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食材・料理のQ&A

人参の食べ過ぎは柑皮症や太る原因になる?死亡説は本当?1日の適量は

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料理・食材
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【監修者:管理栄養士 中山沙折】

人参を食べ過ぎると、カロテンの過剰摂取により肌が黄色くなる柑皮症(かんぴしょう)になることがあります。

また、人参の食べ過ぎによる死亡の可能性についてはビタミンAとの関係、太る可能性については糖質やカロリーについて確認が必要です。

人参 食べ過ぎ

生の人参の食べ過ぎで身体に害をきたさないためにも、摂取する量に気を付けたいですね。

そこでこの記事では、以下の項目について詳しく紹介しています。

人参には、ビタミンAの前駆体であるβカロテンが含まれています。ビタミンAは身体にとって必要な栄養素ですが、過剰摂取には気をつけなければいけないといわれています。

また、人参は他の野菜と比べてカロリーや糖質が多めだといわれているため、1日にどれくらいまで食べても大丈夫なのか知っておくことが大切ですね!

この記事を読むと、人参を食べすぎず毎日の食生活で上手に活用できるようになるので、ぜひ参考にしてください。
 

記事監修者・管理栄養士・中山沙折先生記事監修・中山沙折先生
管理栄養士・栄養士
管理栄養士/ 一部上場企業にて食品研究に6年間従事。摂食障害を克服した経験から、現在はフリーの栄養士として特定保健指導を軸に栄養指導やダイエット指導をしている。「食は楽しい」の考えのもと食と健康のさまざまな分野に挑戦中。栄養に関する記事執筆や監修(大正製薬様DoctorsMe様)、レシピ開発にも携わっている。

   

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人参の食べ過ぎで柑皮症になる?太る原因や死亡説も解説

人参を食べ過ぎると起こりうるデメリットとして、肌が黄色になる柑皮症や、太る、最悪の場合は死亡してしまうこともあるのではないか・・・などの不安要素があります。

人参 食べ過ぎ

毎日必ず食べるという人や1日1本食べているという人は、食べすぎていないだろうかと心配になりますよね。

実際に人参を食べすぎると、どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。

人参の食べ過ぎで起こりやすい症状

人参を食べ過ぎて身体に良くない症状を引き起こす原因は、人参に含まれる栄養成分を過剰に摂取してしまうからです。

人参に含まれる栄養成分をチェックしながら、食べすぎたときに起こる症状の原因を探っていきましょう。

人参に含まれる栄養成分量(可食部100gあたり)(※1)
栄養成分 含有量
カロリー 39kcal
βカロテン 6900μg
炭水化物 9.3g
食物繊維 2.8g
糖質
(炭水化物量 – 食物繊維量)
6.5g

人参はβカロテンが含まれており、キャベツなどの葉野菜に比べてカロリーや糖質が高い野菜です。

それでは、これらの栄養成分を多く摂取した場合にはどのような症状が起こるのかを見ていきましょう。

βカロテンの摂りすぎで起こる柑皮症

人参の食べ過ぎによって起こる柑皮症の原因は、βカロテンの摂りすぎです。

柑皮症
顔の皮膚、手のひらや足の裏に、黄色い色素が沈着するもの。

みかんを食べ過ぎたら、手のひらや足の裏が黄色くなった…という経験がある人は多いのではないでしょうか。

私は子供の頃、みかんを食べ過ぎたときに「手足がみかん色になった」とよく騒いでいました。

カロテンは脂に溶けやすい性質があるため、高脂血症の人は柑皮症になりやすいです。

柑皮症は身体にとって有害ではなく、特に治療法はありません。カロテンの摂取量を減らすことで肌の色が元に戻ってきます。(※2)

βカロテンはビタミンAの前駆体ですが、ビタミンAの過剰摂取で死亡する可能性について心配する人も少なくないようです。

人参の食べ過ぎでビタミンAの過剰摂取になり死亡に至るのか、真相を確認してみましょう。

人参の過剰摂取で死亡の心配はない!

