【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
我が家の子供は肉よりも魚をよく食べるので、焼き魚は夕食の定番なのですが…。
焼きすぎたり生焼けになったりと、どうもうまく焼けないことが多くて困っています。
特に生焼けの場合は、食中毒になって腹痛や下痢を起こすのではないかと心配ですよね。ですが、心配のあまり焼き過ぎて、せっかくの魚が台無しになってしまうことも…。
そこで、魚が生焼けかどうかを見分けることができれば、あまり神経質にならずに済みそうなので、きちんと調べてみることにしました!
- 生焼けの魚の見分け方
- 生焼けの魚を食べるとどんな食中毒の危険があるのか?
- 食中毒を予防する方法や対処法は?
- 生焼けの魚を再加熱する上手な方法について
- 魚が生焼けにならない上手な焼き方
小さな子供がいる我が家では、生焼けの魚は特に危険な気がします。
体調を崩さないためにも、生焼けの見分け方を知っておくのはもちろん、せっかくなら美味しく焼ける方法も知っておきたいですよね。
生焼けを再加熱する方法や、うっかり食べた場合はどんな危険があるのか、またどう対処したらいいのかも解説します。
魚を美味しく、安全に食べるためにもぜひ確認してみてください!
管理栄養士・栄養士
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目次
魚が生焼けかどうかの見分け方は?生っぽい時の判断基準を教えます!
焼いた魚がなんだか生っぽくて、心配になることってありますよね。
そこで、きちんと火が通ったかどうか、生焼けでないかを判断する見分け方をご紹介していきます。頭が付いている一尾丸ごとの場合と、切り身の場合に分けて説明しますね。
頭付きの場合
目が白くなっているかどうか
切り身の場合
- 竹串がすんなり通り、溢れ出た汁が透明
- 箸でサクッと割ける
- 皮からすんなり外せる
- 透明感がない
サンマやアジ、サワラ、太刀魚などは頭付きの場合が多いですが、これらの魚が生焼けかどうかを見分けるには、目を確認しましょう。
目が白くなっていれば、きちんと焼けているので大丈夫です!魚は頭の部分のほうが火が通りにくいので、目が焼けていたら中心まできちんと焼けています。
サケやサバ、赤魚など切り身の魚が生焼けか判断するには、竹串で刺してみるとよいです。
実際に割ってみて、見た目が透明かどうかでも生焼けかどうか判断できますが、どうしても身が崩れてしまいますよね。
そんな時は竹串を刺してみて、すんなり串が通る、または串が温かくなれば魚の中心まで焼けています。
私は、今まで身を崩して生焼けかどうかを確認していたので、今度からはぜひ竹串を利用してみようと思います!
赤身魚と白身魚の違いとは
ちなみに、赤身魚と白身魚の違いはご存知ですか?
私は単純に赤い魚が赤身だと思っていましたが、実はサンマも赤身魚の仲間なんですよ!
赤身魚とは、「ミオグルビン」や「ヘモグロビン」という赤い色素を多く含んでいる魚のことで、回遊魚に多いそう。
カツオやマグロ、サバ、ブリ、サンマなども赤身魚の仲間になります。
それに対して、代表的な白身魚はヒラメやカレイ、鯛、フグなどです。
どちらも生焼けは危険ですが、焼きすぎると赤身魚は固くなり、白身魚は身が崩れやすいという特徴があるようです。
※ちなみに「青魚」とは身ではなく、背の色で判断したもので、種類としては赤身魚に分類されます
生焼けかどうかの見分け方が分かったところで、生焼けの魚を食べるとどうなるのかも気になります。
次章で、食中毒の種類などもあわせて、詳しくご紹介します。
生焼けの魚を食べるとどうなるの?下痢や腹痛など食中毒の危険性を解説!
