【執筆者:管理栄養士 鳥越菜生】
炒り卵(卵そぼろ)の日持ちは冷蔵庫で正しく保存すれば可能なので、作り置きにしておくと忙しいときにも重宝します。
しかし保存状況によっては傷みが早くなるので、保存期間の目安のほか食べられる状態かの見分け方を知っておくことも大切です。
良質なタンパク質をはじめ豊富な栄養素が摂れる炒り卵を便利な常備菜にできるように、次の項目について解説します。
炒り卵のこと
- 作り置きの賞味期限の目安
- 安全に食べられる状態の見分け方
- 卵の選び方や調理の注意点
- 傷みを防ぐ冷蔵・冷凍保存のコツ
炒り卵をいつでもさっとアレンジレシピに使えるようにしたい方や、昨日余った分を食べられるか悩んでいる方もぜひ参考にしてください。
目次
炒り卵の日持ちはいつまで?作り置きの保存期間と注意点
炒り卵は冷蔵庫で2~3日程度、冷凍すると約2週間日持ちできますが、傷みやすいので常温放置はできるだけ避けて早めの消費がおすすめです。
常温 | できるだけ早く消費 (2時間以内がおすすめ) |
---|---|
冷蔵 | 2~3日程度 (なるべく早く食べきる) |
冷凍 | 2週間程度 |
日持ちできる期間は保存状態や卵の鮮度・調理の仕方によっても変わるので、注意が必要です。
目安を参考にしながら、見た目や臭いから食べられる状態かを見分けられるように、腐ったときの特徴も覚えておきましょう。
食べられるかは臭いや見た目からも確認
炒り卵が傷むと臭い匂いや変色・カビ・粘つき・ぬめりのある汁気が生じるなどの異変が現れ、腐った状態だと五感で判断できます。
- 悪臭・腐敗臭
- カビが生えている
- 変色している
- 粘つき・ぬめりのある汁気が出ている
炒り卵は卵とほかの材料や調味料を混ぜ、しっかり加熱してそぼろ状にするため、雑菌が混入しても死滅させられます。
しかし調理後に調理器具や手指からのほか、空気中に漂っているカビや細菌などの微生物が付く場合もあり、適温になると繁殖するのです。(※1)
微生物は食品の成分を栄養にして分解しながら増殖し、劣化・腐敗させます。
傷んだ炒り卵にはカビや腐敗菌のほかに、サルモネラという食中毒菌も増殖している可能性があるため注意して処分しましょう。
鶏は腸管にサルモネラ菌を持っている場合があるため、卵を使った料理や加工品はサルモネラ食中毒を起こす原因になることがあります。
作り置きにした炒り卵を安心して食べられるように、調理の仕方や使う卵の選び方・扱い方にも注意しましょう。
使う卵は賞味期限やひびに注意!割り置きもNG
日持ちの良い傷みにくい炒り卵を作るには、賞味期限内の新鮮で殻にひびの無い卵を選び、衛生的に調理することも大切です。
- 賞味期限を過ぎていない卵を使う
- 冷蔵庫で保管した殻にひびの無い卵を選ぶ
- 卵の割り置きはしない
- しっかり火を通す(半熟状の部分を残さない方が安心)
- よく洗浄・消毒した調理器具・容器を使う
- 調理中も必要に応じて手指を洗浄する
卵は賞味期限内で正しく保存されていれば生食もできますが、殻に割れやひびがあるとサルモネラ菌の侵入が危惧されるため危険です。
また卵は殻を割ると傷みやすくなるため、直ちに調理しましょう。
卵にこだわって炒り卵を作ってみたい方は、通販サイトで探す方法もおすすめですよ。
せっかく作った炒り卵の傷みや腐敗を防いで安全に美味しく食べられるように、正しい保存方法や長く日持ちさせるコツを覚えましょう。
炒り卵を日持ちさせる保存方法 | 冷蔵・冷凍のコツ
炒り卵の日持ちを良くするには密封して冷蔵庫で低温保存する必要がありますが、冷凍できるので、常備菜として作り置きもできます。
