【監修者:管理栄養士 五輪美沙子】
しいたけの傘に白カビっぽいものがついていても、気中菌糸なので問題なく食べられる場合が多いです。
しかし、よく見ると白いふわふわの中に人体に悪影響を及ぼす青カビや黒カビが生えている、緑色っぽく見える場合は食べられないことが多いので要注意です。
しいたけは鮮度が落ちやすく、保存状態が悪いとカビが生えることが多い食材なので、食べられるか見分け方を覚えておくことが大切ですね。
この記事では、しいたけのカビについて知っておきたい以下の項目を紹介します。
この記事を読むと、生しいたけや干し椎茸を日持ちさせる方法がわかるので、特売でたくさん買っても保存方法に困ることがなくなりますよ♪
しいたけにカビが生えた!と思っても大丈夫なことが多いので、ぜひこの記事を参考にして上手に活用しましょう!
管理栄養士・栄養士
目次
しいたけにカビが生えた?食べられるか見分け方のポイント
しいたけに白いカビが生えたように見えても、菌糸が目立っているだけで問題なく食べられる場合が多いです。
しかし、人体に有害な青カビなどが発生している可能性もあるので、しっかり見極めなければいけません。
カビが生えたように見えるしいたけが食べられるか見分け方のポイントは、ズバリ色です。
まずは問題なく食べられる場合が多い、白いカビのようなものの正体について確認してみましょう。
生しいたけや干し椎茸の白いカビっぽいのは食べられる可能性が高い
生しいたけに白いカビのようなものが付着している場合は、気中菌糸(きちゅうきんし)、あるいは菌糸そのものだと考えられるので、食べても大丈夫です。
干し椎茸は糖質の一部が浮き出る場合もあり、こちらも問題なく食べられます。
気中菌糸の場合
しいたけなどのきのこ類はカビの仲間・真菌類に属しており、私たちが食べている部分は菌糸から作られた「子実体(しじつたい)」といいます。
子実体に成長した後、何らかの原因で菌糸がさらに成長しようとしたものが気中菌糸です。(※1)
この写真のように成長途中で気中菌糸が目立つ場合もあるので、鮮度が落ちて発生するものではありません。
全体的に傘の表面が白っぽくなっているのも気中菌糸なので大丈夫です。
そのままでも食べられますが、気になる方はふきんやキッチンタオルなどで軽く拭き取りましょう。(※2)
水で洗うと栄養が逃げて、水っぽくなり風味も落ちるので水洗いはやめておきましょう。
菌床の菌糸が残っている場合
また、根元の切り口に菌糸が残っている場合もあります。
根元の石づきをよく見ると白っぽくなっているのが、しいたけ菌の菌糸です。
新しい菌床(しいたけの菌が入っているブロック)が届きました
搬入したては白い菌床も半年たつと茶色く熟成され、しいたけが出てきます
菌床の搬入は立ったり座ったり地味にキツくて筋トレ感満載👻
『半年前にする筋トレ【農家のお仕事】』
⇒ https://t.co/NgTWNCinF5 @ameba_officialより pic.twitter.com/bFDsx7d4a6— (株)篠原商店【公式】かんぴょう問屋/マルモ農園/ただ今かんぴょう剥いてます (@chibi_marumo) April 22, 2021
しいたけが育つ菌床にも、菌糸がびっしりついていますよね。これが根元の石づきに残ったままスーパーなどで販売されている場合もありますが全く問題ありません。
ただし、先端の石づきは固くておがくずなども付着しているので、この部分は切り落としましょう。
干し椎茸に白い粉状のものが付着している場合
干し椎茸の表面が白く粉状になっている場合は、胞子が溜まったものか、糖質が結晶化したものだと考えられます。(※3)
いずれも品質には問題なく食べても大丈夫です。
しいたけに白カビっぽいものが付着していてもほとんど問題ありませんが、よく見ると白い綿毛のようなふわふわに違う色が混ざっている場合もあります。
値札のしたのしいたけカビすぎやろ笑
なんぼなんでもカビすぎやろ pic.twitter.com/VVREiNsAKz— 木村☆ (@bb_nsm) January 29, 2020
このような状態は気中菌糸ではありません。青や黒などが混ざっているなら食べられないものだと考えましょう。
青カビや黒カビが生えたしいたけは食べられない!緑色も要注意
しいたけの傘や茎が白っぽくて、よく見ると青や黒、緑っぽい色が混ざっているなら食べられないので処分しましょう。
カビ毒が発生して人体に悪影響を及ぼす青カビなどの可能性があります。
白いふわふわに青カビや黒カビが混ざっている場合
しいたけの一部が青・黒っぽいのは、菌床に発生しやすいペニシリウム(青カビ)やクラスドスポリウム(黒カビ)の可能性があります。(※4)
しいたけ カビまみれ pic.twitter.com/sB9BKQ5byv
