【執筆者:管理栄養士 朝戸尚子】
麩は小麦を原料としたグルテンから作られるので体に悪いイメージを持つ人もいるかもしれませんが、グルテンが体質的に合わないという人以外には危険な食べ物ではありません。
むしろタンパク質やミネラルを豊富に含む上にヘルシーで、健康にいいメリットもあります。
この記事では安心して麩を食べるために、知っておきたいことについて紹介します。
麩 のこと
- 原料と健康への影響
- 体に合わない人の例
- 栄養成分と嬉しい効果
- ダイエットにおすすめの理由
麩を日々の食事に取り入れたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
麩は体に悪いものではない|原料と健康への影響
あまり知らない人もいるかもしれませんが、麩の原料は小麦から取り出されたグルテンです。
グルテンそのものは体に悪いものではありませんが、小麦(グルテン)が体質的に合わない人は注意が必要です。
小麦アレルギー | ・小麦自体にアレルギー反応を示す |
---|---|
グルテン不耐症 | ・グルテンを消化できない疾患 ・グルテンを食べ過ぎた後は 胃の痛みや吐き気などを引き起こす |
セリアック病 | ・グルテンにより小腸に炎症が起こる ・栄養素の吸収不良や体重減少など さまざまな症状を引き起こす |
グルテンが体質的に合わない人の疾患としては小麦アレルギー、グルテン不耐症、セリアック病があります。
麩の主成分は小麦を原料としたグルテン|アレルギーに注意
麩は大きく分けると焼麩と生麩があり、それぞれ原料と製法が異なりますが、どちらも主成分は小麦から取り出した植物性タンパク質のグルテンなので、小麦アレルギーの人は注意しましょう。
原料 | 製法 | |
---|---|---|
焼麩 | グルテン+強力小麦粉 | 釜で焼き乾燥させる |
生麩 | グルテン+もち粉 | 蒸す/茹でる |
小麦アレルギーは即時型食物アレルギーの原因食物として第4位となっており、一般的な食物アレルギーの一つです。(※1)
- 1位:鶏卵
- 2位:牛乳
- 3位:木の実類
- 4位:小麦
小麦によるアレルギーは小麦に含まれるタンパク質が原因で起こりますが、グルテンは小麦の主要なタンパク質なので、小麦アレルギーで完全除去が必要な人は麩を食べられません。
有名な小麦アレルギー以外にも、グルテンの摂取に注意すべき疾患があります。
グルテンが体に合わない人には危険
グルテン不耐症やセリアック病もグルテンを摂取することで不調を引き起こすので、麩の摂取には注意が必要です。
ただしセリアック病は欧州や米国ではよく見られますが、日本ではあまり見られない疾患です。
またグルテンフリーといえば健康的なイメージがありますが、グルテンフリーは元々セリアック病の人のために生まれた食事です。
グルテンは大切なタンパク源であり、グルテンが体に合わないという疾患を抱えている人以外は極端に除去する必要はありません。
グルテンフリーの食事がダイエットに効果的だという科学的根拠はまだありませんが、麩は小麦由来なので、GI値が気になる場合は食べるときに工夫をするといいでしょう。
GI値とは
GI値とは食後の血糖値の上昇度合いを示す指数のことで、GI値の高い食材を食べると血糖値が急上昇し、低い食材を食べると血糖値は緩やかな上昇をすることを意味します。
食後血糖値の上昇は食物繊維が豊富なものと一緒に食べたり、食物繊維が豊富なものから食べ始めたり、調理にお酢を利用することで緩やかにできます。(※2)
これらの疾患に当てはまらない人は体に悪い影響どころか、うれしいメリットも期待できますよ。
お麩の栄養成分と効果|ダイエットにもおすすめ
麩にはタンパク質が豊富に含まれるほか、カルシウムや鉄、亜鉛といったミネラルも含みます。
タンパク質 | 筋肉などの体の組織を作る |
---|---|
カルシウム | 丈夫な骨や歯を作るために必要 |
鉄 | 赤血球の材料となり全身に酸素を運ぶ |
亜鉛 | 味覚を正常に保ち、 皮膚や粘膜の健康維持を助ける |
フワフワ軽くて栄養なんて含まれていなさそう、というイメージがあるかもしれませんが、実は麩はヘルシーである一方で栄養素が豊富に含まれています。
ただしひとくくりに麩と言っても、焼麩と生麩では栄養成分が大きく異なります。
焼麩(※3) | 生麩(※4) | |
---|---|---|
エネルギー | 357kcal | 161kcal |
たんぱく質 | 28.5g | 12.7g |
脂質 | 2.7g | 0.8g |
炭水化物 | 56.9g | 26.2g |
カルシウム | 33mg | 13mg |
鉄 | 3.3mg | 1.3mg |
亜鉛 | 2.2mg | 1.8mg |
一見すると焼麩の方が栄養成分もカロリーも多く見えますが、比べる場合は1回に食べられる量についても考える必要があります。
一般向けの生麩は1本100~200g前後のことが多いですが、焼麩(一般的なおつゆ麩の場合)は1個あたり0.5g程度と非常に軽いです。
焼麩の場合は10個食べても5g程度、カロリーは18kcalほどと非常にヘルシーです。
タンパク質を豊富に含む麩はお肉の代わりとして活用できます。
タンパク質が豊富なのでお肉のかわりにも
仏教で知られる精進料理では、肉・魚・卵の代わりにタンパク質を豊富に含む植物由来の食材を使いますが、麩もその一つです。
麩はタンパク質を豊富に含みますが脂質は少ないためカロリーが低く、また保水性が高いことから少量でも満腹感を得られます。
楽たま車麩チャンプル
楽たま出汁と塩を混ぜて車麩に1時間染み込ませてニラともやしを入れてチャンプル〜
具志堅さんこれ美味しいですよねちょっちゅねちょっとねってちょっとねは失礼だからちょっちゅねは「そうですね」と言う意味これまた失礼許してちょ#楽たま生活 pic.twitter.com/s9sKuIvnuD— 楽ちんたまご 【公式】丸鳥鶏卵 たまご‼️大好き (@EggRakutama) June 15, 2022
炒め物やどんぶり、煮物など、さまざまな料理においしく活用してくださいね。
宮城県の油麩や東海地方のもち麩など、近所のスーパーでは手に入らないこともあるご当地のお麩もぜひ一度お試しください。
麩以外の炭水化物を含む食材とダイエットとの関係については、こちらの記事も参考にしてみてください。
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結論|麩はグルテンが合わない人以外は体に悪い訳ではない
- 主成分はグルテン
- グルテンが体に合わない疾患を持つ人は食べられない
- タンパク質だけではなくミネラルも豊富に含む
- お肉の代わりにもなる
- ダイエット中におすすめ
麩の主成分は小麦を原料としたグルテンで、体質的にグルテンが合わない人は食べられない場合があります。
ただし小麦アレルギー、グルテン不耐症、セリアック病などに当てはまらない場合は、極端にグルテンを避ける必要はないと言われています。
低カロリーかつタンパク質やミネラルが豊富という麩のメリットを活かして、毎日の食事に取り入れてみてください。