常温 | 不可 (室温での放置もできる限り避ける) |
---|---|
冷蔵 | ・密閉できる保存容器・袋に入れる ・空気を抜いて密封する ・冷蔵庫のドア近くを避け より低温になる場所に置く |
冷凍 | ・少量ずつに分けてラップで包む ・冷凍用保存袋に入れ空気を抜いて密封 ・冷凍庫の奥の方に入れる |
卵を使った料理は傷みやすいため、炒り卵も常温保存は避け、劣化を防ぐ冷蔵・冷凍のコツを実践しましょう。
密封と低温が冷蔵庫保存のコツ
炒り卵を冷蔵保存する場合は、密閉容器やジップ付きの保存袋に入れて空気を遮断し、低温が保てる場所に置きましょう。
乾燥や酸化、雑菌の侵入を防ぐため、タッパーに入れたら表面をラップでカバーして密封しましょう。
酸化とは食品中の脂質やタンパク質、色素や香りなどの成分が空気中の酸素と結び付いて性質が変わる反応で、風味・品質低下の原因になります。酸化を防ぐには、空気に触れさせないよう密封することが重要です。
炒り卵をもっと長い期間作り置きにして常備したい場合は、冷凍保存がおすすめですよ。
冷凍すれば長期保存もできる
炒り卵をそぼろ丼やサンドイッチにいつでも使えるように常備したい場合は、少量ずつに小分けして密封し、冷凍庫で保存しましょう。
卵の白身は水分を多く含むため、ゆで卵の場合は冷凍後に水分が抜けてスポンジ状になり、食感が悪くなるので美味しく食べられません。
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しかし炒り卵は白身と黄身を混ぜて加熱するため、卵焼きや錦糸卵と同様に冷凍したあとも食感がそれほど落ちません。
冷凍用のジップ付き保存袋を使うと、密封するのに便利です。
炒り卵も作り方を工夫すると、冷凍保存による風味の低下をより抑えられますよ。
冷凍後も美味しく食べられる作り方のコツ
炒り卵を冷凍する場合は調味料の砂糖を多めに加えて細かいそぼろ状に作ると、解凍後に風味や品質が落ちにくく美味しく食べられます。
- 砂糖の量を多くして甘めに味付する
- しっかり加熱して細かめのそぼろ状にする
砂糖の保水効果により水分の抜け過ぎが防げ、塊を小さくすることで食感が悪化しても感じにくくできます。
炒り卵を作ったらすぐに冷まし、小分けしてしっかり密封したらなるべく急速に凍らせましょう。
冷凍中に空気に触れると食品の水分が蒸発して乾燥しやすく、さらに空洞に空気が入って酸化も進み、冷凍焼けを起こして風味・品質が悪くなります。
ちなみに炒り卵はレンジ調理もできるので、なるべく簡単に作りたいという方は、次の動画を参考にしてみてください♪
適度な加熱時間はレンジによっても異なるので、1回につき30秒~1分ずつくらいで様子を見ながら調節してくださいね。
結論|炒り卵を長期間日持ちさせるなら冷凍保存に
- 冷蔵保存は2~3日中に食べきる
- 冷凍すると約2週間日持ち可能
- 日持ちは卵の鮮度や作り方・衛生度などで変わる
- 日持ちを長くするには密封してより低温で保存
- 冷凍保存用には甘めに細かく作ると風味が落ちにくい
炒り卵は冷蔵でも密封して低温を保てば2~3日ほど日持ちできますが、卵の鮮度や調理の仕方などにも左右されるため早めに食べましょう。
冷凍すれば2週間くらい保存できるので、常備菜にしておくと、サンドイッチやチャーハン・そぼろ丼などのアレンジにさっと使えて便利です。
炒り卵の作り置きを安全に美味しく食べられるように、傷みを抑える冷蔵・冷凍保存のコツや、風味が落ちにくい調理法もぜひ参考にしてください。