【監修者:管理栄養士 浜崎保奈美】
夫が、口をつけて飲んだペットボトルのお茶の残りを冷蔵庫に入れ、数日後に飲もうとしていました。
お茶も腐ると聞いたことがあるので、何日経ったかわからないものを飲むのはやめるように伝えたのですが、夫は大丈夫だと言い張りますが本当でしょうか?
なんだかすごく気持ち悪くなってきたので、お茶が腐るとどうなるのかについて調べてみることにしました。
- お茶が腐るとどうなるのか、特徴や見分け方とは
- お茶はなぜ腐るのか、飲んだらどうなるのか
- お茶の日持ち・賞味期限はどれくらいか種類別にチェック
- 賞味期限切れのお茶は飲めるのか
- 茶葉やお茶の正しい保存方法とは
お茶は毎日飲むものですし、小さい子どもにも与えるものです。
腐った場合に見分けられるようになっておきたいですし、市販のお茶の賞味期限の目安も知りたいです。
また、常温で置いていても良いのかどうか、保存方法にも自信がありません。
何となく油断しがちなお茶ですが、調べてみると「保存方法を間違うと怖い」ということがわかりました!
この記事を読んでいただくと、腐ったお茶を間違って飲むことがなくなりますよ!
そして腐らせることもなく安全に、最後までおいしいお茶を飲んでくださいね♪
管理栄養士・栄養士
目次
お茶は腐るとどうなるの?傷んだ時の見分け方や目安がコレ!
なんとなくですが、乳製品などと比べてお茶は腐りにくいような気がしませんか?
でも残念ながら、お茶も腐るんです。
未開封で正しく保存したものは記載されている賞味期限まで日持ちが見込めますが、開封後で、特に一度口をつけたものは腐りやすくなります。
…と言う事は、私の夫のように直接口につけたペットボトルを保存して後で飲む行動は怪しいですね…。
また、保存環境の温度によっても腐りやすさは変化します。
温度が高いと腐りやすくなり、特に30℃前後が菌が増殖しやすい気温ですから、冬よりも夏、冷蔵庫保存よりも常温放置が危ないですし、夏の車内などはなお危険です。
開封後何日で腐ると決まっていればわかりやすいのですが、状況によって腐りやすさが異なるのであれば、お茶が腐っているかどうかは自分で判断するしかありませんね。
お茶が腐っているかどうかは、どのように判断すればよいのでしょうか。
腐ったお茶の見分け方
お茶が腐っているかどうかを見分ける為には、見た目や臭い、味が目安になります。
腐っているお茶の特徴をご紹介しますので、見分ける際の参考になさってくださいね!
- カビが生えている
- 白い藻のような浮遊物がある
- ドロドロしたようなとろみがある
- 酸っぱい味がする
- 腐っていると感じる臭いがする
お茶に白色の藻のような浮遊物がある場合、それはカビである可能性が高いので飲まずに捨てることをおすすめします。
ただし麦茶の場合、作って数時間の麦茶にうっすら白いもやのようなものが見えるのは、麦茶の成分と水のカルシウムが反応して白くなっている可能性もあります。
この場合はカビなど有害なものではありませんので飲んでも構いませんが、菌の繁殖の素になりますので、早く飲み切るほうが良いでしょう。
その他、ティーバックで麦茶を淹れたりやかんで沸かした後、ティーバックをそのまま入れておくと麦茶の成分がどんどんしみだし、茶色っぽい沈殿物が発生することもあります。
問題はありませんが、このような麦茶はえぐみや渋みも抽出され苦い麦茶になってしまいますので、沈殿物が発生するほど長時間放置せず、ティーバックは取り除きましょう。
また、お湯を注ぐ前の茶葉やティーバックは乾燥しているので非常に腐りにくいですが、お茶を淹れた後に急須ややかんに残したままにしていると簡単に腐ってしまいます。
茶葉を入れっぱなしにして長期間放置してしまっていた急須をあけたら腐海みたいな光景が広がっていた。
— Naruse Takashi (@ihuru09) 2013年12月27日
こうなってしまうと、急須を洗って煮沸消毒して…と非常に手間がかかりますので、 入れた後の茶葉やティーバックは早めに処分し、急須ややかんはまめに洗うようにしましょう。
お茶が腐った時の特徴や見分け方はわかりましたが、お茶はなぜ腐ってしまうのでしょうか?
