私は、友人が立ち上げたばかりの会社で雑務の手伝いをしていますが、先日雇用主から渡された小切手に『銀行渡り』と記載されていました。
「銀行渡り」と記載されている小切手はどうやって換金したら良いのか、扱い方がよくわからなかったので、詳しく調べてみることにしました。
今回は小切手の銀行渡りについて詳しく調べてみた結果を以下の項目でわかりやすく紹介します!
- 小切手の『銀行渡り』ってどんな意味?
- 『銀行渡り』の小切手は、いつまでにどうやって換金すればいいの?
- 『銀行渡り』には、書き方などのルールはあるの?
お金の世界には、日常生活をしているだけではよくわからないようなことが沢山ありますよね。
私にとっては、小切手もその中の1つです。
私の中で小切手といえば、「海外ドラマで、”仕事の報酬のやりとり”や”お金持ちの親子間でお金のやりとり”によく出てくるよね。」というイメージくらいしかありませんでした。
普段は主婦業をしている私にとって小切手はあまり馴染みがなく、友人の会社を手伝う時にしか触れる機会がないので、恥ずかしながら「小切手の銀行渡し」の意味がわかりませんでした。
小切手に関する知識は、社会人としての常識としてこれからもどこかで必ず役に立つと思うので、しっかり調べて覚えておこうと思います!
早速、小切手の『銀行渡り』の意味からご一緒に見ていきましょう!
目次
小切手の銀行渡りの意味って?換金の方法や有効期限が知りたい!
小切手に「銀行渡り」という記載には、何かの意味が込められているのだと推測できますよね。
小切手の「銀行渡り」にはどんな意味が込められているのか、また「銀行渡り」と記載されている小切手の換金方法や有効期限の有無についても詳しく調べてみたので紹介します。
小切手に記載されている『銀行渡り』の意味とは?
『銀行渡り』という記載は、小切手の振出人から銀行へのメッセージです。
「身元を確認できていない人に、簡単にお金を渡さないで下さい。」
という意味で記載されます。
ちなみに、文字の上下に線が引いてあるので、『線引小切手』とも言われます。
元々は2本の線だけを引いていれば銀行には意味が通じます。
『銀行渡り』という記載よりも2本線の方が大切ということですね。
2本の線の中には、『銀行渡り』『BANK』『銀行』のどれを記載してもいいですし、2本線のみで何も記載していなくてもOKです。
なぜ『銀行渡り』の記載が必要なの?
わざわざ小切手に「銀行渡り」と記載する理由、小切手は簡単に換金できてしまうものだからです。
小切手には、お金の受取人の指定や支払期日が記載されていません。
例えばこんな人でも、銀行に持っていけば換金できてしまうわけです。
- 道で小切手を拾った人
- 小切手を盗んだ人
誰だかわからない人や悪い人にお金を支払ってしまったら一大事です!
万が一支払いが行われても、銀行口座の情報などから身元がすぐにわかるというメリットがあります。
小切手に「銀行渡り」と記載する方法
2本の線と『銀行渡り』という記載は、小切手を受け取った後に自分で書いてもOKです。
スタンプではなく、ボールペンなどの消えないペンで手書きしてもOKです。
銀行に持っていくまでの間に紛失や盗難が心配な場合は、小切手をもらってすぐに【2本の線と『銀行渡り』】を記載しておくと安心です。
では『銀行渡り』と記載してある小切手は、どうやって換金するのでしょうか?
小切手に『銀行渡り』と記載があるときの換金方法
『銀行渡り』と記載がある線引小切手には2種類ありますが、それぞれ換金方法が違います。
線引小切手は、その場で現金で受け取ることはできません。
受取人名義の口座で受け取ることになります。
一般線引小切手
小切手に、【2本線&『銀行渡り』『銀行』『BANK』】か【2本線のみ】が記載してある小切手です。
一般線引小切手の見本
太郎さんが、一般線引き小切手をA銀行に持っていったとします。
太郎さんがA銀行と取引がある(A銀行に口座を持っている)場合
太郎さん名義のA銀行の口座に振り込んでもらうことができます。
太郎さんがA銀行と取引がない場合
太郎さんがA銀行以外の銀行口座をA銀行に告げ、まずは太郎さんが指定した銀行とA銀行の間でお金のやり取りをすることになります。
最後に太郎さんが指定した口座でお金を受け取ることができます。
特定線引小切手
小切手に【『○○銀行』という、銀行名指定】の記載がしてある小切手です。
特定線引小切手の見本
太郎さんが『○○銀行』とは違うA銀行に小切手を持っていった場合
小切手に記載されている『○○銀行』でしか、お金を受け取ることができません。
まずは『○○銀行』と『A銀行』がお金のやり取りをして、最後に太郎さんがお金を受け取ることができます。
小切手に記載されている銀行名がA銀行で、太郎さんがA銀行に小切手を持って行った場合
太郎さんがA銀行と取引がある場合しかお金を受け取ることはできません。
”一般線引小切手”も”特定線引小切手”も、支払いが終了した後も口座情報から身元が特定できるようになっています。
特定線引小切手の方が、より支払い条件が厳しい小切手ですね。
小切手に『銀行渡り』と記載されているときの有効期限は?