生焼けの魚を食べると、食あたりや食中毒を引き起こすことがあります。軽い吐き気や腹痛などを始め、胃痛や嘔吐、下痢など非常に辛い症状が出るため、できるだけ避けたい事態です。
これらの食中毒を引き起こす要因としては、「菌」と「寄生虫」が考えられます。
食中毒を引き起こす菌や寄生虫とは
加熱しても死滅しない菌や寄生虫も存在しますが、魚の生焼けの場合は、特に食中毒を起こす危険が高くなります。
今回は、生焼けの場合に特に注意が必要な菌や、寄生虫をご紹介していきます。
腸炎ビブリオ菌
海水の中にいる菌で、魚や貝につきます。海水の温度が上がると増えるため、特に夏場が危険といわれています。
食べたあとは4~96時間の間(平均12時間)に、水のような下痢や激しい腹痛などを引き起こします。
腸炎ビブリオ菌は真水や熱に弱いため、焼く前に真水で洗ったり、75℃以上で1分以上加熱したりすると安心です。
サルモネラ菌
熱に弱い菌のため、加熱が不十分な魚や肉、卵を食べると感染することがあります。サルモネラ菌は、摂取後6~48時間で、吐き気や腹痛、下痢、発熱、頭痛などの症状を引き起こします。
少量でもこのような食中毒症状が起こるので注意が必要です。
アニサキス
アニサキスはサバやサケ、イワシ、サンマなど多種の魚に生息している寄生虫です。人体では成虫になれないため通常は排泄されますが、まれに胃や腸壁に侵入し、食後8時間以内に胃痛や嘔吐などを引き起こします。
アニサキスによる食中毒を予防するためには、60℃以上で1分以上加熱するか、-20℃以下で24時間以上冷凍するとよいです。
魚の中心部分まで、完全に火を通すか冷凍することで死滅しますが、どちらも不完全だと食中毒を起こす恐れがあります。
そのほか加熱しても危険な食中毒が存在しますが、生焼けだとリスクが高まるので気を付けましょう。
加熱しても危険なヒスタミン食中毒
ヒスタミンとは、魚に含まれる「ヒスチジン」が細菌によって分解されてできる化学物質です。
高温で放置するなど温度管理が悪いと生成され、特にイワシやカツオ、マグロなどが危険とされています。
食べた後30分ほどで顔や口周りが赤くなったり、発熱やじんましんなどが出ますが、通常は6~10時間程度で回復するようです。
ヒスタミンは熱に強いため、生焼けではない場合や干物でも食中毒を起こす場合があります。
このようにヒスタミン食中毒など、生焼けじゃなくても危険な場合があります。
食中毒を予防するためにはどのようなことに注意するべきか、生焼け以外の予防法もご紹介していきます。
食中毒を予防するには「菌」を増やさないこと!
生焼けだと死滅しない菌が多いため、きちんと魚に火を通すことがとても大切です。しかしその前に、そもそも菌を増やさない工夫をする必要があります。
先ほどのヒスタミンなどは、温度管理が悪いと雑菌が増える可能性が増え、食中毒につながります。
菌は低温だと繁殖力が弱まるため、必ず冷蔵庫や冷凍庫で保存しましょう。
また、冷凍した魚を解凍すると雑菌が付く可能性が高まるので、再冷凍せずに早めに食べきってくださいね。
そのほかの注意点も含め、菌が繁殖することを防ぐ方法を以下にまとめます。
菌を増やさない方法
- 冷蔵庫や冷凍庫で保存する
- 調理前に手や調理器具をよく洗う
- 消費期限を守る
- よく加熱する
免疫力が高い人の場合は、多少の菌では食中毒を発症せず、生焼けでも大丈夫な場合もあります。
なんか魚生焼けっぽかったけどかまわず食べてしまった…Σ(゚д゚lll)まあ大丈夫なはず、わしの胃袋はジャガイモの芽までなら食べても大丈夫な鋼鉄の胃袋じゃからなww
— 結城 雪奈 (@TRANSAM_yuki) September 18, 2017
しかし、生ものの消化が苦手な赤ちゃんや子供、免疫力が弱くなる妊娠中の女性やお年寄りは、食中毒を発症しやすいので気を付けてくださいね。
昨日お母さんが焼いた魚、生焼けだったみたいでおじいちゃんゲーゲー吐いてたんだけど今日大丈夫かな
— 体調不良のねむ (@nemunemuyahho) September 25, 2019
魚だけに限らず、食品の生焼けや温度管理に気を付け、食中毒にならないように注意してくださいね。
妊婦さんはリステリア菌にご注意を!
