【監修者:管理栄養士 松原知香】
れんこん(レンコン、蓮根)は栄養豊富ですが、食べ過ぎると健康に悪影響があるため適量を食べることが大切です。
れんこんには不溶性食物繊維が豊富に含まれているため、食べ過ぎると腹痛や下痢、吐き気などの症状を引き起こす可能性があります。
適量のれんこんであれば腸内環境を整えたり美肌づくりなどに役立つので、毎日の食事に上手く取り入れたいですね。
そこでこの記事では、れんこんを食べ過ぎるとどうなるのかや含まれている栄養素、適量なども調べてみました。
れんこんはもっちりサクサクした食感がおいしく、つい食べ過ぎてしまうこともあるかもしれません。
そこで、れんこんを毎日食べるための健康的なレシピもご紹介しますよ。
れんこんの食べ過ぎを防いで、豊富な栄養素を摂取するためにも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
管理栄養士・栄養士
目次
れんこんの栄養素と食べ過ぎなかった場合のメリットを解説
れんこんは食べ過ぎを防げばダイエット効果や美容・健康に良い働きをする成分が多く入っているため、積極的に摂取したい食材です。
れんこんを適量食べた場合にどんなメリットがあるのか、含まれている栄養素とその働きについて確認してみましょう。
れんこんに含まれる栄養成分とは?
れんこんには食物繊維やビタミンCなど体に良い栄養が多く含まれています。
どのような栄養成分があるのか、以下にまとめました。
成分 | 値 | |
---|---|---|
カロリー | 66 kcal | |
たんぱく質 | 1.9 g | |
炭水化物 | 15.5 g | |
カリウム | 440 mg | |
ビタミンC | 48 mg | |
食物繊維 | 水溶性食物繊維 | 0.2 g |
不溶性食物繊維 | 1.8 g |
れんこんはカリウムやビタミンCが豊富で、食物繊維の中でも特に不溶性食物繊維が多く含まれており栄養価が高いことがことがわかりますね。
では、これらの成分はどのような働きがあるのかを詳しく見てみましょう。
ビタミンCで美肌や免疫力アップ
れんこんはビタミンCが豊富でりんごの8倍も多く含まれており、美容や健康にさまざまな効果を期待できます。(※2)
ビタミンCは皮膚を若々しく保つコラーゲンを作る働きや、メラニン生成を抑制する作用があることから美肌に良い成分と言われています。
さらに免疫力を高めて病気を予防したり、抗酸化や抗がん作用も期待できたりと、多くの働きを持つ栄養素なので積極的に摂取しましょう。(※3)
ビタミンCは加熱すると少なくなってしまうので、生で食べるのがおすすめです。れんこんは生で食べても大丈夫ですよ!
れんこんを生食したい場合の食べ方については、こちらの記事も見てみてくださいね。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
また、れんこんを切った時の変色やアクの原因でもあるタンニンにも、体にいい働きが期待できます。
アクの成分であるタンニンには炎症を抑える効果が
れんこんに含まれるタンニンはポリフェノールの一種で消炎・収れん作用があり、胃かいようや痔などの炎症や出血を抑える働きが期待できると言われています。(※4)
変色しているれんこんを食べても大丈夫か悩んだ場合は、ぜひこちらの記事も確認してみてくださいね。
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健康をサポートする働きが栄養素が豊富なれんこんには、便通を良くする不溶性食物繊維が多く美容にも嬉しい特徴がありますよ。
不溶性食物繊維が豊富で腸内環境を改善!
れんこんには不溶性食物繊維が豊富に含まれているため、腸内環境を整えたいときにもおすすめの食品です。
食物繊維は消化されない性質があることから、便を増やして便通を促し便秘を改善する働きや、満腹感が感じやすく食欲を抑える作用があると言われています。(※5)
ダイエット効果を期待できるれんこんですが、食物繊維の摂りすぎにはデメリットもあるので気をつけましょうね。
れんこんには、美容や健康に効果的な食物繊維のほかにも、むくみ対策に最適なカリウムも豊富に入っています。
カリウムで血圧調整やむくみ対策に
れんこんに多く含まれるカリウムは余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあることから、高血圧予防やむくみ改善に役立つと言われています。
カリウムは体内で最も多く存在するミネラルのため、不足すると筋力低下や吐き気などさまざまなからだの不調につながることがあるので十分に摂取したい栄養素ですね。(※6)
れんこんは栄養豊富でさまざまな利点があることがわかりましたが、食べ過ぎると食物繊維やカリウムのなどの過剰摂取により、逆にデメリットにもなり得ます。
どのような影響があるのか、詳しく確認していきましょう!
