【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
刺身は翌日に食べられる場合もありますが、生で食べるよりもリメイクをしたほうが安全で美味しくいただけます。
刺身は生鮮食品なので鮮度が落ちやすく、魚の種類や状態によっては、翌日も安全とは言い切れないためです。
生の刺身は菌が繁殖しやすく、1歩間違えば食中毒やアレルギー反応を起こすこともあります。
そのため、次の日も食べられるように適切な保存方法を知り、食べてはいけない状態をしっかりと把握することが大切です。
そこで、刺身について次の事を調べてみました。
スーパーで刺身を買ったら冷蔵庫にすぐ入れる、傷みやすい魚は翌日に持ち越す前に調理をするといった対策をすれば、食中毒のリスクを減らすことにも繋がります。
マグロがサクで余ってしまった…!という場合でも安全に美味しく食べられる方法がわかりますので、ぜひ参考にしてください。
管理栄養士・栄養士
目次
刺身は翌日でも食べられる?生の場合の賞味期限とは
刺身は消費期限内であれば翌日に食べられるものもありますが、鮮度の状態によっては生で食べるのを避け加熱して食べるか、処分してしまった方がいい場合もあります。
賞味期限と消費期限は、簡単に説明すると次の通りです。
- 消費期限は安全に食べられる期間
- 賞味期限は美味しく食べられる期間
傷みやすい刺身は、生鮮食品なので消費期限の表示が付けられています。
消費者庁の食品表示基準Q&Aでは「消費期限が過ぎたものは食べないでください」と書かれています。(※1)
消費期限を過ぎたものは安全性に欠けるため、食べないようにしましょう。
スーパーで売られている刺身の消費期限は当日中の物が多く、種類によっては1~2日までの期限で販売されています。
実際にスーパーで見てきた刺身の期限を表にしてみました。
期限 | 当日中 | 1日 | 2日 |
---|---|---|---|
魚の名称 | イワシ サバ アジ サンマ カツオ |
マグロ サーモン 鯛 |
ホタテ イカ 生エビ |
刺身などの生鮮食品は消費期限や賞味期限の表記は義務付けられていませんが、お店側の判断で書かれることが多いので、お店によっては表示が若干異なることもあるかと思います。
消費期限内だとしても、生の刺身を食べると危険な場合もあります。
生で食べても大丈夫?残りの刺身の危険性
消費期限内であっても、保存状態によっては腐敗が進み、食べると食中毒を起こすなど危険な場合もあります。
消費期限や賞味期限は、「定められた方法により保存する」ことが前提であり、なおかつ未開封の状態での期限を指しています。
開封済や、常温で何時間も放置している刺身は消費期限内でも腐敗が進んでいる事もあるので、魚の状態をよく見て判断しましょう。
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消費期限内でも、鮮度の状態が悪ければ食中毒を引き起こす可能性があるので、定められた方法で保存する事を守り、少しでも異常が見られる場合は食べるのをやめましょう。
次に、どんな状態の刺身だと食べない方がいいのか、ポイントをお話します!