リステリア菌とは、魚介以外にもさまざまな場所に分布している細菌ですが、妊婦さんが感染すると、流産や早産の危険があるので注意してください。
予防するには、期限内に食品を消費したり、きちんと加熱してから食べたりすることが大切です。
妊娠中に魚介を取ることは栄養面でも良いことですが、通常よりも免疫力が弱くなっているので、生ものは控えましょうね。
魚の食中毒を予防する方法を見てきましたが、いくら注意をはらっていても食中毒が起きてしまうこともあります。そこで、そんな時のために対処法も知っておきましょう!
食中毒症状が出たらこう対処しよう
万が一、食あたりや食中毒の症状が出た場合は、以下の対処法を試してみてください。
食中毒の対処法
- 水分をよくとる(常温、もしくは温かいお湯)
- 無理のない範囲で消化に良い食事を摂る
- 子供やお年寄りの場合は、横向きに寝かせる
脱水症状を起こさないように、無理のない範囲で水分や食事を摂るようにしましょう。子供やお年寄りの場合、吐いたものが喉につまらないように横向きに寝かせておくと安心です。
また、下痢や嘔吐は体が毒を出そうとするための反応なので、自己判断で下痢止めなどを飲むのは止めましょう。
症状が重い場合や幼児の場合は、病院で受診することをおすすめします。
魚は加熱が不十分だ、と食中毒の可能性が高まることが分かりました。魚を焼いたあとにチェックしてみて、もし生焼けだった場合は再加熱が必要ですよね。
そこで次章では、焼きすぎてパサパサにならない、上手な方法をご紹介します!
魚が生焼けの場合の対処法!表面を焦がさない再加熱方法とは?
生焼けの魚を再加熱すると、どうしても焼きすぎてパサパサになってしまうことはありませんか?
そうならないための方法をご紹介していきますね!まずは、一番手軽な電子レンジを使用する方法からご紹介します。
電子レンジの加熱方法
魚が生焼けの場合は、ラップをせずに電子レンジで再加熱しましょう。
ラップをかけると水分や油でこもるため、べちゃっとした食感になってしまいます。生焼けの時だけでなく、魚やフライを温める場合も、ラップはかけないほうがいいですよ。
様子を見ながら10秒ずつ加熱を足していくとよいですが、やりすぎないように気を付けてくださいね。個人的には、大体20~30秒くらい加熱すれば大丈夫な気がします。
なお、フライを再加熱する場合は、電子レンジにフライ専用の温めモードがあれば、そちらを利用しましょう。
カラッとした仕上がりになるので、通常の温めよりも断然おすすめです。
グリルやトースターの加熱方法
グリルやトースターで加熱すると、表面だけを焦がして中まで火が通らないことがあります。
まずは、電子レンジで中身を温めてから、グリルやトースターで仕上げると、表面がパリッと美味しくなりますよ。
トースターの場合は尾が焦げやすいので、アルミホイルで包んでおくのもおすすめです。
フライパンの加熱方法
私はグリルを使うのが面倒な時は、フライパンで魚を焼いています。ところがそのまま焼くと、焦げたりべちゃべちゃしたりで皮が破れる事も多いんですよね…。
それを防ぐには、クッキングシートや専用のフライパン用ホイルを使うと、上手に焼くことができます。生焼けを再加熱する時も、とても便利ですよ!
以上、魚の再加熱方法をお伝えしましたが、そもそも焼くときに生焼けにならないようにしたいですよね。
最後に、「魚が生焼けにならない上手な焼き方」についても確認しておきましょう!
魚の生焼けを防止するレシピとは?正しい焼き方やコツを紹介!
