【執筆者:編集部 今冨るみ子】
「育児休業給付金はずるい」と言う人もいますが、どこから出ているのか知らずに誤解している可能性があります。
また、育休手当をもらったのに退職する人に対しても「ずるい」との声はあるようです。
そこでこの記事では、なぜずるいと言われるのかについて紹介します。
- ずるいと言われる理由
- もらった後に退職してもいいのか
- 取得できる条件
- 受給できる期間や金額
育児休業給付金が80パーセント(実質手取りで10割)への引き上げはいつからかや、2022年に改正された内容について知りたい人にも読んでほしい内容です。
目次
育児休業給付金はずるいと言われる理由 | 誤解とやむを得ない事情
「育児休業給付金はずるい」と言う人もいますが、制度のことを誤解していたり、育休手当をもらってから退職した人に対するものだったりが主な理由のようです。
育休手当がどこから出ているのかを知らなくて、ずるいと勘違いする人もいます。
同期に
「働かずしてお金(育児休業給付金)貰えてずるい」と言われたので、「存在する制度を使っているだけだし、あなたは1円も損してないし、何なら未来の納税者()を育ててるので、ずるいって言われる筋合いはない」
と食い気味に言ってしまった。確実に嫌われたが、ワイ間違ってないはず…
— ゆる外資コンサルMom (@Komatsuna_56789) December 14, 2021
対象ではないのでもらえなくて「ずるい」と思う専業主婦もいるかもしれませんが、育児休業給付金は雇用保険から出ているので、会社員にとっては当然の権利です。
この前ずっと専業主婦してる年上のママ友に「育休手当って働いてないのにお金もらえるんだよね?いいなーずるいなー」って言われましたが私はこの手当は産前家事子育て仕事の両立を頑張ったご褒美だと思ってる
だからずるいと言われる筋合いはないと思うのですが全国のワーママさんたちどう思いますか— yunamama (@yuuuna3636) November 14, 2019
育休の制度は職場復帰が前提で、会社によっては人員を補充せず復職後の席をあけてくれていることもあります。
そんな中、育休手当をもらったのに退職した人に対して「ずるい」との声が出るのは仕方がないでしょう。
吉田アナの育休中に退社って反対。その分のお金を子供産んでもきちんと働いてくれるお母さんに還元して欲しい。そのお金で保育園増やせないかね。育休期間をもっと長めにして、復帰しないと全額返金とか。真面目な人が馬鹿を見る社会になって欲しくない。
— 29 (@an925) January 5, 2019
産休育休あって当然だし取得出来て当たり前だけどそのツケを他の社員が負担するのはおかしい。
あと産休育休繰り返して全然復帰しない奴もどうかと思うしそいつクビにして新しく雇った方が絶対いい。
産休育休取ったら何ヶ月かは職場復帰しなきゃいけないようにしてくれ。
守らない奴は手当返金。— 裏垢ちゃん (@miso_080) June 29, 2022
産休や育休を取る人が悪いのではなく、その尻拭いをほかのスタッフがしなければならない今の現状に問題があると言えます。
正直迷惑…? 「産休を取得せずに退職してほしい」が2割超えhttp://t.co/B7CFTBfAj1 #Yahooニュース 申し訳ないけど正直そう思う。妊婦が悪いのではなく残った人や育休明けの人の尻拭いをするこっちにはなんもメリットがないのが原因
— ❄すのうまん⛄ (@snowman0822) August 1, 2015
自分のサポートをしてくれているほかのスタッフに対しての、感謝やフォローも大切でしょう。
育休後の退職は実際に迷惑がかかってている人もいるので、かんたんな問題ではありません。
育休手当をもらったのに退職は迷惑はがかかることも
やむを得ない育休後の退職をする人は罪悪感を抱くことが多いと思いますが、法律的には育休後の退職は問題ないです。
また、育休中・後に退職しても、それまでに受け取った育児給付金は返金する必要はないとされています。
Q25 育児休業期間中に、退職した場合は、それまで受給した育児休業給付は返金する必要がありますか。
育児休業開始時点で退職が予定されている場合を除き、育児休業期間中に退職した場合は、その支給単位期間以降、支給対象となりませんが、それまで受給した育児休業給付を返金する必要はありません。引用元:厚生労働省
育児休業は職場復帰が前提のため、始めから退職するつもりでの取得は問題ですが、復帰したくてもやむを得ない事情でできないことがほとんどなのではないでしょうか。
- 育児の大変さが想定外
- 家族の状況が変わり、復職が難しくなった
- 自分や家族の体調が悪くなった
- 子供に障害があった
- 家族から職場復帰を反対されている
- 保育園に入れなかった
育休明けを全く考慮していない会社側にも問題があることが多いです。
育休明けで仕事復帰しようとしたら、いきなり異動を言い渡されてさ
え、下の子まだ赤ちゃんなのに単身赴任しろと……????となり、退職したの。
一部上場国内トップシェア!とか謳っていても、結局中身はそんなもんなんだなってガッカリしたわ— ぎじゃぶい 社労士受験2024 (@gijabuii) July 1, 2023
復帰して初めて育児と仕事の両立が無理だとわかることもあるので、退職したからと責められるものではありません。
育休明けで4月に復帰した後輩
7月には退職してた笑
後輩「無理でした~。クリニックで楽しく働いてます。」
潔くてかっこい~と惚れました
ママが無理するより楽しく働ける場所を見つけるのが一番— くみ@ママ看護師 (@nurse_kumimama) June 30, 2023
