【執筆者:編集部 鳥越菜生】
コンタクトの洗浄液がないとき対処法で悩みますが、知恵袋回答には代用品を使う方法が寄せられていて、応急処置として試したくなります。
しかしソフトかハードかのタイプによってもともと洗浄液の種類やケア方法が違い、一晩だけであってもやってはいけないこともあるため要注意です。
コンタクトレンズは扱い方を誤ると、直接触れる眼を傷つける原因にもなりかねません。
そこでこの記事ではコンタクトの洗浄液がなくて困ったときに役立つ、以下の項目について詳しく解説します。
コンタクト洗浄液がないときのこと
- 知恵袋回答の目薬や水につける方法で代用可能か
- 洗浄液や保存液の役目と成分
- ソフトとハードのタイプの違いと洗浄・保存の注意点
- おすすめの解決策と便利グッズ
洗浄液や保存液をうっかり忘れたり使い切ったりしていて、どうしても手に入らないときはどうすべきかの対処法と、予防対策も確認しておきましょう。
目次
コンタクトの洗浄液がないときの知恵袋回答からの対処法
コンタクトを外すときに洗浄液がないと困りますが、Yahoo!知恵袋回答には経験者から代用品を使うアイデアが寄せられています。
そもそもコンタクトのケアに使う洗浄液や保存液には、レンズのタイプ・洗い方や眼の健康状態によって適した商品があります。
洗浄液:レンズについた汚れや眼からの分泌物を落とし、細菌の繁殖を防ぐ
保存液:レンズ表面を殺菌・消毒しながら、機能や装用感を保てるよう乾燥を防ぐ
使用後のコンタクトのケアは、洗浄液でレンズをこすり洗いしたあと保存液を入れたケース内で保管しておくのが基本です。
近年は1本で洗浄液と保存液の二役をこなせるタイプが人気で、ハード用の洗浄保存液や、ソフト用のマルチパーパスソリューション(MPS)などがあります。
ソフトかハードかのタイプが違うと、構造の違いからNGなケア方法もあります。
知恵袋に寄せられたおもな代用アイデアを確認し、活用できるかを検証してみましょう。
目薬や水道水で代用する案の問題点
知恵袋回答をのぞくと、コンタクトの洗浄液や保存液がないときは目薬や水を代わりに使える、という情報が多く寄せられています。
しかしレンズの洗浄や消毒ができるわけではないので、デメリットを避けるため、代用品を使っての再装着はやめておく方が無難です。
- 目薬
- 水
- 水+塩ひとつまみ
- 洗眼液
まず目薬は「目に滴下するものだから、目に入れるコンタクトにも乾燥防止のために垂らしておいてもかまわないだろう」という考えのようです。
「コンタクトをしたまま点眼できる目薬ならなお良い」との意見もありますが、どちらにしても目薬は眼に少量垂らす使用法を前提として製造されています。
目薬に含まれる薬用成分や防腐剤は、点眼した場合は自然に涙で流されますが、レンズに長時間触れたままになると何らかの悪影響があるかもしれません。
また多量の目薬に浸ける状態になるとコンタクトに成分が多く残り、再度装着した際に眼に悪影響を及ぼす可能性もあります。
ほかに洗眼液を代用品にする案もありましたが、ごく短時間で眼の表面を洗うためのものなので、目薬と同様に浸けておくのは悪影響が心配です。
コンタクトをつける際に使う装着液も、目薬や洗眼液に比べれば悪影響は少なそうですが、通常と違う使用法になるのでやはりおすすめはできません。
洗浄液や保存液がないとき、「一晩のことなら水道水で代用しても問題はない」という意見もありました。
確かにハードコンタクトなら、ケア用品の使用手順でも「洗浄時に水で流すこと」としている場合が多いです。
しかし水道水は塩素消毒されており飲水は安全ですが、消毒剤由来の塩素やミネラル成分のほか、不純物も含んでいますよね。
度重なると水道水に含まれるミネラル成分や消毒剤由来の塩素がついて、レンズや眼を傷つけるおそれがあるので要注意です。
また水道水には目に見えなくともアカントアメーバのような微生物も存在し、レンズに付着したものが眼に感染症を引き起こすおそれもあります。
アカントアメーバは水や土・ほこりなど、どこにでも存在する原生生物です。近年、水道水に含まれるアカントアメーバが角膜の傷から入り込みひどい感染症を起こすケースが、コンタクト使用者の間で増えています。特効薬がなく重症化する危険性もあるので、油断は禁物です。
ミネラルウォーターや精製水なら大丈夫ではないかという意見もあるので、違いを確認しておきましょう。
水の種類 | 塩素成分 | ミネラル成分 |
---|---|---|
水道水 | 有 | 有 |
ミネラルウォーター | 無 | 有 |
コンタクトレンズ用 精製水 |
無 | 無 |
▶ミネラルウォーター
大地からの天然のミネラル成分が溶け込んだ地下水を加熱殺菌やオゾン・紫外線殺菌などで処理したもので、水道水のような塩素消毒はされていません。
市販のミネラルウォーター類には必要最低限の殺菌処理のみを行っているものも多く、安全に天然水を味わえるのがメリットでもあります。
しかしアカントアメーバをはじめ不純物が完全に除去されているわけではないため、コンタクトをミネラルウォーターにつけて保存する方法もおすすめはできません。
▶コンタクト用精製水
コンタクト用精製水は水道水から塩素成分やミネラル成分のほか、微生物も含め不純物を極力取り除いてあり、レンズの洗浄や保存液の調整に使えます。
アカントアメーバ角膜炎のリスクを避けるため水道水に替えて使用を推奨されていますよ。(※1)
しかし水道水と同じで汚れを落としたり消毒したりするはたらきはないため、保存液代わりにつけていても期待できるのは乾燥を防ぐ効果くらいです。
