【監修者:管理栄養士 南寿華】
パクチーにはビタミンKやβカロテンなどの栄養素が豊富に含まれており、健康へのうれしい効果が期待できる魅力的な食材です。
しかし、食べ過ぎるとカリウムの過剰摂取で高カリウム血症などを引き起こす可能性があるため注意しましょう。
パクチーのメリットを生かすには、適量を食べることが何より大切ですよね。
そこで今回は、パクチーを食べ過ぎると何が原因でどのような症状がおきるのか、デメリットについて詳しく調べてみました。
そのほか、パクチーによる吐き気や体臭、腹痛や下痢などの副作用についての噂の真相も調査しました。
「パクチーが好きだけど、食べ過ぎて栄養に偏りがないか不安」という方は、こちらの記事を読んでぜひ参考にしてみてくださいね。
管理栄養士・栄養士
パクチーの栄養とメリット・食べ過ぎに注意したい成分
パクチー(別名:コリアンダー、シャンツァイ)にはビタミンKやβカロテンなど、健康にうれしい効果が期待できる栄養素が豊富に含まれています。
その反面、カリウムや芳香成分など食べ過ぎると健康へ悪影響を及ぼす栄養素も含まれているので、過剰摂取には注意が必要です。
パクチーに含まれている主な栄養素と、それぞれの推奨摂取量を比較してみました。
栄養素 | パクチー(生) (※1) |
1日の推奨摂取量 (※2) |
---|---|---|
ビタミンK (μg) |
310 | 150 |
ビタミンA (μgRAE) |
337 | 男性 850~900 女性 650~700 |
βカロテン (μg) |
3930 | - |
ビタミンE αートコフェロール (mg) |
2.5 | 男性 6.0~7.0 女性 5.0~6.5 |
カリウム (mg) |
521 | 男性 2500 女性 2000 |
ビタミンKはパクチー50gだけで1日分の推奨摂取量を補えるほどで、体内でビタミンAとしてはたらくβカロテンやビタミンE、カリウムも豊富に含まれていることがわかりますね。
まずは、パクチーに多く含まれているビタミンKのはたらきについて紹介します。
ビタミンKが止血や骨の形成を促す
ビタミンKは止血や、カルシウムが骨に沈着するのをサポートし、丈夫な骨をつくるはたらきがあるため、骨粗しょう症の治療にも使われています。
そのほか、動脈血管が硬くなり石灰化するのを予防するはたらきもあります。
また、パクチーにはβカロテンも多く含まれています。
ビタミンAになる栄養素・βカロテンが皮膚や粘膜の健康を保つ
βカロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されます。
ビタミンAは皮膚や粘膜の健康状態を保ち身体の免疫力を高める、暗い場所での視力を保つ役割もあります。
そのほか、パクチーにはビタミンEも多く含まれています。
ビタミンEが生活習慣病や体臭・口臭を予防する
ビタミンEは体内で脂質が酸化するのを防ぐはたらきがあるため、生活習慣病や老化に関わる病気の予防、アンチエイジング効果が期待できます。(※5)
脂質は酸化すると血管で血栓を作ったり、細胞を傷つけたりすることによって、動脈硬化やガンの原因になることがあるためです。
パクチーには「若返りのビタミン」とも呼ばれるビタミンEが多く含まれているので、積極的に食べている日本人女性も多いですよね。
石原さとみもパクチー好きだし美人ってパクチー好きなイメージあるから最近パクチーを食べるようにしてる(意味ない)
— マちゃ (@1999_machan) December 19, 2020
そのほか、ビタミンEにはノネナールというニオイ物質の発生を抑える作用があり、口臭や体臭を防ぐ効果も期待できます。(※6)
「パクチーは臭いが苦手で気持ち悪い」「食べ過ぎると体臭がきつくなるのでは?」と思う人もいますよね。
パクチー好き過ぎてまとめ買いしてひたすらパクチー食べてる。もうきっと体臭がパクチー pic.twitter.com/pOml8BnJX6
— nanacot (@INCIDENTS_777) June 21, 2015
でも、パクチーはビタミンEが多く含まれているので、むしろ体臭を防いでくれると考えて良さそうです。
ちなみに、パクチーとカメムシには同じ匂い成分が含まれているそうです。
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また、パクチーにはカリウムも多く含まれています。
塩分の過剰摂取を予防するカリウムが豊富
カリウムには体内のナトリウムを排出して、体の水分のバランス調整を行うはたらきがあり、ナトリウムや塩分の摂りすぎによる高血圧の予防に役立ちます。(※7)
塩分はむくみの原因にもなるので、カリウムにはデトックス作用が期待できるといっても良いでしょう。
また、カリウムをはじめとするミネラルは糖代謝を助けて血糖値を下げるはたらきがあるため、糖尿病予防にも効果が期待できます。(※8)
なお、カリウムは普通に食事している分には過剰摂取になる心配はありませんが、腎機能が低下している方は高カリウム血症のリスクがあるので注意しましょう。
パクチー独特の香りを引き出す芳香成分にもメリットがあります。
芳香成分による胃腸のサポート・キレート作用にも注目!