乾燥した茶葉やティーバックは腐りにくいのに、お茶を淹れた後は腐りやすいのもどうしてなのでしょう?
続いては、お茶が腐る原因を解説し、腐ったお茶を飲んでしまうとどのような症状が起こるのかについても言及したいと思います!
原因がわかれば、腐りにくくするためにどうすれば良いのか…など、対策ができるかもしれませんね。
お茶が腐るのはなぜ?腐敗の原因や誤って飲んだ際の症状を解説!
お茶に限らず食品が「腐る」のは、カビや雑菌が繁殖して有機物を分解し、人にとって有害なものに変質させるからです。
一般的にカビや雑菌はある程度の温度で活発になり、水分と栄養分があればどんどん増殖します。
食品を腐らせるカビや雑菌を取り除くため、市販のお茶は殺菌処理を施し、空気を抜いて密閉されています。
それに対して家で作るお茶は、沸騰させて作った場合でも完全に殺菌処理ができているわけではありませんし、カビや雑菌が入り込めないように密閉できているわけでもありません。
その為、家で作るお茶は作った直後からカビや雑菌が入り込む可能性があり、その後の保管状況が雑菌などにとって繁殖しやすい環境であれば、非常に腐りやすくなってしまいます。
水出しの場合は沸騰もさせていませんので、最初に含まれる雑菌はより多いことが予測できますね。
さらに、冷蔵庫に入れれば菌の増殖スピードを抑えることはできますが、完全に止められません。
冷蔵庫に入れていても時間が経つと腐ってしまうわけですね。
またお茶を沸かした後に、やかんにティーバッグを入れっぱなしにしておくと、より腐りやすくなります。
特に麦茶の場合、原料である麦類に含まれているでんぷん質やタンパク質が雑菌やカビの大好物なので、ティーバッグをいれっぱななしにしていると、それを栄養にしてどんどん菌が増えてしまうのです。
お茶をおいしく煮出すことができた後は、茶葉やティーバッグは取り出しましょう!
水筒やペットボトルのお茶が腐る理由
水筒にお茶を入れて使う場合、水筒を洗わずに使いまわしたり洗い残しがあると、菌が残ってしまいます。
残ったままの菌が増え続けて、洗いにくい箇所が菌の温床となってしまう事もあるのです。
水筒は、パッキンなども毎回外して洗い、きれいな状態に保つようにしましょう!
また、市販のペットボトルのお茶は殺菌処理などが施されているとお伝えしましたが、開封すると菌が入り込んでしまいます。
さらに、口をつけた飲みかけのペットボトルの場合、口から多くの菌が入り込んでしまうのです。
腐りやすい麦茶のペットボトルに口をつけ、菌が好む30℃前後の環境に24時間置いた結果、菌の数が50倍にも増えたという研究データもあります。
元の数が不明なので一概には言えないのですが、他の飲みのものと比べると非常に多いようです。気を付けなければなりませんね。
「魔法瓶の水筒なら、温度を低く保つから菌が増えないのでは」と考える方もおられるかもしれませんが、冷蔵庫の中ですら菌の増殖が完全に止まるわけではありません。
魔法瓶だからと言って、油断できませんね。
腐ったお茶を飲んだらどうなる?
腐ったお茶を飲んだらどのような症状が現れるのでしょうか?
飲む量や腐敗加減にもよるかと思いますが、腹痛や下痢など食中毒のような症状が出ることもあります。
緩やかな腹痛が止まらない。昨日の腐ったお茶(Rotten tea)が原因であることはわかっている。対処法は胃洗浄しかない。これが…新時代の幕開けか…
— 森本聡生/蛸の階 (@morimotosoui) 2019年5月3日
腐ったお茶飲んだらお腹壊した
— しじみ♨️ (@_shijimimochi_) 2017年9月27日
腐ったお茶飲んで下痢になった最悪じゃ
— 星野 直子 (@toy___555) 2017年2月1日
うーん、恐ろしい…
ペットボトルに口をつけて飲む場合は、翌日まで持ち越すようなことはせず、はやく飲み切ったほうが良いですね。
お茶が腐る原因はわかりましたが、日持ち期間はどれくらいを目安にしたら良いのか、市販されているものはどのくらいの賞味期限を設定されているのでしょうか?
続いてはお茶の日持ちや賞味期限についてご説明します。こちらもお茶が飲めるかどうかを見極める際の参考になると思いますので、是非お読みくださいね!
