【監修者:管理栄養士 浜崎保奈美】
舞茸はきのこの中でも香り高く、料理全体に上品な風味を添えてくれる存在です。
なるべく香りを逃がさずに料理したいのですが、ふと「生で食べられるのかな?」と疑問に思いました。
炒め物などに使う場合に、食感を残したくて”生っぽいかな?”と思っても火からあげてしまうことがあるのですが、
生で食べるのを試したことはありません。
今回は、舞茸の生食について詳しく調べてみたいと思います!
- 舞茸を生で食べると食中毒のような症状が!?生食が危険な理由
- 舞茸の下ごしらえ&美味しい舞茸の選び方
- 舞茸はどんな食べ方があるの?人気レシピを紹介
- 舞茸の日持ち&長持ちする保存方法
舞茸を生で食べてしまったらどうなるのかを調べると、腹痛など、体に異変が出たという口コミが続々と出てきました。
「生焼けでも危ない」という声もあり、子供がいる我が家では、注意して料理する必要がありそうです。
普段はスーパーに陳列されている舞茸をよく見て買うことはないのですが、
良い舞茸を選んで&正しく調理する方法を、しっかり確認してみたいと思います。
舞茸を美味しく食べるレシピや正しい保存方法などもご紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみて下さい!
管理栄養士・栄養士
目次
舞茸は生で食べると危険!新鮮でも生食がダメな理由とは?
「舞茸を生で食べた」という実体験を口コミで調査すると、こんな声が多数出てきました。
「口の中がイガイガして、気持ち悪い味がする。とてもじゃないけど飲み込めない」
「食べた翌日に、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢など食中毒のような症状で苦しんだ」 など
こんな状態になるのは、どんな原因があるのでしょうか?
医学系の学術情報誌『モダンメディア』で、2018年に『きのこ毒について』という文献が発表されました。
舞茸が生で食べられるかどうかについて参考になる情報がありましたので、簡単にご紹介します。
- きのこ類全般に共通して「生で食べる=毒」と言える
- 生だけではなく”生焼け”でも食中毒のような症状が出る場合がある
- きのこは、栄養を得ると体外で消化・吸収する。そのときに外界から得た成分(酵素)も吸収するので、人間の体に合わない可能性がある
- きのこの成分で危険なものについては動物実験が難しくて、詳細はハッキリしていない
- 舞茸やしいたけなどを触る、胞子をたくさん吸い込むだけでも皮膚炎の症状が出る場合もある
舞茸を含むきのこ類で体に異変が出た報告が多数あり、原因の候補がいくつもあるけど、詳しいことはわかっていないんですね。
実際に、過去にはこんな事件もありました。
東北でスギヒラタケ、エリンギ、舞茸を食べた人が急性脳症を発症し、死亡者も出ました。
死亡者の特徴は腎臓の持病を持っていたことで、当時は原因となったきのこに含まれるシアンが、
異常気象によって増加したことが原因と騒がれましたが、最終的には原因特定がされていません。
生の舞茸を食べてしまったら死ぬケースもあると思うと、恐ろしいですよね。
サラダなどに使うときにも必ず加熱し、下記のような状態では食べないでくださいね!
- 生
- 生焼け(サッと加熱してほぼ生など)
*舞茸の安全な食べ方については、後ほど詳しくご紹介します。
食品の中には、赤ちゃんはダメだけど大人は食べられるなんていうものもありますが、
生の舞茸は、赤ちゃん、子供、妊婦さん、高齢者、健康な人。どんな人でも食べてはダメです。
ちなみに、犬などのペットも生食は避けて下さい。人間と同じように食中毒のような症状が出る可能性がありますし、消化も悪いです。
しっかり加熱して小さく切り、ゆで汁も一緒にあげるようおすすめします。
では、舞茸を安全に食べる方法を次にご紹介します。
舞茸の下ごしらえの方法は?選び方や見分け方など解説!
