【監修者:管理栄養士 本田智恵】
【執筆者:野菜ソムリエプロ みつはしさなこ】
水菜には食物繊維が豊富に含まれており、食べ過ぎると下痢や腹痛、消化不良になる可能性があるので、1日200g(1束)程度に留めておきましょう。
しかし水菜はビタミンやミネラルも含んでいるので、上手に摂れば健康や美容に活かせますよ。
妊婦の方が積極的に摂るべき栄養成分もあるので、働きや適量がわかると安心しますよね。
そこでこの記事では、水菜について詳しく調べ、次のような項目にして解説します。
水菜の持つ栄養素がそれぞれどのような効果があるのか、1つずつ具体的に見ていきますよ。
そして食べ過ぎるとなぜ腹痛や下痢につながるのか、原因となる食物繊維の働きから詳しく解説します。
また冷えが気になる方も注意が必要なので、理由や対応策を知っておくといいですよ!
なぜ1日200gが適量なのか、そして栄養を効率よく摂るための食べ方や長持ち保存方法を紹介しているので、最後まで読んで日頃の食事に上手に取り入れてくださいね。
目次
水菜の栄養とメリット・食べ過ぎに注意したい成分
水菜は全体の90%以上が水分で構成されており、食べるとシャキシャキしたみずみずしい食感があります。
可食部100g中に1,300μgのβカロテンを含む緑黄色野菜(可食部100g中に600μg以上のカロテンを含む野菜のこと)です。
具体的にどのような栄養成分があるのか見てみましょう。
- βカロテン
- ビタミンC
- 葉酸
- 鉄
- カルシウム
- 食物繊維
まずは美容につながるビタミンをまとめて紹介するので、特に女性はビタミンや効果をしっかり押さえてくださいね!
抗酸化ビタミンは美肌づくりに必要な栄養素
水菜に含まれるβカロテンやビタミンCは抗酸化ビタミンとも呼ばれ、動脈硬化や老化、免疫力低下などの原因となる活性酸素を抑える効能があります。
特に、βカロテンにはこの活性酸素を抑えるだけでなく、除去する働きがあるんですよ。(※2)
さらにビタミンCは、皮膚や粘膜を維持するためのコラーゲンも生成するので、特に美容に関心がある方は意識して摂りましょう。(※3)
そして水菜には妊婦に必須とされるビタミン・ミネラルが含まれているので、妊娠中や妊娠を考えている方は必見ですよ!
葉酸・鉄は貧血予防や妊娠期に重要な栄養素
水菜に含まれるビタミン成分の葉酸とミネラル成分の鉄には、どちらも貧血予防に必要な栄養素です。
葉酸はビタミンB12と一緒に血液を作り、鉄は血液中の赤血球を作る働きがあります。(※4)
ビタミンB12はかきなどの魚介類やレバーといった動物性食品に含まれていますよ。(※5)
一緒に食べると効果的ですね。
さらに葉酸は細胞のDNAを合成する際に必要な成分で、胎児の発育に重要な役割を果たすと考えられています。
妊娠を考えている方や妊娠初期の方は特に意識して摂りたいビタミンなので、水菜をしっかり食べて葉酸を補うと良いですね。(※6)
そして、水菜に含まれるカルシウムは、子供だけでなく大人が体を作るのにも必要なミネラルです。
カルシウムは丈夫な骨を維持するミネラル
人の体内のカルシウムは99%が骨と歯に存在し、丈夫な骨を維持するためにも継続的に摂りたいミネラルです。
残った1%は血液中で止血などに働きかけますが、血中カルシウムが不足すると骨に蓄えられたカルシウムが破壊され、補填するために使われます。(※7)
もしカルシウム不足が長期間にわたると、骨がもろくなり骨折しやすくなる(骨粗しょう症)ので、カルシウムはしっかり摂るようにしましょう。
ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収率が悪くなります。ビタミンDを多く含むきのこや魚を合わせて食べると効率良くカルシウムを吸収できますよ。
中には、健康やダイエットを意識してサラダに水菜を取り入れる方もいるかもしれませんね。
そんな方には、水菜に含まれる食物繊維が強い味方になってくれそうですよ♪