お茶の日持ち期間や賞味期限は?種類や状況別に違いを調査!
お茶も腐ることがあることや、腐りやすい状況はわかりましたが、通常どのくらい日持ちするのでしょうか?
家で作ったお茶の日持ちと、市販のペットボトルのお茶の賞味期限に分けてご説明していきます!
家で作ったお茶の日持ち期間
まずは、家で作ったお茶の日持ちについて、状況別の日持ち日数を一覧表でご紹介します。
お茶の種類 | 保存方法 | 日持ち期間 |
煮出した麦茶 | 常温 | 半日~1日 |
魔法瓶の水筒 | 1日程度 | |
冷蔵庫 | 3~5日程度 | |
冷凍庫 | 1~3ヶ月程度 | |
水出しの緑茶・麦茶 | 冷蔵庫 | 1~2日程度 |
煮出した麦茶を常温で放置すると、夏場などはその日のうちでも危険な場合があるので、沸かしたやかんでそのままにしておくのは避けましょう。
また、緑茶に含まれるタンニンが酸化すると、お茶の色が黄色っぽく変化し味や風味を損ないます。さらに消化にも影響が出るなどの変化が生じます。
タンニンは温度が高いほうが多く抽出されるので、煮出したり熱湯で抽出した緑茶はタンニンが多く含まれ、酸化しやすいので保存には向きません。
緑茶を保存して飲みたい場合は水出しがおすすめですが、水出しは茶葉やティーバッグを入れっぱなしにする時間が長くなります。
そうなると「お茶が腐るのはなぜ?」の章でご説明したように、ティーバッグを栄養に腐敗が進みやすくなってしまう可能性がありますので、こちらもやはり長期保存には向きませんね。
冷凍した場合は「腐る」かどうかという点では、もっと長く日持ちする可能性もありますが、風味の劣化なども考えられますので、1ヶ月程度、長くても3ヶ月ほどでは飲み切るようにしましょう。
ペットボトルのお茶とティーバッグなどの賞味期限
一般的に市販されているペットボトルのお茶には賞味期限が記載されています。
「賞味期限」はおいしく飲むことができる期限をあらわしており、賞味期限切れになったからと言ってすぐに健康に被害を及ぼすわけではありません。
「期限を過ぎると危険」を意味しているのは「消費期限」ですので、もし消費期限が記載されたお茶があれば、期限内に消費するようにしてください。消費期限切れの食品を口にするのはやめましょう。
ただし、「賞味期限」にしろ「消費期限」にしろ、その期限は「未開封で正しく」保存した場合の日数ですので、開封後は期限に関係なく早めに飲み切る必要があります。
また、ペットボトルではなくお茶のティーバッグ、茶葉にも賞味期限は存在します。
伊藤園の商品を例に賞味期限の違いを紹介します。
お茶の種類 | 開封や保存の状況 | 賞味期限・日持ち |
ペットボトル | 口を付けた飲みかけ | 1日 |
開封したが口を付けていない | 冷蔵庫で2~3日 | |
ペットボトルの緑茶 「お~いお茶」 |
未開封 | 製造から9ヶ月 |
ペットボトルの麦茶 「健康ミネラルむぎ茶」 |
製造日から12ヶ月 | |
ティーバッグ 「お~いお茶 緑茶ティーバッグ」 |
製造日から9ヶ月 | |
ティーバッグ 「健康ミネラルむぎ茶 ティーバッグ」 |
製造日から12ヶ月 | |
茶葉 「お~いお茶 若茎入り緑茶」 |
製造日から12ヶ月 |
このように、同じメーカーでも商品が違うと設定される賞味期限の期間が異なるようですが、未開封なら結構日持ちすることがわかりました。
賞味期限に関わらず、口を付けたお茶は劣化や腐敗が早いので、「腐ったお茶の見分け方」の章でご紹介した特徴を参考にし、良く見極めるようにしてくださいね。
未開封のお茶のペットボトルが賞味期限切れした場合、飲んだからと言ってすぐに健康被害が出るわけではありませんので、こちらもお茶の状態をよく見て飲めるかどうか判断してください。
ただし、あくまでメーカーが保証している期間を過ぎていますので、自己責任となります。注意してくださいね!
未開封であればペットボトルのお茶やティーバッグは日持ちすることがわかりましたね。
それでは、最後に正しい保存方法についてご説明します!これでお茶の扱いはマスターですね。
お茶の正しい保存方法!開封後の茶葉やペットボトル保存の注意点とは?