舞茸は、他のきのこ類と違って石づきナシで売っていることが多いですよね。いつもどこまで食べて良いのか迷います。
料理の下ごしらえから詳しく確認してみましょう!
安全に食べられる下ごしらえ方法
買ってきてパックを開けてから加熱するまでをご紹介します。
- 汚れを確認。気になる部分は拭き取る(洗わなくてOK)
- 石づきがついていたら切り取る
- 料理に合わせた大きさに、手でほぐす
*汚れが気になる場合の洗い方は、流水にサッと通すくらいでOKです。
石づきがついていない舞茸は軸の先まで栄養がありますので、汚れを取れば全部食べられます。
舞茸を加熱しすぎると、クタっとなって食感も悪くなります。火を通す時間がどれくらいなのかが気になりますよね
- 茹でる:沸騰したお湯で1分ほど
- レンジで蒸す:600Wで2分ほど
- 炒める:舞茸から少し水分が出るくらい
*炒めた場合の生焼けかどうかの見分け方は、かさの裏側に水分が出ていれば火が通っています!
舞茸の有名メーカー・雪国まいたけのホームページでは、「舞茸を焦がすほど加熱すると栄養成分が失われる」と紹介されていました。
しっかり加熱は必要ですが、火の通り過ぎにもご注意下さい。
美味しい舞茸の選び方
新鮮で美味しい舞茸の見分け方は、コチラです!
カサをチェック!
- 色が濃い
- カサが肉厚
- ポキっと折れそうなくらいハリがある
- カサの表面に水滴がついていない
*白色の舞茸もあります。料理に色が移るのが嫌な場合は、白色を選ぶといいですよ!
軸をチェック!
- きれいな白色
- ハリがある
スーパーで売られている舞茸は、株が小分けにされていることが多いです。
株を割った部分から水分が飛んでしまうので、なるべくひとまとまりになっているものを選ぶようおすすめします!
道の駅などで高価な原木舞茸が売っているのをよく見かけます。美味しそうですが、手が出ないほど高いのがネックですよね。
そこで、より美味しい舞茸を求めて調べると、通販のオイシックスでアロマイタケという商品を見つけました。
自然木に菌を植え付けて栽培するので、スープなどにすると他のダシがいらないほど香りが良いそうです。
スーパーよりは割高ですが、ぜひ試してみたい舞茸です。
美味しい舞茸の選び方と正しい下処理方法がわかったところで、舞茸のレシピもご紹介したいと思います。
舞茸の美味しい食べ方!人気の調理法やアレンジレシピ
舞茸には、生活習慣病を予防する効果などが期待されています。
舞茸の良さを活かした人気レシピを、チェックしてみて下さい!
舞茸と卵のスープ
お好きな味付け(和・洋・中どれでも)でスープを作り、舞茸を入れて1分ほど加熱します。
溶き卵を回し入れれば出来上がり!
舞茸の中には、水に溶けだしてしまう成分が含まれています。スープは、煮汁ごと栄養成分も摂取できる点が良いですね。
舞茸のバターホイル焼き
アルミホイルを大きめに切り、舞茸や魚介類をのせます。
バターと醤油をたらし、具材をホイルで包んでオーブンやフライパンで蒸し焼きにして出来上がりです。
つい舞茸を食べ過ぎてしまうレシピなので、旨みが詰まった食材と合わせるのがおすすめです。
こちらの料理は作り置きで3日ほど保存可能なので、常備菜としても便利です。
舞茸の天ぷら
舞茸を手でほぐしたら、てんぷら粉をつけて揚げるだけ!
衣がカリっとしていて、中からはジューシーで香りが良い舞茸の汁が染み出してくるのがたまりません。
こちらもつい箸が進みますが、食べすぎには注意が必要ですね。
舞茸は、1パック食べても20kcal弱と、とてもヘルシーな食材です。
ダイエットに活用したくなりますが、先ほどご紹介したとおり微量のシアンが含まれていて、消化もされにくいので、食べ過ぎにはご注意下さい。
1日で1パックの半分くらいを目安に、他の食材と合わせてバランスよく食卓に取り入れていきましょう!
