【監修者:管理栄養士 浜崎保奈美】
先日バーベキューの材料を買いにスーパーに行くと、生のどんこ(肉厚のしいたけ)が売っていました。
焼いたら美味しいだろうと思って買ったのですが、外が焦げても中まで火が通らず、困ってしまいました。
「きのこ類は生で食べたらダメ!加熱は必須!」と聞いたことがあるような、無いような…。
そこで今回はしいたけの生食について、詳しく調べてみます!
- しいたけは生で食べられるか?食べたら危険な理由を解説
- 上手な焼き方が知りたい!下痢や腹痛などの食中毒を防ぐ生焼け状態の見分け方
- 生しいたけを使った超簡単で美味しいレシピ
- 日持ちはどれくらい?正しい保存方法で長持ちさせよう!
考えてみれば、”しいたけを生でサラダに入れる”、”醤油をつけてそのまま食べる”なんて話は聞いたことがありません。
マッシュルームなら「新鮮なものだけは生で食べられる」と聞いたことがあるのですが、しいたけも収穫してすぐなら生食しても大丈夫なのでしょうか?
我が家には小さい子供もいるので、しいたけを美味しく安全に食べる方法を、徹底調査しようと思います。
管理栄養士・栄養士
目次
しいたけは生で食べたら危険!新鮮でも生食がダメな理由とは?
過去に「しいたけが生で食べられる」と受け取れるような記事が、ネットに出回ったことがありました。
”しいたけが生食できる”という噂と、その真相についてお話します。
本当は生で食べられる?噂の真相とは
まずは、しいたけが生で食べられるという噂の発端を2つご紹介します。
旅行情報誌からの情報
しいたけが生食できるという噂は、とある旅行関連情報誌から発信された、SNS情報から広まりました。
SNSを見た方たちから、すぐさま「しいたけを生で食べるのはダメ」とかなり厳しい反応があって、世間一般では”生食が危険”と認知されていることがわかります。
TV番組からの情報
TV番組で、原木から取ってすぐのしいたけを生で食べる場面が放送されたこともあります。
しいたけ農家の方が「しいたけは無農薬で取りたてであれば生で食べられます」とはっきりおっしゃっています。
参考までに、こちらがTV番組の動画です。
動画内では、しいたけの生食についての注意喚起などはありませんでしたので、「しいたけは生食できるかも」という気になります。
この噂の真相を調べてみると、下記のことがわかりました。
- しいたけの生食・生焼けが原因で、しいたけ皮膚炎が起こる可能性がある
- 生のしいたけについた雑菌が原因で、腹痛や下痢など食中毒の症状が出る可能性がある
TV番組で紹介された農家の方は、しいたけ皮膚炎が運よく起こっていないだけの可能性があります。
しいたけ皮膚炎については、医師などからも注意喚起の情報が公表されている正式な病気ですので、「しいたけが生で食べられるか?」という疑問への結論としては、「しいたけの生食はできない」とお考え頂けると安全です。
もう少し詳しくご紹介していきます。
しいたけを生で食べてはいけない理由
”しいたけ皮膚炎”と”しいたけが原因の食中毒”について、しっかりチェックしてみて下さい!
他にも生で食べない方がいい豆知識的な理由をご紹介します。
しいたけ皮膚炎
しいたけ皮膚炎の主な原因はしいたけの生・生焼けを食べたことですが、しっかり加熱してある場合でも干しシイタケの戻し汁や野菜チップスのしいたけでも症状が出る可能性があります。
死亡例はありませんが、とにかくかゆみが強く、蕁麻疹とは違って線状にひっかいたような発疹が特徴です。
因果関係ははっきりしていないようですが、アルコールとしいたけを一緒に摂取すると発症しやすいのではないかとも言われています。
*生焼けの見分け方については「生焼けのしいたけの見分け方は?正しい焼き方や選び方を解説!」で詳しくご紹介します!
しいたけが原因の食中毒
しいたけは洗うと風味が落ちるので洗わずに食べる方も多いと思いますが、生のしいたけに雑菌が増殖しているとお腹を壊すなどの食中毒症状が出ることがあります。
スーパーで売っているしいたけは、”しっかり管理されたものなのであまり心配はない”と思いたいですが、食に100%安全はありませんので、殺菌の意味でもしっかり加熱なさって下さい。
天然の椎茸には虫がついていることも!
