【監修者:管理栄養士 髙村恵美】
ゆずは美容や健康に役立つビタミンCなどの栄養成分が豊富ですが、食べ過ぎると胃腸障害などの体調不良を引き起こすおそれがあります。
また、皮に含まれるリモネンはリラックス効果が期待できる一方で、皮膚に触れるとピリピリするデメリットもあります。
体に良い効果が期待できるゆずも、食べ過ぎて体調不良を起こしてはもったいないですよね。
せっかく食べるなら適量を守り、美容や健康維持に役立てたい!そんな方に知ってほしい、以下の項目について紹介します。
この記事を読むことで、体への悪影響を防ぐための目安量がわかり、効率的に栄養素を摂取できるようになりますよ。
栄養価の高いゆずの栄養成分を余すことなく摂れる食べ方も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
管理栄養士・栄養士
目次
ゆずは栄養豊富!メリットと食べ過ぎ注意の成分
ゆずはビタミンCやペクチン、リモネンなどの成分を含んでおり、免疫力を高めたり、血流の改善や美容効果も期待できる栄養価の優れた食材と言えます。
ゆず・果汁 (※1) |
ゆず・果皮 (※2) |
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エネルギー | 30kcal | 50kcal |
β-カロテン当量 | 7μg | 240μg |
ビタミンC | 40mg | 160mg |
食物繊維総量 | 0.4g | 6.9g |
果汁に比べて果皮に栄養素が豊富に含まれており、とくにビタミンCは食べ過ぎると下痢を引き起こす恐れがあるので注意しましょう。
まずは、果皮に多く含まれているビタミンCやβ-カロテンの特徴からご紹介します。
美容効果が期待できるビタミンC・β-カロテンが豊富
ゆずの果皮に多く含まれるβ-カロテンは必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚の新陳代謝を促進するはたらきがあります。
また、ビタミンCにはコラーゲンを合成する働きがあるため、この2つの栄養素を持つゆずには美肌効果が期待できます。(※3)
これらの栄養素は抗酸化作用(がんや老化、免疫力低下の原因となる活性酸素を抑えるはたらき)もあるといわれています。(※5)
このような美容に良い栄養素の他、血流改善などの効能が期待ができるペクチンやヘスペリジン、リモネンも含まれています。
血流改善作用のあるペクチン・ヘスペリジン・リモネン
ゆずに含まれるペクチンやヘスペリジン、リモネンには血流を改善する効果が期待できます。(※6)
食物繊維の一種であるペクチンは、悪玉コレステロールを減らし、血液をサラサラにする効果があるといわれています。(※7)
香り成分であるリモネンには、交感神経を刺激して血行を促してくれる効果が期待できます。
ポリフェノールの一種であるヘスペリジンは、ゆずの皮や白い部分に豊富に含まれ、末梢血管を強化して血流を改善するといわれています。(※9)
また、ヘスペリジンにはビタミンCの吸収を助ける働きもあるので、両方の栄養素を持つゆずはとても優秀な食材といえますね。
これらの栄養成分により血流が改善されると、代謝が良くなり脂肪燃焼も期待できるので、ダイエット中の方にもおすすめです。(※10)
ゆずには体に嬉しい栄養素が豊富に含まれています。一方で、食べ過ぎに注意したい栄養成分もあるので、次はそこに焦点を当てていきましょう。
ゆずの食べ過ぎでデメリットになる栄養成分の影響
ゆずを食べ過ぎるとビタミンCが過剰となり、下痢や腹痛など胃腸へ健康被害を及ぼすことがあります。
他にも、ゆず加工品に含まれる糖質の過剰摂取が太る原因になったり、リモネンが痛みやかゆみを引き起こすなど、体に悪影響を及ぼす可能性があります。
まずは、ビタミンCの過剰摂取の注意点についてお伝えします。
ビタミンCの摂り過ぎは下痢や腹痛を引き起こす
ゆずの皮に豊富に含まれるビタミンCは一度に多量摂取すると、下痢や腹痛、吐き気などの副作用を引き起こすおそれがあるので、摂り過ぎには注意が必要です。
その理由は、強い酸性であるビタミンCにより胃腸が刺激を受けたり、消化時に発生するガスがたまり腸に影響を及ぼすためです。(※11)
一度に大量にゆずを食べることも腹痛の恐れがあり危険ですが、ゆずに触れることで皮膚にかゆみや痛みを感じることもあります。
香り成分リモネンには肌に刺激を与える危険がある
ゆずが肌に触れるとピリピリするような痛みやかゆみを感じることがあります。
肌がチクチクして痒い!ゆず湯かゆい!
— そたさん (@Sota_Hybrid) January 7, 2020
ゆずに含まれるリモネンは油を落とす性質があるため、肌に触れると皮脂に刺激を与えて痛みやかゆみが出た可能性があります。(※12)
ゆず湯をする際、ゆずを入れすぎると肌に刺激を与えてしまう可能性があるので、量はほどほどにしましょう。
こういった症状はすぐに出るためわかりやすいですが、気付かない間に糖質の摂り過ぎで太る可能性もあります。
ゆず茶などの加工品の食べ過ぎは体に悪い?糖質過剰で太る恐れ
市販のゆずを加工した食品には糖質を多く含むものがあり、食べ過ぎると太る原因になります。
ゆずジュースやゆずジャムなど加工食品の一例として、ゆず茶1杯(15gをお湯割り)は糖質(炭水化物)量が約12.8gになります。(※13)
適正な糖質摂取を目的とするロカボの考え方によると、1日の間食における糖質量は10gが良いとされているため、ゆず茶を1杯飲むだけでも目安量を超えてしまいます。(※14)
そのため、ゆず茶を飲み過ぎると糖質の過剰摂取により太る恐れがあります。
ゆず茶好きなんだけど飲みすぎて太るから、今年はまだ買ってない。いつまで我慢できるかな。。。
— オケイ (@okei_y) November 9, 2020
美味しいとついつい飲み過ぎてしまいますが、適量を守るようにしましょう!
