、精米後でも保管期間が長いと臭いが出ることもあるようです。(※9)
このほか、ご飯を炊いたあとにカビ臭い場合は、炊飯器自体にカビが生えていた可能性があります。
「炊飯器にカビなんてなぜ?」と思うかもしれませんが、内蓋などに付いた汁などの洗い残しがあると、しばらく使っていないあいだに炊飯器にもカビが生えることがあるのです。(※10)
旅行などで留守にする場合は、残りご飯の保存と炊飯器のカビ予防にも気を付けましょう。
以上のようにご飯にカビや細菌が付くと食べられない場合がありますが、ほかにも腐って食べると危険な状態になることがあるので、見分け方を知っておきましょう。
ご飯が腐るとどうなる?カビ以外に食べたら危険な状態の見分け方
ご飯はカビが生える以外にも、腐ってすっぱいような臭いや悪臭、粘り気・汁気が発生するなど、食べられなくなる場合があります。
ちなみに炊きたてのご飯は柔らかく、白くて表面にツヤがあり、ひと粒ずつがふっくらとして噛むと弾力と甘みがありますよね。
ご飯にカビ以外の腐るなどの異変が起きている場合に、食べられるかどうかの見分け方をご紹介します。
異臭や粘つき・汁気などがある場合は危険!
ご飯に細菌が付いて腐っていくと異臭や変色、ネバ付きが出て、栄養が分解されて風味を失うだけでなく食中毒の原因になることもあるため食べたら危険です。(※11)
- すっぱいような臭い・悪臭がある
- 粘り気があり糸を引く
- ベチャっとして汁気がある
- カビが生えて変色している
このようにご飯に明らかに腐っている特徴やカビがなく、茶色く変色しているだけなら食べられる場合もあるので、見分け方や対策を知っておきましょう。
ご飯を保温し続けるとメイラード反応で茶色になる
ご飯を炊飯器に入れたまま長時間保温して黄色や茶色になるのは、メイラード反応という化学反応でできた色素が原因なので、鮮度や風味は落ちますが、ほかにカビや悪臭などの異変がなければ食べられます。
炊飯器で保温し続けるとご飯に含まれるでんぷんなどの糖分とアミノ酸が反応し、メラノイジンという色素ができて全体が茶色っぽくなるうえ、水分が抜けて硬くなり劣化が進んでいくのです。(※12)
さらに放置すればカビが生えたり腐敗したりするので、炊飯器で保温したご飯は早めに食べきるようにしましょう。
茶色くなったご飯は、こちらの記事でご紹介しているアレンジレシピにすると美味しく食べられますよ。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
うっかり残ったご飯をそのまま炊飯器に放置して変色させることはありがちですが、炊飯後すぐに茶色になって驚く場合があるので、原因や対処法を解説していきますね。
炊き立てで茶色なのはエクアドル茶米菌が原因の場合も
炊き上がったばかりのご飯が茶色に変色するのは、枯草菌やエクアドル茶米菌などが原因と考えられ、異臭がする場合もありますが無害なため食べられます。
エクアドル茶米菌は枯草菌の変種で、枯草菌と同じく広く土壌に存在するため米を汚染していることがありますが、残念ながら炊飯前までは見た目では判別できません。(※13)
米にエクアドル茶米菌が付いていると、輸送や保管中、または洗米後にザルに上げて置いているあいだに増殖します。
そして増殖したエクアドル茶米菌から生成される「スブテノリン」という物質が、炊飯の熱で褐色に発色するため茶色いご飯になります。
エクアドル茶米菌。非常に稀ですが、何年かに一度くらいの頻度で茶色のお米が混じっていると。原因は、土壌の枯草菌です。白米ではわかりませんが、炊くと酸化し茶色に変色します。解決方法は、長時間、暖かい場所で浸漬をしないことになります。 pic.twitter.com/BH6TH2SPi0
— ませぎ商店 50雑穀 (@iiimmm1000) December 11, 2015
こちらの写真のように、ご飯全体でなくポツポツとところどころに色が付いたり、茶色のほか赤色やピンク色、オレンジ色になったりすることもあるそうです。
しかしエクアドル茶米菌に汚染されていても、洗米後すぐ水に漬けて炊くと菌の増殖とご飯の変色を防げる場合がありますよ。