道の駅や農家の直売所などで売っている天然のしいたけは、スーパーで売られているしいたけのような管理がされていない可能性があります。
しいたけのかさに虫が隠れていることがあるので、”生のしいたけを食べる=一緒に生きている虫を食べてしまう”ことになりますよね。
しいたけにつく虫はハエやガの幼虫で、人には害がないと言われていますが、私なら食べたくありません。
天然しいたけを手に入れたら、塩水に15分ほど浸けて虫だしをして下さいね。
しいたけによく似た毒キノコにも注意
しいたけによく似たツキヨタケというキノコがあります。
こちらは加熱しても毒性が消えず、死亡例もあるキノコですので十分にご注意下さい。
キノコの詳しい知識がない方は、自分で採取した天然キノコを食べるのはやめましょう!
生のしいたけは、全ての人にとって体調に異変が出る危険性がある食品です。
- 健康な人
- 赤ちゃんや子供
- 妊婦さん など
ちなみに、犬などのペットにも生のしいたけをあげるのは避けて下さい。
きのこ類は食物繊維のかたまりで、消化吸収がされにくいです。
細かく切るなどの配慮をするようおすすめします。
生のしいたけは食べられないことがわかりました。
強いかゆみがあるしいたけ皮膚炎は、自分も家族も絶対に避けたいですよね。
絶対に生のしいたけを食べないための対策を、次にご紹介していきます!
生焼けのしいたけの見分け方は?正しい焼き方や選び方を解説!
冒頭でもお話ししたとおり、肉厚だと火加減によっては外が焦げても中までしんなりしないことがあります。
確実に中まで火が通ったと見分ける方法はあるのでしょうか?
生焼けのしいたけを食べないために、正しい焼き方と生焼けの見分け方を確認してみましょう!
しいたけの正しい焼き方
スーパーで売っているしいたけは、水洗いすると風味が落ちると言われています。
パック詰めされる時点で汚れは取り除かれているのが一般的ですが、気になる場合はキッチンペーパーで拭いてから焼いて下さい!
- 下処理をする(キッチンペーパーでふいて石づきを切る)
- かさの内側(白い部分)に塩をふる
- キッチンペーパーに油を含ませ、フライパンに薄く塗る
- フライパンにしいたけを並べる(白い部分を上にして)
- フタをして中弱火でじっくり焼く(5分ほどが目安で、裏返す必要はありません)
- フタをとって1分ほど焼く(焦げ具合によって火加減をして下さい)
- お皿に取り、お好みで醤油などをかけて出来上がり!
トースターで焼く場合も手順は同じです。高い温度で5~6分焼いて下さい。
焼く他に、煮る・蒸すなどの調理方法がありますよね。レンジを使って加熱する方法は、下記のとおりです。
- フライパンで焼くのと同じ下処理をする
- 耐熱皿にしいたけを並べ、ふんわりとラップをかける
- 加熱(600wで2分が目安です)
- お好みの味付けで食べます
他にも”鍋料理には飾り切り”など、料理に合わせて下処理をなさって下さい。
切り方はさまざまですが、包丁よりも繊維に沿って手で割る方が、香りを損なわずに食べられます。
生焼けの見分け方
しいたけを焼くと、水分が染み出て程よい歯ごたえが出ます。
しっかり焼きあがったときの見分け方は「かさ」に注目するのがポイントです。
- かさの中(白い部分)に水分が浮き出ている
- かさ(茶色の部分)がしんなりして、生よりも少し小さくなっている
- かさにしわができている
良いしいたけを選んで焼くと、本当に美味しいです!
私は以前、「オイシックス」という通販で購入した肉厚のしいたけが、あまりにもジューシーで驚きました。
美味しいしいたけに出会うとつい食べすぎてしまいそうですが、食べすぎによる消化不良にもご注意下さい。
しいたけが原因の消化不良について
きのこ類は食物繊維のかたまりで消化をするのに時間がかかりますので、生でなくても、食べすぎると下記のような症状が出る場合があります。
- 胸のあたりが重くて気持ち悪い
- 吐き気
- 腹痛
- お腹を壊す(下痢) など
適量を食べるよう、ご注意下さいね。
ここまで調査してきた情報で、私も「生のしいたけは食べない&よく火を通す!」と心に決めましたが、しいたけのぬか漬けというレシピを見つけてしまったんです。
ものすごく独特の美味しさになりそうな予感がしますが、「漬物=生のまま使う」ということになりますよね。
しいたけのぬか漬けレシピと、その他の美味しいレシピをご紹介します!