家で作ったお茶や開封後のペットボトルのお茶は冷蔵庫で保存しなければならないことは、前の章でお分かりいただけたかと思います。
それでは、茶葉や開封前のペットボトルの保存はどのようにすればよいのでしょうか。
茶葉やティーバッグの保存方法
お茶の葉は乾燥しているので腐らない…と考えていませんか?
確かに乾燥させているので、生の野菜などと比較するとかなり長く日持ちします。
でも、水分を全く含んでいないわけではなく、一般的に茶葉には約3%の水分が含まれています。
保存方法を誤ると、見た目に「カビが生える」ほどの変化がなくても、品質は劣化してしまう可能性があるのです。
茶葉にとって良くない要素とその影響は次の通りです。
- 湿気:酸化を促す
- 空気:茶葉に含まれるカテキンの酸化を促す
- 直射日光:葉緑素を分解させるので、酸化を促す
- 高温:酸化を促す
- 臭い:茶葉には脱臭効果が期待できるほど臭いを吸収するので、臭い移りが生じる
未開封の状態であれば、温度に注意すれば品質は保持できると考えられますので、冷暗所で保存すればよいでしょう。
冷蔵庫での保存も可能ですが、開封後は冷蔵庫での保存には向きません。
冷蔵庫の中ではさまざまな臭いが移ってしまったり、出し入れの際には結露する可能性もあります。
結露が発生するとお茶が湿気を含んでしまいますので、開封後は密閉袋や密閉容器に入れ、冷凍保存することをおすすめします。
ただし、冷凍保存の場合も、いったん取り出したものを再冷凍すると結露が生じて風味を損ないますので、使う分だけ取り出すようにしましょう。
冷凍する際に、すぐに使い切れる量ずつに小分けにすると便利ですね♪
ティーバッグも茶葉と同じで高温多湿に弱いので、遮光性がある密閉容器に入れてできるだけ温度変化のない場所に保存するのがおすすめです。
このような内フタが付いている茶筒や、陶器のキャニスターに入れておくとおしゃれだし安全に保管できますね。
正しく保存したけれど、いよいよ古くなってきてしまった…と言う時には、お茶の脱臭効果を利用して脱臭剤として使用するのも一つの手です。
また、お湯で戻したものをガーゼなどに包んで食器洗いやシンク掃除のスポンジとして使うこともできます。
是非お試しくださいね!
ペットボトルのお茶の保存方法
ペットボトルのお茶は、未開封であれば常温保温が可能です。
茶葉と同じく、直射日光や高温多湿な場所を避け、冷暗所で保存しましょう。
開封後は常温におかず、冷蔵庫で保存してください。
冷蔵庫で冷える→常温に戻る→冷蔵庫で冷える…を繰り返すと菌の繁殖を促してしまいますので、なるべく早く冷蔵庫に戻すように注意しましょう。
そのうえで、「市販のペットボトルのお茶とティーバッグの賞味期限」でご説明した通り、口を付けていない場合でも2~3日で飲み切るようにしてくださいね。
まとめ
お茶は腐るのかどうか、腐った場合の見分け方に加え、日持ちや保存方法についても解説してきました。
- 家で作ったお茶や口を付けたペットボトルのお茶は腐りやすい
- 家で煮出したお茶の日持ちの目安は常温で1日以内・冷蔵庫で5日以内
- 開封後のペットボトルのお茶の日持ちは3日以内・口を付けたなら1日以内
- お茶が腐るとカビ、浮遊物、酸っぱい臭いなどの変化が現れる
- 腐ったお茶を飲むと腹痛や下痢を起こすことがある
- お茶が腐りやすい条件は高温多湿
- 直射日光もお茶の劣化を早くする
- 茶葉やティーバッグは温度変化の少ない場所で密閉容器に入れて保存
夏場は高温ですので、保存状態には注意する必要がありますね。
出先に持って行く水筒やペットボトルのお茶も、その日に飲み切って水筒はしっかり洗うことを忘れてはいけません。
でも、夏場に比べてお茶の消費が少なくなる冬場も、油断すると保存期間が長くなってお茶が腐ってしまった…なんてことになってしまうかもしれません!
どんな季節にも、2~3日で飲み切れる量を作り、常温で置かずに冷蔵庫保存することで安全にお茶を楽しむことができるのではないでしょうか♪