パクチーに含まれている特有の香り成分には胃腸のはたらきをサポートする役割があり薬用ハーブとして親しまれていました。
さらに近年の研究では、体内の有害毒素をスムーズに排出するキレート作用があるとして注目されています。(※9)
パクチーのある生活~
“キレート効果”をご存知ですか?
キレート効果とは、吸収されにくい成分を、吸収されやすい形に変えて吸収したり、体内の有害物質を排出しやすい形に変えて排出したりするはたらきのことで、パクチーはキレート効果が抜群だと言われています。 pic.twitter.com/GYl41uFY0v
— キッチンYamituki (@yamiikebukuro) December 10, 2018
このように、パクチーには食べ過ぎるとデメリットになる栄養成分も含まれているので、具体的な症状を詳しく確認しておきましょう。
パクチーの食べ過ぎでデメリットになる栄養成分と症状
パクチーを食べ過ぎると体に悪い影響を及ぼす可能性があるのはカリウムで、腎機能が低下している方は高カリウム血症に注意が必要です。
また、特有の芳香成分の影響で腹痛や下痢などの症状や、アレルギーを引き起こすこともあるので注意が必要です。
まずは、含有量が比較的多いカリウムの過剰摂取が引き起こすデメリットから確認してみましょう。
カリウムの過剰摂取で高カリウム血症のリスクが高まる
腎機能が低下している方がカリウムを過剰摂取すると、余分なカリウムが尿でうまく排泄されず、高カリウム血症になる場合があるので注意しましょう。
高カリウム血症になると、手足のしびれや心拍の異常が起き、重症の場合心停止になるおそれがあります。
腎機能が低下している方はカリウムの摂取量を1日1500mg以内に指導される場合がありますが、詳細は主治医に相談することをおすすめします。(※10)
他にも、芳香成分のメリットが食べ過ぎるとデメリットになるおそれもあります。
キレート作用の影響で腹痛や下痢になる可能性も
パクチーを食べ過ぎると腹痛や下痢を引き起こす方もいます。
パクチー食ったら下痢して辛すぎ
— 狭霧 (@V_Sagiri0) March 23, 2019
過剰摂取すると、芳香成分による胃腸へのはたらきやキレート作用が強く現れて、腹痛や下痢、吐き気を引き起こすと考えられます。(※11)
また、体質によってはアレルギーを引き起こすおそれもあるので注意が必要です。
アレルギー症状を引き起こすことがある
パクチーを食べると口などがかゆくなる方もいます。
笑えない程度に深刻な香草アレルギーだったようなので、「あんたはパクチーない所食ってりゃいいわよ」とかてはなく、何にでもパクチー入れる系の店にはもう絶対行かないです。
口の周りから食道までがかゆい。— beco (@ecstasy1018) May 3, 2017
セリ科に分類されるパクチーを食べると、口腔アレルギー症候群が起こることがあります。
口腔アレルギーとは、花粉症のある方が花粉症の原因物質が含まれている果物や野菜を食べると現れるアレルギー症状です。(※12)
具体的な症状としては、口の中がかゆくなったり、口の中や唇が腫れたりするほか、目のかゆみやくしゃみなども起こります。
重症の場合にはアナフィラキシーショックを起こし命にかかわることもあるので、注意が必要です。
このように、パクチーは食べ過ぎるとデメリットはありますが、適量を守れば体に悪い影響はなく、毒性もないのでどのくらいを目安にするべきか確認しましょう。
パクチーの1日の適量とおすすめの食べ方
パクチーのメリットを活かせる適量は1日10g未満で、体調不良を起こさない安全な量と考えましょう。
これ以上食べ過ぎると体調を崩すおそれがあるのでくれぐれも注意してください。
