【執筆者:編集部 宇野山萌】
上の階からの足音や物音がうるさいと、長いものでつつく天井ドンで仕返ししたくなりますが、あまりおすすめできません。
相手に怒りが伝わるケースもありますが、天井を傷つけたり逆に相手から苦情を言われたりするケースもあるからです。
しかし我慢するだけでは、騒音を出していることを上階の住人が気付かないケースもあるので、どのような対処法があるのか、以下のようにまとめて解説します。
上の階がうるさいときの対処法
- 2階からの騒音に天井をつつくと効果があるのか
- 仕返しで失敗した事例はあるのか
- うるさい住人を退去させられるか
- 騒音をやめさせたいときの対処法
「引っ越してほしい!」と思うほどひどい場合、 可能かどうかを法律や条例の観点から紐解きますので、参考にして解決策を考えてください。
まずはうるさい相手に天井をドンドンして効果があるか、世間の体験談を確認しましょう。
目次
上の階がうるさいときに天井ドンでの仕返しは効果があるのか
上からの物音が気になるときに天井をつつくと、効果があるときと後悔する場合があるようです。
いい効果があった | ・騒音がなくなった ・謝罪に来た |
---|---|
後悔した 逆効果だった |
・思った以上に大きな音が鳴った ・天井に傷がついた ・逆に苦情を言われた |
一度の天井ドンによって騒音がおさまると、ストレスがなくなりますね。
天井をドンドンして上階の騒音がなくなった例もある
騒音がうるさい時に天井をつついて音を出したことがきっかけで、それ以降騒音がなくなるケースがあります。
こちらの方は「本当はやっちゃだめだけど」と思いながらも、我慢できずドンドンとしたところ、うるさいドタバタがなくなったようです。
深夜にもかかわらず賃貸で上階の住人がうるさいの、常に上の階に住んでて1階とかに住んだことないのかなって思う
あるいは防音効果の高い家に住んでいたか、あるいはマジキチ以前夜中にドタドタ飛び跳ねてる?のうるさすぎて、天井ドンしたらそれ以来はなくなったw 本当は多分やっちゃダメなやつ
— おま (@oma690) May 28, 2021
迷惑をかけていることや相手が怒っていることを知って、謝罪に来る人もいるようです。
上の階の音が今日最大級にうるさかったので天井ドンしたら、まさかの謝りにくる事態発生 (なお折り合いはついた?が音量はそのまま…)
— タナカゴリチュウ (@orihomotakanat) November 29, 2019
残念ながら音量はあまり変わっていないようですが、直接話せたことで少しスッキリしたようですね。
しかしいつもいい結果につながるとは限りません。
天井の破損・逆に嫌がらせを受けたと苦情を言われる場合も
力加減がわからないままに天井を叩き、思った以上に大きな音が鳴ったり天井を破損したりして、後悔した体験がある人は意外とたくさんいます。
上の階の人うるさ過ぎるから天井ドンしたんだけど、思いのほかデカい音なってしまってすごい後悔してる
— 今思えば愛おしい (@hayameni_shinu) June 26, 2013
相手に騒音が起きていると知らせたかっただけなのに、音が大きすぎると自分の方が悪いことをしたのではと怖くなりますね。
音が大きいだけならいいですが天井に傷やヒビが入ると、「退去の時に修繕費を請求されるかも」「破損が大きくなったらどうしよう」と不安です。
天井ドンしたら天井にヒビ入ったんやけど耐えるかなこれ
— あおい (@peach_agape) June 3, 2022
さらに騒音に対しての抵抗で音を出したにも関わらず、逆に下の階でドンドン鳴るので困っていると苦情を言われた人もいます。
今も上の階がドンドンうるさい!
反撃で天井ドンしたら、管理会社に以前相談した時うちの階からドンドン音がして上の階が悩んでるって被害者ヅラされたwww
は??
なんで管理会社は上の味方な訳?最近は上に向かって怒鳴ろうかと思うけど、ちゃんと聞こえるのかしら
— 新米ヨメ子 (@YNUVFVfmL1nCyGo) July 14, 2020
天井ドンだけでは意図が伝わらないこともあるようなので、別の方法で対処する方がよさそうです。
ではうるさい迷惑な住人から自分の生活を守るための法律や条例はあるのでしょうか。
上の階の足音や騒音で違法性を問う・引っ越しさせるのは難しい
マンションやアパートの上階がうるさいと感じても、それだけで違法性を問うのは困難です。
- 生活騒音について規制する法律がない
- 賃貸人(貸主)は賃借人(借主)の生活を守らなければならない
- 管理会社でも明確なルールは提示していない
片方にとっては騒音でも、もう一方にとっては生活するうえで必要不可欠な物音かもしれません。
アパートの物音のような生活騒音を規制する法律はない
電子機器の音や足音話し声のような、生活で発生する物音を規制する法律はありません。
また、生活騒音には法的規制はありませんが、近隣住民や地域内で話し合う、市区町村に相談するなどの解決方法があります。
生活騒音は身の回りに普通にある音で、問題になるのは次のようなものです。
生活騒音の種類 | 具体例 |
---|---|
家庭用機器から | 洗濯機、冷蔵庫、エアコン 給湯器 など |
家庭用設備 住宅構造面から |
ドアの開閉、給水・排水 イスを引く音 など |
音響機器から | テレビ、楽器、AV機器 など |
生活行動・その他 | 足音、話し声、ペットの鳴き声 飛び跳ねる音 など |
人間らしい普通の暮らしをするうえで、生活音を全く出さないことは不可能ですね。
そのためマンションやアパートの管理人が、住人の騒音を制限する規則を作ることもできません。
マンションの管理会社は双方の生活を守る義務がある
民法第601条では、賃貸人は賃借人の利益を守らなければならないと義務付けています。
第七節 賃貸借
第六百一条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
それなら騒音で悩んでいる下の階の住人の生活を守ってくれるはずではないですか?