全国銀行協会のホームページで確認すると、小切手は、振出日を含めて11日間が有効期限となっています。
11日目が銀行の休業日だったときは、翌営業日までが有効期限となります。
これは、『銀行渡り』の小切手だけではなく、全ての小切手に共通したルールです。
「銀行渡り」と間違えやすい「不渡り」とは
『銀行渡り』と似た言葉に『不渡り』というものがありますが、全然違うものです。
不渡りは、小切手ではなく約束手形のやりとりで起きます。
- 支払期日に残高不足でお金が支払えない。
- 支払期日に口座が見当たらない。
- 約束手形の記載事項に不備がある。
- 裁判所から支払いを止められている。
小切手の『銀行渡り』を『不渡り』と勘違いして、「お金がもらえないじゃん!」と焦ることのないようにしてくださいね。
『銀行渡り』についてお話ししてきましたが、換金手続きについて、もっと細かくご紹介していきたいと思います。
換金の手続きをもっと詳しく!入金にかかる日数や手数料は?
『銀行渡り』と記載されている線引き小切手は、基本的には口座に振り込まれるということでしたが、何日くらいでお金を受け取ることができるのでしょうか?
換金手続きや入金までの日数、手数料についても確認してみましょう。
銀行渡りと記載された小切手の入金日数はどれくらい?
先ほどの太郎さんが小切手を銀行に持って行ったとしましょう。
いくつかのパターンがあります。
パターン1.
小切手には「A銀行・あさがお支店」と記載がある。
太郎さんもA銀行・あさがお支店に口座を持っていて、A銀行・あさがお支店に小切手を持ち込んだ。
→この場合は、太郎さんのA銀行・あさがお支店の口座にすぐにお金が入金されます。
例外として、太郎さんがA銀行・あさがお支店に口座を作って間もない場合は、太郎さんとA銀行の信頼関係ができあがっていません。
A銀行から小切手の振出人に確認の連絡をすることがあり、すぐに入金されないこともあります。
パターン2.
小切手には「A銀行・あさがお支店」と記載がある。
太郎さんはA銀行・きく支店に口座を持っている。
パターン3.
小切手には「A銀行・あさがお支店」と記載がある。
太郎さんはA銀行に口座をもっていないので、B銀行に入金してほしい。
→パターン2や3のような場合は、入金までの目安は3営業日です。
小切手を受け取った銀行が、太郎さんの身元について疑いを持つ場合(口座を開設したばかりなど)は、入金までの日数が長くなる可能性があります。
線引小切手をすぐに現金に換金する裏技!
小切手を振り出す人は、小切手帳を銀行から受け取った時点で、全ての小切手に前もって2本線を引いてしまうのが一般的です。
いざ小切手を振り出したときの、紛失や盗難などに備えるためですね。
小切手法 第38条で、”線引き小切手は現金で受け取ることができない”と定められているのですが、
前もって線を引いてしまった小切手を、後から即現金化したい相手に渡す場合には、こんな裏技があります。
小切手の振出人が、小切手の裏面に銀行印を押せば、前もって引いてしまった線を取り消しする効力があります。(それぞれの銀行の当座勘定規定で定められています。)
振出人の協力をもらってこの裏技を使えば、小切手の受取人は、小切手をすぐに現金化できます。
小切手の入金にかかる手数料はいくら?
小切手の入金にかかる手数料の目安は、500円~1,000円くらいと考えておきましょう。
同じ銀行内であれば手数料が無料という場合もありますが、小切手を入金する状況によって手数料は細かく変わります。
- 小切手に記載されている銀行と受取人の銀行が同じか?違うか?
- 小切手に記載されている銀行と受取人の銀行が違う場合、銀行同士が近いか?遠いか?
- 小切手の取り扱いが急ぎかどうか?