一晩くらいならと水を使う代用案は、ソフトレンズの場合、別の理由からも避けるべきNG行為です。
ソフトコンタクトなら一晩でも水につけるのは厳禁
ソフトレンズは素材自体に水分を含む構造をしていて、水に触れると浸透圧により吸収が起こるため、形や含水率が変わって使えなくなる可能性があります。
変形したレンズを装着するとゴロつきや違和感が出たり、眼を傷つけ感染症を引き起こしたりする場合があり、重症化すれば失明のおそれもあるのです。
ソフトレンズなのにうっかり水道水で洗ってしまった人のお悩みには、知恵袋回答にも「危険性を考慮して使用は中止した方が良い」という口コミがありました。
涙の成分にも近い生理食塩水(0.9%食塩水)なら、ソフトレンズをつけて保管しておけるという口コミがありました。
水と違って生理食塩水に触れても浸透圧による水分の吸収が起こらないので、ソフトコンタクト用にすすぎ液として使える製品も販売されています。
しかし普段から使っている人なら家にあるでしょうが、緊急時にどこででも手に入るものではありません。
「ソフトコンタクトの洗浄液がないときは水に塩をひとつまみ溶かした中につけておく」という口コミも、生理食塩水を手作りする方法のようです。
コンタクトの洗浄液がない時は食塩水で代用できるってネットで見たから、食塩水を自作してやってみたら目が激痛で焼け死んだ事ある
— マダツボミ適量 (@DYNAMITE_prpr) November 15, 2023
ただしこちらのように手作りすると塩の加減が難しく、「眼が痛い・しみる」などの苦痛を訴える人も います。
またレンズを無事保管しておけても汚れや雑菌がついたままなので、眼の健康のためにも再装着はおすすめできません。
コンタクトの洗浄液がないので
オールが決定致しました— れい (@Ray1214_L) January 11, 2023
洗浄液や保存液が用意できないからと言って、コンタクトを長時間外さなかったりつけたまま寝たりするのも、連続装用タイプでない場合は危険です。
そこで代用案以外に緊急事態を回避できる解決策はないかや、予防対策を紹介します。
コンタクトの洗浄液がないときに困らないための解決策
コンタクトの洗浄液・保存液がないときも、コンビニに行けるなら簡易ケアセットが手に入る確率が高いため、あまり困らないかもしれません。
行ける範囲にドラッグストアやコンビニがない場合や、時間帯や体調などの事情で外出できないときは、ホテルや旅館ならフロントで尋ねてみる方法もあります。
- コンビニに簡易ケアセットを買いに行く
- 行ける範囲でドラッグストアを探す
- ホテルに滞在中なら、フロントの職員さんにお願いしてみる
- かかりつけの眼科医に電話して対処法を相談する
ホテル内の売店でも簡易ケアセットが販売されているかもしれませんが、直接フロントで相談してみるとスタッフの私物を分けてもらえる場合もあるようです。
受付時間内なら、かかりつけ医に電話で相談してみることもできます。
緊急事態に陥らなくて済むように、当たり前だと思うかもしれませんが、あらためて予防対策は十分かチェックしておきましょう。
洗浄液や保存液がない緊急事態を防ぐための予防策
コンタクトの洗浄液や保存液がないとレンズを安全に使えなくなるため、外出時も在宅時でも困らないための予防対策を講じておきましょう。
- 自宅には常に予備があるようにケア用品は多めにストックする
- 外出時によく使うかばんには常に予備のケアセットを入れておく
- 外出時にはコンタクトをしていてもメガネも携帯しておく
- 外泊準備のときにすぐ荷物に入れられるよう簡易ケアセットを家に常備
- 1日使い捨てタイプのコンタクトを緊急用に携帯しておく
コンビニで見かけることが多い1回分使い切りの簡易ケアセットは、ケースも付いてコンパクトなので、予備としてかばんや車などにいくつか置いておくと便利です。
ハード・ソフトのどちらにも使えるタイプもありますよ。
重ねておすすめしたい予防策は、外出・外泊にはいつもメガネを携帯しておくようにすることです。
ケア用品を忘れたときだけでなく、装着中に不測の事態が起こっても、メガネがあればすぐにコンタクトを外せて助かりますよね。
どうしても洗浄液や保存液が手に入らない場合でも、ケアできず汚れがついたままのコンタクトを無理に付けなくて済みます。
またコンタクトを処方してもらうときに使い捨てのワンデー(1Day)タイプも購入して携帯しておくと、緊急時や外泊時に使えて便利です。
以下の記事ではコンタクトが原因となる感染症についても詳しく解説していますので、こちらもぜひ併せてご覧ください。
詳しくはこの記事をチェック!
結論 | コンタクトの洗浄液がないときはコンビニに行ってみよう
- 目薬や洗眼液での代用は無理
- ハードレンズは一晩水につけるだけでは壊れにくい
- ソフトレンズに水道水は厳禁
- 洗浄液や保存液の代わりはないと思った方が良い
- コンビニでも人気の簡易ケアセットは常備もおすすめ
コンタクトを安全に使うには外す度に適切なケアが必要なので、洗浄液がない状況になると使えなくなる可能性があります。
知恵袋にも目薬や水で代用する案が寄せられていますが、乾燥を防げても洗浄や消毒はできないうえ、眼やレンズを傷める危険性もあるため注意が必要です。
特にソフトレンズは水につけることも厳禁なため、緊急事態に陥らないように対策を重ねておきましょう。
コンビニでは高確率で便利なケアセットが販売されているので、困ったときは真っ先に行ってみてくださいね。