— たわぺゃ (@twpya) March 11, 2021
写真だけでは判断できませんが、傘や茎に青カビっぽいものが発生していますね。
椎茸にカビはえてたww pic.twitter.com/ju4l6yZb8x
— 詩島 奇 (@sizima_aya) April 7, 2016
こちらは傘の裏が真っ黒になり、白い綿毛のようなふわふわに青色が混ざっています。
青カビや黒カビの種類や毒性を見た目だけで判断できないため一概にはいえませんが、カビ毒が発生したしいたけを食べたら発がん性や食中毒などのリスクが考えられます。
白と緑が混ざった状態も要注意
しいたけの傘や茎が白と緑が混ざったような色になったのは、トリコデルマ菌の影響で鮮度が落ちている可能性があるため食べない方が良いです。
トリコデルマ菌は、もともと白い菌糸で数日経つと緑色に変わります。(※6)
先日までの高温により散水後の湿気などで蒸れたか一部のホダ木でトリコデルマ発生。シイタケ菌を食べてしまうので椎茸農家としては恐ろしい菌です。 pic.twitter.com/23IhRpy8vF
— さわ (@nkkmd) July 27, 2018
トリコデルマ菌は土壌改良の有用菌として活用されている一方で、しいたけにとっては成長を阻害して腐らせる有害菌とされています。(※7)
しいたけがトリコデルマ菌の影響を受けると、カビが生えたように見えなくても急速に鮮度が落ちて腐る原因になります。
また、逆に見た目が悪くても問題なく食べられる場合もあるので見分け方を確認しておきましょう。
しいたけはカビ以外に腐るとどうなる?鮮度の見分け方
しいたけが腐ると青カビなどが生えるだけでなく、ぬめりや茶色い汁が出る場合や、臭いに異変が生じます。
逆に、一見すると異常があるように感じても、以下の条件を満たしていれば問題なく食べられます。
- 傘の表面:乾いている。肉厚で開きすぎていない
- 傘の裏側:ひだが細かくて白い
- 軸:太くて短め
鮮度の見分け方でとくに注目したいのは傘の表面や裏側の状態です。
傘の表面や裏側は要チェック!鮮度の見分け方
しいたけの傘や軸にカビのようなものが見当たらないけど、以下のように表面が黒く、ぬめりや茶色い汁が出ているなら腐っているので食べられません。
直売所みたいな所でしいたけを買ったんだけど、四日ほど置いておいたら、真っ黒になった。
びっくりして調べたら、黒くなるのは、腐ってるってw
もー…
大きくて、美味しそうなしいたけだったから、焼いて食べようと思ったのに…
一つも食べないまま腐った。
残念過ぎる。。 pic.twitter.com/nRKI6Bj30S— 加納 健詞 (@KenjiKanou) December 6, 2020
ここまで明らかに腐っているわけではないけど、鮮度が落ちた程度なら食べられる可能性もあります。
ぬめりはないけど傘の表面や裏側に黒い斑点・茶色ならお早めに
傘の表面に黒い斑点が付着しているのは、ゴミかトリコデルマ菌の影響を受けている可能性もあります。
ぬめりがなければまだ食べられるので、黒い部分を取り除いて早く食べましょう。
カビが生えていなくても、生しいたけの内側が赤茶色~黒っぽい色をしていたら、酸化によりメラニン色素が生成されて鮮度が落ちている証拠です。(※9)
斑点のように一部だけ変色している場合もありますが、傘の裏全体が変色することも・・・。
干し椎茸の裏側が茶色なのは問題ない
干し椎茸の裏側が茶色っぽいのもメラニン色素の影響ですが、鮮度に問題はなく、水に戻すだけで白くなります。(※10)
見た目だけで判断が難しい場合は、しいたけ独特の臭いでも鮮度を見極めてみましょう。
生しいたけと干し椎茸は臭いが違う!鮮度の見分け方
しいたけにぬめりが発生して腐ると酸っぱい臭い、青カビなどが発生するとカビ臭いので明らかに食べられない状態がわかります。
しいたけには独特の臭い成分「レンチオニン」が含まれていますが、生しいたけは香りがほとんど感じられず、干し椎茸は強く香るのが正常な状態です。(※11)
なお、スーパーでパック詰めされた生しいたけをそのまま常温で放置していると、いつもとは違う強い臭いを放つ場合があります。
これは空気が遮断されてアルコール成分が発生し、おがくずの臭いと混ざって異臭を放っている可能性があります。(※12)
とくに見た目が問題なければ食べられますし、パックから出すと臭いが気にならなくなります。
また、干し椎茸も保存状態が悪いとカビが発生して、カビ臭くなることがあります。
干ししいたけも全部カビちまった(T_T) pic.twitter.com/xL988kA0GQ
— ピリラキン (@Cratzsisutema) March 20, 2019
このような状態にならないためにも、鮮度を落とさない正しい保存方法を実践しましょう!