小切手に記載されている銀行と受取人の銀行が違う場合、まずは銀行同士がお金のやり取りをします。
お金のやりとりをする場所は『手形交換所』というところです。
銀行同士が同じ手形交換所でやりとりをできればいいのですが、いくつかの手形交換所を経由する場合もあるそうです。
小切手の入金にかかる手数料は銀行がお金を取り立てするための費用ですので、様々なパターンがありそうですね。
ここまで、小切手を受け取る側になった場合のお話をご紹介してきました。
さて、自分が小切手を振り出す側になった場合は、どうやって『銀行渡り』を書けばいいのでしょうか?
小切手の銀行渡りの書き方は?印の位置や押し方にルールはあるの?
銀行渡りの小切手の書き方には、5つの基本ルールがあります。
- 小切手の表面に『銀行渡り』を記載すること。
- 2本線を記載すること。(2本線=『銀行渡り』という意味です。)
- 一般線引小切手の場合は、2本線の間に『銀行渡り』『銀行』『BANK』と書くか、2本線のみでもOK。
- 特定線引小切手の場合は、2本線の間に『○○銀行』と、銀行名を指定すること。
- 消えないように書くこと。(スタンプでもペンでもOK。)
この5つのルールを守れば、小切手表面のどの位置に『銀行渡り』を記載してもOKです。
また、黒以外の色で記載してもOKです。
今回私は様々な線引き小切手の画像を調査したのですが、小切手の右端or左端の上部や、空白の部分に線引きを記載している小切手が多いようです。
大量の小切手を振り出す場合は、スタンプを購入してしまえば手間が省けますね。
小切手の『銀行渡り』は書き直しNG!
小切手に一度書いた『銀行渡り』という記載は、書き直しができません。
書き直してあったとしても、その小切手は無効となります。
- 小切手に一度『銀行渡り』という線引きをしたら、取り消すことはできません。
- 特定線引小切手を一般線引小切手に変更することはできません。
- 特定線引小切手の銀行名を訂正することはできません。
『銀行渡り』という線引き以外の記載は、基本的には書き直しがしてあっても有効となっています。
ただ、書き直してあること自体が小切手の信頼度を下げてしまうため、書き損じた場合には、その小切手を使わないのが一般的です。
小切手を書き損じても捨てちゃダメ!
小切手の書き損じをしてしまったときは、安易に捨てずに保管します。
理由は、悪用を防ぐ目的や明朗会計の目的があるからです。
捨てられた小切手を誰かが悪用するのを防ぐため
小切手は、金額などの記載内容が正しければ現金と同じ価値のあるものですので、そのまま捨てるのはとても危険です。
会社の経理を明朗にするため
小切手と小切手帳はミシン目でつながっていて、小切手を切り離しても、小切手帳にはミミが残るようになっています。
小切手帳のミミには通し番号がふってあって、振り出した小切手の内容が書ける”控え”の役割をしています。
そのうちの1枚が書き損じで捨てられてしまったら、税務調査などがあったときに小切手帳の内容と通帳の内容が合わずに、脱税や横領を疑われてしまいます。
小切手を書き損じてしまったら、下記のように対応しましょう。
- 小切手の表面に、ペンで大きく『×』を書く。
- 小切手の表面に、書き損じの内容など、小切手を使わなくなった理由をメモしておく。
- 書き損じた小切手は、小切手帳に残っているミミの番号と合わせて、ホチキスなどで貼り付けておく。
銀行渡りはいつ書くの?
小切手を銀行に持ち込む前であれば、どのタイミングで書いてもOKです。
- 小切手帳を銀行から購入してすぐに書いてもOK。
- 小切手を実際に振り出すときに書いてもOK。
- 小切手を受け取った人が、受け取ってから銀行に行くまでの間に書いてもOK。
まとめ
小切手に『銀行渡り』と記載されているときの取り扱いについて詳しくご紹介してきました。いかがでしたか?
ポイントをまとめてみます。
- 小切手に『銀行渡り』と記載がされていたらすぐに現金化できない。
- 『銀行渡り』と記載がある小切手は、受取人の身元がわかる状態で受け取ることができる。
- 一般線引小切手と特定線引小切手では換金方法が違う。
- 小切手の有効期限は、振出日を含めて11日間。
- 『銀行渡り』と記載がある線引小切手は、状況によって即~3営業日を目安に入金される。
- 『銀行渡り』と記載がある線引小切手の入金にかかる手数料の目安は500円~1,000円。
- 『銀行渡り』の書き方には5つの基本ルールがある。
- 小切手を書き損じても、捨てずに保管する。
お金のことだけあって、小切手の『銀行渡り』についての内容は盛り沢山でした。
有効期限があるということで、私も早速換金手続きをしに行きたいと思います!
”書き損じを捨てない”ということについては、今だけではなく将来のことも考えて行動するという、会社の事務員としての神髄も垣間見たように感じました!