【監修者:管理栄養士 五輪美沙子】
ウニは栄養価が高い食品ですが、食べ過ぎるとコレステロールの過剰摂取により動脈硬化のリスクが高まったり、プリン体が原因で痛風になる危険性があります。
また、食中毒や、子供が食べる場合はウニに含まれるミョウバンの副作用も懸念したい事柄です。
しかし、ウニは必須アミノ酸や良質な脂質、ビタミン類といった栄養素を豊富に含む食材なので、高い栄養価の恩恵を受け取れます。
今回は、そんなウニについて下記の点を詳しく調べてみました!
ウニは栄養価が高いため、カロリーや糖質も高そうなイメージがありますが、ウニ単体では実はそれほど高くありません。
ただし食べ方や量に気を付けなければデメリットもあるので、1日に食べても大丈夫な適量を紹介していきますね。
ぜひ最後までチェックしてみてください!
管理栄養士・栄養士
目次
ウニの栄養とメリット・食べ過ぎに注意したい成分
ウニには良質な栄養素が豊富に含まれているため、体作りのサポートや健康維持に役立ちます。
項目 | 数値 |
---|---|
エネルギー | 109kcal |
たんぱく質 | 16.0g |
炭水化物(糖質※) | 3.3g |
飽和脂肪酸 | 0.63g |
不飽和脂肪酸(16種類) | 1.79g |
ビタミンA(カロテンβ) | 650μg |
ビタミンE | 3.6mg |
ビタミンK | 27μg |
葉酸 | 360μg |
コレステロール | 290mg |
※糖質は炭水化物から食物繊維量を除いた量ですが、ウニには食物繊維が含まれていないため、炭水化物=糖質量になります。
栄養価が高い割にはカロリーはそれほど高くなく、特にウニに含まれるたんぱく質は必須アミノ酸を多く含んでおり、とても質が良いです。
そのほか、さまざまなメリットがある不飽和脂肪酸の種類が多く、体づくりのサポートをするビタミン類も含まれているため、どのような効果があるか詳しく説明していきますね!
必須アミノ酸スコアが満点!質の良いたんぱく質
ウニのたんぱく質は、食事から摂取する必要のある必須アミノ酸9種類すべてが含まれており、健康な体づくり・脂肪の燃焼・筋肉を強化するなどの働きが期待できます。(※2)
必須アミノ酸は、筋肉・骨・血液・皮膚などをつくる体に欠かせない栄養素の1つです。
不足すると、疲れやすい・思考力の低下・筋肉量が低下するといったトラブルが発生しやすくなります。
ウニはアミノ酸スコアが100点満点のため、とても質の良いたんぱく質が摂れる食材ですよ。(※3)
豊富な必須アミノ酸とは異なり、ウニに含まれる脂肪酸の量は少なめですが、健康に良いとされる不飽和脂肪酸の種類は16種類と多く、それぞれが健康維持をサポートしてくれる役割を担っています。
ウニには健康に良い不飽和脂肪酸が16種類も!