食物繊維は腸の活動を活発にする
食物繊維はそのまま大腸まで届くことで、便秘予防や整腸効果だけでなく血中コレステロールの低下や血糖値の急上昇を抑える働きがあります。
がんなどの病気リスクを低下させる研究報告もあり、美容ダイエットのためだけでなく、日常的にしっかり摂りたい成分なんですよ。(※8)
ただし、食物繊維は摂り過ぎると体に悪い場合があるので注意も必要です。
水菜の栄養素が分かったら、次章では水菜の食べ過ぎによる副作用について解説していきます。
また体調不良になった場合の対応策も紹介するので、併せてチェックしてくださいね。
水菜の食べ過ぎによる悪影響|デメリットとなる栄養成分は
ビタミン・ミネラルを含み健康的にみえる水菜ですが、やはり食べ過ぎは悪影響があります。
先程の水菜の栄養成分から、食べ過ぎでどうなるのか紹介していきますよ。
デメリットを最小限にするための対処法も解説していくので、参考にしてくださいね。
まずは腹痛や下痢を起こしてしまう原因を解説します。
不溶性食物繊維の摂り過ぎが腹痛・下痢を引き起こす可能性
水菜に多く含まれる不溶性食物繊維を一度に大量に摂ると、体調不良を引き起こすことがあります。
不溶性食物繊維は腸を刺激し便通を促す働きがありますが、摂り過ぎると消化不良で腹痛や下痢を引き起こすことがあるためです。(※9)
特にけいれん性便秘は腸管の収縮活動が強く、腸を刺激する不溶性食物繊維の影響で余計に症状を悪化させる危険性が強くなるので、水菜を食べる量は控えましょう。水溶性食物繊維が含まれるいもや海藻などがおすすめです。
腹痛や下痢症状がある場合は、次のように対応します。
- 食物繊維の多いものは控える
- 刺激の強い食品(香辛料、アルコールなど)を控える
- 油の多い料理は控え、柔らかく調理したものを食べる
おかゆやうどんで胃腸を休めてくださいね
また水菜は大部分が水分なのでたくさん摂っても害が少なそうに感じますが、いくら水分とはいえ摂り過ぎにはデメリットもあります。
特に日中座る時間が多い方や体が冷えやすい方は、次のポイントにも注意しましょう。
水分の摂り過ぎが冷え性につながることがある
水分は摂り過ぎると体内に溜まり、体が冷える原因につながります。
体内の水分は汗などで体外に排出されますが、運動量が少ない方は汗をかきにくく、冷えが起こりやすいと言われています。(※11)
冷え性を改善するには、次のポイントを意識するといいですよ。
- 風呂では全身浴をする(38〜40℃で10〜20分)
- 20分程度の適度な運動をする(ウォーキングやストレッチなど)
全身浴は血行を良くし、新陳代謝を活性化させて体温が上昇します。
また運動は体内で熱を作り、冷えの解消や血流を良くする効果があるので、日常でムリなくできるものを取り入れてみてくださいね。
どんなものでも食べ過ぎには注意が必要ということが分かりましたね。
では水菜の場合どのくらいが適量なのか、またどうやって食べると栄養を効率的に取り入れることができるのかを、次章で紹介します。
水菜の食べ過ぎにならない1日の適量と効果的な食べ方
水菜の1日の適量は、野菜全体の1日の目安量の観点から考えていきましょう。
また水菜だけで1日の野菜摂取量を摂ろうとするのではなく、さまざまな野菜と合わせると健康により効果的ですよ。
さらに、水菜の栄養を効率的に摂る食べ方や長持ちさせる保存方法も紹介するので、水菜を上手に食卓に取り入れてくださいね。
水菜の摂取量目安はどのくらい
下の表で、1日の野菜摂取量目安と水菜1束あたりの重量をまとめています。
1日あたりの野菜摂取量(※12) | 水菜1束あたりの重量(※13) |
---|---|
350g | 200g |
重量だけで見ると1束以上食べても問題なさそうですが、水菜の成分は9割が水分であることを考えると、1日200g(1束)程度に留めておき、他の野菜もバランスよく摂ることによって栄養素を補うと良いでしょう。
水菜は通販でも簡単に購入できますね!