れんこんの食べ過ぎによるデメリットは?腹痛や下痢などの原因にも
れんこんの食べ過ぎは、腹痛、便秘や下痢、胃痛などを引き起こす可能性があります。
先ほどご説明した食物繊維やカリウムの摂り過ぎが原因となり、体に悪い影響を与えることもあるのです。
れんこんを食べ過ぎたことで体調不良を起こしたという口コミをご紹介します。
れんこん食べ過ぎ?で腹痛なうorz
— 792 (@lyuzin07) April 11, 2011
れんこんの食べ過ぎで腹痛になってしまったようですね。
れんこん食べ過ぎか。胃がムカムカする。
— おかかたろ (@okakataro) September 22, 2011
こちらの方は胃の調子が悪くなったというケース。
れんこんを食べ過ぎることでなぜこのような症状が出てしまうのでしょうか?影響する成分と働きについて確認してみましょう。
食物繊維が豊富なれんこんを食べ過ぎるとどうなる?
れんこんを食べ過ぎると豊富に含まれる不溶性食物繊維によって腹痛、便秘や下痢、胃痛などの症状につながる場合があります。
便通を良くする不溶性食物繊維ですが、便秘がちな人が摂り過ぎると便の量が増えて便秘が悪化する可能性があります。(※7)
また、腸が弱い人が不溶性食物繊維を摂り過ぎた場合、腸が過剰に刺激されて腹痛や下痢を引き起こす場合があるので注意が必要です。(※8)
また食物繊維が多いれんこんは消化に悪いため、食べ過ぎることで胃に負担がかかり胃痛や吐き気の原因ともなり得ます。(※9)
消化の悪い食物繊維は良く噛んで食べることで胃腸への負担を軽減できますよ。
そのほか食物繊維以外にも、カリウムが悪影響を及ぼす場合もあります。
腎臓病の方はNG!カリウムの摂り過ぎによる影響とは
れんこんに含まれるカリウムは健康な人にはメリットのある成分ですが、腎臓病のある人が摂りすぎると高カリウム血症を引き起こす原因となるので食べ過ぎは危険です。
通常余分なカリウムは尿と一緒に排出されますが、腎臓が弱い人はカリウムを排出できずに血液内に蓄積されてカリウム濃度が高くなり、手足のしびれや不整脈などの症状につながります。(※10)
れんこんの食べ過ぎは上記のような体調不良を招く恐れがあるだけでなく、カロリーが高いため太る原因になることも考えられます。
太る原因になる?カロリーや糖質に注意
れんこん100gあたりのカロリーは66kcal、糖質は13.5g(炭水化物から食物繊維の量を抜いた数値)と根菜類の中では高めの数値です。
食べ過ぎによってカロリーや糖質の摂り過ぎの原因ともなり得るので、適量を意識しましょうね。
栄養豊富なれんこんは、食べ過ぎることでデメリットがあることがわかりました。
れんこんは1日にどれくらいだと食べ過ぎになるのか、目安量についても確認しておきたいですよね。効果的な食べ方についても見てみましょう。
れんこんを食べ過ぎにならない1日の適量とは?
れんこんの食べ過ぎにならない適量は1食あたり30g~50gとなります。
食べ過ぎによるデメリットを考慮して、安心して食べられる適量についてご説明します。
れんこんを安心して毎日食べるための食物繊維の量とは?