ビタミンAを慢性的に過剰摂取することで死亡する可能性はあるようです。(※3)

しかし、人参を過剰摂取しても死に至ることはないので安心してくださいね。

人参 食べ過ぎ

なぜならば、人参のβカロテンは身体が必要とする量だけがビタミンAに変わるからです。

ビタミンAは、鶏や豚のレバーやウナギに含まれる動物性と、ビタミンAの前駆体であるプロビタミンAとして緑黄色野菜などに含まれる植物性のものがあります。

動物性のビタミンAは、過剰摂取によって健康障害のリスクが高まる可能性があると考えられているため、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」で耐容上限量が定められています。(※4)

人参に含まれるβカロテンはプロビタミンAと呼ばれるビタミンAの前駆体で、体内で必要量のみがビタミンAに変換されます。

そのため、人参のβカロテンを過剰摂取してもビタミンAの過剰摂取にはならないので心配はいりませんよ。(※5)

ビタミンAの働きは、夜間の視力を維持したり、皮膚・粘膜を健康な状態に維持する助けが期待できる栄養素なので、適量を摂取していきたいですね。

βカロテン以外にも気を付けなくてはならないのが、カロリーや糖質の過剰摂取です。これらを摂りすぎるとどうなるのでしょうか。

カロリーや糖質の摂りすぎで太るのか

人参は、100gあたり39kcalで糖質が6.5gあります。ただこれだけでは、人参のカロリーが高いのか糖質が多いのかがわかりませんよね。

そこで、キャベツと比較してみましょう。

人参とキャベツのカロリーと糖質(可食部100gあたり)
カロリー 糖質
人参 39kcal 6.5g
キャベツ(※6) 23kcal 3.4g

人参とキャベツを比較すると、人参の方がカロリーが高く、糖質が多いことがわかります。

人参 食べ過ぎ

ダイエット中は、1食当たりの糖質は20~40gが目安とされているため、1日あたりの糖質推奨摂取量は、60~120gとなります。(※7)

人参の糖質は、100gあたり6.5gなので、過剰に食べすぎなければ太るわけではないといえるでしょう。

管理栄養士 中山沙折
管理栄養士
中山沙折

人参は葉野菜に比べるとカロリーが高く糖質が多めですが、栄養成分も豊富です!食べる量に気を付ければ太る心配はありません。

人参は高カロリーで糖質も多いですが、食物繊維も豊富です。食物繊維は身体に良いイメージですが、摂りすぎるとどのような症状がでるのか見ていきましょう。

食物繊維の過剰摂取で腹痛や下痢が起こる

人参には食物繊維も豊富に含まれています。先ほど同様にキャベツと比較してみましょう。

人参とキャベツの食物繊維(可食部100gあたり)
食材 食物繊維
人参 2.8g
キャベツ 1.8g

キャベツは食物繊維が豊富なイメージがありますが、意外にも人参の方が多く含まれています。

人参 食べ過ぎ

食物繊維はお通じをよくする働きが期待できますが、人参の食物繊維には注意が必要です。

人参に含まれる食物繊維は、大半が不溶性食物繊維です。

不溶性食物繊維ばかりを過剰に摂取した場合、下痢型の過敏性腸症候群を患っている方などは下痢症状が悪化する可能性があります。(※8)

そのため、食物繊維は海藻類などの水溶性食物繊維と野菜類などの不溶性食物繊維をバランスよくとることをおすすめします。

食物繊維の過剰摂取には気を付けなくてはなりませんね。

さらに、もう一つ気を付けなくてはならないアスコルビナーゼという酵素についてもチェックしていきましょう。

アスコルビナーゼによるビタミンCの破壊

生の人参のすりおろしやジュースなどは、酵素・アスコルビナーゼによってビタミンCが破壊される点にも注意が必要です。

ただし、アスコルビナーゼは2分以上加熱調理酢などの酸を加えることで活性が失われるため、人参は生のまま食べるのではなく、加熱調理がおすすめですよ。(※9)

