【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
我が家では夫の実家で作ったお米を分けてもらっているので、もらってきた袋は密閉されていませんし、精米日や賞味期限なども記載されていません。
でも湿度や室温が高い時に、ふと「お米が腐ることってあるのかな?」と心配になりました。
お米が腐ることはあるのか、日持ちや正しい保存方法について知りたいと思いましたので、以下の項目について調べてみることにしました!
- 精米後や炊いた後のお米が腐るとどうなるのかと見分け方
- 精米後や炊いた後のお米の日持ち
- お米の正しい保存方法
- 賞味期限切れや古くなった米の使い道
精米後の生米だけではなく、炊いた後のお米が腐ることもあると思います。
お米が腐るとどうなるのかがわかれば、食べられるか諦めなければいけないか判断できますよね!
また、腐っていなくても古くなった米は味が落ちるとも聞きますので、おいしく食べる方法や他の使い道があれば知りたいところです。
毎日食べる主食ですから、無駄なく最後までおいしく頂きたいですよね。
この記事をお読みいただいて、正しく保存しておいしくお米を使い切れるようになってください♪
管理栄養士・栄養士
目次
お米は腐るとどうなるの?傷んだ時の判断基準や見分け方を解説!
お米と一言で言っても、一般的にスーパーなどで売られている精米後の生米や、炊いた後のご飯の状態のお米など様々ですよね。
お米が腐るとどうなるのかと見分け方について、生のお米と炊いた後のご飯に分けて解説していきます!
生米(精米後)の場合
そもそも、生米が腐るのかどうかという事から疑問に思っているのですが、腐ることはあるのでしょうか。
「腐る」とは、細菌などの微生物やカビにより有機物が分解されて変質することで、細菌やカビの繁殖には温度と水分が必要だとされています。
炊く前の生米の水分量は一般的に15%以下であることが多く、水分量が少ない食品です。
そのため、お米の中で微生物がお米を分解して変質させてしまう事は少なく、腐ることはあまりありません。
ただし、次のような状態になったお米はあまり食べないほうが良いでしょう。
カビが生えている | 赤・黒・黄・青・灰色などに変色し、表面が粉っぽい |
虫がわいている | コクゾウムシ:ゴマほどのサイズの黒い虫 |
コクガ:幼虫は2~3mmのウジ虫で、糸を出して米粒をつなぐ。その為、小さい米粒の固まりが発生する。成虫は2cmほどの白い小さな蛾 |
カビにしろ虫にしろ、高温多湿になりがちな梅雨時期や夏場に繁殖しやすくなりますので、そのような環境の時には注意が必要です。
どのように保存すると良いのかは、後ほど「お米の正しい保存方法」の章で詳しくご説明しますので、最後までお付き合いくださいね♪
基本的にお米につくカビも虫も毒はないものですので、食べたからと言ってすぐに食中毒を起こすものではないそうですが、品質が劣化していると考えられます。
例えばカビが発生していると、炊きあがりの臭いに違和感を感じたり、お米がパサつく、味が落ちるなどしておいしさが損なわれている可能性が高いのです。
その為、食べることはあまりおすすめできません。
お米の色や数粒の固まりのお米が混ざっていないかなど、色や見た目を目安にして判断してくださいね。
逆に、違和感を感じるけれども食べても問題がない状態もあります。
- 白い米粒:生育中の天候の影響で、米粒内のでんぷんに気泡が入って白く見える
- 黒い点がある米粒:生育中に熱や虫の影響で表面に被害があり、黒く残ったもの
- 緑色の米粒:葉緑素が残っている
このような米粒はお米の味や健康への影響はありませんので、問題なく食べられます。
お米に虫がわいた時の取り除き方
お米に虫がわいた場合、いくら毒がないと聞いても、あまり気持ちの良いものではありませんよね。
害はないとはいえ、虫がふんをすることもありますしお米の味は損なわれますので、見つけたらすぐに取り除きましょう。
コクゾウムシの取り除き方
- 新聞紙に2~3kgのお米を広げて1~2時間ほどそのままにしておく
- コクゾウムシが自然に新聞紙にはい出ていく
- 時々お米をかき混ぜると効果的
コクガの幼虫の取り除き方
- 手や箸で幼虫や米粒の固まりをつまんで取り除く
- お米を研ぐときに幼虫が浮いてくるので、つまんで取り除く
噛みつくわけでもありませんし、簡単に取り除けますので、ぜひ優しく取り除いてあげてくださいね。
炊いたお米の場合
炊く前のお米の使わないほうが良い状態はわかりました。
それでは、炊いた後のご飯が腐ったり食べないほうが良いと考えられるのはどのような状態の時でしょうか。
腐っている可能性が高いご飯は次のような状態になります。
- 粘り気があり糸を引いている
- 酸っぱい臭いや発酵したような臭いがする
- 明らかに腐っている味がする
- 異様に水分が多く感じる
- ドロドロと溶けたようになっている
糸を引いたり溶けたりしていれば明らかに危険を感じるので食べるのをやめますが、少し違和感を感じる程度で、炊いた後そんなに時間が経っていなければ「大丈夫かな」と思ってしまいそうです。
でも、違和感を感じるのならば腐り始めの可能性があるので食べるのは控えたほうが良いでしょう。
炊飯器の中で保温中でも腐る場合があります。
27時間ほど保温したご飯腐ってる。そりゃそうだよな。腐るよな。
— sen (@s1r2g5) 2019年6月30日
この方の炊飯器の中のご飯がどんな状態だったのかはわかりませんが、細菌やバクテリアの中には高温でも繁殖できるものもあります。
間違っても何日も炊飯器の中に放置するようなことは避けましょう。
なるべく早くラップに包むか保存容器に入れ、冷凍保存すると良いでしょう。
また、夏場にお弁当などを持っていく時も、非常に腐りやすいので注意が必要です!