刺身を翌日に食べる場合の注意点|傷んだ刺身の見分け方
余り物の刺身を次の日に持ち越すと、食中毒を引き起こす菌・ウイルス・ヒスタミンなどが原因で体に害を与えることがあります。
次のような状態のときは、腐敗が進んでいるので食べないようにしましょう。
- 表面がぬるぬるする
- 変色している
- 臭いがする
- 口に入れた時にピリピリする
このような場合は、食中毒を引き起こす原因物質が増加している可能性がありますので注意してください。
生の魚介を食べる時に注意したい食中毒は4種類あります。
それぞれの特徴や予防のポイントを見てみましょう。(※2)
食中毒名称 | 感染元 | 予防ポイント |
---|---|---|
腸炎ビブリオ | 海水魚 | ・すぐに冷蔵する ・真水でよく洗う ・酢を使う ・熱を通す |
ノロウイルス | 二枚貝 | 高温で1分半以上加熱する |
ヒスタミン (※3) |
赤身魚 | ・常温で放置しない ・早めに食べる |
寄生虫 (アニサキスなど) (※4) |
さまざまな魚種 (さば、さんま、あじなど) |
・中心部まで凍らせる (マイナス20℃、24時間以上) ・中心まで火を通す (60℃以上で 1 分間) |
すぐに冷蔵庫に入れる、早めに食べる、真水でよく洗う、冷凍する、火を通すなどで、ある程度食中毒になる可能性も減らせそうですね。
新鮮な魚でも食中毒はあるからなあ。
オイラの場合は一昨年、活き〆のヒラメで熱と嘔吐と消化器官の停止で気持ち悪い1日を過ごしたことがあります。自己診断だけど、原因は粘液胞子虫Kudoa septempunctata。
以来、ヒラメの刺身は翌日休んでもいい時に食うことにしてる。 https://t.co/IxuVsmxTwF— つく-だやま/ZQDYM (@zqdym) May 13, 2021
新鮮な魚でも寄生虫が原因で、腹痛な嘔吐などの食中毒症状を引き起こすおそれがあります。
寄生虫は完全に取り除くのは難しいとされていますが、確実に倒したい場合はしっかり加熱してから食べましょう。
また、食中毒の予防には保存状態を意識する事も大切なので、次の方法を試してみてください。
余った刺身は冷蔵庫のチルド室へ
前日に残った刺身の食中毒の危険性を少しでも減らすために、冷蔵庫のチルド室を利用し、ドリップは取り除きましょう。
冷蔵室でも刺身の保存に適した温度を維持できるかもしれませんが、開け閉めが多いと室内の温度も上がりやすくなります。
そのため、少しでも温度の低いチルド室に入れておく方が、冷蔵室よりも良い保存状態を保つことができます。
また、鮮度を保つのにドリップを拭きとるのもおすすめです。
キッチンペーパーでふき取るか、包んでから、ラップをして保存しましょう。
残った刺身を翌日も食べる場合は、食中毒を防ぐためにもドリップをふき取り、すぐに冷蔵庫(あればチルド室)に入れ、食べる前に鮮度の状態を確かめましょう!
また、刺身が余ったら生で食べるよりも調理すると、さらに腐敗を防ぐこともできます。
次は、残った刺身を美味しく食べられるアレンジレシピをご紹介します!
次の日も美味しい!残りの刺身のリメイク方法を紹介
残りの刺身を漬けたり焼いたりなどリメイクして食べることで、食中毒の予防にも繋がり、美味しくいただくことができます。
それでは、残りの刺身のリメイクレシピをご紹介します!
シンプルに刺身の漬けレシピ
刺身を醤油・酒・みりん等に漬けておいたものを、翌日は漬け丼にして食べるのも美味しいですよ。
醤油の塩分や酒の殺菌力で、菌の繁殖を抑えることにもつながります。
次は、漬けたものに衣をまぶして揚げる、唐揚げのレシピをご紹介します。
王道!マグロのから揚げ
油を多く使わなくても、少ない油で揚げ焼きにしても作れます。
翌日に食べる場合は、菌の繁殖を避けるために前日に仕込んでおくことをおすすめします。
次は、加熱しないで作る簡単レシピをご紹介します!
非加熱で簡単!切り身でカルパッチョ
わさび醤油で食べる刺身を食べ飽きてしまった場合は、レモンオイルで食べるカルパッチョもおすすめです。
カルパッチョは、塩コショウした刺身に、オリーブオイルとレモン汁をかけるだけのシンプルな料理なので、調理の手間がほとんどかかりません。
好みで野菜を載せるとオシャレな一皿になりますよ。
余った刺身は、漬けにして菌の繁殖を抑える、焼くなど火を通し殺菌して食中毒のリスクを減らすことにつながります。
見た目では大丈夫そうだと思った刺身も、こうした調理をして、より安全に食べられるように工夫するのもいいですね。
結論|刺身を翌日に食べる時はリメイクするのがオススメ
刺身を翌日に食べる場合は、食中毒になるリスクも増えるために、菌の繁殖を抑えるような調理をして食べるほうが、安全で美味しくいただけます。
刺身は傷みやすい生鮮食品なので、消費期限内にかかわらず、見た目や臭いで「危ないかな…」と思ったら食べるのは避けましょう。
常温で出しっぱなしにしない、ドリップはふき取る、冷蔵室よりもチルド室へ入れる、といった保存状態をよくすることも大切です。
余った刺身を次の日に食べる場合は、前日に酒や醤油に漬けるなどして下処理を済ませ、翌日はリメイクレシピで美味しくいただきましょう!