れんこんに含まれる食物繊維を上手く摂取するには、適量を意識することが大切です。
食物繊維の1日の必要摂取量は18歳~69歳の場合、男性は21g以上、女性は18g以上が目標とされています。(※11)
1食あたりれんこんを100gを食べた場合の食物繊維は2.0gなので、適量の範囲といえますね。
れんこんの100gとは、中くらいのれんこん1節程度です。
1日900g~1000g以上食べた場合は食べ過ぎになりますが、ここまで食べることはあまりないかもしれませんね。
ただし、胃腸の弱い方や体調が良くない時はもっと少ない量でも体調を崩す場合があるので注意してください。
また、れんこんの食べ過ぎは食物繊維だけでなく、糖質の摂り過ぎにも注意が必要です。
れんこんの食べ過ぎに注意したいのは糖質量!
れんこんの食べ過ぎで最も気を付けたいのは糖質量です。
太りにくい食事を心がける場合は1食あたりの糖質量が20~40gが目安とされています。(※12)
れんこんを100g食べた場合の糖質は13.5gなので、1食分の糖質量の3割~6割程度となり、主食など他の食事を調節しないと糖質過剰になる恐れがあります。
1食あたり30g~50g(中くらい1節の約1/3~1/2程度)のれんこんであれば、糖質量が約4g~7g程度となるので、ほかの食品とのバランスを考慮すると適量なのではないでしょうか。
ちなみに、カリウム制限中の人はカリウムの摂取量を調節して食べるようにしてくださいね。
れんこんの適量がわかったところで、れんこんの栄養を効率的に摂取できるおすすめの食べ方についても確認してみましょう。
れんこんの栄養摂取に効果的な食べ方おすすめレシピ
適量のれんこんを毎日食べて豊富な栄養を摂取できる、美味しい食べ方をご紹介します!
糖質が多くなりがちなれんこんの煮物ですが、こちらのレシピなら糖分が少なめでヘルシーなのでおすすめです。
れんこんを茹でるとビタミンCや水溶性食物繊維が流れ出てしまうので避けたいところ。
こちらのサラダは茹でずにレンチンでOKなので、栄養の損失を最小限にしてシャキシャキ食感を楽しめます。
れんこんをたくさん消費したい!という人には、れんこんだけのきんぴらのレシピがおすすめです。
目安量を意識しておいしく食べることで、効率的にれんこんの栄養素を摂ることができます。
毎日食べる場合は通販などで購入するのも便利なのでおすすめですよ。
結論|れんこんは食べ過ぎずに適量を楽しもう
れんこんは、豊富に含まれる栄養成分によって腸内環境を整えたり、むくみ改善や美肌づくりなど美容や健康に役立つ働きを期待できる食材です。
しかし食べ過ぎると、れんこんに含まれる不溶性食物繊維の摂り過ぎによって胃腸に負担をかけ、腹痛や下痢、便秘、胃痛、吐き気などの症状を引き起こす場合があります。
またカリウムが多いため腎臓が弱い人には悪影響を及ぼす危険があり、カロリーや糖質が高いため太りやすくなるなどのデメリットも考えられます。
れんこんの食べ過ぎを防ぐためには、特に糖質の摂取量に気を付けて1食あたり30g~50gを目安に摂取しましょう。
れんこんの栄養素を効果的に摂取できる食べ方を参考にしながら、食べ過ぎないように適量を意識して、健康にいいメリットを得て美味しく食べてくださいね!
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 食品成分データベース「れんこん」|文部科学省
※2 食品成分データベース「りんご」|文部科学省
※3 ビタミン・ミネラルの働き|武蔵小杉内科・漢方・循環器
※4 れんこん……かぜ予防に、胃炎や胃かいようの予防・緩和に役立ちます|協会けんぽ 健康サポート
※5 食物繊維|ネスレ
※6 栄養素から見た腎臓 〜腎由来のさまざまな血液中の成分の異常|大塚製薬 ADPKD.JP
※7 快腸のすすめ |漢方のツムラ
※8 すずらん食通信「食物繊維~知ってますか?食物繊維のパワー!!~」|すずらん薬局グループ
※9 胃にやさしい生活をしよう |総合南東北病院 健康倶楽部
※10 カリウム・リン|東京綾瀬腎クリニック
※11 食物繊維の必要性と健康|e-ヘルスネット(厚生労働省)
※12 ロカボとは|一般社団法人 食・楽・健康協会