このように、人参を食べ過ぎると体調不良などを引き起こすデメリットになる面もあるため、適量は1日にどのくらいの量なのかをチェックしていきましょう。

 

人参が食べ過ぎにならない1日の適量とメリット

人参を1日1本~1日2本で食べ過ぎになるのか判断する場合は、野菜摂取量の目安などで考えてみましょう。

人参 食べ過ぎ

人参の1本の大きさは、それぞれ異なります。人参の中サイズ(通常のサイズ)は、だいたい縦15cm、横が5cmくらいの大きさのものを示しています。

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めんえき野菜

中サイズの人参は、だいたい150gくらいです。

人参1本(150g)の栄養成分
  • カロリー:59kcal
  • 食物繊維:4.2g
  • 糖質:9.8g
  • βカロテン:12,900μg

カロリーや糖質は多いですが、これで食べ過ぎになるのか判断しにくいので、1日に摂取する野菜の目安量から考えてみましょう。

中サイズなら1日1本食べて良い?

厚生労働省が推進する1日の野菜摂取量目標は350g以上となっています。その内訳は、人参などの緑黄色野菜を120g以上、その他の野菜を230g以上です。(※10)

人参 食べ過ぎ

中サイズの人参1本150gだと、1日の緑黄色野菜摂取量の120g以上を超えます。

ただし、人参1品目だけで緑黄色野菜の摂取量を満たすのは好ましくありません。

そのため、人参は1日1本ではなく、中サイズを1日1/2本程度とし、その他の小松菜やほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜を組み合わせて、120g以上となるようにすることをおすすめします。

管理栄養士 中山沙折
管理栄養士
中山沙折

人参は食べ過ぎなければ身体にとってメリットの多い食材です。βカロテンは油と一緒に摂ると吸収率がよくなるので、少量の油を使って人参を調理するのがおすすめです。

それでは、妊婦や幼児については、どのくらいの人参を食べることができるのでしょうか。

妊婦と幼児の適量

妊娠初期にビタミンAを過剰に摂取すると胎児に先天性異常が起きやすくなると言われているため、注意が必要です。

ただし、こちらで紹介したように人参に含まれるβカロテンはビタミンA過剰症になることはないため、人参を食べ過ぎても有害ではありません。

そのため、妊娠中に人参を食べすぎてもお腹の赤ちゃんに影響はないので安心してくださいね。(※11)

人参 食べ過ぎ

妊娠中や授乳中の人もこちらと同様に1日に1/2本を目安とし、小松菜やほうれん草などの鉄分を多く含む緑黄色野菜と組み合わせてバランスよく食べるようにしてください。

なお、幼児は消化器官がまだ未熟であることなどから、食べすぎてお腹を壊さないように注意してあげましょう。

幼児の1日あたりの野菜摂取量の目安は、緑黄色野菜が90g、その他の野菜が120gなので、人参は1日に1/3本を目安にすると良いです。

離乳食を作る際には、人参ばかりではなく、他の緑黄色野菜もバランスよく摂り入れてくださいね。

では、人参を適量食べたときには、どのようなメリットが得られるのか知っておきましょう。

健康や美容に役立つメリット

人参は適量を守って毎日の食生活に活用すると、健康や美容に役立つメリットがあります。

健康維持に役立つ

人参のβカロテンは、体内で必要な分だけビタミンAに変換されることによって、

  • 視力を維持する
  • 粘膜や皮膚の健康を維持する
  • 呼吸器(喉や肺など)を守る

これらのはたらきが期待できます。(※12)

身体の内側と外側から健康状態を保つ重要な栄養成分です。

美肌作用が期待できる

人参のβカロテンは、抗酸化作用(身体が酸化してサビることを防ぐ)によって、

  • シミを予防する
  • 肌の炎症を抑える

これらのはたらきが期待できます。(※13)