最後に舞茸を買ってきてからの日持ちと、美味しさが長持ちする保存方法をご紹介します。
生の舞茸の日持ちや賞味期限は?長持ちさせる保存方法も紹介!
舞茸には、賞味期限が書かれていませんよね。
先ほどご紹介した新鮮で美味しいものを選んで買い、長持ちするように工夫して保存し、自分で状態をチェックする必要があります。
舞茸は何日食べられる?
舞茸の日持ちは、下記のとおりです。
保存場所 | 日持ち |
常温 | 気温によって1日~3日 |
冷蔵庫(野菜室) | 1週間ほど |
冷凍 | 2週間~1ヶ月 |
*”カビが生える”、”生臭い臭い”、”茶色い汁”など、異変が出てきたら食べられません。
舞茸は収穫されてからも生きていますので、舞茸にストレスを与えないことが、保存期間を長くするポイントです。
季節やご家庭の保存環境にもよりますが、常温では温度が高すぎて呼吸量が多くなり、パックの中に水滴が出てしまいます。
水滴は劣化やカビの原因となりますので、必ず冷やして保存なさって下さい!
舞茸の鮮度が続く保存方法
大阪中央卸売市場のホームページに、生の舞茸の正しい保存方法が紹介されていました、
買ってきたパックに水滴が出ていなければそのまま野菜室に入れてOKなのですが、
水滴が出ている場合や開封後は、下記のように保存なさって下さい。
冷蔵庫での保存方法
- 新聞紙かキッチンペーパーに包む(石づきがある場合は、そのままで構いません)
- ビニール袋に入れる(袋は密閉しません)
- 野菜室に入れる
冷凍方法
- 石づきを切り取って汚れを拭き取る
- 使いやすい大きさにカットする
- ジップつきの保存袋に入れる
- 空気を抜いて密閉する
- 平らにして冷凍庫に入れる
食べ切れないとわかったら、なるべく早く冷凍するようおすすめします。
冷凍すると舞茸本来の食感ではなくなりますので、パスタ、煮物、スープなどに入れるのがおすすめです。
まとめ
舞茸は生で食べられるのかという疑問から始まり、安全で美味しく食べる方法について詳しくご紹介してきました。
ポイントをまとめてみます!
- 舞茸の生食は絶対にダメ!
- 舞茸を生で食べると、食中毒の症状やアレルギー症状が出る可能性がある
- 舞茸で体に異変が出る理由は特定されていない
- 舞茸はかさや軸の状態をチェックして新鮮なものを選び、よく加熱して食べる
- 舞茸は石づきがついていない商品なら軸の先まで全部食べられる
- 舞茸に含まれる栄養成分を余さず体に取り入れるためには、スープまで食べた方がいい
- 舞茸は常温保存NG。必ず冷やして保存する
- 舞茸にストレスを与えないで保存するのが、長持ちするポイント
- 食べ切れない分は早めに冷凍するのがおすすめ
生の舞茸を食べたことが原因の死亡例もあると知り、怖くなりました。
ネット上には「舞茸は生でも食べられる」という口コミ情報がたくさんあります。
曖昧な情報を信じずに、美味しい舞茸を安全に食べていきたいですね。
今回は、美味しい舞茸の選び方もわかりました。
私は道の駅や路面店の八百屋さんなどで、パックの内側に水滴がついてシナっとしている舞茸を見かけることがよくあります。
劣化したものを選ばずに、食感や風味を最大限楽しめる舞茸を目利きして、子どもたちにも美味しさを伝えたいなと思います。
今回ご紹介した情報を参考に、舞茸の特長を生かした料理をご一緒に楽しんでいきましょう!