適当にグリルやフライパンで魚を焼くと、表面だけ焦げて中まで焼けないことがあります。そんな生焼けを防止する、上手な焼き方のレシピをご紹介しますね。
まずは、一番オーソドックスな塩焼きの焼き方から見ていきましょう。
正しい魚の塩焼き方法
魚に塩を振るのは、水分や臭みを取るためですが、焼く10~20分前に冷蔵庫から出して塩を振っておくと、うまい具合に水分や臭みが取れますよ。
また、冷蔵庫から出してすぐだと、魚の温度が低くて中まで火が通りにくいため、常温に戻しておくと生焼けを防げます。
焼く前には、水分を拭き取ることを忘れないようにしましょうね。
魚の塩焼きレシピ
- 10~20分前に冷蔵庫から出し、塩を振っておく
- 表になる面の真ん中に十文字の切れ込みを入れる
- グリルの場合、頭を奥にして焼く
- 弱火で長時間ではなく、中火で短時間で仕上げる
*切り身は4~5分、一尾は8~10分が目安
魚焼きグリルは手前のほうが火が弱いので、焼けにくい頭は奥、焦げやすい尾は手前にすると良いです。
また、切れ込みを入れておくと中まで火が通りやすく、皮も破れにくいので見た目もきれいに仕上がりますよ。弱火で長時間焼くと身がパサパサになるので、中火で仕上げましょう。
私は、いつもじっくり焼こうと弱火にしていましたが、パサパサになってしまう理由はこんなところにもあったのですね。
ちなみに先ほどご紹介した焼き時間は、両面グリルの場合の目安なので、片焼きグリルの場合は以下の時間を目安にしてみてください。
片焼グリルの焼き時間目安
- 切り身 → 表2~3分、裏1~2分、
- 一尾 → 表5分、裏4分
片焼グリルの場合は、焼く前に5分ほど予熱しておくと、失敗が少なくなります。
塩焼き方法が分かったところで、続いては干物の上手な焼き方もご紹介します。
干物の上手な焼き方のポイント
干物は凍っている場合もありますが、凍ったままで焼くと表面だけ焦げて、生焼けになってしまうことがあるので注意が必要です。
なるべく解凍してから焼いたほうが良いですが、凍ったままで焼く場合は弱火でじっくり焼きましょう。グリルなどをあらかじめ温めておくと、干物がくっつくことなくきれいに焼けますよ。
また、塩干しとみりん干しでは焼き方が変わるので気を付けてください!
塩干しの場合
- 皮から焼く
- 強火で皮を7分ほど焼いて焦げ目を付け、裏返して中火で3分焼く
みりん干しの場合
- 身の方から焼く
- 弱火で身を8分焼き、裏返して2分焼く
みりんは皮が焦げやすいので、身のほうからじっくり焼くのがいいようです。そんなことを知らずに、先日まんまとサバのみりん漬けを皮から焼いて焦がしてしまいました…。
魚は中火にして短時間で焼くのが基本ですが、状況に合わせて焼き方を調節してみてくださいね!
まとめ
魚の生焼けに関してご紹介してきましたが、ここでポイントを確認しておきましょう。
- 頭付きの魚は目が白くなっていたら焼けている
- 切り身の魚は竹串が通らなかったら生焼け
- 生焼けの魚を食べると、食中毒の危険がある
- 食中毒は菌や寄生虫が主な要因
- 食中毒の予防には、生焼け以外にも菌が繁殖しない環境にするのが大切
- 食中毒症状がでたらなるべく水分や食事を摂り、ひどい時は病院に行く
- 魚の再加熱には電子レンジやグリル、フライパンを利用する
- 魚を焼く前には10~20分前に塩を振り、常温に戻しておく
- 魚の状態に合わせて火の加減を調整すると失敗が少ない
今までは、生焼けを避けるために魚を必要以上に焼いてしまい、美味しさが半減していました。
ですが、生焼けの見分け方や焼き時間の目安がわかったので、これからはもっと上手に焼ける気がします。
食中毒の危険性も再確認できたので、温度管理などにも注意していこうと思いました。
皆さんも今回の情報を参考に、安全に美味しく魚を味わっていただけたらうれしいです!