では、どれくらいまでならゆずを摂っても大丈夫なのでしょうか。
1日の適量やゆずの栄養素を活かす効果的な食べ方を一緒に見ていきましょう!
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ゆずを食べ過ぎにならない1日の適量や効果的な食べ方とは
ゆずの果皮は、ビタミンCの含有量を考慮して1日2個分までを目安に食べると良いでしょう。
果汁についてはビタミンCが含まれるものの多量ではないため、摂取量を気にしすぎる必要はないと考えられます。
そして、ゆずに含まれる栄養素の効果的な摂取方法は、水溶性のビタミンCが溶け出したお湯や煮汁ごと食べたり、生のまま食べることです!
まずは、適量を2個までとした理由について解説します。
ゆずの摂取量はビタミンCの推奨量を参考に
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、ビタミンCの1日の推奨量は100mgとなっています。(※15)
ゆず1個分の皮部分が25gとすると、ビタミンCの含有量は40mg。
2個分の果皮を食べると80mgのビタミンCを摂取できるので、推奨量を超えない2個分が適量だといえます。
ゆずの皮を食べる際、そのままだと食べづらいので美味しく調理し、栄養素を余すことなく食べましょう!
ゆずの栄養を効率よく摂る&美味しい食べ方
ゆずに含まれるペクチンやビタミンCは水に溶ける性質があるため、煮たり茹でたりしたあとのお湯を捨ててしまっては栄養も捨ててしまうことになります。
栄養を逃がさないようにお湯ごと使ったり、生のまま使うのがベストです。
効率よく栄養を摂るためのおすすめレシピをご紹介します。
お湯ごと補給で栄養を無駄なく摂れる!はちみつ生ゆず茶
市販のゆず茶だと砂糖が多く使われているため、砂糖ではなくはちみつを使ってオリジナルのゆず茶を作りましょう!
お湯割りなのでペクチンやビタミンCを無駄なく摂れます。風邪で喉が痛いときにも優しいドリンクです。
こちらのレシピはゆずの正味重量と同量のはちみつを使用してゆず茶の素を作り、それをお湯に溶いてゆず茶にするものです。
このゆず茶の素の分量として、ゆず1個分の果皮を25g、果汁を15gと仮定し、はちみつを40g使用すると、栄養価計算した結果、糖質量は約36gとなります。
ゆず茶の素大さじ1杯(15g)をお湯で溶いて作ったゆず茶1杯の糖質量は約7gです。
このレシピで作れば市販のゆず茶と違い、1日の間食の目安である糖質量の10gを超えません。
生のまま使って栄養を無駄にしない!ゆずと白菜の漬物
さっぱりと食べられる漬物もオススメです。
生のまま使用するので、ビタミンCを効率よく摂取できます。
漬けたあとは水分を絞らずに食べましょう!ゆずのさわかやな香りが食欲をそそりますよ。
結論|ゆずは食べ過ぎず上手に栄養摂取しよう
ゆずの食べ過ぎだけでなくビタミンCのサプリメントを摂取していると、過剰摂取により腹痛や下痢などの胃腸障害を引き起こすことがあります。
また、ゆず茶などの市販の加工品を摂り過ぎると、糖質の過剰摂取により太る原因になるなどのデメリットもあります。
しかし適量を守って食べれば、ビタミンCによる美肌効果やペクチンの血行促進効果などのメリットもある優れた食材です。
食べる量に気を付けながら、オリジナルゆず茶や漬物などで、栄養を余すことなくいただきましょう!
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 果実類/(かんきつ類)/ゆず/果汁/生|食品成分データベース(文部科学省)
※2 果実類/(かんきつ類)/ゆず/果皮/生|食品成分データベース(文部科学省)
※3 お肌のために毎日摂りたい!美肌をつくるオススメ栄養成分3つ|みんなのキレイの計り方(株式会社カネボウ化粧品)
※4 果実類/(かんきつ類)/レモン/全果|食品成分データベース(文部科学省)
※5 抗酸化ビタミン|e-ヘルスネット(厚生労働省)
※6 ユズ|わかさの秘密(株式会社わかさ生活)
※7 ペクチン|わかさの秘密(株式会社わかさ生活)
※8 野菜類/ごぼう/根/生|食品成分データベース(文部科学省)
※9 ヘスペリジン|わかさの秘密(株式会社わかさ生活)
※10 代謝アップ&血行改善で燃える身体づくり|きのこラボ(ホクト株式会社)
※11 Q&A ビタミンCについて|美と健康を科学する株式会社アスコルバイオ研究所
※12 ゆず|みなとの野菜大辞典(株式会社ハイポネックスジャパン)
※13 ゆず茶のカロリー計算|あすけん(株式会社 asken)
※14 ロカボとは|ロカボオフィシャルサイト(一般社団法人 食・楽・健康協会)
※15 ビタミンC|日本人の食事摂取基準(2020年版)(厚生労働省)