【監修者:管理栄養士 中山沙折】
【執筆者:野菜ソムリエプロ みつはしさなこ】
レモン汁がないときは、ポッカレモンや酢、クエン酸などで代用できます。
またレモンの代わりに、ゆずやかぼすなどの柑橘類の果汁を使って美味しく仕上げることもできます。
しかし代用する上で大切なのは、料理でのレモン汁の働きや役割を理解した上で代わりの食材を選ぶことです。
レモンの持つ成分や特性を理解しないまま代用すると、料理が思った仕上がりにならないことがあります。
レモンは肉や魚の臭みを消したり、色合いをよくするはたらきなどがあります。
この記事では料理に合わせてポッカレモンや酢、クエン酸、その他の柑橘など使い分けて代用品を選ぶコツを紹介します。
また、レモン汁を使わないチーズケーキ・ジャムなどのレシピやクチコミを紹介していきます。
きっとレモン汁が家になくても、迷わずに料理ができるはずです。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
管理栄養士・栄養士
目次
レモン汁がないとき、他の柑橘類や調味料で代用できる?
レモン汁がなければ酢やクエン酸などの調味料、もしくは他の柑橘類で代用可能ですが、レモンが料理でどんなはたらきをするか理解するのが重要です。
そこで、まずはレモンに含まれる成分や特徴を理解しましょう。
主な栄養成分はビタミンCなどがありますが、料理に関わるのはクエン酸とリモネンです。
- クエン酸(レモンの酸味のもと)
- リモネン(爽やかな香りのもと)
- ビタミンC
- ポリフェノール
特に加熱料理をする場合は、レモンのクエン酸が料理にさまざまな働きをしています。
料理におけるクエン酸の働きは、主に次の5つがあります。(※2)
- 肉や魚の臭みを和らげる
- 酸化による変色を防止する
- 色合いを鮮やかにする
- 肉を柔らかくする
- 牛乳を凝固させる
このように、クエン酸は食材の臭い消しの他、色合いや質感の変化に働きかけます。
またクエン酸やレモンの香り成分であるリモネンは柑橘類に多く含まれており、フレッシュな香りを取り入れたい場合は、柑橘類で代用するのがおすすめです。
ただし柑橘によっては酸味が強すぎたり、その柑橘独特の風味が立つ柑橘もあるので、作りたい料理のテイストに合う柑橘を代用しましょう。
注目したいのは、柑橘に含まれるクエン酸の量です。
柑橘名 | クエン酸量 (果汁100gあたり) (※3) |
---|---|
みかん | 1g |
レモン | 3g |
すだち | 4.5g |
ライム | 6g |
シークワーサー | 6g |
カボス | 6g |
ゆず | 4〜7g |
レモンより小ぶりだけど、レモンよりもクエン酸を含む柑橘も多く見られます。
またそれぞれ香りが異なるので、料理や好みに合わせ使う量を加減してみてください。
これらのはたらきを踏まえ、どんな食材がレモン汁の代わりになるのかを見ていきましょう。
レモン汁の代用品15選!酢・ポッカレモン・クエン酸は?