発酵して糸を引いてる弁当(お昼に食べ損なった)を食べてしまって久々にトイレから出られない状態になってる……😇
ご飯が何故か納豆の味がして野菜炒めが異様にすっぱい時点で気づけばよかった…まさか一日も経たずに腐ると思わないじゃん…— 月城🐳フユカ【🐝ED333312】 (@Azure_glacier) 2019年7月3日
夏場の常温は多くのカビや細菌にとって繁殖しやすい25℃~30℃付近であることが多いので、油断せずにしっかり保冷剤を使いましょう。
炊いたお米が腐るのにはこんな意外な理由も
「ご飯がこんなに早く腐るなんて、元のお米が悪かったのではないの?」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、先ほどご紹介したようにお米そのものにカビが生えているような場合もありますが、実は水が腐る場合もあるのです!
不純物が一切含まれていない純水は無機質なので理論上は腐りませんが、天然水などには微生物が含まれおり、腐る可能性があるのです。
水道水は塩素で消毒されて微生物の繁殖が抑えられていますが、時間が経つと効果が薄れるため腐敗することがあります。
特に夏場に常温で長時間くみ置きした水は雑菌が繁殖して腐りやすく、腐敗が進むと異臭がしたり濁ったりと、臭いや見た目に変化が現れます。
炊飯器にもよりますが、お米を研いだ後に給水させるために水に浸す習慣がある方も多いでしょう。
しかし、常温で水につける時間が長くなりすぎると、その水が腐ってしまう可能性があるのです!
「そんな何時間も水につけたまま放置しないよ」と思われるかもしれませんが、気付かないうちにその状況を作り出している場合があります。
それはタイマー予約です!
仕事に行く前に、夕方ご飯が炊きあがるように…とタイマー予約をして出かけたらどうでしょう?常温で放置することになっていませんか?
結果、炊飯器の中で待っている間に、水が腐ってしまうのです。
そんな悲しい状況を防ぐためには、水の温度を下げると効果的です。
釜ごと冷蔵庫に入れて吸水しながらしっかり冷やしたり、炊飯器にセットするときに氷を入れるなどして対策をするとよいでしょう。
お米や炊いた後のご飯が腐るとどうなるのかはわかりましたが、どれくらいの期間日持ちするのでしょうか?
続いてはお米やご飯の日持ち期間について解説します。
この目安を知っておけば、「えっ?もう腐っちゃったの!?」とショックを受けることも少なくなると思いますよ!
お米の日持ち期間は何日?精米前後や炊飯後による違いも調査!