産休に入る前に、スムーズに仕事に復帰するための書籍を参考にするといいかもしれません。
受け取れる人と受け取れない人がいるのも、育児休業給付金が不公平だと思われる理由です。
育児休業給付金がどこから出るのか知らないとずるいと思いがち
育児休業給付金は会社からではなく雇用保険から振り込まれており、会社から給料が出ているわけではありません。
雇用保険は、雇用契約を結んでいる人が加入する国の保険制度で、毎月の給料から保険料が引かれています。
そのため、雇用保険に加入していない自営業の方や専業主婦などは受け取ることができず、出所を知らないと「ずるい」と思ってしまうでしょう。
対象となる人 | 対象とならない人 |
---|---|
雇用保険に加入している人 | 雇用保険に加入していない人 |
職場復帰する人 | 職場復帰しない人 |
ただ、受給するには、過去2年間に11日以上働いた月が12ヶ月以上あるという条件があったり、妊娠がわかるとなぜか契約終了になったりで、「育児休業給付金もらえなかった」という人もいます。
育児休業給付金。
出産二回したけれど夫の転勤で正社員をやめてから派遣だったから、全くもらえなかった。いままで当たり前に契約延長されていたのが契約終了にされたし、派遣会社は次の仕事を紹介しないから雇い止めよね。
雇用保険払ってたのにね。今はちがうの? https://t.co/ulozS65D6x
— Minagare (@3nagare) March 21, 2022
しかし、次のような場合は給付金を申請できるようになっています。
- 転職前後を合わせて過去2年間に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
- 前職でも雇用保険に加入し、1日の空白もなく再就職した
- 前職を退職した際、失業給付の申し込みをしていない
給付される期間については2022年に改正があり、より柔軟になったようです。
いつから支給されるか | 開始日と期間
育児休業給付金の支給開始は育児休業を開始してから2か月後で、原則子どもが1歳に達するまでの間に取得できます。
開始日 | 育児休業を開始してから2ヶ月後 |
---|---|
給付期間 | ・子どもが1歳になるまで (最長2歳まで) ・分割して2回取得可能 |
また、給付金は育休が始まってすぐにもらえるわけではなく、産後4か月後くらいから振り込まれるようです。
女性の産休にあたる男性の制度は2022年10月から改正され、以前よりも柔軟になったようです。
- 子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる
- 2回に分けて取得できる
これまでは男性は8週間の育休を分割することができませんでしたが、現在は2回に分けられるようになりました。
育児休業給付金は期間によって給付率が変わります。
変動する給付率と上限
育児休業給付金は、育休開始から半年までとそれ以降で金額が違い、支給額には上限と下限があるので注意が必要です。
育休開始から | 支給額 |
---|---|
6ヶ月まで | 賃金月額の67% |
7ヶ月から | 賃金月額の50% |
支給額には上限があるので、給料が高いほど多くもらえるわけではありません。
賃金月額 | 半年まで(67%) | 半年後(50%) |
---|---|---|
上限(449,700円) | 301,2999円 | 224,850円 |
下限(74,400円) | 49,848円 | 37,200円 |
給料をもらっていないときの税金はかからないので、実質80パーセントの受給です。
税金はかからないので実質80パーセントの受給
育児休業給付金は給与ではないので非課税で所得税はかかりません。
所得税 | なし |
---|---|
社会保険料 | 免除 |
雇用保険 | なし |
住民税 | 前年の所得分 |
前年に比べて収入が激減したり、住民税を払うことで生活を維持できなくなったりするのであれば、減免措置や徴収猶予を受けられますが自治体によって異なります。
育休中の節約についてはこちらを参考にしてください。
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異次元の少子化対策で、育児休業給付金を「手取りで10割相当」に引き上げると発表された件はどうなったのか気になりますね。
80パーセント(手取りで10割)に引き上げはいつからかは未定
2023年3月に日本政府は、「産後の一定期間に夫婦ともに育休を取った場合、育児休業給付金を賃金67%から最大80%(実質10割)へ引き上げる」方針を表明しましたが、いつからなのかは明らかになっていないようです。
「産後パパ育休」で給付金を80%へ引き上げる予定でしたが、世論を受け女性も同様の給付率を受け取れるよう検討されています。
少しずつパパ・ママが働きやすい社会になるといいですね。
結論 | 育児休業給付金はずるいは誤解 | やむを得ず退職することも
- 雇用保険から振り込まれるのでずるいわけではない
- やむを得ず退職することもある
- 給付条件がある
- 期間で給付率が変わる
- 2022年の改正でより柔軟になった
育児休業給付金は給料から引かれている雇用保険から出ているので、ずるいということはありません。
ただ、復職することが前提なので、もらった後に退職すると育休後にサポートしてくれていたスタッフたちはずるいと思っても仕方ないかもしれません。
しかし、少しずつ改正しているようなので、出産直後のパパとママが昔よりは働きやすい社会になっていると言えるでしょう。