管理人は騒音を「出している」と言われている上階の住人の利益も守る義務があるので、「掃除しないで」「洗濯機を使わないで」のような極端な要求はできません。
多くの場合次のような案内をされています。
- 夜間の入浴や洗濯、大声での会話を避ける
- ドアの開け閉めを丁寧に
- テレビやAV機器は壁から離して設置
- 子どもやペットがいる場合はラグやマットで防音対策を
- 隣近所でコミュニケーションをとる
モラルを守り周りに配慮した生活を促す内容で、具体的に厳しい禁止事項が設けられているわけではありませんね。
上の階がうるさすぎるときの対処法
管理会社や大家はすべての住人の利益を守る義務があるので、被害を受けている側の意見にも対応しなければなりません。
- 管理会社に連絡する
- 騒音の種類や時間帯を記録する
- 騒音値を測る
管理会社は「騒音に悩んでいる」という正当な訴えを無視すると、被害住人から損害賠償請求を起こされるリスクもあるので、加害者や全体に向けてはたらきかけてくれるはずですよ。(※2)
そのためには困っている内容を具体的に伝えなければなりません。
わざとらしいか・何の音かなどを管理会社に伝える
管理会社や大家に対処を依頼するなら、いつ頃・どんな音がするのか・どのような被害をこむっているのかを具体的に伝えましょう。
案内には想像する以上に下の階には響くこと、特に周りが静かな夜間は音が大きく感じられること、それによって安眠妨害のような問題が起きていることが書かれていました。
夜間の騒音で驚くことや、それによって子供が目を覚ますことなどを具体的に伝えた結果の対処だったと考えられますね。
こちらの記事でも騒音トラブルについて紹介しているので、参考にしてください。
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さらに信ぴょう性を持たせるためには、音の大きさを測るのもいいでしょう。
騒音の大きさには基準が定められている
生活騒音自体を規制する法律はありませんが、騒音の大きさに対しては人の健康を守るために望ましい基準(環境基準)が設定されています。(※3)
場所・地域 | 日中 | 夜間 |
---|---|---|
社会福祉施設や 療養施設が多い地域 |
50以下 | 40以下 |
住宅地や住居 | 55以下 | 45以下 |
住宅や工場のある地域 | 60以下 | 50以下 |
マンションやアパートでは夜間は45デシベル以下が望ましいとされているので、基準を大きく超えた騒音がある場合は、解決のための措置を依頼できるでしょう。
騒音計はネット通販でも簡単に買えますよ!
中には天井ドン以外の音を出して仕返しする人もいるようです。
モスキート音で仕返しする人も
うるさい上階の住人に向けて、モスキート音を発生させて仕返しをする人もいるようです。
2階の部屋のガキの足音うるさいからモスキート音流し続けたろ
— ウドン (@akZhqwOBTmXjTld) April 12, 2020
モスキート音とは
高くキーンと聞こえ、不快に感じる人が多い音です。一般的に人が聞き取れるのは20~20,000ヘルツ程度とされ、年齢とともに高い音は認識できなくなります。
・20代:16,000ヘルツ程度
・30代:15,000ヘルツ程度
・40代:14,000ヘルツ程度
しかし年齢と聞こえる周波数の関係はあくまで目安で、聴力には個人差がありますし、音の大きさによっては関係ない周りの人にまで不快感を与えてしまいます。
海外には「騒音の仕返し専用スピーカー」という製品もあるようですが、問題を大きくしかねないため、あまりおすすめはできません。
結論|上の階がうるさいときは天井ドンより管理会社へ連絡
- 天井ドンで仕返ししても効果があるとは限らない
- 生活騒音に対する法律はない
- 管理会社でも互いの気遣いと配慮を促している
- あまりにひどいなら管理会社を通して注意してもらう
- 騒音値には基準がある
上の階がうるさいときに天井をドンドン叩いてアピールすると、家を傷つけたり逆に苦情を言われたりするおそれがあるので、あまりおすすめしません。
しかし騒音の原因が暮らしの中でどうしても発生する生活音であることが多く、相手は自分が迷惑をかけていることに気付いていない可能性があるので、伝えるのは大切なことです。
生活騒音を取り締まる法律はありませんが、管理会社は住人の利益を守る義務があるので相談すれば対処するはずです。
何の音が聞こえるのか・どのように困っているのかを明確に伝え、お互いに配慮しあえる快適な生活を手に入れてくださいね。