【執筆者:管理栄養士 田口菜月】
牛乳は開封後に正しく保存していないと、空気中に存在する微生物の影響でカビが生えたり、腐ったりします。
ただし、一見するとカビが生えたように見えても問題ないケースがあるので、見分け方を覚えておくといいですね。
そこで本記事では、腐敗した牛乳の見分け方と正しい保存方法を、以下項目に沿って紹介します。
牛乳のこと
- 飲めない場合の特徴
- 腐敗を確認する方法
- カビを食べたら起こる症状
- 正しい保存方法
開封後の牛乳賞味期限や、長期保存できる冷凍方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
カビ・腐敗した牛乳の見分け方|飲んだらまれに食中毒症状も
牛乳にカビが生えたように見えても、牛乳の焦げや紙の原料が混入しただけの可能性があります。
飲んでも問題ない場合の特徴とカビが生えた状態や腐るとどうなるかを、一覧で見てみましょう。
状態 | 原因 | |
---|---|---|
食べられる | パックに黒い小さな点 | 紙の原料が 混入した可能性※ |
黒い異物が混入 | 焦げの可能性※ | |
加熱後薄い膜ができる | 成分が凝固しただけ | |
食べられない | 緑・黒などのフワフワ | カビ |
・加熱後に分離や固まり ・酸っぱい臭い腐敗臭 ・酸味や苦味がある |
腐敗 |
※判断が難しいためメーカーに確認することをおすすめします。
紙パックの黒い点は黒カビに見えますが、紙パックの製造過程で原料中の成分が、混入しただけと考えられます。
また、牛乳に黒い異物が見られるときは、牛乳の焦げが混入しただけの場合もあります。
他に腐敗の状態がなく、開封後2~3日かつ賞味期限内であれば問題ないので、よく見て判断しましょう。
加熱して腐敗の有無を確認できる方法もあるので、そのやり方と大丈夫なときの見分け方をチェックしましょう。
加熱でできる膜は脂肪・たんぱく質が凝固したものだから大丈夫
牛乳を90度くらいまで温めてみて、豆腐のように固まったり、分離したりする時は腐っていると考えられます。
ただし、牛乳を温めたとき、表面に薄い膜ができる場合は問題ないです。
これはラムスデン現象といって、牛乳中の脂肪とたんぱく質が濃縮され、凝固しているだけです。
言えたらかっこいい言葉
【ラムスデン現象】牛乳温めると表面に膜ができることありますよね?
それ、ラムスデン現象と言います。#マモ知識
↑↑↑#マメ知識っぽくて気に入った pic.twitter.com/JUwFD30l1c— ノンスピ占い師🦁☀️マモさん (@mamomiso1982) May 3, 2018
温めてできたかたまりが腐敗によるものかどうか迷ったときは、以下で判断してください。
- 賞味期限内かどうか
- 開封から2~3日以上経っていないか
- 他に腐敗の状態がないか
カビが生えた場合や腐敗があるときは、廃棄が良いですが、料理に使って食べてしまったり、飲んだりした場合は、どのような症状が起こるのかチェックしましょう。
カビが生えた牛乳を飲んで下痢症状になる場合もある
カビが生えた・腐敗した牛乳を間違って飲んでも、食中毒の症状を引き起こす可能性は少ないと言われています。(※1)
ただし、体調や体質によっては下痢や腹痛などの症状を引き起こす人もいるようなので、注意したいですね。
腐った牛乳飲んだらしっかり下痢になりました。
— とっつあん⑤PRIDEofNIIGATA🦢 (@go_totsu) May 26, 2022
カビは人体に悪影響を及ぼすカビ毒を産生する場合もあります。
カビ毒は加熱では分解できないので、やはりカビや腐敗を確認したら、処分するのが良いですね。(※2)
カビは有害なものだけじゃない|チーズをつくるためのカビはOK
カビには有害なものだけでなく、チーズ作りに使用されるカビもあります。チーズに使われるカビは、タンパク質や脂肪を分解して独特な風味を作り出す役割があります。牛乳に生えるカビとチーズに使用されるカビはイコールではないため、牛乳に生えたカビは口にしない方がよい、と覚えておきましょう。
牛乳は栄養価が高く、微生物が増殖しやすいです。
そのため、カビや腐敗を防ぐには冷蔵による温度管理の徹底が重要です。
詳しくはこの記事をチェック!
牛乳にカビが生えるのを防ぐ方法|10℃以下で保存
牛乳のカビや腐敗を防ぐには、保存時の温度管理が大切です。
保存方法 | 日持ち期間 | |
---|---|---|
常温 | 不可 (ロングライフ牛乳は常温可) |
ー |
冷蔵 | ・10℃以下で保存 ・冷蔵庫の開閉は最小限に ・注いだ後はすぐ冷蔵庫に戻す |
開封後は賞味期限に 関わらず2~3日以内 |
冷凍 | ・製氷機で冷凍 ・凍ったら保存袋にうつす |
1~2ヶ月程度 |
牛乳の保存温度は、10℃以下に定められています。
そのため、購入したら温度上昇に気を付けて持ち運び、帰宅後はすぐに冷蔵庫に入れてください。
一部例外として、常温保存できる製品に、ロングライフ牛乳があります。
ロングライフ牛乳とは
原料は通常の牛乳と同じで、加熱殺菌や無菌充填などをしっかりと管理し、常温で長期保存が可能な牛乳です。(開封後は冷蔵する必要があります)
ロングライフ牛乳を除いて、牛乳は常温放置をしないでください。
ただし、冷蔵庫にいれてもカビが発生する場合もあるので、その理由と対処法を確認しましょう。
冷蔵庫内を清潔にして開封後も美味しく飲もう
冷蔵庫が清潔に保たれていないと、開封後より数日でカビが生えたり、腐ったりします。
冷蔵庫内の汚れがエサとなり、菌の増殖を促すのが原因です。
アルコールスプレーや除菌シートなどを使用して、冷蔵庫内を清潔に保ち、菌が増えにくい環境をつくりましょう。
また、牛乳は臭いを吸着しやすい性質があるので、臭いが強いものの近くを避けて冷蔵庫にいれてくださいね。
開封後は賞味期限に関わらず2~3日が冷蔵保存の日持ち目安なので、飲み切れない場合は冷凍してもOKです。
冷凍保存でカビ・腐敗を防ぐ
牛乳は製氷機を使って小分けにして、冷凍できます。
製氷機に牛乳をいれて、完全に凍ったら、冷凍用の保存袋に移し替えて冷凍保存しましょう。
冷凍後は若干風味が落ちるため、凍ったままコーヒーにいれたり、スープやカレーの隠し味など加熱調理に使用したり、アレンジすると良いでしょう。
結論|開封後の牛乳は傷みやすいのでカビが生える前に使い切ろう
- 黒い点は牛乳の焦げや紙パックの原料の可能性がある
- 加熱による膜は成分が凝固したものだから大丈夫
- カビを食べたら下痢や腹痛が起こる場合がある
- 10℃以下での保存が定められてる
- 冷凍保存も可能で1~2ヶ月もつ
カビが生えた牛乳を飲んだら、体調や体質によっては体調不良を起こす場合もあります。
開封後の日持ちは賞味期限に関わらず2~3日なので、冷蔵庫保存していても腐敗の有無をチェックして、飲むようにしましょう。
温度管理を適切に行い、美味しい牛乳を飲み切ってくださいね。