【執筆者:管理栄養士 早矢仕知恵】
市販の生ハム原木の賞味期限は形状や熟成度によって30日以上~2年と長めの設定です。
一度では食べ切らず保存しながら何度にも分けて食べる場合が多いと思いますが、保存方法を誤ると酸化や乾燥・カビの増殖などによって品質を著しく劣化させてしまいます。
保存時の注意点や食品の特徴を押さえておきましょう。
生ハム原木のこと
- 賞味期限の目安と注意点
- カビ・臭い・白い塊は問題ないか
- 常温・冷蔵庫の保存方法と保存期間中の注意点
- 冷蔵・冷凍保存後に美味しく食べるための工夫
生ハムは冷蔵庫の無い時代から保存食として食べられきた非加熱の食品です。
開封後にすぐに腐って食べられなくなる可能性は低いですが、正しく保存しなるべく早く食べ切りましょう。
目次
生ハム原木の賞味期限|骨付きと骨無しの日持ちの違い
骨付きで熟成期間が長い生ハム原木ほど賞味期限は長い傾向にあります。
骨無しの生ハム原木は、骨付きに比べて空気に触れる可食部の面積が多く、品質の変化や劣化が進みやすいので賞味期限は骨付きより短い場合が多いです。
骨付き | グルメソムリエ ハモンイベリコ (48ヶ月熟成) |
製造から2年 |
---|---|---|
グルメソムリエ ハモンセラーノ (16ヶ月熟成) |
||
トップ・トレーディング(株) ハモンセラーノ (12ヵ月熟成) |
到着後30日以上 | |
骨無し | タイシコーポレーション(株) イベリコ豚 生ハム (30ヶ月熟成) |
到着後60日以上 |
(株)サイトウミート ハモンセラーノ ミニハモン (18ヶ月熟成) |
加工から90日間 | |
コストコ ハモンセラーノ (12ヶ月熟成) |
梱包日より 約1年2ヶ月 |
・ハモンセラーノ:スペインの白豚の後ろ足で作られ、蹄が白いのが特徴。ハモンイベリコに比べて値段は安めです。
ハムホルダーやナイフもセットになっている商品もあります。
生ハムは非加熱食品なので食べる際に注意が必要な人もいます。
リステリア菌による食中毒を予防する方法
生ハムは生肉を加工した非加熱の食品なので妊婦や高齢者など免疫の弱い人はリステリア菌による食中毒に気を付ける必要があります。
・賞味期限や保存の方法を守っていれば健康な大人が食中毒を発症するリスクは低く、重症化することも稀ですが、重症化すると命に関わることもあります。
- 期限内に消費する
- 加熱して食べる
- 冷凍保存する
- 開封後は早めに消費する
賞味期限が長く腐りにくい食品だからと油断せず、正しく保存してなるべく早く食べ切ることが大切です。
専門的な知識のない人にはおすすめしません。
保存期間中に見られる状態の変化|カビ・臭い・白い小さな塊
生ハムは熟成・発酵で出来る食品なので保存期間中に状態変化が見られることがありますが、問題無く食べられる場合もあります。
白カビ | ・熟成している証 ・切り取る ・オリーブオイルで拭き取る |
---|---|
強い臭い | 熟成で脂の酸化が進んだ香り |
白い小さな塊 | 熟成すると現れるアミノ酸の塊 |
生ハムを食べたら、「ジャリッ」とした音が…。断面を見たら納得。
この小さな白い丸は『チロシン』というアミノ酸の結晶です。原料である豚肉のタンパク質が菌の働きによって、うま味であるアミノ酸に分解された証と言えます。 pic.twitter.com/FIwjMGBg8L
— アベリコ /生ハムマンガ家 (@Tatsuya_Abe5) February 12, 2020
熟成に必要な白カビですが、増えすぎは品質の低下を早めるので保存の際は注意しましょう。
生ハム原木の保存方法と注意するポイント
生ハム原木を保存するときは酸化・乾燥・カビの増殖に特に注意が必要です。
骨付きの原木は20℃前後の暗所が保存に適しているので常温保存は可能ですが、骨無しはこちらで紹介したとおり、劣化が進みやすいので冷蔵保存が推奨されています。
骨付き | 骨無し | |
---|---|---|
常温 | 切り口を覆う (オリーブ油を染みさせた キッチンペーパーなど) |
保存不可 |
冷蔵 | ・切り口を覆う (オリーブ油を染みさせた キッチンペーパーなど) ・ラップで密閉 |
・脂がない赤身面に オリーブ油を塗る ・ラップなどで密閉 |
冷凍 | ・保存しやすい大きさにカット ・密封保存 |
脂で覆われている部分の乾燥は進みませんが、赤身の切り口は乾燥するとすぐに硬くなるのでしっかり保護して下さい。
常温保存の場合は他にもいくつかの注意点があります。
常温保存するときの注意点と保管場所
生ハムの産地・ヨーロッパに比べて日本はカビの生えやすい環境なので、湿度の高い夏場に常温放置するのはあまりおすすめ出来ません。
- 直射日光の当たらない場所
- 湿気のこもらない風通しの良い場所
- 温度変化の少ない場所
- エアコンの風が直接当たらない場所
温度変化による結露や湿気はカビの原因になり、風が当たり過ぎても乾燥が進み硬くなります。
適切な保管場所を見つけてこまめに状態をチェックして下さいね。
冷凍・冷蔵庫保存でも美味しく食べる工夫と切り方
さまざまな料理に合い、冷たいままでも美味しい生ハムですが、脂の溶け始める20℃程度の常温はより美味しさを味わえます。
- 食べる分を30分~1時間前に取り出し、常温にならして食べる
- 薄く切り取ると早く常温になじむ
- 冷たいまま切り取ったものを温かい料理に合わせて食べる
- おにぎり
- パスタ
- 温めたパン類
- ピザ
バシルソースがあれば、ご飯に少し混ぜて作るのもおすすめです♪
薄いものほど口に入れた時の口どけは良いですが、分厚く切ったものや脂身の多い部分は生ベーコンのように食べられるので、切り方や食べ方によって違った美味しさを楽しめます。
硬くなった部分もスープに入れると美味しい出汁が出るので、食べられる部分は余すことなく食べて下さいね。
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結論|開封後は保存のポイントを押さえて早めに食べ切ろう
- 美味しく安全に食べるには早めの消費がおすすめ
- 白カビや強い臭いは熟成の証・白い塊はアミノ酸
- 保存は酸化・乾燥・カビに注意
- 骨付き原木の常温保存には湿気と温度変化が大敵
- 薄く切り20℃程度で食べると美味しさが引き立つ
生ハム原木は日持ちする食品ですが、保存にはいくつか注意が必要です。
常温保存できますが、湿度や高温の影響を受けると品質が変化する恐れもあります。
梅雨や夏の時期には冷蔵庫や冷凍庫に保存するなどして酸化・乾燥・カビを防ぎ、開封後は美味しいうちに食べ切って下さいね。