【監修者:管理栄養士 緒方春菜】
おかひじきは食べ過ぎるとカリウムなどの過剰摂取となり、健康への悪影響を及ぼす場合もあるので注意が必要です。
しかし、βーカロテンやビタミンKなど身体の健康に効果を発揮する栄養も豊富な食材です。
栄養成分を活かすには、適量を守って食べることが大切ですよね。
そこで今回は、おかひじきの適量や栄養を効果的に摂取するための食べ方をご紹介します。
クセのない味を活かした人気でおすすめのレシピもご紹介するので、要チェックです。
せひこの記事を参考に、おかひじきの味や食感を楽しみながら栄養を摂ってみてくださいね。
目次
おかひじきの栄養素とメリット・食べ過ぎに注意したい成分
おかひじきは栄養価の高い緑黄色野菜で、見た目は海藻のひじきに似ています。
写真のようにきれいな緑色をしており味にクセがないのも特徴で、旬の季節は4~6月です。
そんなおかひじきに含まれている主な成分の含有量を、キャベツと比べてみましょう。
栄養素 | なま | ゆで | |||
おかひじき (※1) |
キャベツ (※2) |
おかひじき (※3) |
キャベツ (※4) |
||
βーカロテン (μg) |
3300 | 49 | 3200 | 57 | |
ビタミンK (μg) |
310 | 78 | 360 | 76 | |
カリウム (mg) |
680 | 200 | 510 | 92 | |
カルシウム (mg) |
150 | 43 | 150 | 40 | |
鉄 (mg) |
1.3 | 0.3 | 0.9 | 0.2 | |
マグネシウム (mg) |
51 | 14 | 48 | 9 | |
カロリー (kcal) |
16 | 21 | 16 | 19 | |
糖質※ (g) |
0.9 | 3.4 | 1.1 | 2.6 |
※糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものです。(※5)
このように、キャベツと比べてみても、おかひじきは栄養価の高い野菜だということがわかりますよね。
次に、おかひじきに含まれる栄養素にはどのような効能があるのか、詳しくみてみましょう。
β-カロテンが粘膜や皮膚の健康を保つ
βーカロテンは体内でビタミンAに変換され、視力や聴力のはたらきを維持したり、身体を守るはたらきをしてくれる粘膜や皮膚の健康を保ったりします。
βーカロテンとビタミンAには、以下のような違いがあります。(※6)
- βーカロテンを含む食材(おかひじきなど)
・・・必要な分だけビタミンAに変換されるので、過剰摂取にならない - ビタミンAを含む動物性食品(レバーなど)
・・・ビタミンAの過剰摂取となり中毒症状が起こる可能性がある
そのためおかひじきのβカロテンに関しては食べ過ぎても心配なさそうですが、皮膚が黄色くなる柑皮症になる可能性はあります。
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また、おかひじきにはビタミンKも豊富に含まれています。
ビタミンKが骨粗しょう症や動脈硬化を防ぐ
ビタミンKは、ケガなどで出血をした際に血を固めるはたらきをします。
また骨粗しょう症の予防や治療に効果を発揮します。
骨は下のイラストのように、古くなった骨が破骨細胞のはたらきによって壊される(骨吸収)一方で、骨芽細胞によって新しい骨が作られる(骨形成)新陳代謝を繰り返しています。(※7)
ビタミンKは骨吸収を抑えるはたらきにより、骨粗しょう症に対する効果を発揮するのです。(※8)
ビタミンKの他にも、おかひじきにはカリウムが多く含まれています。
カリウムが高血圧やむくみを予防する
カリウムは尿としてのナトリウムの排出を促すため、高血圧になるのを予防する効果があります。
その他むくみの予防や改善、筋肉を正常に保つなどのはたらきも期待できます。(※9)
また、おかひじきにはミネラルもたくさん含まれています。
カルシウム・鉄・マグネシウムなどのミネラルが豊富
おかひじきにはミネラルの中でもカルシウム・鉄・マグネシウムが多く含まれています。
カルシウムには骨や歯を作ったり精神を安定させるはたらきがあります。(※10)
また、鉄分は全身に酸素を供給して二酸化炭素を回収し、貧血の予防や肉体疲労の回復などを行います。
そして、マグネシウムは代謝や筋肉のはたらきを助けるなどのはたらきをしてくれます。
このようにおかひじきにはメリットのある栄養素がたくさん含まれていますが、前述の表でも示したようにカロリーと糖質量が少ないため、ダイエット食として食べるのもおすすめですよ。