食品の日持ちを確認する時、基本的に賞味期限や消費期限を確認しますよね。
でも、スーパーなどで売られているお米には、「おいしく」食べられる期限である賞味期限も、「安全に」食べられる期限である消費期限も記載されていません。
実は、賞味期限や消費期限は、加工品への表示が義務付けられているもので、収穫してそのまま店頭に並ぶ野菜や果物への記載は義務付けられていないのです。
お米も、精米はされていますが加工はされておらず、野菜や果物と同じような生鮮食品の扱いですので、賞味期限や消費期限は記載されていません。
賞味期限の記載がないので「賞味期限切れ」の状態もないのです。
それでは、なにも目安にするものがないかと言うとそういうわけでもなく、お米には「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」によって「精米年月日」の記載が義務付けられています。
精米されてからどれくらいの期間が経っているのかはわかるので、これを目安に考えればよいでしょう。
精米前後のお米の日持ち
生鮮食品であるお米は、精米から日が経てばたつほど品質が低下しておいしくなくなっていきますし、保存状態によって日持ちの期間も変わってきます。
常温で保存した場合の日持ちはおおよそ次のようになります。
季節 (常温温度) | 日持ち期間 |
夏 (30℃) | 2週間~1ヶ月 |
春・秋 (20℃) | 1~2ヶ月 |
冬 (15℃) | 2~3ヶ月 |
温度が低いほうが日持ちが長いことがわかりますね。
さらに湿度も日持ち期間に大きく関係します。湿度が高すぎるとカビや虫が発生しやすくなるためです。
お米の保存に適した温度と湿度は次のような状態です。
- 温度:15℃以下
- 湿度:70%前後
温度は低いほど良いので、冷蔵庫の中での保存がおすすめです。
冷蔵庫での正しい保存方法は次の章で詳しく解説しますが、正しく保存できると賞味期限は約半年程度とされています。すごく長くなりますね!
また、食品は未開封の状態の方が日持ちが長くなるものがほとんどですが、お米は未開封でも開封後でも賞味期限に変わりはありません。
お米の袋には、積み上げた時に袋が破れてしまわないように小さな穴が開いており、未開封でも空気に触れているためです。
未開封でも早めに食べきるように注意しましょう。
ところで最近は精米前の玄米もスーパーで普通に販売されていますね。
玄米は精米後の白米と比べて保存期間が長く、先ほどご紹介した良い状態で保存すると、1年程度はおいしさを保つことができます。
古米はいつまで食べられる?
その年に収穫されたお米を「新米」、その前年に収穫されたお米を「古米」と言います。
1年間保存したお米は「古米」という事になりますね。
古米はスーパーなどでも通常販売されており、正しく保存した玄米なら1年以上日持ちすることを証明してくれていますね。
ちなみに、2年前のお米を「古古米」3年前のお米を「古古古米」…となりますので、10年前のお米なら「古古古古古古古古古古米」と呼ぶことになります。
10年前のお米でも、保存状態が良くてカビや虫も発生していなければ食べられるのかもしれませんが…果たしてどうなのでしょうか。
試してみた方がおられました。
これから10年前のお米をたきます
— き(い)くま (@k1migiko3) 2018年8月24日
果たして食べられたのでしょうか?
10年前のお米は食べられませんでした
— き(い)くま (@k1migiko3) 2018年8月25日
どうやら食べられるような状態ではなかったようです。
どのような状態だったのか書かれていないのが残念ですが、きっとおいしくなかったのでしょうね。
あまり長く放置せず、食べきれる量を買うようにしましょう。
炊いた後のご飯の日持ち
お米の状態の日持ち期間はわかりましたが、炊いた後のお米はどの程度日持ちするのでしょうか?
保存状態ごとの日持ち日数の目安は次の通りです。
保存状態 | 日持ち日数 | |
常温 | 夏 | 半日程度 |
夏以外 | 2日程度 | |
冷蔵庫 | 3日程度 | |
冷凍庫 | 1週間~10日程度 |
あまり長く日持ちしませんね。
特に夏はその日のうちに食べきるか、すぐに冷蔵庫や冷凍庫で保存する必要がありそうです。
保存する際のコツや注意点はあるのでしょうか?
次の章で、おいしさを保つための正しい保存方法を解説しますので、よくお読みいただいて最後までおいしいご飯が食べられるようになってくださいね!
お米の正しい保存方法!常温や冷蔵で日持ちさせるコツを紹介!