この理由は、タイで行われた動物実験により、一度に10g以上のパクチーを食べると腎臓に負担がかかることがわかっているためです。(※13)
食べきれないほど大量のパクチーがある場合は、保存方法を工夫しましょう。
私のレシピでカレーを作る方へ⑧
パクチーの保存方法です。
チャック袋に根本が浸かる程度に水を入れ冷蔵庫に立てて入れます。
クタクタになった後でも生き返り1週間ほど元気を保ちます。
大切なのは3点 密封・水・冷却。
コップに入れてラップで葉全体を包むように巻いて冷蔵庫に…でもOKです。 pic.twitter.com/8i1lTvECa2
— 印度カリー子 (@IndoCurryKo) November 23, 2019
冷蔵よりも長持ちする冷凍保存もおすすめです。
パクチーの葉を乾燥させたコリアンダーリーフなら、さらに長期の保存が可能。
少量ずつ使えるので、ご自宅にひとつあると便利ですよ。
続いてパクチーのおすすめの食べ方をご紹介します!
栄養素を活かすおすすめの食べ方は油がポイント!
パクチーの主要成分であるβカロテン・ビタミンKなどは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂ると効果的。(※14)
炒め物や、オイル入りのドレッシングと一緒にサラダにして食べるのがおすすめです。
夏野菜とパクチーの炒め物
パクチーの香りが食欲をそそる、栄養満点の炒め物です。
夏野菜を使用しているので、夏のおかずにぴったりですよ。
具だくさんで栄養満点!ヤムウンセン
ヤムウンセンとはタイの春雨サラダで、野菜をたくさん摂りたいときにおすすめです。
使用するパクチーは生でも乾燥タイプでもOKです。
ぜひご家庭でも作ってみてくださいね!
結論|パクチーは食べ過ぎに注意しよう
パクチーを食べ過ぎると、腹痛や下痢になることもあるので注意しましょう。
しかし、βカロテンやビタミンKなど健康にうれしい栄養素もたくさん含まれているため、適量を食べることが大切です。
パクチーの適量は1日あたり10g未満が目安で、栄養素を活かすには炒め物やサラダにして油と一緒に食べるとよいでしょう。
この記事を参考に、パクチーの適量を守って美味しく健康的に味わってください。
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 Coriander (cilantro) leaves, raw|U.S. DEPARTMENT OF AGRICULTURE
※2 日本人の食事摂取基準(2020年版より)|栄養成分ナビゲーター(グリコ)
※3 ビタミンKのはたらきと1日の摂取量|健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団
※4 ビタミンAのはたらきと1日の摂取量|健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団
※5 ビタミンE|わかさの秘密(わかさ生活)
※6 体のニオイ対策ガイド|ゆたか倶楽部 DRUG ユタカ
※7 カリウム|e-ヘルスネット 厚生労働省
※8 血糖値を下げる効果が期待される食品|総合南東北病院
※9 コリアンダー|わかさの秘密(わかさ生活)
※10 HMC慢性腎臓病教室 カリウムコントロールのすすめ|北海道医療センター
※11 凄い!!スパイスの魅力|クリニックニュース(ナチュラルクリニック代々木)
※12 口腔アレルギー症候群|みなとがわ こども クリニック
※13 タイコリアンダー記事|MATICHON ONLINE
※14 にんじんなど緑黄色野菜のβ-カロテンを効率良く吸収するには?|KAGOME