ダイエット向きの食材でも、おかひじきだけ食べ続けると栄養が偏ってしまうのでバランスを意識して食事をとりましょう。また、服用している薬によっては、おかひじきを摂取するにあたって注意が必要な方もいます。
おかひじきに含まれるデメリットを引き起こす成分や症状について、次章で詳しく解説していきます。
おかひじきの食べ過ぎでデメリットになる栄養成分と症状
おかひじきを食べ過ぎるとデメリットを引き起こす栄養素の影響について、確認してみましょう。
ビタミンKの血液を固めるはたらきには注意が必要
ビタミンKには血液を固めるはたらきがありますが、このはたらきには注意が必要。
多く摂取すると、ワーファリンという血栓を予防する薬のはたらきを妨げることがあるためです。
そのため、ワーファリンを服用している方がビタミンKを多く含む食品を食べる際には、医師にあらかじめ相談するなどして薬効の妨げにならないよう気をつけましょう。
カリウムの過剰摂取が高カリウム血症を引き起こす
カリウムは前述したようにメリットの多い栄養素ですが過剰摂取すると腎臓に負担がかかり、高カリウム血症などの病気を引き起こす可能性があるので注意しましょう。
高カリウム血症になると、次のような症状が現れます。
- 身体がしびれる
- 不整脈・頻脈などの心拍の異常
- 筋力が低くなる
- 吐き気がする
また、おかひじきに含まれるマグネシウムも、過剰摂取するとデメリットを引き起こす場合があります。
マグネシウムの過剰摂取が下痢を引き起こすことがある
身体の代謝や筋肉のはたらきを助けてくれるマグネシウムですが、過剰摂取した場合は下痢を引き起こすことがあります。(※12)
お腹が痛い…夕ご飯のおかひじきなのか? pic.twitter.com/IL3SmgyPhZ
— なぎ はす (@nagihasu) July 13, 2019
適量を守ればマグネシウムの過剰摂取になりませんが、食べすぎると過剰摂取になる場合もあるので、くれぐれも気をつけましょう。
またおかひじきは生で食べられますが、アクがあるのでお湯でゆでてから食べるのがおすすめです。
ゆで時間の目安は約1分で、シャキシャキとした食感が残る程度にゆでるのが美味しく食べるポイントですよ。少量の塩を入れてたっぷりのお湯でゆでると、アクが抜けて色鮮やかになります。
では次章で、おかひじきの美味しい食べ方や適量について確認しましょう。
効果的に栄養摂取できる方法もご紹介するので、参考にしてみてくださいね。
おかひじきの食べ過ぎにならない適量と人気の食べ方を紹介!
おかひじきは栄養価が高い反面、食べ過ぎると前述したようなデメリットを引き起こすことがあるため適量を守ることが大切です。
適量や栄養を摂るための効率的な食べ方、人気のレシピを確認してみましょう。
ビタミンKから考える1日量の目安
おかひじきの1日量の目安は、生のままで約48g、ゆでたら約42gです。
このくらいの量であれば、厚生労働省の定めている成人男女のビタミンK1日の摂取量の目安(150μg/日)を超えずに済むためです。
ちなみにビタミンKをはじめとする、過剰摂取するとデメリットを引き起こす可能性のある成分の1日の摂取量の目安とそれに対するおかひじきの分量は、以下のようになっています。
成分 | 1日量の目安 (※13) | 1日量に対する おかひじきの量(g) |
|
なま | ゆで | ||
ビタミンK | 成人男女:150μg | 48 | 42 |
カリウム | 成人男性:2,500mg | 368 | 490 |
成人女性:2,000mg | 294 | 392 | |
マグネシウム | 成人男性:340mg | 666 | 708 |
成人女性:270mg | 530 | 562 |
カリウムとマグネシウムの摂取量のみを考えると、かなりの量を食べても大丈夫だとわかりますが、ビタミンKの摂取量を考慮して生なら約48g、ゆでたら約42gを目安にしましょう。
また、おかひじきの栄養価を効果的に摂取するには食べ方にちょっとしたコツがあります。
おかひじきに含まれる栄養を効果的に摂る食べ方
おかひじきに含まれるビタミンA(βーカロテン)やビタミンKは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に食べればより効率的に摂取できます。
例えば油で炒めたり揚げたりするのも良いですし、ドレッシングをかけてサラダとして食べるのもおすすめです。
また、油以外にも卵の黄身のように、脂質を多く含む食材と食べてもよいでしょう。
適量の油脂はビタミン摂取や便秘の解消にも効果的ですよ。油の摂取量の目安は、一食で小さじ1杯程度です。
では、おかひじきのレシピを次章で確認してみましょう。
人気のおすすめレシピをご紹介!