適量が分かったら、上手に栄養を摂る食べ方を知って食事に取り入れていきましょう!
水菜の栄養素を効率的に摂る食べ方
水菜に含まれるビタミン類は加熱によって減少しやすいので、効率的に摂るなら次のポイントを意識するといいですよ。
- サラダや和え物で食べる
- 加熱するときは材料を大きく切り、短時間で加熱する
ただし、水分の多い水菜だけで体に必要な栄養素を摂ろうとするのは、あまりおすすめできません。
水菜も歯応えがあって美味しいですが、いろんな野菜と組み合わせ、さまざまな調理法で食べるのが、結果的に万遍なくビタミンを取り入れるコツですよ。(※14)
ところで、水菜を食事に取り入れようとしてたくさん買ってきても、そのままではあまり日持ちがしません。
買った水菜を上手に使い切るために、水菜の保存方法を2つ紹介します。
自分の使い勝手に合わせて使い分けてみてくださいね♪
1束まとめて使うときは(※15)
- 新聞紙に包む
- ビニールなどの保存袋に入れて冷蔵保存
少しずつ使うとき
- まとめて切って水にさらしてから水気を切る
- 水菜全体をキッチンペーパーで包む
- タッパーに入れて冷蔵保存
少しの手間で長持ちさせられるので、買ってきてすぐに使わないときや少し余ってしまった時には、ぜひ活用してくださいね。
さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事でも詳しく解説していますよ!
\こちらの記事も参考にどうぞ/
結論|水菜は食べ過ぎに注意しておいしく食べよう
水菜はサラダや鍋料理にシャキシャキとした歯応えをもたらすだけでなく、ビタミンやミネラルなども摂れる野菜です。
美容・ダイエットや健康を意識する方、さらに妊婦にとっても必要な栄養成分が含まれているので、ぜひ積極的に取り入れましょう。
ただし食べ過ぎると体を冷やしたり、腹痛や下痢の原因になることがあります。
適量を意識し、ほかの野菜と組み合わせながら上手に水菜を食べてくださいね。
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 「水菜」サラダや鍋に活躍!栄養と鮮度をキープする保存のコツ|カゴメ株式会社
※2 抗酸化ビタミン|厚生労働省
※3 栄養成分ナビゲーター「ビタミンC」|江崎グリコ株式会社
※4 栄養成分ナビゲーター「鉄」|江崎グリコ株式会社
※5 栄養成分ナビゲーター「ビタミンB12」|江崎グリコ株式会社
※6 栄養成分ナビゲーター「葉酸」|江崎グリコ株式会社
※7 栄養成分ナビゲーター「カルシウム」|江崎グリコ株式会社
※8 食物繊維の必要性と健康|厚生労働省
※9 便秘と下痢の話|医療法人大光会おおかど胃腸科クリニック
※10 お腹情報局「おなかにいい食生活」|大幸薬品株式会社
※11 vol.144「冷え」への対処は、原因を突き止めることから始まる|オムロン ヘルスケア株式会社
※12 野菜、食べていますか?|厚生労働省e-ヘルスネット
※13 食材の目安量|味の素株式会社
※14 ビタミンについて|国立研究開発法人医療基盤・健康・栄養研究所
※15 水菜の保存方法|キューピー株式会社