料理ではレモン汁を加熱して使うのか、果汁のまま使うのかによって、レモン汁に代用できる食材が変わってきます。
どのような場合にどんな食材を代用するのが向いているのか、確認していきましょう。
ポッカレモン
保存料無添加・濃縮還元100%のポッカレモンは、レモンの代用として最も近いものです。
生レモンと比べて搾りたてのフレッシュな香りは少し落ちますが、酸味は殆ど変わりません。(※4)
加熱料理でも使えますし、果汁をそのまま魚料理にかけたりドレッシングとして使うこともできます。
レモン汁大さじ1=ポッカレモン大さじ1で代用できます。
キレートレモン
キレートレモンと先程のポッカレモンとの違いは、キレートレモンは飲料用として開発されていること。
そのため、キレートレモンはそのまま飲みやすいよう本来のレモンより酸味が控えめです。
酸度で比べると、キレートレモン1本でレモン汁大さじ1.5杯分のクエン酸量に相当します。(※5)
ただし原材料に砂糖と炭酸を含むため、レモン汁やポッカレモンよりも仕上がりが甘くなること、料理の過程で炭酸を抜く必要があります。
お菓子作りなど甘さを使った料理には代用できるでしょう。
酢
酸性度を表すpH値は比較的近く、レモン汁と同じくらいの量で代用可能です。(※6)
ただし、酢の酸味はクエン酸ではなく酢酸によるものです。
そのまま使用すると酢独特のツンとした香りが立つので、加熱料理の方が向いています。
クエン酸
レモンが持つ酸味成分なのでレモン汁に代用できますが、風味や香りはないので料理での代用に向いています。
レモン汁大さじ1に対してクエン酸約1gが目安になります。(※7)
- クエン酸は一人当たり一日5〜15g(小さじ1〜大さじ1)が摂取量の目安
- 料理で使う場合は食用のクエン酸を使用する
ライム
爽やかな優しい香りと酸味で、飲み物や料理をキリッと引き締めてくれます。
レモンよりもクエン酸量が多めなので、レモン汁大さじ1に代用するときはライム汁大さじ1/2を目安に取り入れるといいでしょう。
シークワーサー
8月〜翌2月が旬の柑橘で、沖縄県ではレモン汁の代わりに使われています。
ほのかな甘みと爽やかな風味があります。
クエン酸量が多く酸味が強いので、レモン汁大さじ1に代用するならシークワーサー汁小さじ1から調整するといいでしょう。
すだち
9月〜10月が旬の柑橘で、爽やかな香りとすっきりした酸味が特徴です。
特産地である徳島県では、焼き魚やジュース、酒に絞って風味を付けたり、皮を擦りおろして薬味として使います。
代用するときは、レモン汁 大さじ1 ⇒ すだち汁 大さじ1/2を目安に使うといいでしょう。
カボス
旬が9月〜10月、大分県特産の柑橘で、程よい酸味と甘味のバランスが特徴です。
大きさが100〜150gとバラつきがありますが、一般的に酸味よりも香りや風味が引き立つ柑橘と言われます。
レモン汁大さじ1に代用する場合は、カボス汁大さじ1/2から調整しましょう。
ヘべす
近年注目されている宮崎県特産の柑橘で、6月〜10月が旬です。
爽やかな酸味の他に、タネが少なく果汁が多いのが特徴で、料亭や日本料理でも取り入れられています。
残念ながらクエン酸量のデータは得られませんでしたが、私が実際に食べた感想では、「酸っぱさ」よりも「爽やかさ」が印象に残る柑橘です。
レモン汁と代用するときは、同量(レモン汁大さじ1のレシピなら、へべす果汁大さじ1)を目安に使用してみるといいでしょう。
ゆず
高知県の特産として知られる柑橘で、11月〜翌1月が旬の時期です。
ゆずの特徴は爽やかな香りで、日本料理や和食でも広く使われています。
香りとクエン酸量から考えて、レモン汁 大さじ1 ⇒ ゆず果汁 大さじ1/2から加えてみるといいでしょう。
ゆずは和のイメージが強く、独特の風味があるので、料理によっては雰囲気がガラリと変わります。
みかん
みかんはこれまでの柑橘と比べてクエン酸量が少ないため、酸味を出すにはレモン汁の2〜3倍の量が必要です。
しかしみかんは甘さが強く、たくさん使うとみかんの甘さが際立つ可能性があります。
お菓子作りなどの甘さを出す料理や、逆に酸味を控えめにしたい場合には、みかんも代用できるでしょう。
ジャム
ジャムも果物の持つ甘さや酸味を含んでいるので、レモン汁に代用できます。
ただし、甘みが強いので甘さ控えめの種類を選ぶか、使う量を控えた方がいいでしょう。
オレンジジャムやマーマレードジャムのような柑橘系のジャムがおすすめです。
オレンジジュース
酸味があるオレンジジュースも、レモン汁の代わりとして使えます。
できれば加糖されたものよりも、果汁100%のものが望ましいでしょう。