ご飯が変色しても原因によって食べられる場合もありますが、カビが生えるなど腐る寸前まで劣化させないよう、鮮度を保つ保存方法を実践しましょう。
カビを防ごう!ご飯の美味しさを保てる保存方法
ご飯は時間経過とともにどんどん劣化が進むので、カビや腐敗を防ぎ美味しく食べるには常温で放置せず、鮮度を保てる方法で早めに保存しましょう。
時間が経って冷えたご飯は水分が抜けてパサつき、でんぷんの老化が進んで風味が落ちていきます。(※15)
でんぷんが老化すると温め直しても元に戻せないので、ご飯が冷めないできるだけ早いうちに適した方法で保存することが、美味しさを保つコツです。
ご飯を冷まさないで保存するには炊飯器の保温機能が便利ですが、鮮度を保つには短時間にしましょう。
5~6時間なら炊飯器の保温でOK
炊飯器の保温機能でご飯を保存する場合、一般的に美味しさを保てるのは5~6時間です。(※16)
生活スタイルに合わせて長時間保温したい方には、スチーム搭載など保温機能が強化された炊飯器がおすすめです。
このように短時間なら炊飯器で保温しても美味しく食べられますが、食べきれない場合や炊飯回数を減らしたい場合は、ご飯が劣化する前に冷凍保存しましょう。
炊き立てを冷凍すれば美味しいまま保存できる
ご飯のカビを防いで鮮度を保ちながら何日か持たせるには、一気に-18℃前後まで温度を下げられる冷凍保存がおすすめです。
ご飯は冷めていくうちに水分量が減り鮮度が下がるので、炊き立てに近い状態で水分を閉じ込めて急速に温度を下げて凍らせれば、約1ヵ月を目安に美味しく食べられますよ。
- 炊飯後の早い段階で急速に凍らせる
- ラップや保存容器で湯気ごと包む
- 一杯分ずつ小分けにする
ご飯を美味しいまま冷凍・解凍することができる専用容器も登場しているので、ぜひチェックしてみてください。
ご飯の保存は冷蔵庫内でもできますが、カビの心配だけでなく、でんぷんが老化してパサパサになる危険性があるようです。(※17)
またご飯を含めて食品は冷凍しても長期間になるとカビが生える可能性があるので、早めに食べましょう。(※18)
結論|ご飯はカビに注意して正しく保存しよう
ご飯は保存方法に気を付けないと、鮮度が落ちて風味を失うだけでなくカビや腐敗のため変色や異臭がして食べられなくなります。
ただし変色していても問題がないこともあるので、食べられるかどうかの見分け方を知っておきましょう。
ご飯を白いまま美味しく食べきるには、カビなどに注意して鮮度を保てる正しい方法で保存することが大切です。
なるべくご飯にカビや腐敗を発生させないよう、ぜひ参考にしてみてくださいね!
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 食品のカビについて|株式会社東邦微生物病研究所
※2 【食品安全FAQ】カビの生えた饅頭を食べてしまいました。食中毒が心配です。|東京都福祉保健局
※3 よくある質問Q&A|横浜食糧株式会社
※4 商品Q&A・ご飯が緑色に変色した|コープこうべ食品検査センター
※5 カビ毒Q&A・カビ毒ってなに?|東京都福祉保健局
※6 お米Q&A|公益社団法人米穀安定供給確保支援機構
※7 よくあるご質問・緑の玄米|らでぃっしゅぼーや株式会社
※8 古いお米のニオイ|瑞穂糧穀株式会社
※9 玄米は栄養素の宝庫|タイヘイ
※10 炊飯器を掃除して長持ちさせよう!捨て方やゴミとしての処分ルールも解説|株式会社CHINTAI
※11 食べ物の腐敗と食中毒|株式会社ウエノフードデクト
※12 五ッ星お米マイスターからの提案|辰巳館
※13 お米の小話|丸善米穀株式会社
※14 美味しいご飯の炊き方 軟水と硬水、水道水、ミネラルウォーターとお米の関係|株式会社日本トリム・ミズラボ
※15 冷めてからラップするのはNG!? プロが教える、冷凍ごはんのテクニック|ニチレイフーズ
※16 美味しいごはんの炊き方|タイガー
※17 JA全農が「炊いたごはん冷蔵禁止令」を発出! 保存は“冷凍”がいい理由とおいしい解凍方法を聞いた|FNNプライムオンライン
※18 冷凍食品の豆知識(2)冷凍食品にもカビが生える?|環境文化創造研究所