先ほどの章でも少しご説明した通り、温度が高く湿気が多いと、お米の劣化が早くなりカビや虫も繁殖しやすくなります。
夏の常温などはお米にとって厳しい環境ですね。
お米の正しい保存方法は次の通りです。
- 野菜室に入れる
- 購入した際の袋から出して保存する
- 乾燥を防ぐために密閉できる容器に移し替える
- 野菜室に入りきらない場合は湿気に注意して冷暗所に保存する
- 新しいお米と古いお米が混ざらないように注意する
保存の際は高温多湿な場所や、直射日光を避けて保存する必要があり、特に保存に適しているのは冷蔵庫の野菜室です。
また、20kgや30kgの大量のお米を購入した場合や、一人暮らしで使い切るのに時間がかかる場合など、購入した袋のままで保存しながらお米を使っていく方もいらっしゃるかもしれません。
でも、お米の袋には小さい穴が開いているので、そこから虫や湿気が侵入する可能性があります。
保存の際は別の容器に移し替えるのがおすすめです。
専用の容器が無くても、ペットボトルやジップロックの袋などでも密閉して保管することができますので、小分けにして冷蔵庫に入れるようにしましょう。
新しいお米を容器に入れる時は古いお米がすべてなくなってから、容器を洗うか拭きあげ、虫や虫の卵が残らないように注意してくださいね。
炊いた後のご飯の保存方法
炊いた後のご飯は、炊飯器で保温する時間が長くなればなるほど変質して味や食感が損なわれるばかりか、場合によっては細菌が繁殖して腐ってしまいます。
その日に食べる分を食べた後は、すぐに冷凍保存しましょう。
冷凍保存のコツは次の通りです。
- 温かいご飯をラップで包む
- なるべく平らに包む
- 温かいうちに冷凍庫に入れるか、急速に冷まして冷凍する
ムラなく早く冷ますために、平らにラップに包み、急速に冷ましておいしさが損なわれないようにしましょう。
冷凍したご飯は、腐らないという意味合いでは1ヶ月でも2ヶ月でも食べられる可能性がありますが、「おいしいうちに」と考えると、1週間~10日程度で食べきることをおすすめします。
正しい方法で保存していても、古くなると徐々にお米の品質は損なわれていきます。
古くなったお米は、諦めるしかないのでしょうか?
最後に古くなったお米の活用法をご紹介しますので、最後まで諦めずに使い切ってくださいね!
袋のままお米が大量に余ったら?古くなったお米の上手な使い道を紹介!
たとえ正しく保存していても、残念ながら古くなったお米の味は損なわれ、パサついたり古いお米独特の臭いがある可能性があります。
次の様な炊き方をするとそれらを補うことができます。
- 油を入れて炊く:パサつきを押さえ、しっとりさせる
- だし昆布を入れて炊く:うまみを補う
- 大根おろしの汁を入れて炊く:消化酵素であるアミラーゼがでんぷんを分解してうまみが増す
その他、パエリヤやドリアなど、味付けするレシピに使うのもおすすめです。
また、もう一度精米してみると、表面の酸化した部分を取り除くことができますので、独特の臭いなどが解消される場合もあります。
自分で食べる以外の使い道でしたら、
- タケノコや大根を炊く時にヌカ替わりに入れる
- 糊にする(半日くらい水を吸わせてからミキサーなどで砕き、弱火で加熱)
- お手玉にする(虫がわくのでから煎りしておく)
- 鳥の餌にする
- 乾燥材にする(から煎りしてからお茶パックなどに詰める)
などが考えられますが、あまりに古くなったお米にはやはり虫が湧いている可能性も高いです。
心苦しい気持ちもありますが処分が必要な場合もありますので、良く見極めてくださいね。
まとめ
お米やご飯が腐るとどうなるのかや、日持ち、保存方法について解説してきました。
お米
- 水分量が少ないため腐ることはほとんどない
- カビが生えたり虫がわいたお米は食べないほうが良い
- お米は高温多湿に弱い
- 常温では夏:2週間~1ヶ月、春秋:1~2ヶ月、冬:2~3ヶ月
- 保存は冷蔵庫の野菜室がおすすめ
- 密閉できる専用の容器やペットボトル、ジップロックなどに入れて保存する
- 正しく保存すれば半年ほど日持ちする
- 玄米は1年ほど日持ちする
炊いた後のご飯
- 炊いた後のご飯が腐ると臭いや粘りが出るので五感で判断する
- 炊いた後のご飯は常温保存に向かない
- 夏の常温:半日、夏以外の常温:2日程度、冷蔵庫:3日程度、冷凍庫:1週間~10日程度
- 温かいうちにラップに包み急速冷凍する
お米は主食なので毎日食べますし、少しでも安いときにたくさん買っておきたいと考えてしまいそうですが、それほど日持ちしませんし、あまり大量の買い置きをするよりも、おいしいうちに食べきれる量をその都度買うほうが良いですね。
我が家のように家族が作っているお米をもらう時は、玄米を分けてもらって頻繁に精米するのが一番良いのかもしれませんが、それはなかなか大変です。
これからは小分けにして野菜室で正しく保存したいと思います!
せっかくおいしいお米ですから、おいしさを損なわずに最後までおいしく食べきりましょうね♪