生のしいたけを使った絶品レシピ!ぬか漬けにしても大丈夫なの?
まずは、しいたけのぬか漬けレシピを確認しましょう!
次に、生のしいたけをよく加熱&美味しく変身させて食べられるレシピをいくつかご紹介します。
しいたけのぬか漬け
ぬか漬けと言っても、”薄切りにして火を通すのかな?”と予想していました。
ですが、有名なレシピサイトで調べたところ、生でまるごと漬けていました。
- 生のしいたけの汚れを拭き取る
- 塩をまぶしてぬか床に入れる
- 夏は半日くらい、冬は1日くらい漬ける
- 取り出してぬかを取り、食べる
「しいたけのぬか漬けは絶品!」という口コミもたくさんありますが、”ぬか漬けにすれば生でも食べられる”という確かな情報は、見つけられませんでした。
しいたけ皮膚炎の予防を徹底するという意味で、個人的には食べないようおすすめしたいと思います。
私は謎の皮膚炎になって、激しいかゆみで1ヶ月苦しんだことがあります。
かゆみの影響で寝られない・食べられない・服との摩擦も辛いという状況を経験したことを踏まえて、お話しさせて頂きました。
しいたけの肉詰め
生のしいたけの石づきを切り落とし、かさの内側(白い部分)にひき肉で作ったタネを入れて加熱します。
タネは、ハンバーグのタネが余ったものを入れてもOKです。
加熱方法は、”焼く、蒸す、揚げる(フライでも天ぷらでも)”どの方法でも美味しく食べられます。
煮物
筑前煮や煮しめなどは、しいたけを使った定番料理ですよね。
- 筑前煮:油で炒めてから煮る
- 煮しめ:煮汁がなくなるまでしっかり煮て味をしみ込ませる
- ふくめ煮:”具材”と”具材の旨みが出た煮汁”を楽しむ
どれも、味付けは和食の基本である酒・みりん・だし汁・醤油です。
ふくめ煮は高野豆腐のように汁をたっぷり吸う具材を使うと、より味わい深くなりますね。
見た目をより美しく仕上げたい場合には、しいたけを含めた色の出る野菜を別に煮るようおすすめします。
甘煮
生のしいたけを甘辛く煮付けておくと、冷蔵庫で5日、冷凍で1ヶ月ほど日持ちします。
そうめん、冷やし中華、巻き寿司、ちらし寿司などに使えて便利ですよ!
- しいたけの石づきを切り落とし、汚れを拭き取る
- 酒・砂糖・醤油を同じ割合で合わせて、しいたけを煮る
- 煮汁が沸騰したら弱火にし、落しブタをして10分ほど煮る
- 他の調味料と同じ分量のみりんを入れて、全体を煮たたせる
- 煮汁ごと保存容器にいれて出来上がり!
スープ
余計な味付けをなるべくせずにスープを作ると、しいたけの風味が最大限味わえます。
お吸い物、中華スープなどお好みの味付けで、シンプルなしいたけスープを作ってみて下さい!
しいたけは、品種を選ばなければ一年中安定した市場価格で手に入る食材です。
独特の旨みで料理の味わいを深くしてくれるので、ぜひいろいろなレシピでお楽しみ下さい!
最後に、しいたけを長持ちさせるための正しい保存方法をご紹介します。
生のしいたけの日持ちはどれくらい?長持ちさせる保存方法も紹介!
私は袋に入ったしいたけを買ってきて無造作に保存し、シワシワになる、カビ、どろどろになるなどの失敗を何回もしています。
しいたけを長持ちさせる正しい保存方法もご一緒に確認してみましょう!
生しいたけの日持ち
しいたけのようなきのこ類や生鮮野菜には、法律で賞味期限表示が義務付けられていません。
自分で状態を判断して食べられるかどうかを決める必要があるので、日持ちの目安を確認しておきたいと思います。
保存場所 | 日持ち(目安) |
常温 | 1~2日 |
冷蔵庫(冷蔵室) | 5日ほど |
冷凍 | 1ヶ月 |
大阪中央卸売市場が公表しているしいたけの最適な保存温度は0~2度です。
収穫してからも生きて呼吸をしており、高い温度の場所に置くと呼吸量が多くなって劣化が早まるので、常温保存はしないように注意しましょう!