ウニに含まれている不飽和脂肪酸には、脳や血液の働きにメリットをもたらし、悪玉コレステロールを減らす役割や免疫機能をサポートする働きが期待できます。
ウニには、下記のような不飽和脂肪酸がなんと16種類も含まれていますよ。(※4)
α−リノレン酸 | アレルギー・悪性腫瘍・高血圧予防に期待 |
DHA | 高血圧・脂質異常症、脳に良いとされる |
EPA | 悪玉コレステロールを減らす、血栓予防 |
リノール酸 | 血中のコレステロールを低下させる |
アラキドン酸 | 免疫機能をサポート |
必須アミノ酸や不飽和脂肪酸が体づくりに必要な栄養素だとしたら、ウニに含まれるビタミン類はそのサポートをしてくれる効能が期待できます。
骨や細胞をつくる栄養素・ビタミン類
ウニには、人間に必要なビタミン13種類のうち11種類が含まれていて、骨・細胞・血液・粘膜系の調整や改善をするのに優れた役割があります。
中でもビタミンA・E・Kや葉酸が特に多く含まれているようです。
種類 | 効能 |
---|---|
ビタミンA | 粘膜や目のサポートをする |
ビタミンE | ホルモン分泌の調整、血行改善 |
ビタミンK | 骨を強くする |
葉酸 | 赤血球を作り、細胞分裂をサポート |
ビタミン類は健康維持や体の成長に欠かせないので、積極的に摂取したい栄養素ですね。
このように、体づくりや生命活動の働きを助けてくれる必須アミノ酸・不飽和脂肪酸・ビタミンといった栄養成分が含まれていることが、ウニを食べるメリットといえます。
ただし、ウニには体に悪い作用をもたらすコレステロールも多く含まれているため、食べ過ぎるとどうなるのか詳しく解説していきますね。
ウニを食べ過ぎた場合に悪影響となる栄養成分と症状
ウニを食べ過ぎると、コレステロールやプリン体の影響で動脈硬化や痛風などの病気になるリスクが考えられます。
なぜこれらの成分が問題なのか、その理由を解説していきますね。
コレステロールの含有量が高いウニ
脂質の一種であるコレステロールが増えると、血管の壁に貯まって動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まるため、注意が必要です。(※7)
ウニのコレステロールは100g中290mgと高めのため、食べ過ぎないように注意しましょう。
このほか、ウニを食べ過ぎるとプリン体の過剰摂取で痛風になる危険性も考えられます。
痛風の人は注意!?ウニのプリン体含有量
ウニにも含まれるプリン体は、痛風の原因になる可能性があります。
そもそも痛風とは、尿酸が関節などにたまって炎症を起こす傷みですが、この尿酸とはプリン体が体内で分解されたものです。(※8)
つまり、プリン体が多い食べ物を食べると痛風になりやすいのですが、実はウニのプリン体は100gあたり137.3mgと、特別多いというほどではありません。(※9)
300mg以上 | 極めて多い |
200~300mg | 多い |
100~200mg | 多くも少なくもない |
50~100mg | 少ない |
50mg以下 | 極めて少ない |
ただし、ウニと一緒に食べることが多いお米などにもプリン体は含まれているため、食べ過ぎると結果的に痛風の危険が高くなります。
さらにお米には糖質も多く含まれており、食べ過ぎると太る可能性もあるので要注意です。(※11)
プリン体 | 糖質 | |
---|---|---|
ウニ 100 g | 137.3mg | 3.3g |
白米 200 g | 51.8mg | 71.2g(※12) |
合計 | 189.1mg | 74.5g |
こちらのウニ丼の例のように、ウニ単体ならともかくお米などと合わせて食べるとプリン体や糖質の摂取量が増えるため、食べ過ぎないように気を付けてくださいね。
そのほか、ウニを食べ過ぎると胃もたれなど体調面に影響が出る場合もあるので、注意しなくてはなりません。
ウニを食べ過ぎると胃もたれや食中毒の危険も
ウニを食べ過ぎると、胃もたれ、気持ち悪いといった症状、ミョウバン(アルミニウム)による副作用の懸念もあります。
昨夜のウニクリームパスタで、本日絶賛胃もたれ中💦
やや気持ち悪い
調子に乗ってウニ入れ過ぎました。
すいません😭加齢が辛い https://t.co/Jlamai5N2v
— 藤ノ木優 まぎわのごはん6月7日発売! (@kyusan_obgy) June 22, 2021
美味しそうなウニクリームパスタも、ウニを入れすぎてしまうと体調を崩してしまうようですね。
また、ウニは保存状態をよくするためにミョウバン(アルミニウム)が添加されている場合がありますが、アルミニウムを過剰摂取すると、腎臓などに悪影響が出る可能性があります。
影響が出るほどの摂取基準値を上回る心配はほとんどありませんが、1~6歳の子供はお菓子などからもアルミニウムを摂取する率が高いため、注意してくださいね。(※13)
ほかには、ウニを食べて腸炎ビブリオ食中毒にかかると、下痢や腹痛や吐き気といった症状が出ることもあります。(※14)
このように、ウニを食べ過ぎると体に悪い影響が出ることもありますが、適量であれば全く問題ありません。
そこで、1日どれくらいの量であればいいのか、効果的な食べ方と併せて解説していきますね!