塩レモン
塩とレモンで作られる塩レモンは、レモン汁の代わりに使えます。
塩レモンに含まれる塩分が多いので、料理の際には全体の味つけで塩分量を調整しましょう。
また塩味が強くなるので、甘いお菓子を作る際には塩加減に注意が必要です。
ポン酢
ポン酢は材料に柑橘果汁を使っているので、主に料理でレモン汁に代用できますが、柑橘果汁の他に醤油、糖分、酢、食塩などを含んでいます。
醤油や砂糖を使った料理と合わせる際は、使う量に注意しましょう。
代用できる食材が分かったら、実際にレモン汁を使わずに別の食材で代用したレシピをご紹介していきます。
レモン汁がないからと諦めていたレシピが、意外な食材で作れるかもしれません。
\こちらの記事も参考にどうぞ/
レモン汁の代用品を使った人気レシピを紹介
レモン汁を使わずに別の食材で代用したレシピをいくつかご紹介します。
実際に違う食材で代用した方のクチコミも紹介するので、レモン汁がない時のヒントにしてみてくださいね。
酢で「ベイクドチーズケーキ」
チーズケーキは、レモンのほのかな酸味がチーズのコクを引き締めてくれます。
ケーキを作るのにレモン汁がない場合は、酢で置き換えできます。
クエン酸で「手作りジャム」
ちょっと意外かもしれませんが、りんごジャムやブルーベリージャムを作るときはレモン汁の代わりにクエン酸が使えます。
クエン酸には、果物の持つ食物繊維ペクチンを引き出してとろみをつけてくれる働きがあります。
果物、水、砂糖に少量のクエン酸を加えて煮詰めると、ジャムが完成します。
酢をレモン汁と同量で代用もできますよ。特に穀物酢は加熱するとまろやかな酸味に変化します。
また酢やクエン酸の他に、他の柑橘で代用した方のクチコミを見てみましょう。
今年お初の紅玉🍎使ってりんごジャムに🙆👍
去年フォロワーさんからりんごの皮を一緒に煮ると可愛いりんご色になると教わり今年も可愛いりんごジャムが出来ました🤩レモン汁の代わりに庭で取れたスダチの絞り汁ですっきりした甘さのジャムに🤗これでアップルパイ作ろうかな😉#手作りりんごジャム pic.twitter.com/98IfD4ADcI— よしりん (@ABgZIAH7zlEOqww) November 2, 2019
こちらはりんごジャムを作るのにすだちを代用しています。
レモンと一味違うスッキリした味わいになって美味しそうですよね。
オレンジジュースで「りんごのコンポート」
オレンジジュースの酸味を活かして、りんごのコンポートができます。
オレンジジュースの甘さが加わるので、好みで量を加減してください。
レモン汁を使うよりも水分が多くなるので、加熱で水分を飛ばしましょう
アップルパイの作り方
最後はアップルパイのレシピをご紹介します。
アップルパイで使うレモン汁は加熱して使用するので、酢やその他の柑橘で代用できます。
実際に他の食材で代用した方のクチコミも見てみましょう。
[個人用メモ]
アップルパイ作成時,レモン汁の代わりに酢を使用してアップルフィリングを作ることが可能.酢のツンとした香りを飛ばすために加熱時間を長めに取り,焦げ対策で水を少し加えると上手くいく.酢は割と大量に入れても問題ない.https://t.co/A5FzJK5tWX— si (@iiljj) November 10, 2019
酢を使った具体的で分かりやすいメモです!
長時間加熱する場合、焦げ防止に火加減をやや弱めて煮込んでも良さそうですね。
お昼のアップルパイ ちょっと焦げちゃったけど旨かった
レモンないからシークワーサー代用したら、思ったより好みの味に仕上がったな。
甘いけど爽やかな感じ。流石シークワーサー pic.twitter.com/GedrD287Xm— ゅぇ (@atukanyango) January 26, 2020
シークワーサーを使ったアップルパイは、スッキリした味わいになりそうですね。
他の柑橘を使ったアップルパイも、とても美味しそうです。
このように、レモン汁以外の食材で料理を作ることは可能です。ぜひ参考にしてみてください。
結論|レモン汁がなくても代用できるものがある
レモン汁がなくても代用できる食材は意外と多くありますが、レモン汁をどのような役割で使おうとしているのかを確認しましょう。
レモンの役割によって、代用できる食材が変わる場合があるからです。
代用として挙げた15選の中では、ポッカレモン100がレモン汁の代用として一番使いやすいですが、加熱料理で使うなら酢やクエン酸も使えます。
あるいは柑橘の香りも取り入れたいなら、他の柑橘類が向いています。
ぜひ自分の料理にレモン汁をどうやって活かすのかを振り返りながら、選んでみてくださいね。