健康的で美しい肌の状態に保つために、必要不可欠な栄養成分であるということがわかりますね。お肌だけでなく、ダイエットにも役立ってくれますよ。

ダイエット中にも役立つ

人参はカロリーや糖質が多い野菜ですが、食べる量に気を付けるとダイエットにも上手に活用できます。

人参 食べ過ぎ

実際に人参を使ったダイエットを行っている人の口コミを見てみましょう。

こちらの方は、人参を使ったダイエットで体重が減少しているようです。


人参スティックを食べている人もいました。人参スティックダイエットは、美味しいディップソースをつけて食べることで、生の人参の美味しさを存分に味わえます。

中には、人参をスティック状にせずにそのまま丸かじりしている人もいるようです。

こちらの人は、生の人参丸かじりダイエットに成功したようですが、胃に負担がかかってしまったようですね。

生の人参を食べると、気持ち悪いなどの不調をきたす可能性があるので注意が必要です。

美味しく食べながら、人参の栄養成分をしっかりと摂取したいですね。そこで、栄養成分を無駄なく摂ることのできるおすすめレシピをみていきましょう。

 

人参のはたらきを活かすおすすめの食べ方を紹介

人参はあらゆる料理に合う万能食材です。

人参 食べ過ぎ

人参の栄養成分の働きを知り、その働きを活かす方法を知ったところで、実際に作って食べられる美味しい食べ方を紹介していきます。

ビタミンAの吸収率をアップさせる食べ方

人参のβカロテンは体内でビタミンAとなります。ビタミンAは脂溶性であり、油との相性が非常に良いです。

そのため、人参を油で調理するとビタミンAの吸収率がよくなり、効率的にビタミンAの働きを活かすことができますよ。

人参のきんぴらは、人参を油で炒めて麺つゆで味付けるだけの簡単にできる常備菜です。

ビタミンCの破壊を防ぐ食べ方

生の人参に含まれるビタミンC分解酵素のアスコルビナーゼは、加熱調理で失活できます。

人参の煮物は、だし汁5に対して、醤油と酒とみりんを1ずつ加えて味付けたら美味しいですよ。

また、アスコルビナーゼは酢を使って調理するだけでも失活できます。

人参のラペは、人参1本に対して酢を大さじ2、オリーブオイルを大さじ1、砂糖を大さじ1/2と塩コショウで味をととのえたら完成です。

βカロテンの吸収率をアップさせる食べ方

βカロテンは、卵の黄身の部分などの脂質の多い食品と合わせて調理することで吸収率をアップさせることができます。

手軽にできる人参しりしりは、人参の栄養成分の働きを活かすベストな食べ方ですよ。


人参を卵と一緒に炒め、醤油、酒、砂糖、みりんを同量と顆粒だしを加えて完成です。

人参は1日の適量を目安に食べすぎないようにし、栄養成分を損なわないような調理法で美味しく食べてくださいね!

結論|人参は食べ過ぎに注意して摂取量を守ろう

人参を食べ過ぎると柑皮症になりやすいですが、有害なものではないため過剰に心配しなくても良いでしょう。

また、人参に含まれるビタミンAの前駆体であるβカロテンは、過剰摂取した場合でも、ビタミンA過剰症にはならないため心配はいりません。

カロリーや糖質は高めでも調理法に注意し、よほど過剰摂取しない限り太る原因になりません。

ただし、豊富な食物繊維の過剰摂取でお腹を壊す可能性もあるので、くれぐれも食べ過ぎには注意しましょう。

人参は1日の適量を食べるようにすれば、髪や皮膚の健康を維持し、粘膜や視力、呼吸器系の健康の状態を保つはたらきが期待できますよ。

幼児の場合は中サイズの人参を1日1/3本、その他の人は中サイズの人参を1日1/2本を目安として摂取すると良いでしょう。

栄養成分のはたらきを活かす調理法で、美味しく人参を食べてくださいね。

 

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