ウニの食べ過ぎにならない適量と栄養摂取に効果的な食べ方
健康な人の場合、1日に食べれるウニの目安量は、コレステロールやプリン体の面からみても、100g程度なら食べ過ぎにならないでしょう。
ウニは1個(一貫)8~10g程なので、10個程度までと覚えておいてくださいね。
成分 | 推奨摂取量/1日 | ウニ100gに含まれる量 | |
---|---|---|---|
コレステロール(※15) | 男性 | 750mg | 290mg |
女性 | 600mg | ||
プリン体 | 400mg | 137.3mg |
現在はコレステロールの摂取上限は特に定められていませんが、以前設定されていた推奨量と比べてみると、100g程度なら大きな問題にはならないでしょう。
ただし、動脈硬化などを予防するにはコレステロールの摂取は1日200mg未満が推奨されています。(※16)
プリン体の観点から考えても、ウニ100g程度なら問題ないと思われます。
ただし、先ほどもお伝えしたとおりウニ丼などご飯と合わせる場合、プリン体の摂取が増えるため、ほかの飲食物との兼ね合いを見て量を調節しましょう。
ウニを食べ過ぎると危険な理由が分かったところで、少ない量でも栄養を効率よく摂取するための食べ方をご紹介します!
効率よく栄養を摂取できるウニの食べ方
ウニは油と一緒に食べることでビタミンA・E・Kの吸収率が上がり、生のまま食べることで葉酸の吸収率を高めることができます。(※18)
なぜなら、ビタミンA・E・Kは脂溶性ビタミンと呼ばれ、熱にも強く、油脂と組み合わせた調理法だと吸収率が上がるためです。
さらに葉酸は水溶性ビタミンと呼ばれ、熱に弱いため火を通さない料理に向いています。
オリーブ油に絡めたスパゲティにトッピングで生ウニを乗せたウニパスタなど、効率よく栄養を摂取できそうですね。
ぜひ、栄養豊富なウニを美味しく、効果的に食べてみてください!
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
結論|ウニの食べ過ぎに注意して効果的に食べよう
ウニを食べ過ぎると、コレステロールの過剰摂取や、ご飯などと一緒に食べることでプリン体の摂り過ぎに繋がります。
また、食中毒や胃もたれ、アルミニウムの副作用といった注意点もあります。
ですが、そうしたデメリットだけでなく少量でも1日に必要な必須アミノ酸を摂取できたり、良質な脂肪や体作りに必要なビタミン類も摂れる栄養価の優れた食材です。
健康な人は100g、コレステロールが気になる方は1回に食べる量は30gを意識して食べ過ぎを防ぎ、油と生ウニを組み合わせたレシピで美味しく頂きましょう!
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 食品群名/食品名: 魚介類/<その他>/うに/生うに|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
※2 アミノ酸は生命の源 「継続は力なり」毎日、摂ることが大切|みつばち健康科学研究所
※3 日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)アミノ酸成分表編|教育図書株式会社
※4 生うに 脂肪酸-可食部100g|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
※5 DHA・EPAは健康によい「多価不飽和脂肪酸」|みつばち健康科学研究所
※6 からだの疲れとビタミン|キューピーコーワ
※7 LDLコレステロール|e-ヘルスネット
※8 痛風|Doctors File
※9 食品中のプリン体含量|公益財団法人 日本医療機能評価機構
※10 食品・飲料中のプリン体含有量|公益財団法人 痛風・尿酸財団
※11 炭水化物 / 糖質|厚生労働省
※12 穀類/こめ/[水稲めし]/精白米/うるち米|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
※13 アルミニウムに関する情報|厚生労働省
※14 腸炎ビブリオ食中毒について|群馬県ホームページ
※15 コレステロールの摂取制限について|同友会グループ
※16 日本人の食事摂取基準(2020 年版)|厚生労働省
※17 食事療法のすすめ方 高脂血症(脂質異常症)の食事|東京都病院経営本部
※18 ビタミン|あけぼの薬局グループ