鮮度によっても保存期間が変わるので、美味しい生のしいたけの選び方もご紹介します。
- かさが丸まっていて肉厚
- かさの内側がきれいな白色でヒダが開いていない
- パック詰めされたしいたけが湿っていない・パックに水滴がついていない
鮮度が悪い生のしいたけを買うと、すぐにすっぱい臭いがしてきたり、カビが生えたりする可能性があります。
ぜひしっかり見分けて買って下さいね!
正しい冷蔵保存方法
しいたけを冷蔵保存する方法は、こちらです。
- 買ってきたらすぐにパックから出す
- 数個一緒にキッチンペーパーで包む
- ビニール袋に入れる(袋の口は開けたままでOK)
- 冷蔵室に入れる(凍らないのであれば、チルド室でもOK)
しいたけの呼吸を抑えるのが、鮮度を長持ちさせるコツです。野菜室ではなく、冷蔵室で保存なさって下さいね。
正しい冷凍保存方法
しいたけを生のまま冷凍すると、水分が凍って解凍時に流れ出てしまいます。
ジューシーな食感ではなくなるので、丸ごと生で冷凍するのは向きません。
使いやすい大きさにカットして冷凍する方法をご紹介します。
- 石づきを切り落として、汚れを拭き取る
- 使いやすい大きさにカットする
- ジップつきの保存袋に入れる
- 平らにして空気を抜き、密閉する
- 冷凍庫に入れる
干ししいたけの作り方
市販されている干し椎茸は、高級品ですよね。国産となると値段がさらに上がり、私は買うのを迷ってしまいます。
実は、ご家庭でも干ししいたけを簡単に作れますので、ご紹介します。
- 石づきを切り落として汚れを拭き取る
- 天気の良い日を選んで、よく陽が当たる場所に干す
- セミドライなら半日~1日、フルドライなら1週間ほどを目安(季節や温度によって日数が変わります)に出来上がり!
- 密閉できる固い容器に入れて、風通しの良い場所で保存
- 保存状態が良ければ半年ほど保存可能
*ジップつきの保存袋では、害虫被害の可能性があります。必ず固い容器に入れて下さいね。
簡単ですね!下記のようなアイテムがあれば、しいたけだけではなく他の干物も簡単に作れますよ。
生のしいたけと乾燥させたしいたけの違いは、風味と栄養価です。
- 風味:しいたけに含まれる水分が凝縮されて、風味も濃くなります
- 栄養価:しいたけに含まれる成分が日光の影響でビタミンDに変化し、栄養価も高くなります
ちなみに、戻したままの干しシイタケや戻し汁を加熱しないで食べても、しいたけ皮膚炎が発症する可能性があるので、必ず加熱して食べましょう。
茶碗蒸しや炊き込みご飯などで、濃厚なしいたけの風味を楽しんで下さいね!
まとめ
しいたけが生食できるかという疑問から始まり、しいたけを安全に美味しく食べ切る方法をご紹介してきました。
ポイントをまとめてみます!
- しいたけが生食できるという噂は信じない方がいい
- 生食や生焼け状態だとしいたけ皮膚炎や食中毒のリスクが高まる
- 生焼け状態か見分けるにはかさの状態をチェックする
- 生しいたけはしっかり加熱調理する
- 基本は冷蔵室(野菜室ではない)で保存するかカットして冷凍保存
- 干ししいたけは風味と栄養価がアップするのでおすすめ
しいたけは、生では食べられません。
私はこれまで火の通りをしっかりチェックしていなかったので、しいたけ皮膚炎を起こさなかったのは、運が良かっただけかもしれません。
素材の食感をいかすためにサッと火を通すだけの料理もありますが注意していこうと思います。
また、正しい保存場所が冷蔵室というのも初めて知りました。
野菜類なら何でも野菜室と考えず、それぞれを正しく保存して長持ちさせれば、食材を無駄にせずに済みますね。
しいたけの風味と旨みは、料理の味をワンランクアップさせるのに大活躍してくれます。
今回知った情報を参考に、しいたけを楽しんでいきたいと思います!