おかひじきを使った人気のおすすめレシピを2つご紹介します。
おかひじきと豚こまの炒め物
油で炒めるので、おかひじきの栄養を効率的に摂取できる一品です。
今日の晩御飯は、ホッケ焼き、おかひじきと豚こまの炒め物、かぶとワカメの味噌汁、キュウリの千切りサラダ、ズッキーニのチーズ焼きでした。
ズッキーニでかすぎて輪切りでこの大きさ! pic.twitter.com/9wmbuZFhCT— 偽 (@niseusa) June 19, 2019
シンプルな味付けなのでごはんのおかずにピッタリです。
主菜として、お料理のレパートリーに入れてみてはいかがでしょうか。
続いては、おかひじきを生で食べるときのおすすめのレシピをご紹介します。
生おかひじきでシャキシャキ!胡麻和え
和食の中でも人気のあるおすすめのおかず、胡麻和えの作り方です。
おかひじきの胡麻和え。
シャキシャキとした食感が美味しい。
本日も美味しく心温まる1日を!
#おうちごはん#こころキッチン#料理教室 #歳時記 #おかひじき pic.twitter.com/i3lOoEbQPL— 江藤三穂(えとみほ)@海外起業家夫婦 (@sakami1106) June 14, 2015
おかひじきは生食だとより一層シャキシャキとした食感を楽しむことができますよ。
アクが気になる方は、下ごしらえとして軽く湯がいてから調理してもよいでしょう。
これらのレシピ以外にもスープなどおすすめの調理法はたくさんあるので、気になる方はご自身でも調べてみてくださいね。
ちなみに、スーパーでおかひじきを売っているのを見かけることがあまりないという方も多いかと思います。
そんな場合はプランターでも比較的気軽に育てることができるので、ご自宅で育ててみるのもおすすめですよ。
おかひじきは食べ過ぎに注意して美味しく食べよう
おかひじきはβーカロテンやビタミンKなどの栄養が豊富な食材ですが、食べ過ぎるとカリウムなどの過剰摂取となり健康への悪影響を招く恐れもあるので気をつけましょう。
病気などのデメリットを防ぐには、なにより適量を守ることが大切。
生の場合は約48g、ゆでたら約42gを1日量の目安として食べるようにしましょう。
また、ビタミンA(βーカロテン)やビタミンKは、油と一緒に食べるとより効果的に吸収することができます。
ご紹介したレシピも参考に、おかひじきの栄養を活かして美味しさを味わってみてくださいね。
参考資料
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※1 おかひじき/なま 食品成分データベース|文部科学省
※2 キャベツ/なま 食品成分データベース|文部科学省
※3 おかひじき/ゆで 食品成分データベース|文部科学省
※4 キャベツ/ゆで 食品成分データベース|文部科学省
※5 糖質って何?|大塚製薬
※6 体内への吸収・代謝|食品安全委員会
※7 骨が作られるしくみ|公共財団法人 日本医療機能評価機構
※8 ビタミンKとは|東北大学病院
※9 カリウムについて|ひまわり薬局グループ
※10 薬の伝言板~ミネラル~|丸子中央病院 薬局
※11 高カリウム血症について|三州病院
※12 マグネシウム 摂取の注意点|大塚製薬
※13 日本人の食事摂取基準(2020 年版)の概要|株式会社学研書院