カビを防ごう!しいたけの新鮮な状態を保てる保存方法
新鮮なしいたけを購入しても、保存方法を間違えると数日でカビが生えて腐る場合があります。
1週間以内に食べきる予定なら冷蔵、食べきれないなら冷凍保存にしましょう。(※13)
また、数ヶ月日持ちして栄養価もアップする天日干しもおすすめです。
1週間が目安の冷蔵保存・1ヶ月が目安の冷凍保存のコツ
1週間以内に食べきる予定なら冷蔵保存がおすすめです。
キッチンペーパーで包むと、余分な水分を吸い取ってカビの発生を防いでくれますよ。
- STEP1キッチンペーパーに2~3個ずつ包む石づきを上にして、傘の裏から胞子が落ちるのを防ぎます
- STEP2ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ1週間~10日以内に使い切りましょう
1週間では食べきれそうもないなら冷凍保存にしましょう。
- STEP1傘・軸に分ける用途に合わせて使いやすいようにあらかじめ分けておきます。傘はそのままでも、スライスしてもOK!
- STEP2冷凍保存袋に入れて冷凍庫へ傘はそのまま冷凍保存袋へ、軸はラップに包んでから冷凍保存袋に入れます
- STEP3解凍せずそのまま使う凍ったまま包丁でカットして料理に使いましょう。1ヶ月以内に使い切ってください
天気が良い日が数日続くなら、天日干しに挑戦しましょう。
賞味期限も長くなる!干し椎茸の保存方法
しいたけを天日干しすると、ビタミンDが増えて栄養価がアップします!(※15)
水分が残っているとカビが発生するので、しっかり乾燥させてから保存しましょう。
厚みのある「どんこ」は天日干しに時間がかかり初心者には難しいので、賞味期限が1年ほどに設定されている市販品がおすすめです。
開封後は湿気を吸ってカビが発生しやすいので、密閉容器に入れて冷蔵庫に保存しましょう。
また、ビタミンDが減っている可能性があるので、数時間天日干しをしてから使うといいですよ♪
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
結論|しいたけはカビが生えやすいので新鮮なうちに食べよう
生しいたけに付着している白いカビのようなものは気中菌糸、干し椎茸は糖質が結晶化したものなので、食べても大丈夫です。
しかし、白いふわふわの中に青や黒、緑などの色が混ざっている場合は食べられないので注意しましょう。
カビ以外にもぬめりや臭いで異変を感じる場合は腐っている可能性があるので、少しでもおかしいと思ったら処分しましょう。
生しいたけは保存方法が良くないと鮮度が落ちてカビが発えやすいので、早めに食べるのがおすすめです。
1週間以内に食べきれないなら冷凍保存か干し椎茸にすると日持ちするので、無駄なく最後まで使い切れるように工夫しましょう!
参考資料
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※1 キノコに付着する白い綿の正体とは。これって食べられますか?【イラスト解説】|関東きのこの会
※2 きのこに関するQ&A|雪国まいたけ
※3 よくある質問 椎茸の表面に白い粉のような物が出てきたけど大丈夫?|マルトモ物産
※4 シイタケ菌床栽培とカビ|北海道立総合研究機構 森林研究本部 林産試験場
※5 かびとかび毒についての基礎的な情報|農林水産省
※6 育苗資材由来の病害|梅原博士の美味しい米作り講座(Meiji Seika ファルマ)
※7 バイオスティミュラントとしてのトリコデルマ菌の利用|アリスタライフサイエンス(アリスタ通信)
※8 しいたけ|大阪市中央卸売市場
※9 シイタケの鮮度を保つために|岐阜県森林研究所
※10 よくある質問 原木椎茸スライスがいつもより黄色く変色しているが問題ない? |王将椎茸株式会社
※11 しいたけ大好き作戦|篠崎しいたけ園
※12 きのこから異臭がするのですが、何の臭いですか?|JA全農長野
※13 【しいたけの保存】丸ごと冷凍で1ヶ月保存可能。旨みもアップ!|ほほえみごはん(ニチレイ)
※14 カビ対策マニュアル 基礎編|文部科学省
※15 干ししいたけの保存方法|杉本商店